2016年12月02日

新刊のお知らせ

自分でもビックリの早さです。
トランプは極めて危険な政治家であり、日本経済にも、世界経済にも壊滅的なダメージを与える可能性があります。そんなトランプ政権のリスクを緊急出版します。
トランプ勝利宣言の2日後から書き始めた、最新情報です。

発売日は、12月22日です。
とりあえず、告知します。

表紙



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トランプ | 米国経済

2016年11月09日

※この記事は「有料メルマガまぐまぐ」で配信、及び「MONEY VOICE」に配信された記事です。


今世紀最大の「ブラックスワン」?

 トランプ米大統領が現実味を帯びてきた。
 万一、トランプ大統領が誕生すれば、世界は途方もない混迷の時代を迎えることになる。米国のみならず世界中の株式市場は暴落するだろうし、為替市場でも米ドルが売られて、円高になることが予想される。
とりわけ、トランプが“公約”に掲げて来た在日米軍や在韓米軍、欧州の軍隊などは、そっくり撤退する可能性だってある。フィリピンのドゥテルテ大統領のように、中国と接近するシナリオもあるだろう。トランプ大統領の政策ポリシーは、米国の繁栄を最優先するものであり、これまでの米国のスタンスを象徴してきた「世界の警察」や「民主主義を世界に浸透させる新保守主義(ネオコン)」といった新自由主義路線とは、大きく方向転換することになる。
 言い換えれば、これまでのような「ウォールストリート」が支配してきた価値観は大きく転換をする可能性がある。大きく拡大した「格差社会」が是正される可能性があるかもしれないが、その一方でいびつな経済になりかねない。
 とりわけ、問題なのはその政治的手法だ。ポピュリズム(大衆迎合主義)やファシズムを連想させる手法であり、移民や国防の問題では大きな転換があるかもしれない。最悪のシナリオでは、日本や韓国、欧州といった米軍が駐留している地域では、米軍が撤退して独自の防衛ラインを築く必要が出て来る。
 トランプ氏は、共和党の候補だからネオコンやウォールストリートの嫌がる政策はしないだろう、と思うのは早計だ。ポピュリズムによって誕生した政権は、独自路線を歩み、これまでとは異なる政策を打ち出してくることが多い。ありえないことが起こることを金融市場では「ブラックスワン」というが、トランプ大統領の誕生はひょっとしたら、今世紀最大のブラックスワンになる可能性がある。

怖いのは地政学リスクよりも意図的な「ドル安」?

 トランプは、日本や韓国と締結している「安全保障」の再交渉もしくは破棄を訴えている。日本に駐留する約5万人の在日米軍、及び2万8000人の韓国米軍を引き上げるようなことになれば、日韓共に現在「半額」負担している米軍駐留費を全額自己負担する必要になる。日本は20億ドル(2100億円)、韓国は9億ドルの負担だが、単純に2倍にすればいいというものでもない。当然、米軍は武器は持って帰るだろうし、現在の米軍のレベルの武器装備や人員を揃えるには相当の時間とコストがかかる。
 安倍政権がやっているような「中国敵対政策」では、すぐに限界が見えるはずだ。日本が中国と単独で戦争しても、勝てる可能性は太平洋戦争よりも低いかもしれない。そもそも資源をほとんど持たない日本にとって、戦争という選択肢はありえない。
 トランプ氏の最大の目的は「お金儲け」だから、米国が攻撃されるようなリスクは犯さないはずだ。トランプ大統領による地政学リスクはむしろ少ないとみるべきだろう。
 むしろ、これまでの市場原理を重視するという姿勢から転換する可能性のほうが高い。共和党が重視する「小さな政府」もどうなるのか不透明だ。共和党の重鎮は、今回揃ってトランプ支持を避けた。そういう意味では、共和党政権のスタンスを守る必要もなく、たとえば米国の不動産市場を活性化させるためなら、意図的に景気を良くする政策を平気で取りそうだ。
 FRBが進めている利上げは、不動産市場にはマイナス要因になる。安倍首相がやったように中央銀行に様々な圧力をかけて、意図的にバブルを作ってしまう可能性もある。
 FRBが利上げをすると、当然米ドルが買われる。ドル高になれば、米国の景気は成長率がかげり、不動産価格も下落する。経済運営に素人同然のトランプ大統領なら、プラザ合意のような形でG7(7カ国首脳会議)を招集して、強制的なドル安を演出してしまうかもしれない。

「ドル安、資源高」の時代が再び?

 問題は日本への影響だが、一時的に株は下がるかもしれないが、中央銀行である日銀やGPIFなどの公的資金「クジラ」がいる限り、そう大きくは下がらないかもしれない。ただし怖いのはやはり「ドル安円高」だ。しかも、米国大統領の任期は4年ある。4年の間、日本経済は再び円高リスクにさらされ続けることになり、デフレが続く可能性もある。
 こんな状況で、個人投資家は自分の資産をどう守ればいいのか。そもそも、どの程度のボラティリティ(変動幅)を覚悟すればいいのかだが、“クリントン大統領”と異なり、トランプ大統領では金融マーケットにも、どんどん介入してくる可能性がある。それぞれの分野での対応方法を考えてみよう・・・。

※この続きは有料メルマガ「まぐまぐ!」で・・・
http://www.mag2.com/m/0001673215.html
※MONEY VOICE
http://www.mag2.com/p/money/25943




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トランプリスク | ドル安円高

2016年10月15日

DSC02333メガバンクが発行強化する「永久劣後債」

ちょっとややこしい話になるが、最近になって日本のメガバンクによる「永久劣後債」の購入が目立っている。永久劣後債というのは、債券と株式の両方の特性を持つハイブリッド債の一種だが、国内機関投資家が競って投資している利回りの高い債券だ。「AT1債」とも言われる。AT1債の中には、「CoCo債」も含まれている。日本では「偶発性転換社債」とも言われる。

厳密に言うと、「銀行セクターが発行する永久劣後債」と「CoCo債」とは、リスクの度合いが異なるのだが、どちらも高利回りのハイイールド債に匹敵する高い金利を付けている。たとえば、日興アセットマネジメントが調査した2015年2月末時点の永久劣後債の金利は4.0%(格付けはBBB)、CoCo債は6.4%(格付けはBB+)となっている。

http://www.nikkoam.com/fund-academy/rakuyomi/vol-940

周知のように、現在は日本銀行がアベノミクスの一環として「マイナス金利」を導入しており、投資すべき金融商品が見当たらないのが現実だ。そんな状況の中で、メガバンクや生命保険会社が、注目したのが「永久劣後債」というわけだ。

メガバンクだけを見ても、みずほフィナンシャルグループ(FG)は総額4600億円を発行し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MFUG)も、1500億円の永久劣後債発行を「公募」で発行することを決めている。永久劣後債は、現在新規に発行される債券の中では、数少ない年1%以上の利回りが期待できる債券で、マイナス金利導入で国債の利回りもマイナス圏内にありがちな市場環境の中では、人気の高い投資商品と言える。

実際、MFUGの永久劣後債は、一般の企業や学校法人といった機関投資家以外でも投資ができる公募スタイルで、金利も2%半ばの水準になる予定だ。メガバンクでは初めてとなる。しかも、今後も1000億円程度の起債を計画していると報道されている。

メガバンクが発行する永久劣後債は、2020年に始まる新金融規制「バーゼル3」で自己資本に算入できるため、自己資本比率を高めたい銀行にとっても、ROE(自己資本利益率)を下げずに、資本を増やせる便利な債券だ。

ちなみに、欧州の銀行ではドイツ銀行やUBS(写真はUBS香港)などが、AT1債の発行実績を持っている。UBSグループが、今年になって発行したAT1債の利回りは、6.875%という高いものだった。

ドイツ銀行危機のきっかけをつくった「CoCo債」?

ところで、こうした永久劣後債やAT1債は「債券だが株式でもある」という特徴を持っており、銀行の財政状況を示す「自己資本比率」が、5.125%を下回ると、株式に転換される仕組みになっている。株式と債券の両方の機能を持つハイブリッド証券は、リーマンショックやその後の経済危機に際しては、発行元も、そして保有していた投資家も大きな損失を出し、政府が金融機関を援助することになってしまった。

そうした点を反省して設定されたのが永久劣後債(金融セクター)やCoCo債で、金融危機などに際しては強制的に株式に転換することで、発行元のリスクを抑えた商品になっている。

株式に転換されるリスクがあるために、通常の債券に比べて2%程度、金利が高く設定される。生命保険会社や証券会社などの高い需要に支えられて、日本でもメガバンクが中心になって活発な起債が行われているわけだ。マイナス金利の深堀り=さらなる金利引き下げなどが噂される中で、日本では永久劣後債の発行が、今後は本格化する可能性を示している。実際に、みずほFGの永久劣後債の金利は下落を続けている。

その一方で、欧州のCoCo債は金利がずるずると上昇しつつある。金利の上昇=債券価格が下落しているわけだが、その背景にあるのが「ドイツ銀行」の信用不安だ。米国での不正取引に絡んで巨額の和解金を請求されたドイツ銀行のCoCo債が中心になって、金利が上昇しつつある。

国債暴落のシグナルは、国債を上回る債券の起債?

もともと欧州の銀行の劣後債市場は、今年(2016年)1月半ばに急落していたのだが、それをECB(欧州中央委員会)が金利を支払って銀行に借り入れを促したり、欧州委員会がAT1債の投資家に特別な保証を付けて、相場を鎮静化させた経緯がある。そうした中で、ドイツ銀行は米国でのCoCo債の販売に対して問題を起こしたと見て良い。

日本に目を戻すと、遅くなったとはいえみずほFGやMFUGが永久劣後債の発行に着手し、それを一般の企業も含めて買っているということは、新たなリスクが芽生え始めていることを示す。まだまだ、金額的には小さいが、瞬間的に自己資本比率を大きく落とすような突発的な金融危機があった時には、永久劣後債を購入した投資家が大きな損失を出す可能性がある。

今後、日本のマイナス金利がさらに深堀りされて行けば、こうしたハイブリッド証券はいま以上に増えていくことになるはずだ。いまや日本の銀行は、4割が本業で赤字を出しており、その比率が6割になるのも近いといわれる。マイナス金利が、銀行経営を圧迫しているのは間違いなく、好むと好まざるとにかかわらず永久劣後債やCoCo債の発行に迫られる。

ドイツ銀行の信用不安はけして対岸の火事ではないことに気づくべきだ。

ちなみに、国債=ソブリン債が破綻する、要するに国家が破綻する前兆のひとつに、「国債の金利を上回る社債が登場したとき」というのがある。長期国債も含めてマイナス金利に陥っている今、国家破綻の条件はそろいつつある。

※「新刊」出ました














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マイナス金利 | 永久劣後債

2016年09月09日

日銀外観02-B日銀が9月20−21日に開催される金融政策決定会合で「総括的検証」を行うそうだ。その結果が何を示唆するのかはわからないのだが、日銀の金融政策の未来はある程度見えている。詳細は、下記サイトの私の配信記事を見ていただきたいのだが、結論からいえば、今後も続けるであろう日銀の金融緩和政策には限界が近づいているということだ。

<日銀、量的緩和の未来は「テーパリング」か「ヘリマネ」か?>(ヤフー!個人ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160901-00061542/

簡単に、ポイントだけ紹介しておくと次のようになる。

(1)日銀の金融緩和政策は無制限、無期限には続けられないこと(限界がある)。
(2)日銀の金融政策は今後、さらに拡大される可能性が高いが、いずれは限界が来ること。
(3)日銀の金融政策の限界点は、実質的に「緩和縮小(テーパリング)」を迫られると考えるのが自然。
(4)否応なくテーパリングを迫られたときに、その道を選択せずに「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」に転ずる可能性がある。


つまり日銀の経済政策は、いずれテーパリングかヘリマネかの選択を迫られる、ということだ。

個人的には、安倍政権がいつまで継続するのかにかかっていると思っている。国民が選ぶことであり、6割を超える支持率をキープしている安倍政権の現状を考えれば、テーパリングを迫られる事態になっても、アベノミクスが続いていれば「ヘリマネ」政策に移行すると考えている。ヘリマネについては、前に配信した記事とは別に、またきちんとしたレポートをしたいと思っている。

<まだ間に合う?「ヘリマネ」から資産を守る海外口座開設法>(ヤフー!個人ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160727-00060265/

問題は、ヘリマネ政策に対する防御策だが、正直言って、海外の銀行などに資産を移すとか、預金などをインカムゲインが期待できる資産にシフトしておくぐらいしか方法はない。
現在、日本の株式市場は世界中に蔓延する「ブラックスワン的リスク」があるにもかかわらず、根拠のない自信に満ちている。

日銀の追加金融緩和やETF、REIT買い入れを材料に、明るい未来を描こうとしている。もう少し冷静になるべきだろう。

<日本株式市場を震撼させる「世界のブラックスワン」5つのリスク>(Money Voice)
http://www.mag2.com/p/money/21756

※「新刊」出ました












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アベノミクス | インフレ

2016年08月26日

日本の株式市場、円相場共に迷走している。ジャクソンホール待ち、夏休みでプレーヤー不在、といった説明がなされているが、外国人投資家不在が最も大きな原因と言って良いかもしれない。

そもそも現在の日本の株式市場の構図は、「クジラ」に依存する官製相場そのものと言って良い。ここ数日の相場も、日銀が前回の金融政策決定会合で発表したETFの買い入れ額増加ぐらいしかテーマがなく、マーケットには閉塞感が漂う。

クジラというのは、いわゆる公的マネーのことだが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済、私学共済、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして日本銀行の7機関の資金が株式市場を上げるためにつぎ込まれている。

言い換えれば、これらのクジラが買ってくれるために、日本市場から逃げ出そうと考えていた外国人投資家は喜んで売って逃げ出している、という構図だ。

これでは、個人投資家も買いづらい。

そもそも安倍政権は、総選挙で盛んに「アベノミクスを吹かす」と言っていた。第3の矢である「構造改革」を飛ばすことをにおわせて総選挙に勝利したわけだが、案の定、あれから何も出て来ない。

※追加情報
8月29日の日経新聞電子版によると、GPIFと日銀を合わせた公的マネーが、東証1部上場企業の4社に1社で、実質的な筆頭株主になっているという試算をレポートしている。東証1部全体で株式保有比率は7%に相当する。国営企業が多い欧州でも、6%未満が現実。日本の株式市場はいまや限りなく「官製相場」と化している。



ガラパゴス化する日本の金融市場

株式市場だけに限ったことではない。現在の日本の金融市場は「ガラパゴス化」しているのではないか。私は、ずっとそんな認識を持ち続けてきた。日本特有のルールが、日本の金融市場には深く根付いている。最近書いたメルマガでも、私はこんな指摘をしている。

海外の金融市場では、マイナス金利が導入されようが、ブレグジットのような「ブラックスワン(想定外の出来事)」が起ころうが、ある程度のパフォーマンスを上げている金融商品は数多くある。

ところが、日本の金融商品の大半は悲惨な結果を招いている。投資信託の運用益などを調べてみると、過去1年でプラスになっているのは5000銘柄中900銘柄程度しかない。老後資金を自分の力で運用しようとしても、数多くの投資家が悲惨な目にあっている、と考えるほうが自然だ。

そもそも日本の投資環境は、なぜかくも最悪なのか。その原因が分からなければ、日本の投資家はいずれ海外に逃げて行ってしまう可能性が高い。

以前から指摘してきたことだが、日本の金融マーケットは年々「ガラパゴス化」しつつある。かつて東京は、ニューヨーク、ロンドンと並んで「世界3大国際金融センター」と言われたが、2013年の順位では、香港、シンガポール、チューリッヒに抜かれて第6位(国際金融センターランキング、金融庁金融研究センター「ディスカッションペーパー」、2015年2月)になっている。
 
日本は、国別・地域別ミリオネアの人数ランキングでは、米国(1970万人、2019年の予想人数)に次いで、474万人(同)と世界第2位なのに、国際金融センター度は年々下がる一方なのだ。

では、なぜ日本の金融マーケットはガラパゴス化しつつあるのか。最大の理由は、日本の金融当局や金融機関の時代遅れな発想がある。いつまでたっても規制緩和をせずに、日本独自のルールにこだわるために、日本の投資家は資産運用どころか、資産を守ることもできない。金融当局が緩和を進めようとしても、金融機関が抵抗勢力となって阻止する。それが現実だ。

※有料メルマガ「まぐまぐ!」より
http://www.mag2.com/m/0001673215.html
香港俯瞰図02

※アジア最大の金融国際センター「香港」は今も進化を続けている。

巨大なローカルマーケットでいいのか?

現在の日本市場が世界的に重宝されているのは、その豊富な流動性にある。為替市場にせよ、債券市場にせよ、湯水のように「円(マネー)」が湧き出てくる。その流動性がおかしくなった時、日本は世界から見捨てられる可能性がある。

言い換えれば、いまのうちに金融マーケットの改革に手を付けなければ、日本のマーケットは現在のような巨大なローカルマーケットで終わってしまいかねない。

もっとも、日本の金融市場で働く数多くの人々は、「日本は巨大なローカルマーケットでいい、なにもグローバル化だけが生き残れる道ではない」という感覚があるのかもしれない。世界三大金融センターの英国がブレグジットを決めたように、グローバル化にはリスクもある。

流動性ぐらいしか売り物がない日本の金融マーケットが、これからどう生き残っていくのか。そのプランはあるのだろうか……。


※「新刊」出ました






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ETF | 金融危機

2016年07月11日

EU離脱で崩壊する「シティ」の存在感
不安視されるユーロ決済と中国人民元政策?


EU離脱を決めた英国は無論のこと、離脱されるEU、そして日本も含めた世界中がいまなお、浮き足立っている。離脱の通告から2年間という「猶予」はあるものの、そのショックはやはり隠せない状況だ。

特に、いま改めて注目されているのが英国経済の原動力となってきた「金融」の動向だ。英国の調査会社「Z/Yenグループ」の2015年の調査によると、ビジネスチャンスの多さや豊富な人材、規制緩和の状況と言った「国際金融センターの総合力」という点で、第1がロンドン、第2位ニューヨーク、そして第3位が香港となっている。

この3地域を合わせて「世界三大国際金融センター」と呼ぶのだが、今回のEU離脱によってロンドンの地位が崩壊してしまうかもしれない。

かつて国際金融センターと言えば、ロンドン、ニューヨークそして東京だったが、東京は規制緩和が遅れて、2015年のランキングでは第5位になっている。いつの間にか香港に抜かれてしまっているわけだが、今後は英国のEU離脱によってロンドンの金融機関に対して、様々な規制が出て来ることは間違いないだろう。

英国の金融機関がEUのフロント機能を失った場合、銀行の大半はロンドンからフランクフルトやブリュッセルなどに拠点を移して行く可能性がありそうだ。

現実問題として、英国には「HSBC」をはじめとして「Lioyds Banking Group」や「RBS(Royal Bank of Scotland Group)」「Barclays」「Standard Chartered」と言った本社を英国に置いている銀行がある。こうした銀行が英国を離れていく可能性は低い。

しかし、英国以外に本社を置いているインターナショナルな銀行は、将来的には英国のEU離脱で欧州の拠点を移動せざるを得なくなるかもしれない。たとえば、米国のシティグループは欧州地域の拠点としてロンドンに約1万人の従業員を擁している。すでに、シティグループのCEOが、わざわざ従業員に「離脱が完了するまでは業務に変更はない」というメールを送ったと報道されているが、そういうメールを送らざるを得ないところに、英国金融セクターのダメージの大きさが分かる。

たとえば、株式市場ではロンドンの株式時価総額は346兆円(2016年5月末現在、以下同)。日本の529兆円より少ない状況だが、香港(330兆円)を上回る世界第3位の時価総額を持っている。

もっとも、ロンドンの強みは「株式」よりも「為替」だ。外国為替取引では世界シェアの4割を英国が占めている。
特に、不安視されるのが、ロンドン中心に行われている「ユーロ取引の決済」が、いずれはEU内のどこかの市場に移る可能性があることだ。さらに、中国は人民元国際化の先陣としてロンドンを選択した。中国の人民元政策にも大きな軌道修正を迫られそうだ。英国の経済成長力の原動力が崩壊する可能性があるわけだ。

そもそも英国はイギリス領ジャージー諸島、ケイマン諸島、バミューダ諸島と言った「タックスヘイブン」を持っている。いわゆるオフショアバンクなどが数多く籍を置いており、そういう意味でも英国及び英国領がいまなお「世界の資産運用の中心地」であることに間違いはない。現在の金融の様々な仕組みやシステムを作ったのは英国だが、今後、英国の景気が落ち込めば、こうしたタックスヘイブンにも課税強化の動きが出てくるかもしれない。

パナマ文書の問題もあり、様々な規制が課せられる可能性が高い。要するに、英国自身が作った世界のレジームが、EU離脱をきっかけにガラガラと崩壊してしまうかもしれないということだ。
為替以外でも、たとえばデリバティブ(金融派生商品)の取引などは、フランスのパリが最近は伸びてきており、ひょっとしたら今後はロンドンのライバルとしてパリが大きな存在になっていくかもしれない。

※この続きは、有料メルマガ「まぐまぐ!」で
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


※「新刊」出ました














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EU離脱 | 英国

2016年06月25日

英国のEU離脱について、Yahoo!ニュースに投稿しました。

<Yahoo!ニュース>
「離脱」決めた英国を襲う、信じがたい苦悩と困難   
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160625-00059222/



<有料メルマガ配信中>
●消費増税2年半の再延期がもたらす取り返しのつかない4つのリスク?(magmag)
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


※「新刊」出ました









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EU離脱 | タックスヘイブン

2016年06月14日

95ed841d.jpg6月23日に実施される「英国のEU離脱(ブレグジット)」を問う国民投票が、注目の的になっている。ブレグジットがもし現実のものになれば、英国ポンドやユーロが大きく売られ、英国の株式やEU諸国の株式も売られる。そして、何よりも心配なのが、EUの求心力が大きく傷つき、EU離脱にトライする国が後を絶たなくなる恐れがあることだ。

実際に、英国がEUから離脱した場合、英国経済の影響度はGDP成長率で最終的にはマイナス6.0%(英財務相)、為替レートでは最大マイナス15%(同)と見られている。失業率も、現在のレベルから最大2%(同)以上上昇し、住宅価格もマイナス18%(同)と予想されている。

一方のEUも大きなリスクを背負うことになる。世界三大金融センターである英国のロンドン市場を優先的に使用できなくなるために、資金調達や資金の流動性に困ることになる。ユーロ暴落、株価暴落になった時に、流動性の高い資金をどこから調達してくるかが、今後の課題になるわけだ。

そのブレグジットが、現実味を帯びる世論調査が出てきたことで、6月13日の株価は大きく下落した。今後も、国民投票の結果次第では大きなボラティリティ(変動幅)が予想されるのだが、実はEU離脱より怖い大きなリスクが待ち構えている。日本銀行による「さらなる金融緩和」「マイナス金利拡大」と言った、アベノミクス路線の強化だ。

安倍首相は、サミット後の記者会見で「アベノミクスを吹かす必要がある」と発言したが、アベノミクスのエンジンは当初から、今も昔も日銀による量的緩和政策しかない。量的緩和を吹かすしか方法はないのだだ。規制緩和や構造改革を実施するための、既存の抵抗勢力を打ち破る原動力は安倍政権にはない、と見て良いだろう。

言い換えれば、参院選が近づいていることを考えれば、この6月の日銀の「金融政策決定会合」で何らかの量的金融緩和が実施される可能性が高い、ということだ。場合によっては、実質的な「ヘリコプターマネー」や「ベーシックインカム」といった異次元、非伝統的な金融政策が実施されるかもしれない。ヘリコプターマネーやベーシックインカムについては、下記の私が書いた記事などを読んでいただければいいが、いま現在進んでいるリスクは大きく分けて次の3つあるということだ。

1.英国のEU離脱
2.日銀による追加の量的緩和(ヘリコプターマネー、ベーシックインカムなど)
3.日本国債の格下げ

●「黒田バズーカ―砲、次の一手は『禁断』のあの手か(Yahoo!ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160521-00057816/

●安倍“改憲”政権の消費増税先送りが日本にもたらす「4つの悲劇」(MONEY VOICE)
http://www.mag2.com/p/money/14945?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_tue&utm_campaign=mag_9999_0614

●消費増税2年半の再延期がもたらす取り返しのつかない4つのリスク?(magmag)
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


第3の日本国債格下げは、消費税再延期を発表したことで、時間の問題と思われている。想定を超える格下げがあれば、日本国債の金利上昇、円安、株安などがあるかもしれない。いずれにしても、今後、数週間は緊張感を持ってマーケットを見る必要がある。



※「新刊」出ました












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安倍政権 | 日本国債

2016年05月14日

個人投資家の海外資産には厳しい課税の仕組み

5月10日に発表されたパナマ文書の明細は、いまだはっきりしたことは分かっていない。すでに発表されている大企業のセレブ関連以外には、今のところカタカナ表記と住所程度にとどまっている。とはいえ、いずれは著名な富裕層の個人名も含めて表に出て来るはずだ。

そもそもパナマ文書の何が問題なのか……。パナマのようなタックスヘイブンに会社を設立して、その法人を隠れ蓑にして、日本など法人税の高い地域で上げた利益をタックスヘイブンの会社に移す。いわゆる「企業収益の隠蔽」を目的とした節税は何が問題なのか……。

ここでポイントになるのは、「パナマに法人を設立して、その法人に資産を蓄積して節税する」という点だ。法人の節税はこれで終了なのだが、日本の税制ではパナマの法人の役割が問題になる。単なる節税目的だけのペーパーカンパニーと認定されれば、節税目的とされて日本の税務当局に課税されてしまうことになる。少なくとも、従業員をきちんとおいて、実務実績のある法人でないとだめなのだ。

一方、個人投資家がパナマにある銀行などに口座を開設するだけでは節税にならない。まずはパナマに法人を設立して、パナマ以外のオフショアバンクに口座を開設。利息などをパナマにあるペーパーカンパニーに移すことで、法人同様に節税ができる環境ができる。パナマ以外の場所で上げた利益には課税されないのがパナマの税制だ。

ただし、ここまでやるのはまさに大富豪であり、これだけのことをする日本の大富豪はそうはいないはずだ。パナマに設立した法人=持ち株会社の持ち分比率によっては、個人もタックスヘイブン対策税制の対象となり課税されるし、個人であっても、法人扱いとなる仕組みになっている。

そもそも、現在では少なくとも日本の居住者、もしくは生活の拠点が日本にある個人の場合、世界中のどこであろうと、預金や投資、事業を通して得た利益は、日本の税務当局に申告しなければならないことになっている。パナマと違い、日本は日本以外で上げた利益に対しても課税される国だからだ。

加えて、2014年以降は5000万円を超える海外財産を保有している人は、「国外財産調書」の提出が義務付けられている。国外財産調書というのは、動産、不動産、預貯金、保険金、貸付金、株式、公社債、投資信託などすべての財産を示しており、これらの額が5000万円を超す人は調書をまとめて税務当局に提出する義務がある。

国外財産調書の提出には罰則規定まであり、正当な理由なく期限(翌年の3月15日)までに提出しなければ、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることになっている。

ちなみに、2015年7月には「国外転出時課税制度」、いわゆる「出国税」が導入されて、1億円以上の有価証券を持つ資産家が海外に移住する際には、株式の含み益などにも所得税が課税されることになっている。つまり、日本の個人投資家は海外のタックスヘイブンにペーパーカンパニーなどを作って資産を保管しても、5000万円を超す資産があれば申告する義務があるということだ。

言い換えれば、パナマ文書に描かれているような行為というのは、企業にとっては「合法」でも、個人の場合は「日本の税務当局に申告しなければ違法になる」ケースがあるということだ。問題は、それがきちんと申告されているかどうかであって、そういう意味では、パナマ文書に最も高い関心を示しているのは税務当局と言って過言ではないかもしれない。

現実問題として、日本には個人富裕層は数多い。「年齢階級別 実物資産・貯蓄現在高の比較(二人以上の世帯)」という総務省統計局の「全国消費実態調査」によれば、60歳から69歳の世帯では総資産額5188万円(2009年、負債は263万円)、同じく70歳以上で5151万円(同127万円)となっている。そのうちの貯蓄額は60~69歳で2048万円、70歳以上で1987万円となっている。

これはあくまでも平均だから、日本には数千万円の預貯金額を持っている富裕層は数多く存在する。そんな日本の富裕層がいつまでもマイナス金利の日本で資産運用出来るはずもない。老後破綻を防ぐ意味でも、もっとまともな資産運用ができる海外で自分の資産を防衛しようとする人は今後増えて行くはずだ。

パナマ文書が示す「課税逃れ」「資産隠し」と、日本の個人投資家の海外口座による「資産防衛のための運用」とは、別物として考える必要がある。


※「メルマガ」創刊しました

アベノミクスの失敗が明らかになってきた今、アベノミクスの「出口戦略」に関わる影響について検証し、その事態を想定する必要があります。最悪、財政破綻すら招きかねないアベノミクス失敗への対応方法について考え、どうすれば自分の資産を守れるのか。公的年金の基金を運用するGPIFすら巻き込んだアベノミクスとは何だったのか。メルマガによって、その詳細を考えていきます。

岩崎博充の「財政破綻時代の資産防衛法」
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タックスヘイブン | 雑感

2016年04月21日

「パナマ文書」のポイントは課税逃れと資産隠し?

「パナマ文書」が話題になっている。パナマ文書そのものについての説明は避けるが、パナマ文書が「タックスヘイブン(租税回避地)」の利用の実態を暴いたものとして注目されており、企業や富裕層の「資産隠し」や「課税逃れ」が話題になっている。

久しぶりにジャーナリストがその責務を果たす大きな役割を演じている、という印象だが、パナマ文書を単純に課税逃れ、財産隠しを暴いた「スキャンダル」として捉えてしまうのは惜しい気がしてならない。昔から「パナマ」はタックスヘイブンとして知られているが、その地を利用するのは企業が圧倒的に多かった。

国際的な活動をしている企業が、パナマに持ち株会社などを設立して、その会社に「配当」などの形で利益を集積しつつ、拠点となる国での税負担を軽減させる方法だ。パナマの税制は「領土主義」と呼ばれるもので、収入を生む活動がパナマで行われた場合のみ課税される仕組みになっている。パナマ以外で上げた収益の法人税率は、ゼロというわけだ。

現在の世界経済は、日本をはじめとして企業に高い法人税を課税する国家と、パナマのようなタックスヘイブンと呼ばれる法人税の安い、もしくは徴収しない国に分かれている。下の2014年のデータを見ても分かるように、日本は屈指の高い法人税率を徴収する国として知られている。

http://www.kpmg.com/jp/ja/knowledge/pages/tax-survey-2014.aspx

サウジアラビア、米国に次ぐ世界第3位の高い法人税を課税する国だが、上位2か国には間接税がないため、実質的には日本が法人に対して最も高い税率を課していると言っても過言ではないかもしれない。安倍政権が進めようとしている「法人税率を20%台に引き下げる」という動きも分からないでもないが、法人税率だけの問題でないことは事実だ。

実際、日本の法人税には実は様々な抜け道がある。実際に、企業が納税している税金の額、いわゆる「実行税負担率」は日本企業、特に大手企業になればなるほど低いと言われる。資本金100億円超の大手企業の場合の平均的な法人税合計税額は、平均で17.20%(外国税額含む)にしかならないそうだ。

これが資本金1億円超5億円以下の企業になると、37.92%も負担している。グローバルな活動をしている大企業になればなるほど、税金を納めていないことになるわけだ。その大企業の租税回避の舞台となっているのが「タックスヘイブン」であり、パナマ文書に記載されている「モサック・フォンカセ」のような法律事務所だ。

http://president.jp/articles/-/16378

すでに、様々なメディアでも報道されているようにタックスヘイブンに子会社を設立して、本国の高い税率を回避しようとする行為は「違法」ではない。日本の大企業も含めて、グローバル企業の大半がしていることでもある。問題があるとすれば、こうしたタックスヘイブンの国、地域をそのまま放置して、見過ごして来た「政治」といったほう良いのかもしれない。英国も、法人税率を引き下げようとしているが、旧英国領が多いタックスヘイブンの問題を放置しているのも、英国政府にも様々な恩恵があるためと言われている。

もっとも、課税を逃れるという意味では、倫理的な面で問題がある。日本を拠点にして成長してきた企業が、パナマなどのタックスヘイブンに持ち株会社などを設立して、租税回避を図っているのはフェアとは言えない。とりわけ、1000兆円もの財政赤字で苦しむ日本政府を尻目に、自社の内部留保を増やしていく姿は、国民感情としては憤りを感じる。

パナマに持ち株会社を設立するコストは軽微なもので、グローバルなフィールドで事業を展開している企業であれば、当然の事業活動ともいえるが、そうした課税の仕組みこそが問題と言ってもいい。−−続く−−

※新刊が出ました。







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