2016年09月09日

日銀外観02-B日銀が9月20−21日に開催される金融政策決定会合で「総括的検証」を行うそうだ。その結果が何を示唆するのかはわからないのだが、日銀の金融政策の未来はある程度見えている。詳細は、下記サイトの私の配信記事を見ていただきたいのだが、結論からいえば、今後も続けるであろう日銀の金融緩和政策には限界が近づいているということだ。

<日銀、量的緩和の未来は「テーパリング」か「ヘリマネ」か?>(ヤフー!個人ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160901-00061542/

簡単に、ポイントだけ紹介しておくと次のようになる。

(1)日銀の金融緩和政策は無制限、無期限には続けられないこと(限界がある)。
(2)日銀の金融政策は今後、さらに拡大される可能性が高いが、いずれは限界が来ること。
(3)日銀の金融政策の限界点は、実質的に「緩和縮小(テーパリング)」を迫られると考えるのが自然。
(4)否応なくテーパリングを迫られたときに、その道を選択せずに「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)」に転ずる可能性がある。


つまり日銀の経済政策は、いずれテーパリングかヘリマネかの選択を迫られる、ということだ。

個人的には、安倍政権がいつまで継続するのかにかかっていると思っている。国民が選ぶことであり、6割を超える支持率をキープしている安倍政権の現状を考えれば、テーパリングを迫られる事態になっても、アベノミクスが続いていれば「ヘリマネ」政策に移行すると考えている。ヘリマネについては、前に配信した記事とは別に、またきちんとしたレポートをしたいと思っている。

<まだ間に合う?「ヘリマネ」から資産を守る海外口座開設法>(ヤフー!個人ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160727-00060265/

問題は、ヘリマネ政策に対する防御策だが、正直言って、海外の銀行などに資産を移すとか、預金などをインカムゲインが期待できる資産にシフトしておくぐらいしか方法はない。
現在、日本の株式市場は世界中に蔓延する「ブラックスワン的リスク」があるにもかかわらず、根拠のない自信に満ちている。

日銀の追加金融緩和やETF、REIT買い入れを材料に、明るい未来を描こうとしている。もう少し冷静になるべきだろう。

<日本株式市場を震撼させる「世界のブラックスワン」5つのリスク>(Money Voice)
http://www.mag2.com/p/money/21756

※「新刊」出ました












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アベノミクス | インフレ

2016年08月26日

日本の株式市場、円相場共に迷走している。ジャクソンホール待ち、夏休みでプレーヤー不在、といった説明がなされているが、外国人投資家不在が最も大きな原因と言って良いかもしれない。

そもそも現在の日本の株式市場の構図は、「クジラ」に依存する官製相場そのものと言って良い。ここ数日の相場も、日銀が前回の金融政策決定会合で発表したETFの買い入れ額増加ぐらいしかテーマがなく、マーケットには閉塞感が漂う。

クジラというのは、いわゆる公的マネーのことだが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済、私学共済、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして日本銀行の7機関の資金が株式市場を上げるためにつぎ込まれている。

言い換えれば、これらのクジラが買ってくれるために、日本市場から逃げ出そうと考えていた外国人投資家は喜んで売って逃げ出している、という構図だ。

これでは、個人投資家も買いづらい。

そもそも安倍政権は、総選挙で盛んに「アベノミクスを吹かす」と言っていた。第3の矢である「構造改革」を飛ばすことをにおわせて総選挙に勝利したわけだが、案の定、あれから何も出て来ない。

※追加情報
8月29日の日経新聞電子版によると、GPIFと日銀を合わせた公的マネーが、東証1部上場企業の4社に1社で、実質的な筆頭株主になっているという試算をレポートしている。東証1部全体で株式保有比率は7%に相当する。国営企業が多い欧州でも、6%未満が現実。日本の株式市場はいまや限りなく「官製相場」と化している。



ガラパゴス化する日本の金融市場

株式市場だけに限ったことではない。現在の日本の金融市場は「ガラパゴス化」しているのではないか。私は、ずっとそんな認識を持ち続けてきた。日本特有のルールが、日本の金融市場には深く根付いている。最近書いたメルマガでも、私はこんな指摘をしている。

海外の金融市場では、マイナス金利が導入されようが、ブレグジットのような「ブラックスワン(想定外の出来事)」が起ころうが、ある程度のパフォーマンスを上げている金融商品は数多くある。

ところが、日本の金融商品の大半は悲惨な結果を招いている。投資信託の運用益などを調べてみると、過去1年でプラスになっているのは5000銘柄中900銘柄程度しかない。老後資金を自分の力で運用しようとしても、数多くの投資家が悲惨な目にあっている、と考えるほうが自然だ。

そもそも日本の投資環境は、なぜかくも最悪なのか。その原因が分からなければ、日本の投資家はいずれ海外に逃げて行ってしまう可能性が高い。

以前から指摘してきたことだが、日本の金融マーケットは年々「ガラパゴス化」しつつある。かつて東京は、ニューヨーク、ロンドンと並んで「世界3大国際金融センター」と言われたが、2013年の順位では、香港、シンガポール、チューリッヒに抜かれて第6位(国際金融センターランキング、金融庁金融研究センター「ディスカッションペーパー」、2015年2月)になっている。
 
日本は、国別・地域別ミリオネアの人数ランキングでは、米国(1970万人、2019年の予想人数)に次いで、474万人(同)と世界第2位なのに、国際金融センター度は年々下がる一方なのだ。

では、なぜ日本の金融マーケットはガラパゴス化しつつあるのか。最大の理由は、日本の金融当局や金融機関の時代遅れな発想がある。いつまでたっても規制緩和をせずに、日本独自のルールにこだわるために、日本の投資家は資産運用どころか、資産を守ることもできない。金融当局が緩和を進めようとしても、金融機関が抵抗勢力となって阻止する。それが現実だ。

※有料メルマガ「まぐまぐ!」より
http://www.mag2.com/m/0001673215.html
香港俯瞰図02

※アジア最大の金融国際センター「香港」は今も進化を続けている。

巨大なローカルマーケットでいいのか?

現在の日本市場が世界的に重宝されているのは、その豊富な流動性にある。為替市場にせよ、債券市場にせよ、湯水のように「円(マネー)」が湧き出てくる。その流動性がおかしくなった時、日本は世界から見捨てられる可能性がある。

言い換えれば、いまのうちに金融マーケットの改革に手を付けなければ、日本のマーケットは現在のような巨大なローカルマーケットで終わってしまいかねない。

もっとも、日本の金融市場で働く数多くの人々は、「日本は巨大なローカルマーケットでいい、なにもグローバル化だけが生き残れる道ではない」という感覚があるのかもしれない。世界三大金融センターの英国がブレグジットを決めたように、グローバル化にはリスクもある。

流動性ぐらいしか売り物がない日本の金融マーケットが、これからどう生き残っていくのか。そのプランはあるのだろうか……。


※「新刊」出ました






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ETF | 金融危機

2016年07月11日

EU離脱で崩壊する「シティ」の存在感
不安視されるユーロ決済と中国人民元政策?


EU離脱を決めた英国は無論のこと、離脱されるEU、そして日本も含めた世界中がいまなお、浮き足立っている。離脱の通告から2年間という「猶予」はあるものの、そのショックはやはり隠せない状況だ。

特に、いま改めて注目されているのが英国経済の原動力となってきた「金融」の動向だ。英国の調査会社「Z/Yenグループ」の2015年の調査によると、ビジネスチャンスの多さや豊富な人材、規制緩和の状況と言った「国際金融センターの総合力」という点で、第1がロンドン、第2位ニューヨーク、そして第3位が香港となっている。

この3地域を合わせて「世界三大国際金融センター」と呼ぶのだが、今回のEU離脱によってロンドンの地位が崩壊してしまうかもしれない。

かつて国際金融センターと言えば、ロンドン、ニューヨークそして東京だったが、東京は規制緩和が遅れて、2015年のランキングでは第5位になっている。いつの間にか香港に抜かれてしまっているわけだが、今後は英国のEU離脱によってロンドンの金融機関に対して、様々な規制が出て来ることは間違いないだろう。

英国の金融機関がEUのフロント機能を失った場合、銀行の大半はロンドンからフランクフルトやブリュッセルなどに拠点を移して行く可能性がありそうだ。

現実問題として、英国には「HSBC」をはじめとして「Lioyds Banking Group」や「RBS(Royal Bank of Scotland Group)」「Barclays」「Standard Chartered」と言った本社を英国に置いている銀行がある。こうした銀行が英国を離れていく可能性は低い。

しかし、英国以外に本社を置いているインターナショナルな銀行は、将来的には英国のEU離脱で欧州の拠点を移動せざるを得なくなるかもしれない。たとえば、米国のシティグループは欧州地域の拠点としてロンドンに約1万人の従業員を擁している。すでに、シティグループのCEOが、わざわざ従業員に「離脱が完了するまでは業務に変更はない」というメールを送ったと報道されているが、そういうメールを送らざるを得ないところに、英国金融セクターのダメージの大きさが分かる。

たとえば、株式市場ではロンドンの株式時価総額は346兆円(2016年5月末現在、以下同)。日本の529兆円より少ない状況だが、香港(330兆円)を上回る世界第3位の時価総額を持っている。

もっとも、ロンドンの強みは「株式」よりも「為替」だ。外国為替取引では世界シェアの4割を英国が占めている。
特に、不安視されるのが、ロンドン中心に行われている「ユーロ取引の決済」が、いずれはEU内のどこかの市場に移る可能性があることだ。さらに、中国は人民元国際化の先陣としてロンドンを選択した。中国の人民元政策にも大きな軌道修正を迫られそうだ。英国の経済成長力の原動力が崩壊する可能性があるわけだ。

そもそも英国はイギリス領ジャージー諸島、ケイマン諸島、バミューダ諸島と言った「タックスヘイブン」を持っている。いわゆるオフショアバンクなどが数多く籍を置いており、そういう意味でも英国及び英国領がいまなお「世界の資産運用の中心地」であることに間違いはない。現在の金融の様々な仕組みやシステムを作ったのは英国だが、今後、英国の景気が落ち込めば、こうしたタックスヘイブンにも課税強化の動きが出てくるかもしれない。

パナマ文書の問題もあり、様々な規制が課せられる可能性が高い。要するに、英国自身が作った世界のレジームが、EU離脱をきっかけにガラガラと崩壊してしまうかもしれないということだ。
為替以外でも、たとえばデリバティブ(金融派生商品)の取引などは、フランスのパリが最近は伸びてきており、ひょっとしたら今後はロンドンのライバルとしてパリが大きな存在になっていくかもしれない。

※この続きは、有料メルマガ「まぐまぐ!」で
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


※「新刊」出ました














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EU離脱 | 英国

2016年06月25日

英国のEU離脱について、Yahoo!ニュースに投稿しました。

<Yahoo!ニュース>
「離脱」決めた英国を襲う、信じがたい苦悩と困難   
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160625-00059222/



<有料メルマガ配信中>
●消費増税2年半の再延期がもたらす取り返しのつかない4つのリスク?(magmag)
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


※「新刊」出ました









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EU離脱 | タックスヘイブン

2016年06月14日

95ed841d.jpg6月23日に実施される「英国のEU離脱(ブレグジット)」を問う国民投票が、注目の的になっている。ブレグジットがもし現実のものになれば、英国ポンドやユーロが大きく売られ、英国の株式やEU諸国の株式も売られる。そして、何よりも心配なのが、EUの求心力が大きく傷つき、EU離脱にトライする国が後を絶たなくなる恐れがあることだ。

実際に、英国がEUから離脱した場合、英国経済の影響度はGDP成長率で最終的にはマイナス6.0%(英財務相)、為替レートでは最大マイナス15%(同)と見られている。失業率も、現在のレベルから最大2%(同)以上上昇し、住宅価格もマイナス18%(同)と予想されている。

一方のEUも大きなリスクを背負うことになる。世界三大金融センターである英国のロンドン市場を優先的に使用できなくなるために、資金調達や資金の流動性に困ることになる。ユーロ暴落、株価暴落になった時に、流動性の高い資金をどこから調達してくるかが、今後の課題になるわけだ。

そのブレグジットが、現実味を帯びる世論調査が出てきたことで、6月13日の株価は大きく下落した。今後も、国民投票の結果次第では大きなボラティリティ(変動幅)が予想されるのだが、実はEU離脱より怖い大きなリスクが待ち構えている。日本銀行による「さらなる金融緩和」「マイナス金利拡大」と言った、アベノミクス路線の強化だ。

安倍首相は、サミット後の記者会見で「アベノミクスを吹かす必要がある」と発言したが、アベノミクスのエンジンは当初から、今も昔も日銀による量的緩和政策しかない。量的緩和を吹かすしか方法はないのだだ。規制緩和や構造改革を実施するための、既存の抵抗勢力を打ち破る原動力は安倍政権にはない、と見て良いだろう。

言い換えれば、参院選が近づいていることを考えれば、この6月の日銀の「金融政策決定会合」で何らかの量的金融緩和が実施される可能性が高い、ということだ。場合によっては、実質的な「ヘリコプターマネー」や「ベーシックインカム」といった異次元、非伝統的な金融政策が実施されるかもしれない。ヘリコプターマネーやベーシックインカムについては、下記の私が書いた記事などを読んでいただければいいが、いま現在進んでいるリスクは大きく分けて次の3つあるということだ。

1.英国のEU離脱
2.日銀による追加の量的緩和(ヘリコプターマネー、ベーシックインカムなど)
3.日本国債の格下げ

●「黒田バズーカ―砲、次の一手は『禁断』のあの手か(Yahoo!ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iwasakihiromitsu/20160521-00057816/

●安倍“改憲”政権の消費増税先送りが日本にもたらす「4つの悲劇」(MONEY VOICE)
http://www.mag2.com/p/money/14945?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_tue&utm_campaign=mag_9999_0614

●消費増税2年半の再延期がもたらす取り返しのつかない4つのリスク?(magmag)
http://www.mag2.com/m/0001673215.html


第3の日本国債格下げは、消費税再延期を発表したことで、時間の問題と思われている。想定を超える格下げがあれば、日本国債の金利上昇、円安、株安などがあるかもしれない。いずれにしても、今後、数週間は緊張感を持ってマーケットを見る必要がある。



※「新刊」出ました












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安倍政権 | 日本国債

2016年05月14日

個人投資家の海外資産には厳しい課税の仕組み

5月10日に発表されたパナマ文書の明細は、いまだはっきりしたことは分かっていない。すでに発表されている大企業のセレブ関連以外には、今のところカタカナ表記と住所程度にとどまっている。とはいえ、いずれは著名な富裕層の個人名も含めて表に出て来るはずだ。

そもそもパナマ文書の何が問題なのか……。パナマのようなタックスヘイブンに会社を設立して、その法人を隠れ蓑にして、日本など法人税の高い地域で上げた利益をタックスヘイブンの会社に移す。いわゆる「企業収益の隠蔽」を目的とした節税は何が問題なのか……。

ここでポイントになるのは、「パナマに法人を設立して、その法人に資産を蓄積して節税する」という点だ。法人の節税はこれで終了なのだが、日本の税制ではパナマの法人の役割が問題になる。単なる節税目的だけのペーパーカンパニーと認定されれば、節税目的とされて日本の税務当局に課税されてしまうことになる。少なくとも、従業員をきちんとおいて、実務実績のある法人でないとだめなのだ。

一方、個人投資家がパナマにある銀行などに口座を開設するだけでは節税にならない。まずはパナマに法人を設立して、パナマ以外のオフショアバンクに口座を開設。利息などをパナマにあるペーパーカンパニーに移すことで、法人同様に節税ができる環境ができる。パナマ以外の場所で上げた利益には課税されないのがパナマの税制だ。

ただし、ここまでやるのはまさに大富豪であり、これだけのことをする日本の大富豪はそうはいないはずだ。パナマに設立した法人=持ち株会社の持ち分比率によっては、個人もタックスヘイブン対策税制の対象となり課税されるし、個人であっても、法人扱いとなる仕組みになっている。

そもそも、現在では少なくとも日本の居住者、もしくは生活の拠点が日本にある個人の場合、世界中のどこであろうと、預金や投資、事業を通して得た利益は、日本の税務当局に申告しなければならないことになっている。パナマと違い、日本は日本以外で上げた利益に対しても課税される国だからだ。

加えて、2014年以降は5000万円を超える海外財産を保有している人は、「国外財産調書」の提出が義務付けられている。国外財産調書というのは、動産、不動産、預貯金、保険金、貸付金、株式、公社債、投資信託などすべての財産を示しており、これらの額が5000万円を超す人は調書をまとめて税務当局に提出する義務がある。

国外財産調書の提出には罰則規定まであり、正当な理由なく期限(翌年の3月15日)までに提出しなければ、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることになっている。

ちなみに、2015年7月には「国外転出時課税制度」、いわゆる「出国税」が導入されて、1億円以上の有価証券を持つ資産家が海外に移住する際には、株式の含み益などにも所得税が課税されることになっている。つまり、日本の個人投資家は海外のタックスヘイブンにペーパーカンパニーなどを作って資産を保管しても、5000万円を超す資産があれば申告する義務があるということだ。

言い換えれば、パナマ文書に描かれているような行為というのは、企業にとっては「合法」でも、個人の場合は「日本の税務当局に申告しなければ違法になる」ケースがあるということだ。問題は、それがきちんと申告されているかどうかであって、そういう意味では、パナマ文書に最も高い関心を示しているのは税務当局と言って過言ではないかもしれない。

現実問題として、日本には個人富裕層は数多い。「年齢階級別 実物資産・貯蓄現在高の比較(二人以上の世帯)」という総務省統計局の「全国消費実態調査」によれば、60歳から69歳の世帯では総資産額5188万円(2009年、負債は263万円)、同じく70歳以上で5151万円(同127万円)となっている。そのうちの貯蓄額は60~69歳で2048万円、70歳以上で1987万円となっている。

これはあくまでも平均だから、日本には数千万円の預貯金額を持っている富裕層は数多く存在する。そんな日本の富裕層がいつまでもマイナス金利の日本で資産運用出来るはずもない。老後破綻を防ぐ意味でも、もっとまともな資産運用ができる海外で自分の資産を防衛しようとする人は今後増えて行くはずだ。

パナマ文書が示す「課税逃れ」「資産隠し」と、日本の個人投資家の海外口座による「資産防衛のための運用」とは、別物として考える必要がある。


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タックスヘイブン | 雑感

2016年04月21日

「パナマ文書」のポイントは課税逃れと資産隠し?

「パナマ文書」が話題になっている。パナマ文書そのものについての説明は避けるが、パナマ文書が「タックスヘイブン(租税回避地)」の利用の実態を暴いたものとして注目されており、企業や富裕層の「資産隠し」や「課税逃れ」が話題になっている。

久しぶりにジャーナリストがその責務を果たす大きな役割を演じている、という印象だが、パナマ文書を単純に課税逃れ、財産隠しを暴いた「スキャンダル」として捉えてしまうのは惜しい気がしてならない。昔から「パナマ」はタックスヘイブンとして知られているが、その地を利用するのは企業が圧倒的に多かった。

国際的な活動をしている企業が、パナマに持ち株会社などを設立して、その会社に「配当」などの形で利益を集積しつつ、拠点となる国での税負担を軽減させる方法だ。パナマの税制は「領土主義」と呼ばれるもので、収入を生む活動がパナマで行われた場合のみ課税される仕組みになっている。パナマ以外で上げた収益の法人税率は、ゼロというわけだ。

現在の世界経済は、日本をはじめとして企業に高い法人税を課税する国家と、パナマのようなタックスヘイブンと呼ばれる法人税の安い、もしくは徴収しない国に分かれている。下の2014年のデータを見ても分かるように、日本は屈指の高い法人税率を徴収する国として知られている。

http://www.kpmg.com/jp/ja/knowledge/pages/tax-survey-2014.aspx

サウジアラビア、米国に次ぐ世界第3位の高い法人税を課税する国だが、上位2か国には間接税がないため、実質的には日本が法人に対して最も高い税率を課していると言っても過言ではないかもしれない。安倍政権が進めようとしている「法人税率を20%台に引き下げる」という動きも分からないでもないが、法人税率だけの問題でないことは事実だ。

実際、日本の法人税には実は様々な抜け道がある。実際に、企業が納税している税金の額、いわゆる「実行税負担率」は日本企業、特に大手企業になればなるほど低いと言われる。資本金100億円超の大手企業の場合の平均的な法人税合計税額は、平均で17.20%(外国税額含む)にしかならないそうだ。

これが資本金1億円超5億円以下の企業になると、37.92%も負担している。グローバルな活動をしている大企業になればなるほど、税金を納めていないことになるわけだ。その大企業の租税回避の舞台となっているのが「タックスヘイブン」であり、パナマ文書に記載されている「モサック・フォンカセ」のような法律事務所だ。

http://president.jp/articles/-/16378

すでに、様々なメディアでも報道されているようにタックスヘイブンに子会社を設立して、本国の高い税率を回避しようとする行為は「違法」ではない。日本の大企業も含めて、グローバル企業の大半がしていることでもある。問題があるとすれば、こうしたタックスヘイブンの国、地域をそのまま放置して、見過ごして来た「政治」といったほう良いのかもしれない。英国も、法人税率を引き下げようとしているが、旧英国領が多いタックスヘイブンの問題を放置しているのも、英国政府にも様々な恩恵があるためと言われている。

もっとも、課税を逃れるという意味では、倫理的な面で問題がある。日本を拠点にして成長してきた企業が、パナマなどのタックスヘイブンに持ち株会社などを設立して、租税回避を図っているのはフェアとは言えない。とりわけ、1000兆円もの財政赤字で苦しむ日本政府を尻目に、自社の内部留保を増やしていく姿は、国民感情としては憤りを感じる。

パナマに持ち株会社を設立するコストは軽微なもので、グローバルなフィールドで事業を展開している企業であれば、当然の事業活動ともいえるが、そうした課税の仕組みこそが問題と言ってもいい。−−続く−−

※新刊が出ました。







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タックスヘイブン | 雑感

2016年02月19日

マイナス金利はどんなに拡大しても、景気押し上げにはつながらないのではないか。
預金金利が低下し、住宅ローン金利やマイカーローン金利なども低下している。そうした事態が進んで行けば、やはり問題なのは銀行はどこで収益を確保するのか、不安になってくる。

たとえば、金利の低下によって、おそらく住宅ローンを組もうと考える消費者は増えるはずだ。
しかし、変動金利に関して銀行側は融資基準を上げて来ることが考えられる。
簡単に融資してくれなくなる、ということだ。

要するに「貸し渋り」が始まるという意味だ。
というのも、3000万円とか5000万円の資金を融資しても、銀行が得られる収益は年間で4〜5万円程度と言われる。万一、100件の融資案件のうち、1件でも不良債権になったら、100件分の銀行の儲けは吹き飛んでしまう可能性がある。

融資条件も、たとえば「大企業のサラリーマンだから借りられる」というのは、もはや何の意味もなくなるかもしれない。きちんとした担保や保証人がいなければ、融資しても採算が取れない時代になったのだ。
それがマイナス金利の実態と言って良い。

そう考えると、銀行がマイナス金利の影響の度合いを計りかねているうちに変動金利を組んでしまうしかないかもしれない。あるいはちょっと金利は高くなるが「固定金利」であれば融資を受けられる可能性が高くなる。
いずれにしても、マイナス金利の行く先は実質的な銀行の貸し渋りだと思ったほうが良い。。

そもそマイナス金利は、日本経済にダメージを与えるのではないか。本来、いまの政権がしなければならないのは、やはり「構造改革」しかないはずだ。

たとえば、次のような改革を本来であればするべきなのかもしれない。
安倍政権では絶対に実現できない事ばかりだが・・・、実現すれば新しいビジネスがや新規市場参入が山のように増えるはずだ。欧州や米国は、ここに移民政策を絡めて労働力を確保してきた。
これぐらいの思い切った改革がいまの日本には求められる。

●官僚の支配構造を根本から変える……とりあえずは「キャリア制度」の全面廃止は必要不可欠だろう。官僚制度がいまや日本を完璧に近い形で支配している。安保法案も、官僚がゴーサインを出したから成立した。官僚は、常に都合よく法を解釈する。自分がしたくないときは、法律の壁があってできない、と言い訳をする。日本の改革が進まない原因のひとつは官僚制度だ。

●日本に存在する特有の利権制度を改革する……メディア、原発関連、建設などなど、日本には特有の規制があってその規制に守られている業界が数多く存在する。

●グローバルスタンダードを阻んでいる規制の緩和……金融商品や建築業界、医薬品など、日本特有の規制があって市場参入できないものが多い。


たとえば、香港やシンガポールは国際金融センターになっているために、金融商品は現地語と英語の両方が通用する。欧州や米国で設立された優れたファンドを、そのまま翻訳などのコストをかけずに届出や販売ができる。日本の投資信託にろくなものがないのは、こうしたグローバルスタンダードを阻む規制があるからだ。ジャパン・コストと呼ばれる余計なコストがかかるため、優れた投資信託は日本には存在しない。

本来、1000兆円の財政赤字を抱える政府は、政党を問わず、日本国債が暴落しないように最大限の配慮をしながら財政政策を進めていくべきだ。マイナス金利は、果たしてどんな影響をもたらすのか。マイナス金利は、銀行を委縮させ、経済全体を縮小させる気がしてならない。





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マイナス金利 | ソブリンリスク

2016年02月15日

2月15日の株式市場は、大きく上昇し日経平均で1000円を超える上げとなった。この背景には、とりあえずマイナス金利導入というイベントに対して、売り方が利益確定したという見方が正解だろう。2015年10−12月のGDPが発表され、前期比マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.4%のマイナス成長であることが分かったにもかかわらず、株価は大きく上昇した。

株価は上昇したが、日本経済の「ファンダメンタルズ」は明らかに低迷しつつある、ということだ。いずれにしても、原油価格の暴落や中国経済のバブル崩壊といった外部環境の悪化もあるが、それ以前にアベノミクスの真価が問われ始めていることになる。英国BBCも「アベノミクスの終焉か」というタイトルで、アベノミクスの失敗を指摘している。

そもそもアベノミクスという「まやかしの経済政策」は、3本の矢という国民に分かりやすいプレゼンテーションからスタートしたのだが、実際に放たれたのは「大胆な金融政策」という1本目の矢だけだった。結局は、マネタリーベースを増やすというコストのかからない緩和マネーを、大量にばらまいただけだ。

マイナス金利の導入は、その金融政策さえも限界に近づいていることを示している。そもそもデンマークやスウェーデン、スイス、そしてECB(欧州中央銀行)などのマイナス金利と日銀のマイナス金利を同一視するのは間違っているのではないか。日銀は、20年近くも延々と超低金利を実施し、量的緩和の歴史も長い。日本政府は、900兆円を超える赤字国債を発行し、自治体などの借金を合わせると1050兆円を超える、莫大な財政赤字がある。

そんな状態で、中央銀行が国債を買い始めたら「財政ファイナンス(中央銀行が国債を買い入れること)」とみなされる。そこに、今回の「マイナス金利」導入でリスクマネーが動いたわけだ。欧州の中央銀行のマイナス金利は、ある意味で純粋な金融政策と言えるが、日本のマイナス金利はもっと危険なファクターを含んでいる。

いまや日本政府は、赤字国債がなければ1日でも過ごせないような国債頼りの状況になっている。国債の利回りが大きく下落するようなマイナス金利の導入は、債券価格を大きく上昇させる。ゼロ金利政策の頃の国債価格が一番高いと思っていたら、さらに高くなるマイナス金利導入という事態があったわけだ。

つまり、日本政府はさらに金利の低い国債を発行し続けることが可能となり、日銀は逆に史上最も高くなってしまった日本国債を大量に保有し続けることになったわけだ。これも「財政ファイナンス」の一種ではないのか、そんな疑念を持たれてもやむを得ないだろう。ひょっとして、政府はもうそこまで追いつめられているのかもしれない。

そんな割高な国債を年間80兆円もの勢いで買い続けているために、日銀のバランスシートは当然悪化して行く。日銀もそれを狙って、意図的に割高な国債を購入しているのかもしれない。円高は日本の莫大な緩和マネーが、世界中に散らばっているために、その巻き戻しであって、円価格の動向は経済原理通りには動かない。

実際、日銀はアベノミクススタート直後の決算書では、125兆円(平成25年3月末現在)の国債を保有していたのが、現在では340兆円(平成27年2月10日現在)となっている。わずか2年で3倍弱になった勘定だ。周知のように、国債というのは「価格変動リスク」がある。国債が暴落した時には、日銀は莫大な不良債権を抱えてしまう可能性がある。

もっとも、その時こそ、日銀と安倍政権が狙う「円の信用失墜=超円安」になる。問題はその時、株価は上がるのか、それとも下がるのか。それはそうなってみないと分からないという不安がある。マイナス金利導入は、その国債暴落へのプロセスを速める金融政策であり、超円安に誘導する政策と言える。

それが、国民にとってプラスなのか、マイナスなのか・・・、いうまでもないだろう。
日銀は速やかに量的緩和を終結させてマイナス金利を辞めるべきだ。いまなら、まだ間に合うかもしれない・・・。





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マイナス金利 | アベノミクス

2016年02月13日

世界の株価の下落が止まらない。
数多くの専門家がいろいろ分析しているが、どうも納得できない。
「比較的安全とされる円が買われて、株価が下落」という説明がどうも嘘くさい。

マイナス金利導入を宣言した通貨に、買いが集まるというメカニズムもかなり疑問だ。

今回の株価下落は、いうまでもなく「日銀のマイナス金利導入」がきっかけだったわけだが、なぜ日銀の狙い通りに円安にならなかったのか。そこには、ヘッジファンドのグローバルマクロなどの用意周到な「仕掛け」があったと見たほうが良いだろう。

日本の株式市場というのは、アベノミクスの原動力にされたこともあって、円安が進むと株価が上がる仕組みになっていた。これを逆手にとって「逆回転」させたのが、今回の株価暴落だと考えるのが自然だろう。つまり、為替で円を買ってドルを売るトレードを仕掛けて、あらかじめ売っておいた株価を押し下げる。

莫大な資金にレバレッジを掛けて増幅させるのがヘッジファンドだが、リーマンショック以後8年間も続いた世界的な量的緩和政策で、潤沢な資金を保有するリスクマネーであれば、簡単なオペレーションともいえる。

そもそも今回のマイナス金利導入は、サプライズを狙ったものかもしれないが、タイミングとしては最悪のものだ。米国経済がすでにピークアウトしていたことは、日銀の持つデータ類の中にも入っていたはずだ。米国経済がピークアウトしていたのであれば、ドルが売られることは分かっていたはずだ。ドル安円高のベースができているところに、マイナス金利を導入したために、リスクマネーに円買いの絶好のタイミングを与えてしまった。

そもそもリーマンショックのときも、東日本大震災の時にも、円は一気に買われた。これは長年の量的緩和政策で、莫大な緩和マネーが海外に流れている。いまや、日本は輸出で飯を食っているのではなく、海外に投資した資産から出る配当や利息で食べている。しかし、地震とか経済危機があると、円は一気に日本に逆流、つまり円が買われる。それが円高のメカニズムだ。世界有数の債権国ならではの悩みだ。

※しばらく、このブログを放置していましたが、いよいよかつてのリーマンショック並みの株価暴落が起きつつあるので、もう一度復活させたいと思います。ほぼ毎日、とまではいかないかもしれませんが、出来るだけ更新したいと思います。











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ヘッジファンド | マイナス金利
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