July 19, 2006

[幻/記]−001

(要反転)



夕闇が太陽を追い払って黒が巡る。
今宵は朔。
月すらもフェンリス狼の下僕によって隅に追いやられる。
闇の眷属の、聖日。
血管という血管が血を求め、咽喉はひび割れそうなほどに渇ききる。
それは僕とて例外ではない。


―――だから、朱を傍に置いている。


「―――・・・ぬげ、たよ・・・、夜・・・」
漆黒の部屋の中で、頬を紅潮させてたたずむ白磁の肌の少女。
「ふふ・・・いい子だ、朱。 今そっちに行くからね・・・」
私と違って闇を受け入れてない彼女には、この黒の中で動き回る術はない。
一歩ずつ、ゆっくりと、じらすように、蛇行しながら。
獲物を狩ろうとする獅子の如く。
密林を潜み行く大蛇の如くして。
視界が無に染まっている朱に触れる。
「ひゃん・・・!」
小動物のような啼き声。
彼女の肩に触れた手が、心地よい冷たさを得る。
「さて、いただくよ・・・」
項に下を這わせ、キスマークをつけてから、一噛み。
「っ・・・う・・・」
じんわりと口の中に血の味が広がる。
咽喉が潤っていくのが解る。
眉をしかめ、痛みをこらえる朱の顔を上目遣いに見やった。
頬の紅潮具合が増していた。
僕は、さながら授乳期間中の赤子のように、朱の血を吸う。
「は・・・っく、ぅ・・・、ど、どぉ・・・? 僕の血、今日、も、おいしぃ・・・?」
質する言葉は途切れ途切れで。
息も絶え絶えに声が絞り出されているのを聞き届ける苦痛。
しかしそんなものは吸血の快楽の前に為す術もなく討ち滅ぶ。
血を吸う速度を上げることによって、彼女への肯定の返事とした。
「は・・・! ぁ・・・ふ、、や、やだぁ、、夜ぅ・・・やめてよぉ・・・・・!」
突然の衝撃に、一層甲高い声で朱は喘ぐ。
静止をしているつもりなのだろうが、快楽におぼれている今の僕には、甘い喘ぎは同意の返事と同義だ。
もっと。
もっと。
吸う。
肺活量の限界まで叩き起こして、吸い続ける。
「そ、そんなに吸われたら・・・倒れちゃうよぅ・・・・!!」
泪と喘ぎと悦楽が三重奏で耳を擽る。
あぁ、なんて心地よいんだろう。
其処まで言われてとめられるほど、僕の意志は強くはない。
後10秒。
それだけあれば僕は満たされる。
わずかに残った良心で、いつものように彼女に非礼をわびながら。
吸う。

「あ、もう駄目・・・・ぇ―――!!!」

頭蓋が前に垂れる。
気絶したのか。
・・・いや、気絶させたんだよな。

「ごめんな・・・朱・・・。 僕は女だから、こういう風にしか君と交われないんだ・・・」

つぶやき、噛み痕を一撫で。
かすかに残った血の珠が、手のひらを紅く穢した。


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July 06, 2006

『空気』

And I reflection.

And I reaction.

And I remove.

And I ......


『近況報告』

“お元気ですか?”
“私は元気でやっています”
そう綴った手紙を
遠く彼方に届くかなと
紙飛行機にして
空に放った


July 03, 2006

『郷愁』

お郷をでてはみざれども
我心は常に母屋忘れず

『君を待つ』

度で


年で


幾星ても




――――――約束の所でを待つ