東日本巨大地震

2011年03月19日

1ドル=76円25銭まで円高が進み、さらに株価も8227円63銭まで下落するなど大荒れの金融マーケットだった。阪神淡路大震災が起こった1995年年当時とよく比較されるが、注しなければいけないのは、あの当時と現在の状況は大きく異なることだ。

当時は、阪神淡路大震災が起きた後、2月に英国のベアリングス証券が経営破綻、3月20日には地下鉄サリン事件が発生している。日本中が騒然としていた時期に、1ドル=79円75銭(4月19日)を記録した。当時も、G7が協調介入に入って、円高は止まったものの、その後急速な円安が進行した。

覚えている人も多いと思うが、79円25銭をほ付けた後、円安が3年間に渡って続き、1998年には1ドル=147円68銭まで円安が進んだ。

当時と決定的に異なるのは、ヘッジファンドとか金融機関の自己勘定部門と言ったリスクマネーの存在がほとんどなかったことだ。あったとしても、現在程のパワーを持っていなかった。

また、当時はコンピュータによるシステム売買がなく、ミリセカンド単位で動く投資ツールがなく、そういう意味もあって阪神淡路大震災から3カ月もかけて、1ドル=79円75銭の円高が進んだと言える。

それが、現在の金融マーケットではわずか3日で、1ドル=76円25銭の最高値を記録更新した。株価もあっという間に動いて乱高下した。リーマンショックでもそうだったが、信用取引などの差金決済ではやむを得ないが、少なくとも現物投資をしている人は、こういう状況では慌てて売ったりしないことだ。

日本経済の大きさは、G7の協調介入がすんなり決まったように、その影響力は我々が考えている以上に大きい。日本経済が窮地に立てば、世界経済もこけることがはっきりしたからだ。

瞬間的な日本経済の活動停止などは、G7などが総力を集結して守ってくれる、ということだ。時間はかかるかもしれないが、このまま破綻に向かうわけではない。いずれは回復すると見ていい。問題はそのあとだが……。

あとは、リスクマネーの動きだが、1995年当時は外資系金融機関やヘッジファンドなどが、大量の円買いポジションを抱えていたために、円の売り戻し=円安が続いたものとみられている。しかし、現在は円買いポジションを投機筋がさほど抱えていないために、急速な円安にはなりにくい、と考えていいのではないか。

シカゴCMEのIMMポジション(グラフ下、下が円の買い越しポジション)を見ても、投機筋はあまり円買いポジションを膨らませていなかった。いったん、円売りポジションに転換させた後の円買いトレンド転換になっている。言いかえれば、急速な円安はない、むしろ円高が再トライされる可能性のほうが高いのかもしれない。むろん、マーケットの予測は不可能だが……。

株式市場は、為替市場とCMEの日経先物次第というところだが、注視して行くしかないだろう。グローバル化され、さらに大証が導入したG−GATEの影響で、株式市場はリスクマネーの好き勝手にされている。こういう時期の株式マーケットでは、個人投資家は下手に動かないほうがいい。
immposition20110318-1

http://www.gaitame.com/market/imm.html

lightroom0430 at 12:54トラックバック(0) 

2011年03月18日

福島原発の動きが止まっていること、単独の為替介入ではなくG7による協調介入で合意ができたことで、円高の勢いは止まりつつある。為替介入の可能性は低い、と前々回のブログで書いたが、どうやら財務省は前回の単独介入の失敗で学んだようだ。

ただ、油断はできない。協調介入の実現は成功したものの、実需による円買いの勢いはむしろこれから始まる。日銀が潤沢な資金を市場に供給しているとは言え、外貨を売って円を買う動きは週明け以降拡大するはずだ。

リスクマネーがそうした動きを見逃すはずもない。いまやヘッジファンドは、世界中で2兆ドルの資金を持っている。しかも、レバレッジなどを利かせて、大きな資金を動かす。政府の協調介入が数兆円単位であったとしても、1日に動く為替の量は300〜350兆円も取引されている。所詮、協調介入は一過性のものでしかない。

あと、株式市場も小型株を中心に外国人投資家の「買い」が入っていると言われるが、これも慎重に判断する必要がある。売りポジションの買い戻しかもしれない。クレディ・スイスなどの日経225先物のポジション動向をきちんと把握しておくことが大切だ。

■外資系証券会社の売買手口
http://kdb.bitmill.jp/



lightroom0430 at 16:29トラックバック(0) 

2011年03月16日

東京電力の福島原発の事故は、日本経済の技術力の根幹を揺るがすのかもしれない。その対応があまりに遅いからだ。まさに危機感が欠如している。私は、原子力の専門家でもなんでもないが、情報が錯綜し、政府の対応の遅さと相まって世界中に不信感と不安感を与えている。

そもそも、今回の福島原発の問題は、想定できた事故であり、昔から阪神淡路大震災のような直下型地震と、凄まじい威力を発揮する津波への対応に対して疑問が寄せられていた。

日本共産党の福島支部が、東京電力に対して津波に対する対応を要求していた文書がネットで話題になっているが、もともと原発にはリスクは付き物だ。そのリスクを承知の上で、経済効率や環境問題を考えて原発を推進する動きが、近年活発になっていた。

それが、ここにきて一気に日本の技術力の信用問題に発展してしまう可能性が出てきた。同じような問題に、日本が誇る新幹線もある。原発ほどリスクが指摘されているわけではないが、もう一度その安全性について点検する必要があるのかもしれない。

同時に、国民の買いだめを戒めるメディアの報道が多いが、メディアが買いだめをあおっているような気がしてならない。NHKが、福島原発の撮影で「30キロ以上離れた地点で撮影しています」というアナウンスを繰り返しているが、あれは政府の指示に従っています、ということを言いたいのだろうが、間違っているだろう。

NHKは、公共放送であり、国民の知りたい権利を最優先するべきだ。それこそ東京電力の社員と同じ使命を担っている。ガイガーカウンターを握りしめて、放射線量をチェックしながら、ぎりぎりのラインまで近付いて視聴料を支払っている我々に、真実を伝える義務がある。政府の指示を守る、法律を守る以前に、国民の知る権利に応える義務があるはずだ。

それに、民法はこの非常時に何をしている。通常番組を流して、国民生活を元に戻すという狙いは分かる。しかし、福島原発で爆発が起きている、その裏番組でお笑い番組を流しているのはどういう神経をしているのか。私は、お笑い番組は大好きでよく見ているが、この非常時にそれはないだろう。
http://www.jcp-fukushima-pref.jp/seisaku/2007/20070724_02.html

さらに、枝野官房長官の記者会見で、読売新聞の記者が「燃料の再臨界はないのか」という質問をしていたが、このタイミングで、この質問をするのはかなり意図的なものを感じる。可能性としてはゼロではないが、海外のメディアでは専門家が出てきて、はっきりと「ゼロだ」と連呼していたが、日本政府のコメントとしてはゼロとはいえない。いたずらに、不安をあおっているとしか思えない。

放射線量にしてもそうだ。まったく人体に害のないレベルなのに、日常の560倍なんていう数字を報道している。かと思えば、テレビ朝日のワイドショーでは、作詞家が日本全体が節電すれば「計画停電なんてまったく必要ない」と、とんちんかんなことを言っていた。しかも、その発言が間違いであることを知っていながら、アナウンサーやアンカーマンは訂正しない。

いくら視聴率が取れるからと言って、不安をあおる報道は止めるべきだ。そんな状況ではないだろう。












lightroom0430 at 23:56トラックバック(0) 

2011年03月15日

原発の3基同時障害によって、日本経済による信認が薄らぎ日本株が売られている。テレビや新聞は、そういった報道を繰り返しているが、1000年に一度の大災害+原発事故とくれば、1300円ぐらい株価が落ちてもおかしくないとも言える。

しかし、実際にはリアルマネーがこんなに早く動くはずもなく、やはり2日で1500円の下落という一連の株価下落は、やはりリスクマネーがその中心にいると考えるのが自然だろう。

日経先物やオプションを使って、マネージドフューチャーズのようなシステム売買が中心になって、平均株価を売り浴びせて、下げていると見るのが自然だ。もしくは、日本株の先物を買っていたリスクマネーが、大きな下落相場でロスカットのために売っている場合もある。

コンピュータによる売買は、前につけた市場価格をブレイクして行くことを目指すために、とりあえずリーマンショックで記録した6994円90銭を目指すことになるのかな、という気がする。

ただ、東海地方にまで地震が拡大し、原発はレベル6ぐらいまで行くのではないかという懸念が広がり、ちょっと収拾がつかない状況だ。個人的にも、計画停電の枠内で、今夜久しぶりの停電を経験したが、なにも手が付かない。計画停電の実施だけで、日本のGDPの1%を押し下げると言った試算も出ているが、一刻も早く交通インフラを正常に戻す計画停電の実施など、東京電力の対応が待たれる。

それにしても、東京電力の社長は一向に顔を出さない。計画停電や原発事故のような重大な発表は、会長や社長が自ら出てきて説明するべきだと思うが、違うのだろうか。

社長が会見に出てこない企業は、どうも信用できない。

ちなみに、現在の日本株のマーケットというのは、ほとんどヘッジファンドの主戦場である「日経平均先物CME Globex CICAGO(NKD M1)」の値に支配されている。明日の朝の株式市場がどうなるのかは、CMEの日経平均株価を見ればある程度のトレンドは分かる。
http://futuresource.quote.com/quotes/chart.action?symbol=NKD+M1&compareTo=&topsyms=%24NI225-NKI&month=M&year=2011&chartAggregation=V&chartMinutes=5&chartStyle=BAR&chartSize=650x450&chartDensity=MEDIUM&userStudies=&x=0&y=0

lightroom0430 at 23:52トラックバック(0) 

2011年03月14日

地震の規模、津波の大きさからすると1000年に一度の大災害だと言っていた地震学者がいたが、まさに日本で起きた地震としては、マグニチュードの規模からすると、あながち大げさではないと思う。

リーマン・ショックが100年に一度なら、東日本巨大地震は1000年に一度の大災害と言える。太平洋戦争による敗戦で焦土と化した日本国土や日本経済ほどではないが、それに近いダメージがあったと考えたほうがいいのかもしれない。

ムーディーズは、当面は日本の財政状況に重大なない」という趣旨のコメントを発表したが、確かに銀行や年金基金など、日本には潤沢な資金を保有する金融機関が存在する。当面は大丈夫だろう。

今回の経済的損失をロイターは「10兆円を上回る規模」と見積もっていたが、阪神淡路大震災が2兆円程度(復興費用は16兆円+α)だったことを考えると、今回の被害の凄まじさが分かる。

阪神淡路大震災の時は、震災が起きて4ヵ月後に1ドル=79円台の最高値を付けたが、あの時はサリン事件や日米自動車協定がまとまらずに交渉決裂になるなど、様々なことが重なったものの、やはり大きな天災が起きたときは、円の実需が高まるために、当面は円高が続くと考えられる。

ただ、原子力発電所のトラブルが予断を許さない状況で、これがきちんと解決されないと先行きは不透明だ。ただ、日本のマスコミは、メルトダウンだの炉心溶融だの、恐怖感をあおる言葉ばかりが並んで、不安ばかりを煽っている。

その点、海外のCNNやBCCは分かりやすい。燃料の冷却に失敗すれば、燃料が溶けて炉の中が放射能で充満し外部にもれて放射能汚染が拡大する。だから、20キロ圏を立ち入り禁止にした……。ここまできちんと説明されれば納得もできる。

日本の大マスコミは、取材者が理解できないのか、それとも政府とか、東京電力に気を使っているのか、あるいはいたずらに不安をあおってはいけないという配慮なのか。言葉足らずで分からないことが多すぎる。

いずれにしても、日本経済の正念場であることは間違いない。テレビで頓珍漢な批判をしているコメンテイターが多すぎるのも気になる。太平洋戦争からの復興を目指した時と同様の国民の総意が必要なのかもしれない。そのためには、政府は思い切った経済政策を取る必要があるはずだ。







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