27157ea3.JPGカーボンフレームについて、2007年は新規航空機機体のカーボン化に伴う需要の大幅な拡大が、自転車フレームの素材にも大きく影響した。
上空40000フィートを超える高空では、マイナス50度の極低温、紫外線、宇宙線などにさらされ地表面との大きな気圧差が、これに加わる。
当然、カーボンそのものの絶対的な体積も必要だが、表面を覆うカーボンプレプレグの不足からか、各メーカーはユニディレクショナルシート(編んでいないカーボンプレプレグ)を使い、そのまま製品(カーボンの網目のない)としたり、表面を塗装することでしのいできた。
ボーイング787だけでも400機の受注があると言うから、当分この傾向は続くとみられる。

TREK BMCなどの製品では、各部材を金型で成形し接着剤で組み立てる方式を採用しているため、繋ぎ目が見えてしまう個所は塗装を施してきた。
塗装表面にうっすらと繋ぎ目の線が見えるモデルもある。
同じ製法は、従来からフロントフォークで採用されている。
アルミのクラウンにカーボンブレードを差し込んで接着する方法だが、経年変化で差し込み部分に塗装の割れが生じているものも少なくない。
私の98年製TREK 5200でも、左チェーンステーとBBの間に、塗膜のクラックが見える。

カーボンフレームの理想の生産形態は、ハンドレイアップ、オートクレープではなく、繋ぎ目を最小限としたモノコック製法である。
これは、各メーカーの技術者も認めているが、少なくても前三角を一度に作る大きな金型を各サイズごとに沢山製作しなければならないと言う、大きな初期投資が必要と言うデメリットがある。
しかしそれは、メーカーには大きな問題でも、ユーザーサイドから見れば完全に一体化したフレームを手にすると言う大きな意味のある事であるので、製法の違いは見逃せない。
モノコックカーボンフレームの利点は、枚挙にいとまがない。
3DCADで自在にデザインした奇抜なルックスを具現化することも可能になる。
最大の利点は、応力計算にもとずく自由な設計が可能であり、全く無駄のない高剛性なフレームを実現できる事にある。
ダイアモンドフレームが発明され?て以来の夢のような素材と技術。
さらにコンピューターの高速化で可能になった素晴らしい技術も、生産するファクトリーには、過酷な条件が残る。

カーボンモノコックは、その他のフレーム同様仕上げ工程に多くの時間を要する。
鯛焼きの様といつも説明しているモノコックフレームの成型方法。生産は金型を合わせ、内部に加圧して成型するのだが、合わせ目の部分が当然鯛焼きの耳のように出てしまう。
鯛焼きではパリパリと、それを美味しそうに食べるのだが、カーボンフレームファクトリーではこれをすべて取り除かなくてはならない。
しかも、金属並に硬くその切粉は皮膚に付着するだけで炎症を起こす。
フォークコラムを日常的に切る私の手の甲でも年齢以上にガサガサになってしまっている。
カーボンが重なって耳が出来るが、たまに内部の強化樹脂がはみ出ることがある。
これは、充分な強度を得ることが出来ず製品にはならない。
そのロスを減らしたいがため、合わせ目により多くのシートを積層し当初モデルと量産モデルの重量差が生まれて問題になるメーカーも多い。

カーボンファイバー。
網目に3K 12Kなどの表記があるのはご存じか。
3KのKとは1,000倍 すなわち1つの網目にカーボンファイバーを3000本編むのが3Kで、12Kは12,000本だ。
今、表皮にデザインとするためこれらのクロスを積層するが、表皮を編んだファインクロスで覆う事には、大きな意味がある。
耐侯性、対紫外線、毛羽立ちの防止、表面強度を上げることで剛性を上げることも可能だ。
CFRP カーボンコンポジット(複合材)を表す最後のPはプラスチックの略。
以前専門家のお客様より、カーボンファイバーは恒久的でも、硬化樹脂のプラスチック素材が経年変化を起こすとのご指摘があった。
確かに調べて見るとその通りである。
しかし、自転車のフレームレベルの使い方では、その変化はわずかであり、注意すべき点は以前からと同様、紫外線、湿度である。
おそらく、30年後も、現在のモノコックカーボンフレームは、ほとんどその性能を保持し、美しさを保つと思われる。
接着構造のカーボンフレームでは、接合剤のエポキシ系接着剤が温度変化、経年変化し、強度を保つのは難しいと思われる。
カーボンフレームと言っても、特に内側のラグで印籠継ぎで作られているフレームでは、接着されていないカーボンファイバーチューブがわずかの部分しかなく、どのような素材を用いてもラグ材に同強度の物を使う事が出来ないため量産向きではあるが、モノコックには遠く及ばない。

2008年は、現在の傾向がさらに加速することが予想される。
すなわち、より量産に適した生産工程重視のフレームが市場に大量投入されることだ。
それは完成車として出来上がった状態で店舗に並ぶ。

昔、ロードマン、エンペラー時代は、これら完成車は店舗の中に完成車として置かれていた。その上にラーレー、プジョー、ケルビム、ノートンなどのフレームが吊られていて、セミオーダーと言う形態で、お客様のご要望と組み立てる技で完成車となった。
さらに、紙切れ一枚から始まる自転車があった。
それは、オーダー車と言われオーダーシートに名前を書き込むところから始まる。
場合によってはオーダーシートを100円ー500円で購入したのだ。

店の主人とのコラボレーション(当時はこのような言葉がなく)。
体格はもちろんのこと、体の柔軟性、自転車歴から始まり、使い道、今後予想される使い方、積載荷物の有無、夜間走行の頻度で車種が決まり、シートチューブアングル、キャスター、オフセット、リヤーセンター、使うブレーキ、BB、ヘッドパーツと話が進んでオーダーシートに数字と文言が書き込まれていく。

趣味として乗る自転車の本来のスタイル。
それはスペシャルなものだからこそ、高額な費用を必要とするのではないか。
一般的なものにその価値がるのか。
自転車は、文化である。今まで以上にこのキーワードを来年の自転車作りに反映していきたい。
純レース用しかり、ツーリング用しかりだ。
残念ながら、カーボンモノコックは生産工場と素材とデザインを選ぶしかないが、
スチールフレームなら、まだまだ現役で頑張っていらっしゃる作り手がいる。
フレーム職人の技も、ぜひ今のうちに手に入れていただきたい。


車輪、フレーム、ハンドルバー、サドル、シートポスト。
スペシャルなものを提供するために出来もしない英語を使って、今日まで海外と取引をしている。
来年も3月のTaipeiショーに向け、各生産メーカー(販売だけのメーカー?ではなく)が
新製品を準備しているこの時期に、数社からデザイン、アイディア要請が届いた。
さらに軽く、さらに高性能で安全な製品を準備できるよう、コーヒーランドでアイディアを練る。

本年も多くのご注文をいただきまして、ありがとうございました。
来年の展開にも、どうぞご期待下さい。