☆12.成長感で元気 「(2)ホメオスタシス」からの続き


oikomaretehatudousuru-homeostasis-sugasanさて、人間が個人の活動においてホメオスタシスを発動させ、困難を困難とせず、栄養分に置き換えてしまうには、それなりの気づき、ひらめきが必要です。いわゆる発想の転換です。その気づきやひらめきを誘発させる環境を整えるためには、前述の「追い詰める」ことが必要なのです。

例えば、そもそもの目標やタスクが会社から与えられたものであっても、実行者が、そこに先述のような様々な縛りを設けて行くことによって様々な意図、想いが生じ、高まり、追い詰められて行きます。

例えばこうです。「いついつまでに仕上げないとならないな・・・しかも今回は〇〇レベルの仕上がりが期待されているぞ・・・尚且つ既存の職場メンバー〇〇人でやりきらねばならない・・・そして、今回使えるリソースは前後に隣接する課題から考えると〇〇と〇〇だけだ・・・一方では、これにかかりきりになれない事情があり、一日当たりに確保できる時間は〇〇時間程度・・・この案件の〇〇観点の成果物は、他のタスク施策に供用する必要出てくるだろう。だとすれば、〇〇仕様としてつくりこまねばならないし・・・」等と縛りが増えて行きますと、スタンス作りや発想の段階からかなり追い詰められて行きます。

そして、上司からの目標達成やタスク実現の求め方が強ければ強いほど更に圧力が高まりますので、朝に求め、昼に求め、夜に求め、語気の強弱を付け、言い方を変え、例えも加え、関心の高さを示すためにことあるごとに報告を求め・・・といったように、あらゆる観点で強く求めて行きます。

すると、実行者にとっての上記様々なストレッサー(刺激,圧力)が、連射砲のように実行者の緊張感を高めて行き、実行者にしてみれば、高じた緊張感が自らを押し潰さんとするかに思えてくるほどになります。その時です。それを跳ね除けようとする力=ホメオスタシスが発動するのです。気づきやひらめきが生まれ、発想の転換を実現させ、精神的に進化し、そして、その延長線上での言動変化、新たな施策の展開へと実行者を誘って行くのです。

このようなシナリオを踏めば、結果として困難が人を成長させたことになりますので、「苦労は買ってでもしろ」という教えが言いえて妙となってきます。

うんうん唸ってばかりで、一向に知恵が働かないという人も多く見えるようですが、そのような人は追い詰められ方、或いは自分自身による追い詰め方が不足していることが多いようです。更なる制約を具体的に幾つも自分に課してみたり、たくさんの人から意見を聞いたり(多くの意見を自身に突き付ける)、現場に通いつめてみたり(たくさんの現場実態、現場情報を観察、取得、現認して自分自身に突き付ける)、休日をつかって調べ物に没頭してみたり(更に専門的な見解や情報、或いは専門性を超越した思想や考え方を仕入れて自分自身に突き付ける)と、もっともっと自分を追い込んでいかなくてはなりません。追い込み方が中途半端で、中途半端に悩める状態が続いて行くと心の病になってしまいます。

メンタルという流行り言葉を警戒するがあまり、追い込みが不足している現代人。追い込まれる訓練、或いは追い込む訓練が為されていないがために、追い込みに関して過敏に拒絶をするのでしょう。そして、気づきの無い、しかし、平穏で安定した生活を一時的に享受し、大きな困難に直面するたびに右往左往。気づきが少ないので、常にやり方を求め、やり方を求める傾向が強いからノウハウ本は売れ、ノウハウ本が隆盛を極めるからこそ、またぞろそれに乗っかる人が増え・・・。人類の抵抗力、進化力、そしてその源泉であるホメオスタシスはかなり「ヤバイ」ことになっていそうです。



☆12.成長感で元気 「(4)楽をさせるは虚け管理者」へ続く
※ 岡崎信用金庫調査月報への寄稿「人を財と為す」を加筆編集



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