2012年01月28日

日本と米国の経済政策がさらなる過剰流動性を生む?

今週(23日以降)はいろいろあった。2011年の日本の貿易収支が赤字に転落したこと、米国のFOMCでこれまで2013年前半とされていたゼロ金利政策が、2014年終盤まで延長されたこと。欧州の銀行の格下げが相次いでいることなどなど・・・。

とりわけ目立つのが、ユーロ危機がひと段落したような報道だ。しかし、冷静に考えてみると何一つ変わっていないことに気がつくはずだ。フランスの格下げ、EFSF債の格下げなどで欧州債務問題の救済スキームは、振り出しに戻ったものの、マーケットは今まで懸念していた悪材料が出尽くしたことで安心感が広がった米国株も、当面金融緩和政策が続くことを確認して株価を上げた。しかし、考えてみると、悪材料が出たことで安心して「買い戻し(売っていた投資家が買って手仕舞う)」の行動に出たために、相場は値を戻しただけという見方が正解だろう。

さて、そんな中で注目したいのは、まずは日本の貿易収支の赤字だ。東日本大震災、福島第一原発事故、そして超円高の定着、タイ洪水という悪材料が重なったためだが、問題は2012年になってからの貿易収支の行方だろう。2012年の第一四半期、第二四半期と貿易赤字が続くようだと、いよいよ経常赤字転落のシナリオが見えてくる。こうなったら、本格的に日本国債の価格下落に備えなければならない。

週刊文春が、日本国債暴落の記事を掲載していたが、そこで目立ったのは「破綻はある日突然やってくる」という言葉だ。過去、財政破綻を経験していた国民へのインタビューが掲載されていたが、私もブラジルや韓国、タイなど、通貨危機や財政破綻に追い込まれた経験のある人に話を聞いたが、常に共通していたのは「ある日突然」という言葉だ。

もっとも、もう日本ではとっくの昔から、日本国債暴落や財政破綻を警告する書籍や記事は出ている。ただ、大手メディアからはほとんど無視されているだけだ。そして、おそらく本当に経済危機がやってくると、大手メディア揃って今まで何事もなかったかのように「ある日突然」というに違いない。

その「ある日突然」の内容だが、一番多いのは金融機関の閉鎖だ。銀行の窓口が開かない、ATMが稼働していない、という現象だ。そして、銀行の前には長蛇の列ができて、暴徒と化す、というのが海外のよくあるパターンだ。日本はどうなるかは分からないが、いずれにしても、自分が預金を預けている銀行がどの程度のリスクを抱えているかぐらいは調べておいた方がいい。

そして、今週もっとも注目すべきは、米国のFOMCの声明内容だ。2014年終盤までゼロ金利政策を続けるとしたことで、世界はまた別のリスクを背負うことになった。ヘッジファンドなどのリスクマネーに大量の資金が流れ込むことになり、商品価格の急騰といった「ミニバブル」があちこちで発生する可能性が高くなった。特に、このところの欧州債務危機で不足していた米ドル紙幣が大量に供給され、これがさらなる過剰流動性を生むことになるかもしれない。

日本でも、東日本大震災以降のマネタリーベース(日本銀行が供給する通貨の量)は高止まりしたままだ。震災復興、為替への単独介入などによって、円紙幣の量を意図的に増やしている。米国と日本が歩調を揃えて大量に紙幣を市中にばらまくことで何が起こるのか。株式や商品市場の価格は上昇し、インフレ懸念が頭をもたげてくる。

要するに、欧州債務危機の収束のために取った経済政策が、今度は株式市場を押し上げ、金価格や原油価格を上昇させるかもしれない。しかし、それは意図的に上昇した相場であり、経済のファンダメンタルズ(基礎的な数値)を反映させたものではないということだ。いずれにしても、流れはちょっと転換した。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1112.pdf





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過剰流動性 | 格付け

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