2017年11月28日

内閣府が、27日に公表した「需給ギャップ」が、2017年7−9月期で0.5%のプラスとなった。4−6月期の0.4%から、わずかだが拡大したことになる。需給ギャップというのは、需要が供給を上回るとプラスになるデータで、年換算した金額ベースでは3兆円弱になるそうだ。

つまり、日本経済は全体的に見ると、3兆円ほど需要が供給を上回っていることになる。これで3四半期連続でプラスになったわけだが、消費税が5%から8%に引き上げられた14年1ー3月期の1.1%以来の大きなプラスになった。

こうした背景には、7−9月期の実質GDPが前期比1.4%増えたことが原因しているわけだが、天候不順などで個人消費は伸びなかったものの、設備投資が堅調だったようだ。このまま需給ギャップのプラスが続いていけば、日本は長い間苦しんできたデフレから脱却することができるかもしれない。

需要が供給を上回れば、当然のことながらモノの価格は上昇していく。長い間、日本人が経験して来なかった感覚だ。消費税が上がるようなことでもなければ、駆け込み需要など起こらないから、我先に物を買う時代からは遠く離れている。

ただ、日本は長い間デフレだったために、現在も中央銀行に当たる日本銀行は「異次元の量的緩和」というものを続けて来た。とりわけ、アベノミクスが始まってからは、まさにヘリコプターからお金をばらまくような金融緩和を続けて来た。

昔よく使った表現だが、日本が長年続けて来た金融緩和策は、「ガソリンをたっぷり含ませた新聞紙の上によく乾いた焚き木を載せた状態を作っているようなもの」と言われた。いったん、(インフレの)火がついてしまったら、もはや鎮火のしようがない。

つまり、需要超過とはデフレ脱却を意味し、さらに「止めようがない激しいインフレ」の入り口でもあることも意味する。

そもそも現在の世界経済は、技術革新や企業による価格抑制の努力などによって、デフレのように見えるものの、デフレがデフレを呼ぶ「デフレ・スパイラル」の状態にはなっていない。にもかかわらず、世界中の中央銀行が異次元の金融緩和を繰り返して、大量のお金が市中にばらまかれてきた。

さすがに、米国や英国、カナダは金融引き締め策に転じて、金利を引き上げ始めたが、日本は今後も続けるそうだ。もし、焚火の下に敷いたガソリンに引火したら、いったいどうなるのか。我々は興味深く、緊張感をもって、現在の状況を見守る必要がある。

ちなみにデフレについては、「Yahoo!ニュース個人(下記URL参照)」を読んでいただければ幸いだ。

<Yahoo!ニュース個人>
いまは、本当に「デフレ」なのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/iwasakihiromitsu/20171128-00078141/


<東洋経済オンライン>
岩崎博充の経済ニュースの新基準          http://toyokeizai.net/list/author/%E5%B2%A9%E5%B4%8E%20%E5%8D%9A%E5%85%85


lightroom0430 at 15:46 
安倍政権 | 日本経済

2017年09月29日

かつて、日本は「経済は一流、政治は三流」と言われてきたが、小池新党の誕生で、どうやら日本の政治は「保守」の二大政党時代を迎えることになりそうだ。

周知のように、日本では「リベラル」政党がほとんど育っていない。かつて、唯一自民党以外が政権を取った「民主党」も、半分以上は「保守」だった。そういう意味では、純粋なリベラル政権は、少なくとも戦後の混乱期を除けば皆無と言って良い。

米国は、共和党という「保守」と、民主党という「リベラル」が、8年ごとに政権を後退することで、政治の腐敗を防ぎ、利権にれんれんとする勢力を一掃してきた。英国も、保守党と労働党という保守とリベラルが、交互に政権を取って、政治の近代化を促進させ、経済を活性化させてきた。ドイツやフランス、イタリア、カナダ、オーストラリアといった先進国の大半は、そうした政権交代を繰り返しながら、政治の腐敗を防いできた。

警察や検察、司法も含めた行政が、ときの総理大臣に忖度して行政を歪めてしまう日本の現状は、まさに国民にとっては悪夢でしかない。しかも、大手のマスメディアまでもが政府の顔色次第でころころ変わる。こうした政治やメディアの腐敗は、これまで政権に対して正面から異議を唱える政党が成熟して来なかったからだ。

民主党や民進党は、リベラルの振りをした保守であったし、「希望の党」は「保守」であることを前面に出して選挙を戦っている。そういう意味て部言えば、日本の政治は他の先進国と比べて成熟していない、未熟なままの政治体制だったと言って良いだろう。

国民の勘違い、公明と共産の罪

では、どうして日本ではリベラルが育ってこなかったのか。簡単に言えば、次のような原因が考えられる。

1.国民の勘違い・

保守というのは、ぶっちゃけて言えば平均以上の暮らしをして、収入のある人間が、現在の体制を守りたいと願うところからスタートしている。ところが、日本では厳格な意味での階級意識がない。普段は立ち食いそばを食べていたり、ファストフードでハンバーグを食べている人間が、一張羅を着て超一流のホテルでフランス料理を食べる、なんていうライフスタイルが許されるのは日本だけかもしれない。
従って、国民の大半がいまだに中流意識を持ち続けている。リベラル派のベースとなる労働組合運動が盛り上がらない理由のひとつと言って良いだろう。

2.「考えさせない教育」の成果が浸透

日本の教育は、クラスの全員が教師の言うことを大人しく黙って聞いて、教科書をこなしていくのがベストな教育という考え方だ。言い換えれば、「従わせる教育」であり「権力に対して疑問を抱かせない教育」といえる。英国のBBCに言わせると「自由がまったくない教育」であり、「幼稚園児にすら自由がない社会」だ。
保守政権が長期に渡り、国民に考えさせない、権力に従わせる体制を教育機関を使って実現させてしまったと言える。自分で考えないから、誰かが大きな声を上げたり、強いメッセージを発進すれば、簡単に騙される。
保守=金持ちのための政党にもかかわらず、日本では幅広い層の人間が支持している。教育システムの大きな弊害だ。

3.労働組合の保守化

どの国でも、だいたいは保守が悪さをして、それをリベラル政権が正すという構図になっている。保守のスポンサーは大企業などの財界であり、お金持ちの政党だ。一方のリベラルは、労働組合がベースになる。ところが、日本ではこともあろうに労働組合の総本山であるべき「連合」ですら保守だ。
情けないというよりも、労働組合の理念を理解していない無知がもたらす現象であり、それだけ大企業の労働者は非正規社員を食い物にしていい思いをしている。非正規労働者を自由化してしまった小泉政権の罪は重い。

4.公明党と共産党の利己主義

日本の政治を大きく歪めた原因のひとつは、公明党と共産党だと私は思っている。公明党は、宗教とその指導者を守るために自民党にすり寄り、本来ならとっくに崩壊していたはずの自民党を助けてきた。共産党は、自らの信念だけにこだわり、日本全体を顧みずに、自民党の対抗勢力が本来なら当選するところを妨げ続けて来た。共産党のための政党であり、日本国民のための政党にはなっていない。

5.ポピュリズムに弱い国民性

安倍政権も典型的なポピュリズム(大衆迎合主義)政治なのだが、これに勝るとも劣らないのが小池都知事の政治手法だろう。しかも、日本の場合は東京新聞など一部のメディアを除けば、朝日新聞ですら「隠れ保守」だ。このメディアを使って、大衆を先導し、最終的には小池さんが目論む「軍国主義的国家」が実現されてしまうかもしれない。日本は、メディアが時の政権に忖度ばかりしている「政府広報機関」の一画だから、ポピュリズムが簡単に実現する国と言って良い。

http://blog.livedoor.jp/kaneko_power009/archives/51374165.html


とはいえ、私は改憲ができない程度に自民党が政権を維持して欲しいと考えている。
というのも、安倍政権にはきちんと自分たちがしでかした、とんでもない政策の誤りのツケをきちんと払って欲しい、からだ。責任を取って目の前で崩壊していく日本経済を、政権与党の座にいたままで目撃して欲しい。自分たちのエゴや金銭欲だけで、勝手なことをすると、どういう結果を招くのかを身をもって知ってほしい。

すでに安倍政権が打ち出した財政のプライマリーバランスの均衡を延長するという発言によって、日本国債の金利はじわじわと上昇を始めている。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も急騰し始めた。
日本はすでに「保守」によってぼろぼろの状態に来ている。

保守政権どっぷりの政治を本当の意味で改革ができるのは、本当の意味での「リベラル政党」しかない。

しかし、今やその選択肢は日本国民に与えられていない。

lightroom0430 at 11:47 
安倍政権 | 雑感

2017年09月17日

安倍政権の支持率が上がったそうだ。

森本学園問題も、加計学園問題もメディアから消え、民進党は幹事長候補の不倫が暴露されて、党首も18年前のスキャンダルを暴かれてボロボロ状態だ。週刊文春のニュースソースがどこなのかは知らないが、まぁ、政権与党からすれば「いい仕事をしてくれた」と手放しで喜んでもらえたはずだ。

現在の安倍政権は、北朝鮮問題をことさら大きく取り上げて、韓国が80年代までやっていた「国民の不安をあおって危機意識を持たせ、自分たちの存在を大きく見せる」という古典的な手法を取り続けている。北朝鮮がミサイルを発射したからと言って、隣の韓国はサイレンが鳴ることもなければ、列車も止まらない。テレビは通常放送を続けているし、グアムやハワイでもサイレンが鳴ったなんて言う報道はない。

そんなこんなで、北朝鮮問題をことさら大きく取り上げているわけだが、残念なのは記者クラブ制度に胡坐をかいて、常に与えられている情報しか報道できない系列テレビ局だ。政府が、情報を流せば流すだけ、だらだらと報道してしまう。これは、安倍政権がどうのことのというよりも、テレビという日本のメディアの構造的な問題だ。

唯一、自分で考えているのはテレビ東京ぐらいだが、それも視聴率稼ぎのためには、他局と違うことをしなければならない、という発想からのものであって、記者クラブ制度などでたっぷりと特典を与えられている以上、結局は時の政権の言いなりになるしかない。

ただ、安倍政権のえげつないところは、そうした構造的な弱点に加えて、社長を抱き込んで食事をふるまったり、総務大臣に「電波返納」といった恫喝めいたことまでやらせて、ビビらせたことだ。森友学園問題でも、加計問題でも、あれほど高まっていた安倍首相個人の責任を問う雰囲気は一瞬にして消え失せた。

その背景には、国会が終わりネタを提供してくれるところがなくなってしまったからだ。さらに、最後の希望だった民進党の復活が、思いっきり出鼻をくじかれたためだが、そういう意味では週刊文春は、自民党からすれば最高の仕事をしてくれたことになる。

ただ、安倍政権に限ったことではないが、日本でリベラルが育たない本当の理由は、実は意外と簡単ではないだろうか。なんだかんだ言っても、ほとんどの国民が衣食住足りて、将来への閉塞感はあるものの「幸福」だと感じているからだろう。贅沢はできないし貧乏だが、経済的にはまだ本当に困っていない。

これが、ひとたびリーマンショック級の景気後退が起これば、まだ政権は簡単にひっくり返る。民主党が政権を取ったのはリーマンショックの後だったし、自民党が再び政権を奪取したのは東日本大震災があったからだ。
つまり、政権交代は何かが起これば簡単に実現する。

ただ、安倍政権のえげつないところは、そうした何かあった時にも制度を変更して、そのまま政権の座に居座ることができるように仕組みを変えようとしてきたことだ。共謀罪などはその典型的なものだ。メディアに対する圧力も同じだ。

どうやら、警察や検事なども含めた行政の官僚も掌握したようだし、おそらく我々が知らないところで司法にも手を回しているのかもしれない。そういう意味では、安倍政権は怖い存在だ。北朝鮮のミサイル発射などのイベントを巧みに使って、支持率を回復させ、そのままの勢いで憲法改正に持っていこうとしている意図も見え隠れする。

今日も、閉塞感だらけの日本が揺れる……。















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安倍政権 | 雑感

2017年06月07日

それにしても、驚きだ。首相経験者は数多くいるし、数多くの政権を見てきた。しかし、安倍晋三首相ほど、強大な権力を形成した人物はいない。自民党内で安倍総裁に歯向かうような言動をするだけでニュースになる。内閣府内はむろんのこと政府内でも1人も首相に意見できる人などいない。

かつて田中角栄が逮捕されたときに先頭になった特捜部や検察幹部の姿はもうない。司法も、安倍内閣の意に沿わない高裁判決はほとんどない。気概のある裁判官が、地裁レベルで原発の差し止めなどをするものの、結局は高裁でひっくり返される。

メディアに関しては、言うまでもないだろう。NHKや読売新聞を筆頭に、国会で平然と嘘をつく政治家に対して、公平さを装いながらも安倍首相の味方をする。たとえば、民主党政権時代の鳩山首相や菅首相と比較して、報道の仕方はあまりに違い過ぎる。言い換えれば、あれほど報道の自由が許された時代もなかった。

こうした違和感の本質とは何かを考えると、ひとつの思いに問われる。安倍首相が所属する自由民主党の存在だ。自民党でも、極めて少数の人間が安倍政権に対して注文をつけることはあるが、それ以外の大多数は一切自民党総裁である安倍首相には何ひとつ言わない。

加計学園の問題を見ても、もし前川元文科省事務次官の発言が正しいとしたら、日本を代表する首相や官房長官がこともあろうに国会や記者会見などで平然と嘘をついていることになる。そうしたリスクを自民党という組織自体、どう考えているのか。トップのスキャンダルには意見を述べることさえできないのか。

そもそも自民党の「コンプライアンス(法令遵守)」はどうなっているのか・・・。

ここまで権力を掌握したバックには何があるのか?

それにしても、たった一人の政治家が、戦後ここまで権力を掌握したのは紛れもなく安倍首相が初めてだろう。なぜ、権力を掌握できたのか。内閣が、各省庁や裁判官の人事権を掌握してしまったからなのか。たしかに、これまで次期事務次官に誰を据える、といった省庁レベルの人事は各省庁に任されていた部分がある。

しかし、そこには法的に明確な規定があるわけではなく、その隙に乗じて内閣府=首相官邸が人事権を強引に掌握したのかもしれないが、人事権を掌握されたからと言って、法律に触れるかもしれないようなことにまで加担するだろうか、という疑問がある。財務省の公文書隠しなど、一歩間違えれば、自分自身が処罰の対象となり、出世どこか、退職金だってなくなるかもしれない。

メディアもそうだ。読売新聞が、上から目線でとんでもない理論を振りかざすのは今に始まったことではない。江川卓の巨人軍入団のときも、爽快な空理空論で自己正当化して見せた。社主と呼ばれる年老いたドンを結局最後まで社内から排除できず、名ばかりのジャーナリズムを装っている。

しかし、安倍政権になってからは、新聞もテレビも脅されて萎縮し、いまだに恐る恐る報道している感じだ。加計学院の加計学園長や、準強姦罪の嫌疑をかけられているジャーナリストの問題にしても、安倍さんのお友達にはいまだに腫物でも触るように報道している。

まさに、誰もが恐れる人物というわけだが、そのバックにはいったい何があるというのだろう。日本会議という極右団体が存在していることはいまや誰もが知るところだが、現在の内閣の大半はそのメンバーであるように、バックではなく前面に出て来てしまっている。

では、他にいったい何があるというのか。気になるのは安倍首相より、ずっと年上の自民党の重鎮が揃って安倍首相を敬い、彼の言いなりに動いているということだ。彼ら重鎮のバックにも、様々な有象無象の存在があるような気がするが、それをも上回る強大なバックがあるというのだろうか。

あるとしたら、米国ぐらいだが、いまはその米国もガタガタしている。そう考えると、安倍政権がガタガタし始めたのもトランプ大統領が誕生して以降だ。とりわけ、最近は朝日新聞や東京新聞などが先頭に立って加計学園の問題を報道するようになってきた。あのNHKでさえ、文科省の内部文書を独自の取材で報道している。

そう考えると、当面は安倍政権のスキャンダルは続くのかもしれない。


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安倍政権 | トランプリスク

2017年05月19日

トランプ政権が、いよいよ追い詰められてきた。特別検察官にモラー氏が指名されせるなど、トランプ大統領の強引な政治手法もいよいよ正念場を迎えつつある。というよりも、きちんと大統領の暴走に歯止めをかけるシステムが機能している、と言って良いだろう。

一方、日本の安倍政権の暴走はどうなんだろう。極右のグループが支配する政権の中で、その首相の意向を忖度して動く政治家と官僚がいる。一方で、警察や検察はまったくと言って良いほど動かない。森友学園のケースで、大阪府が告発しているものの、その名誉校長などを務めていた首相夫人に事情聴衆などが行われたという話はとんと聞かない。

米国と日本とでは、なぜこうも違うのか。政治システムの違いもあるだろうし、野党の力の差もあるだろう。また、日本のメディアが現政権の味方であることはみんなが知っているから、この点も大きな違いがあるかもしれない。とりわけ、野党は過去に自民党が下野した時代に、自民党がやった数々の政権妨害行動を学ぶべきだろう。

たとえば、小沢一郎氏を追い詰めたやり方はすごかった。警察や検察の助けもあったろうが、小沢一郎本人を訴えられないと分かっていても、検察に働きかけるなど執拗に追い落とした。現在の民進党も、こうした手口をもう一度きちんと分析し、学ぶべき部分は学ぶといい。

筆者が最も心配しているのは、このまま安倍政権が続くということは、アベノミクスという異次元の量的緩和が今後も続くということだ。出口戦略もろくに考えずに行われている現在の金融政策が成功するとはどうしても思えない。危険な賭けを一刻もやめてほしい。

※「東洋経済オンライン」に定期的に投稿していますhttp://toyokeizai.net/list/author/%E5%B2%A9%E5%B4%8E%20%E5%8D%9A%E5%85%85


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安倍政権 | トランプ

2017年03月22日

就任2か月で成果ひとつないトランプ政権に市場も失望?

トランプ政権の迷走が止まらない。相変わらず、大統領選挙中のロシアとの不適切な関係をFBIのコミー長官に指摘されて、ツイッターで切れて暴言を吐いたかと思えば、証拠もないのに「オバマがトランプタワーを盗聴していた」とツイッターでつぶやいて、周囲が振り回されている。

トランプ政権が誕生して2か月が経過したにもかかわらず、閣僚はおろか、各行政府の人員すら確保できていない。オバマケアに代わる新しい保険制度も不評だし、議会に提出した予算も、軍事費を増額する代わりに、環境や外交などの支出金は軒並み30%程度の削減を余儀なくされそうで、このまま議会を通過するとも思えない。

「IS(イスラム国)」に対しても、選挙中は2か月で倒してみせると豪語していたものの、その成果はまったく上がっていない。ここに来てやっと、ティラーソン米国務長官が68か国の外相を集めて、IS掃討作戦について話し合うことになったぐらいだ。

今後、トランプ政権を誕生させてくれた中流白人層に、その見返りをアピールするために実践しなければならない「減税」や「雇用の確保」が必要になるが、その道はまだ遠くて険しそうだ。というのも、議会がトランプ政権の言い成りになるのかいまだに不透明であり、ここに来て株式市場さえも、21日にはトランプ政権誕生以来最大の下げ幅を記録した。

米国の中央銀行に当たる「FRB(米連邦準備制度理事会)」は、なぜ金利引上げを急ぐのか−−という問いかけをよく見かけるが、トランプ政権のメッキがはがれて景気後退に陥った時に、金融緩和をしやすくするために、可能な限り金利を上げておきたいからと言って良い。言い換えれば、トランプラリーはいずれ収束し、米国経済も景気後退期に入ることをFRBは読んでいる、という見方もできる。

8年前にオバマ大統領がリーマン・ショックで迷走していた米国経済を立て直す際に、当時のバーナンキFRB議長とともに、かなり大胆な金融政策や経済政策を打ち出すことができた。その背景には、ある程度金利が上昇していたし、政策に余裕があったからともいえる。

安倍政権の崩壊より怖いトランプ・バブルの崩壊

一方、トランプ大統領と親密なゴルフ外交を展開していた安倍晋三首相だが、ここに来てトランプ大統領と歩調を合わせるかのように、様々スキャンダルが噴出してきた。森友学園への国有地払下げ問題や加計学園問題など、連日メディアが報道している割には、日本の株式市場が動く気配はなかった。

ところが、ニューヨークダウがトランプラリー始まって以来の大幅な下げに対しては、激しく動揺した。この背景には、長期政権で各省庁の人事を掌握している安倍政権に対して、警察や検察も最終的には手が出せないだろう、という市場関係者の強気の読みがあるのかもしれない。

対して、米国の場合は大統領でさえも弾劾裁判で辞職に追い込むだけの「システム」があり、また日本と異なりメディアには反権力に対する「気概」も残っている。

さらに、日本の株式市場は6割以上を外国人投資家が売買している。安倍政権のスキャンダル以上に、トランプ政権の動向に対する関心のほうが高いのかもしれない。

トランプ支持派と安倍支持派に共通しているのは、ロシアによる選挙補助や森友学園などに対して「大した問題ではない」と主張していることだ。しかし、冷静になって見るとどちらも政権がひっくり返ってもおかしくない大問題だ。問題は、そうなった時に安倍政権が倒れても、日本の場合、自民党が強すぎて政権交代というイメージではない。つまり、日本の場合は政権交代と呼べる環境が整うまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

その一方で、怖いのはトランプ政権の崩壊だ。あれだけ我がままで、身勝手なトランプ氏の場合、自分からある日突然健康上などの理由で辞めてしまう可能性は排除できない。その時点で、金融市場がどんな反応になるのか。ちなみに、2期目に弾劾裁判かけられそうになって、自ら辞任したニクソン大統領の場合、株価は最大29%下落している。途中で、オイルショックなどがあり、それも影響しているものの、やはり3割程度の下落は覚悟すべきなのかもしれない。

そうすると、問題は日本の株式市場への影響だが、これまでの経験則で言えば、米国が3割下がれば、日本は4〜5割下げてもおかしくない。トランプ・ショックを軽視してはいけないということだろう。米国の場合、リーマンショック以降ずっと非伝統的な量的緩和を続けており、ゼロ金利政策も続けていた。

その上で、2015年9月になって9年半ぶりに金利を引き上げ、その後も2016年12月に1年ぶり金利を引き上げた。続けて2017年3月になって3回目の利上げを実施したばかりだ。金利引上げが遅れた分だけ、一部にバブルが再燃しているとも言われる。

オバマケア代替案否決なら暴落も?

いずれにしても、長期的に見れば米国株の下落シナリオに対しては相当注意しなければいけない、ということだ。さらに、直近でもリスクは迫っている。その第一のハードルは「オバマケア代替案」が議会で可決されるか、どうかだろう。否決された場合、市場は大きく動きそうだ。

これまでのトランプラリーは、トランプ政権に対する「期待」で成り立ってきた。オバマケア代替案は、その期待の最初の関門と言って良い。そこで躓くようであれば、今後の予算案の成立も危うくなるだろうし、インフラ整備や減税といったトランプ政権への期待が疑問符にチェンジしてくる。場合によっては、これまでトランプラリーで買い上がっていた投資家が一斉に引き上げる可能性もある。

問題は、そうした事態にどう対応するかだが、日本株に投資している人は、いまのうちに「下がりにくい銘柄」にシフトしておく、あるいは現金などに換える準備をしておくべきかもしれない。下がりにくい銘柄、というのは高配当銘柄や株主優待銘柄のことだが、過去のケースから考えて人気の高い株主優待銘柄や高配当銘柄は、市場全体の下落率よりも低い。

さらに、現金にしておく比率を高めておき、下落したところで押し目を拾うというのも賢い方法だ。1930年代の大恐慌のように、株券が揃って紙くず同様になってしまうような下落はあり得ない。近代的な金融市場では、暴落は一時的な現象で済むはずだ。レバレッジをかけて下落した株式を購入する投資家も数多い。それはそれでチャンスともいえる。

特に、ニューヨーク市場に上場している銘柄の中には超優良企業が多く揃っている。万一、米国株が暴落するようなことになったら、日本株から米国株に乗り移る絶好のチャンスともいえる。いずれにしても、しばらくは米国株に目が離せない。


※東洋経済オンラインに投稿しました
欧州でも胎動見せる「大衆迎合主義」のうねり
−−オランダの「EU離脱」は避けられたが−−
http://toyokeizai.net/articles/-/163712



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トランプショック | 安倍政権

2017年02月02日

「東洋経済オンライン」に投稿しました。

トランプの第一主義に見える大衆迎合の限界
http://toyokeizai.net/articles/-/155185

日本にとってトランプ政権は何がヤバいのか
http://toyokeizai.net/articles/-/151789


予測不能だが、確実なのは米国のインフレ? 

トランプ政権は、議会の承認を得る必要がない「大統領令」を乱発することで政権獲得の“戦利品”を積み上げようとしている。米国民の多くは支持しているようだが、第3者の目から見ると「トランプのやっていることは、テレビのリアリティー番組の延長線上であり、あくまでも自分のための壮大なショーを「演じている」に過ぎない。

ナルシストのいい加減な茶番劇に付き合わされる我々からすれば大迷惑な話だが、超大国のやることだから無視することもできない。米国民はあんな大統領を選んでしまったわけだから、自業自得で同情する余地は少ないが、問題はトランプ政権が躍起になって実行している様々な経済政策や外交政策は、すべて米国経済を意図的なインフレに導いている、という現実だ。
 
意図的なインフレとは、保護貿易、インフラ整備といったものだけではなく、トランプ自身が言うように「75%の規制は削減できる」という規制緩和の動きだ。明かに「レーガン政権」のパクリだが、トランプ大統領お得意の不動産開発に関する規制や環境問題に関する規制などが、今後根こそぎ「緩和」もしくは「撤廃」されることになるかもしれない。環境問題だけでなく、銃規制や不動産の建築基準なども80年代に逆戻りする可能性が高い。

先進国というのは、長い年月を経て様々な規制を設けて、秩序と安定を獲得した。その規制が根こそぎなくなれば、発展途上国の無秩序と不安定な社会に戻ってしまう。まして、米国は移民の国だから、みんなが勝手なことをするようになる。ドナルド・トランプが米国の秩序と安定を崩壊してしまう可能性が高い。

そんな不確実な状況の中で、唯一はっきりしていることといえば「インフレ」だ。失業率4%台という完全雇用に近い状況の中で、雇用創出に精を出し、移民排斥を実施すれば、人手不足なって賃金が上昇する。保護貿易主義によって、関税や国境税をかければ、輸入品は高くなり、国内はインフレ傾向が鮮明になる。

さらに、公共施設や道路整備といったインフラ整備に公的資金を歳出すれば、やはり景気は良くなるが、インフレになりやすい。レーガン政権がやったような軍備増強への公的資金投入も長期的なインフレをもたらす。財政赤字も増えるだろうし、ドルも上がる。物価高だけでなく、様々な分野でモノの値段が上がるはずだ。

米国のインフレ率が上昇すれば、当然ながら金利も上昇していくことになる。中央銀行のFRBは、2019年末までに、年2〜3回は利上げしたいと言っているから、インフレに後押しされる状況でますます金利が上昇する。転換点と言われる3%を超える金利水準になれば、新興国や日本株に投資されていた資金は、一斉に米国に回帰される可能性がある。

怖いのは「ドル高是正」交渉に巻き込まれること?

 2008年に起こったリーマンショックは、大恐慌に匹敵する経済危機だったわけだが、歴史に学んで量的緩和策を実施し、今や金融引き締め(利上げ)ができるところまで景気を回復させ、労働環境も完全雇用に近い状況にまで回復させた。共和党政権時代に起こったリーマンショックを民主党政権が封じ込めたわけだ。根底には、クリントン時代の金融緩和があるのだが、景気回復はオバマ政権の成果と言って良いだろう。

にもかかわらず、トランプ大統領はオバマ憎しで何もかもめちゃくちゃにしようとしている。選挙公約を守るために、雇用創出や保護貿易といった不要な経済政策を乱発しており、そのツケとして様々なひずみが出て来ることは避けられない。

真の大統領、トランプを陰で操る男として知られる人物に「スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問」というトランプ大統領の側近がいる。彼は、その言動から人種差別主義者で、白人至上主義者なのだが、その人物は「国家安全保障会議(NSC)」の常任メンバーに入っている。

政治経験ゼロ、安全保障の素人が、選挙や議会の審査を受けずに、米国の中枢におさまっている。彼の言動でも分かるように、白人以外の国は徹底的に冷遇する意思が明白だ。トランプ大統領が何者かを知る前に、スティーブ・バノンという人物を知ることが、今後の米国の動向を占う意味では大切なのかもしれない。

いずれにしても、経済的には米国のインフレ、ドル高が進むことは避けられないはずだ。それを食い止めるには、意図的なドル安政策ぐらいしかない。レーガン政権では、「プラザ合意」でG5の蔵相が集まって、意図的にドルを安くして、双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)に苦しむ米国経済を救った。

時代は変わって、G5なんていう時代じゃないから、トランプ大統領は中国や日本に、個別に通貨を切り上げるように迫るかもしれない。おそらく、世界中でいまのトランプ大統領の脅しに簡単に従ってしまうのは安倍晋三さんぐらいだろう。それも、国民に内緒で・・・。そんなことにならないように祈るしかないが、防衛問題とリンクさせて脅されれば、あっという間に言うことを聞いてしまいそうな予感もする。

とにもかくにも、日本いや世界はこれまでとは異なる異次元のレベルに入ったと考えていいだろう。

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トランプリスク | トランプショック

2017年01月03日

謹賀新年

本年もよろしくお願いします。
昨年はあまり記事をアップできませんでしたが、今年も何とか頑張って続けていきたいと考えています。

2017年1月

岩崎博充

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新刊「トランプ政権でこうなる!日本経済(あさ出版)」は12月22日発売です。

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2016年12月13日

トランプ政権の人事が続々と発表されつつある。そんな状況から、現時点で推測できることを投稿しました。

◆Yahoo! ニュース 「トランプ、閣僚人事から見る「超危険」な政権
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20161219-00062548/

◆MONEY VOICE 安倍総理が気づかない、世界を根底から覆す「トランプ政権の闇」
http://www.mag2.com/p/money/29485

新刊「トランプ政権でこうなる!日本経済(あさ出版)」は12月22日発売です。

表紙


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トランプ | 米国経済

2016年12月02日

新刊のお知らせ

自分でもビックリの早さです。
トランプは極めて危険な政治家であり、日本経済にも、世界経済にも壊滅的なダメージを与える可能性があります。そんなトランプ政権のリスクを緊急出版します。
トランプ勝利宣言の2日後から書き始めた、最新情報です。

発売日は、12月22日です。
とりあえず、告知します。

表紙



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