関東の強力なパワスポとして有名な埼玉県秩父市の三峯神社(みつみねじんじゃ)を紹介します。 



何度行っても心惹かれる場所のひとつです。
私も一年に数回は足を運んでいます。
もし皆さんが三峯神社を訪れるなら、一日かけてじっくりと楽しむことをおすすめいたします。
本殿での参拝のほか、縁結びの木、オイヌサマ(山犬・狼)のお仮屋(おかりや)、そして日帰り温泉、時間があれば奥宮(おくみや)への登山もおすすめです。
大自然を満喫しながら古代のロマンを感じつつ、心の洗われる時間を過ごせることでしょう。



三峯神社は秩父のずっと奥、埼玉県と山梨県の県境付近の山間部に位置しています。
三峯神社の敷地は広大です。緑に包まれ山全体が聖域となっています。
奥深い山ということもあり、豊かな自然の中にたたずむ境内は山全体が神聖な霊気に包まれています。
歩く距離もあり街中の神社とは違いちょっとしたハイキング気分を味わえます。
冬場は雪で凍っているので登山靴か底の滑らない靴がベストです。
本殿までの途中、いくつか面白いポイントがあるのでご紹介しましょう。



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■三ツ鳥居

まず参道入り口に立つ白い大きな鳥居が目に入ってきます。 

鳥居は一般に朱塗りのものが多いですが、ここでは白く塗られています。
そして形にも注意してください。
大きな鳥居を中心に小さな鳥居が左右につながった形をしています。
これが全国的にも珍しい「三ツ鳥居(みつとりい)」です。
これは、この世に最初に現れた三柱(さんはしら)の神様を表しているそうです。
日本書紀、古事記ともに三柱の神様が最初に登場します。
神様は数えるとき一柱、二柱といいいます。



「三ツ鳥居」で有名なものは奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)が特に有名です。
ちなみに大神神社は日本最古の神社のひとつで国家形成過程に深く関わる神社です。
また、少し形は違いますが立体的に3つの鳥居をあしらった三柱鳥居(さんはしらとりい)は京都の太秦(うずまさ)にあります。



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■オイヌサマの狛犬

この不思議な鳥居の両脇手前には狛犬が睨みをきかせています。
よく見ると山犬(狼)です。
よく目にする狛犬よりも細身で引き締まっていますね。
お稲荷さんの狐さんに近いかもしれません。
山犬と聞くと思わず映画「もののけ姫」に出てくる山犬の神を彷彿します。
三峯神社では狼が神の遣いとされているそうです。
かつて、ヤマトタケルノミコトが東征の途中でここを通ったときに狼が案内したと言い伝えられています。
村人からも「お犬様(オイヌサマ)」と呼ばれ、猪や鹿除けとして田畑を守り、また盗人や火災からも村を守ると言い伝えられ大切にされてきたようです。
狼と言えば人を襲う怖い動物というのが一般的ですが、ここでは愛すべき動物として親しまれているんですね。



三峯神社はヤマトタケルがここの三山の景色が美しいのでこの地に人間をつくられた始祖のイザナギとイザナミを祀ったのがはじまりといわれています。



三ツ鳥居の前で一礼して進みましよう。
ここから長く続く坂を登ってゆきます。
舗装されていて道幅も広いので歩きやすいです。
慌てずゆっくりと木々の緑の中を進むと参道に立ち並ぶ大きな石碑が自然と目に入ります。
全国から多くの寄付が寄せられているのがわかります。
木を何千本とかお金を何百万円とか寄贈された内容が石碑に刻まれています。
中には相当古い時代のものもあります。

■講社の石碑

全国にできた講社や氏子の石碑が立ち並ぶ風景は壮観です。
講社(こうしゃ)とは講(こう)ともいいます。
寺社の共通の信仰を持ったもの同士で組織されたグループです。
大きいものは村で組織され、代表者がお参りに来るといった具合です。
ちょっと違いますが、ねずみ講なんていう言葉もありますね。
これを見ても三峯神社がこんなにも山奥の不便な場所にありながら全国から人々の信仰を集めてささえられてきたんだなあとつくづく感じます。
その中にはあのキャノンの名もありました。



しばらく行くと左側にきらびやかな巨大な立派な門が目に入ります。
随身門(ずいしんもん)といい、鳥居と同じように本殿へ向かう参道に立つ門です。
だれもが深い森の中に建つこの門の色彩の鮮やかさに心を打たれるでしょう。
随身門で一礼をしてくぐり、更に木々の中の道を進みます。
いよいよ本殿も近いです。



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■手水舎

本堂の手前の手水舎(ちょうずや)で手と口を洗い身を清めます。
柄杓(ひしゃく)を右手でとり、一杯まで水を汲みます。
なるべくさいごまでこの一杯の水を少しづつ使いながら行います。
まず左手を洗います。
次に柄杓を左手で持ち替えて右手を洗います。
続けて水を左手に少し汲み、口にふくみ軽くすすぎます。
口に触れた左手を再び洗います。
さいごに柄杓を縦にして柄の部分にそって水が流れるようにして柄を洗います。



この動作だけ考えてみても象徴的とはいえ身を清めるのも徹底的ですね。
神様の前ではよほど人間は汚れているのでしょう。



ルーツは日本神話のイザナミノミコトが冥界より戻ったときに行った禊(みそぎ)にあるといわれています。
イザナミノミコトは言うなれば聖書に出てくる人間始祖アダムみたいな存在です。
日本神話の中では人間ではなく男性神として登場します。



この手水舎は冬の間は凍ってしまうため水には蓋がしてあります。
その代わりに小さなお払いが自分で出来るようになっています。
寒い冬に水で清めると冷たくて手がかじかみそうになるのでちょっと助かりますね。



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この手水舎のある場所に来ると目に飛び込むものは「大きな2本の御神木」とびっくりするほど背の高い真っ赤で芸術的な「灯篭」です。
芸術的な灯篭には思わずシャッターを切りたくなります。
撮影が終わったら今度は大きな御神木に自然に吸い寄せられます。
すると、参拝の後で御神木に願いをかけましょうというようなメッセージが掲げてあります。
そうか、まずは本殿で参拝ですねという感じでしょうか。
そこでここでのお願い事をする前に階段を上がったところにひときわきらびやかに見える拝殿へ心を正しながら進みましょう。
いよいよお参りです。



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■本殿と拝殿

拝殿と本殿は黒を基調としながら金、緑、赤色の豪華な装飾が施されていて大変見事です。



心を落ち着けて、お賽銭を静かに賽銭箱に入れます。
神前ですので投げ入れるよりもこのほうがよいようです。



一礼二拍手一礼が基本です。
私の場合は神様への感謝とお願いがあるので最後の一礼をする前はしばらく祈ります。
聞いた話で私もそうしていますが、自分の住所を言い名前を心の中で言うとよいそうです。
人間世界でも名乗ることは大切ですね。



まずは感謝の言葉から、お願い事はその後で続けます。
さいごに一礼です。



これで心がすっきりしました。



更に、絵馬をいただいてお願い事を書き込んでかけてきます。
絵馬は初穂が500円です。

■ご神木

次に先ほど通り過ぎた御神木のところへ戻り、巨木に直接触れて気をいただきます。
御神木は巨大な杉の木が2本あり、それぞれ手を触れられるようになっています。
囲いがしてあり一人づつ入って杉に触れながらお願いができるようになっています。
何百年も多くの人たちが触れてきた木の肌はその一部分だけがつるつるになっています。
御神木の囲いの入り口には深呼吸をしてなでながらお願い事をしましょうと書いてあります。



大きな御神木はまるで噴水のように大地の気を吸い上げて天に放っているようです。
木は天につながっていると聞いたことがあります。
また神様が木を梯子として降りて来られるとも聞きました。
御神木の立つ場所は特別だからその場所に立つ木も特別大きく成長できるようです。
更に放射状に気が放出されていて周りの木もその影響を受けて育つそうです。



太古の昔、全国の神社のあった場所にはもともと社殿はありませんでした。
神が宿る特別な岩や木の前に直接、祭壇を築いて祭祀を行ったそうです。
御神木はそれだけに神社の霊的な力を担っているのかもしれませんね。



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拝殿の先には社務所や売店があります。
売店では狼にちなんだぬいぐるみやTシャツなどのグッズが売られています。

隣接して白塗りの古い4階建ての大きなビルが建っています。
ここは興雲閣という宿泊施設です。
ここの温泉は日帰り温泉としても利用でき、手ぶらで気軽に湯に浸かることができます。
入浴料は五百円で、手ぬぐいは百円で売られています。
秩父の大滝温泉と同じ天然温泉です。
湯舟も洗い場も広々としていて気持ちがいいです。


■縁結びの木


興雲閣から細い道が先へ続いています。
この先は人があまりこないのでひっそりとしています。
木々の中をゆっくりと坂を登ってゆくとまもなくして右手の斜面に木の祠が現れます。

ここには台の上になにやら箱と小さな引き出しが置かれています。
ここでは言い伝えが書かれています。
二種類の紙にそれぞれ名前を書いてその紙を合わせて、よりをつくり奉納すると、ふたりは結ばれるという話です。
そこに書いてあるように引き出しには「青い縁の紙」と「桃色の縁の紙」が入っています。
青いほうは男性の名前、桃色のほうは女性の名前を書きます。
この紙を重ねてよりをつくります。
そしてそこにおいてある箱の中へ願いをかけながら入れます。
この一連の動作に心をこめてお参りしていると気が付かないのですが、一歩下がって見上げるとそこには注連縄のかけられた木が立っています。
違う種類の2本の木がぴったり抱き合っているように立つ夫婦木です。
なるほど、お参りしていた対象はこの木だったんだなと気づかされます。
お相手がいない人もいる人もここでお参りすると、この木のようになれる気がしてきますね。



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■お仮屋


縁結びの木から更に坂を進んでゆくと古い石段が右手にのびています。
この先がオイヌサマのお仮屋です。
おそらくは縁結びの木までは足を運ぶ人もいると思いますが、このお仮屋まで来る人はさすがに少なそうです。
でもここがなかなか味わいのある場所です。



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不揃いでひなびた長い急な石段を登りきると、そこには山犬の群れに囲まれて建つ古い社があります。
岩の上や下に何匹もいる山犬の石像はまるで生きてうごめいているようでもあり、こちらを静かにうかがっているようでもあります。
お仮屋という名の由来は、本来は山の奥深くにいらっしゃるオイヌサマに対し、
この場所からもお参りできるよう仮の社をつくったところからそう呼ばれているようです。
なんだか本当にこの山奥にオイヌサマが生きて棲んでいるように感じられます。
木々に囲まれた静寂な社の前に立っていると神聖な霊気を肌で感じられ不思議な感覚にとらわれます。

三峯神社のお参りの際にちょっと寄ってみたいポイントを紹介いたします。



■大山倍達の記念碑
いまは亡き偉大なカラテ家、極真カラテ会長「大山倍達(おおやまますたつ)」氏のレリーフ記念碑があります。
大山氏は人気コミック「空手バカ一代」のモデルとなっています。
大山氏はカラテ修行のためによくこの地に入り山篭りをされたそうです。
弟子たちはここに氏を偲んで碑を建てたそうです。
はたして、大山氏はオイヌサマを見たのでしょうか。



■ヤマトタケルの銅像
三峯神社の創建の由来ともなっているヤマトタケルがここにいます。
彼がここの三山の景色が大変美しいことからこの地にイザナギとイザナミを祀ったといわれています。
いまの奈良の地から関東の豪族を平定するためにはるばるやってきたんですね。
古事記、日本書紀の中でもドラマチックに語られているヤマトタケルの巨大な銅像が山の頂に建っています。
片手を振りかざして立つ勇ましい姿に古代の戦士の姿を見ることができます。
戦いに明け暮れたその生涯を思うとき英雄のもうひとつの側面の哀しみを感じます。
当時の衣装や剣が見事に表現されています。
頂上のまで上るのにちょっとありますが、一見の価値ありです。


■奥宮の遥拝所
遠くに見える妙法ケ岳山上には奥宮があります。
そこまで行くには一時間半くらいの本格的な登山をしなければなりません。
遥拝所では、奥宮まで行けない人たちが遥か前方の妙法ケ岳参上の奥宮に向ってお参りすることができます。
本殿に向かい拝殿でお参りするのとはちょっと違った趣があります。
より自然と一体となった神聖さを感じることでしょう。


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■奥宮(おくみや)


三峯神社の駐車場から山道を進み途中3つの鳥居をくぐりながら奥宮へ至る山道があります。
片道一時間半とはいえ、ここからは本格的な登山です。
登山靴とできればステッキがあるといいでしょう。
登山口には第一の鳥居があります。
一礼して無事お参りができるよう心を落ち着けて進みます。


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じっくり自然を堪能しながら木々の緑の中の斜面をジグザグにあるときは一直線に登ってゆきます。
木の根がはりめぐらされ、ちょうど階段のようになっていますが登りにくいです。
運動不足の人は翌日の筋肉痛は免れないでしょう。
それでも第2の鳥居までは比較的穏やかな表情です。


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ところが第3の鳥居をすぎると、山容は一転します。
岩肌を見せ始め、落雷による倒木や裂けた大木が随所に見られます。
頂上が近くなるにつれギザギザな大きな岩が目立ちます。
細く階段状に削った急な斜面を錆びた手摺につかまりながら登ります。
もう頂上は近いと感じると、さいごの難関です。
岩の壁を鎖を伝いながら登ります。
ほとんど腕の力でぐいぐい上がる感じです。


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頂上につくと急に緑から抜け出し岩山の上に造られた石の祠が出迎えてくれます。
荒い息を整えながら、山頂からの美しい景色と小さな山犬に囲まれた祠に目がいきます。


ここもやはりオイヌサマに守られています。
大小たくさんのオイヌサマをみることができます。
遥か遠くの眼下の緑の中にあるであろう三峯神社のある場所に目を向けると遥拝所が僅かに小さく見えます。
ここまで来れてよかったと心の中で思います。
あそこからは想像もできないこの場所に自分は立っているという誇らしさにも似た気持ちがします。
心がより研ぎ澄まされ、神様との距離も近くなった感じです。
息も心も落ち着いたらお参りです。

(合掌)

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