dotidesyou^sugasan-sayuu-ganimata暖簾をくぐる。格子戸を引く。間髪を入れずに「へい。らっしゃい!」と威勢の良い歓迎の一言。矢継ぎ早に「お一人様で?」。「はい、そうです」。「どうぞこちらへ」とカウンター席を掌で指し示してくれる。座るや否や、熱いおしぼりがさっと目の前にでてくる。おしぼりの心地よい熱さを楽しみながら店内壁掛けのネタ札を見回していると、軽い柏手とともに「なににしましょう?」とやる気満々。

この間の開かない、ともすると急いているとさえ思われるような一挙手一投足が「一分一秒争って競り落とし、持ち帰り、生簀に泳がし、注文が入ればこれまた一分一秒争って捌き、握り・・・」といった仕事のイメージを彷彿させるのです。

そして挨拶の威勢のよさは、ネタの威勢のよさ、そう、活きのよさを物語っていると印象させるのです。

存在と言動によって社会通念上の象徴的期待に応え、人々をその気させる力が「らしさ」です。

sushi-nigiriset

私たちがお寿司屋さんに求める象徴的な期待は「新鮮さ」です。それを表現できる上述のようなお寿司屋さんの挨拶や仕事ぶりは、とても「らしい」のです。

従って私たちはその気になるのです。そもそも「美味い寿司を食わせてくれそうだ」という気になって店を選んでいっているわけですから、益々その気が増幅する、つまり「さぞかし美味い寿司を食わせてくれるんだろうなぁ」と興奮するわけです。

一方で次のようなお寿司屋さんがあったらどうでしょう。

暖簾をくぐる、格子戸を引く。静まり返った店内の様子が目に飛び込んでくる。しかし挨拶はない。人の気配もない。営業しているのか? 心配になってこちらから声をかけてみる。「すいませーん」。反応がない。もう一度「すいませーん。おねがいしまーす」。そしてちょっとした間があって、ようやく店の奥から眠そうな顔をした板前さんがあくびをしながら出てくる。「やってますか?」「・・・あ、はーい」「一人ですけど」「・・・あ、はーい」「どこに座ったらいいですか」「・・・あ、どこでもどーぞ」。そして一度店の奥に引っ込むと、和帽子をかぶりながら前掛けを手にして戻ってきた。慌てるでもなし。もぞもぞと前掛けを締め始めた。

middle-aged man-relax-stiff shoulder-

来客の準備ができていません。「一分一秒争って・・・」の仕入れ、仕込み、提供をモットーとするならば、暖簾が出ていながら準備ができていないということはあり得ません。「お客が来たら対応すればいいや。のんびりしよう」といった体からは、「テキトー」という印象を持ちさえすれ、「新鮮で美味い寿司を提供して喜んでもらおう」という意志は感じ取れません。5日くらい前に仕入れて、3日前くらいに捌いて、テキトーに冷蔵庫内に放置されたネタで寿司が握られそうです。温度管理を徹底した熟成とは全く異次元。腐る一歩手前のネタが出てきそうです。これでは食は進みません。

もちろん会話も「・・・あ、はーい」といった塩梅ですから、すべからかく妙な間が入り、スピード感も清潔感もありません。益々「一分一秒争って・・・」感から遠ざかります。

全くもって「らしく」ありません。

「らしい」と周囲の人々は興に乗り、益々その気になりますが、「らしく」ないと周囲の人々は興覚めし、裏切られたような心持になりがっかりします。

「らしい」寿司屋で興に乗り、「美味い、美味い」と次々に寿司をほおばっていけば、プラスαのオーダーもたくさんするでしょうし、再来店の意欲も高まります。

「らしくない」寿司屋で興覚めすれば、2~3の注文で早々に引き上げ、再来店どころか、その店を頭の中の「二度とこない店リスト」に書き込むことでしょう。

人間は最終的に感情で動く生き物です。「美味しそうだ」という気持ちが高ずれば、それが最大の調味料となり、よほどの落差がない限り実際に美味しく感じてしまうのです。

「イマイチだ」という気持ちが支配的になれば、その逆です。


─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
この記事を最後までお読み頂きありがとうございました。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
2つの「ヨイネ」評価を頂けると励みになり、とても嬉しく存じます。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─


 ブログランキング・にほんブログ村へ   yubitate-sugasan BlogRanking 2

▲ 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています
▲ より多くの皆様にお読み頂くためにご協力をお願います
▲ 2つのイラストボタンを1クリックずつお願いします

イラストボタンについてのご説明とお願い ─ ─ ─ ─ ─
上記それぞれのイラストボタンをクリック頂くと、それぞれのランキングサイトで、当ブログの人気ポイントが1クリック分付与されます。但し、それぞれのランキングサイトでは、1利用者あたり、1日につき1回に限ってポイントが付与されます。当ブログ全体で、1利用者あたり、1日1クリックのみ有効です。当ブログの異なるカテゴリや記事で同日中にイラストボタンをクリック頂いても、1日当たり1クリック分しか有効カウントされません。日をまたいで少しずつご講読頂き、日毎いずれかのカテゴリ、記事から、それぞれのボタンをクリック頂けると嬉しく存じます。それぞれのランキングサイトで人気上位となると、広く一般に、たくさんの皆様に当ブログが露出されます。記事内容に共感、賛同頂ける皆様は、イラストボタンのクリックに、是非ご協力ください。尚、それぞれのイラストボタンをクリックすると、それぞれのランキングサイトのページが別画面で開きますが、ポイントに関しては、その後の手続きは不要です。