好きなことだけ・小玲の電影日記、ときどき舞台、まれに本

映画、芝居、読書が道楽です。 好きなことをいっぱいいっぱい語りたいです♪

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「本当のところ、僕はこの物語を終えたくないのだ」
            (高橋啓・訳 東京創元社)

読み始めた当初は

「なんだこりゃ??」

というのが率直な感想だった。

本の説明によれば、

ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者であり、
<第三帝国で最も危険な男><金髪の野獣>と呼ばれて恐れられた、
ラインハルト・ハイドリヒの暗殺計画を決行した
2人のパラシュート部隊員の物語、

であったはずだ。

だが、なんだこりゃ? この文体は。
作者がこの話について調べていること、
映画を見たり、資料を読んだり、
そんなことが延々書かれて…………と面喰ううち、

本来の主人公とみられる2人、
ヨゼフ・ガブチークとヤン・クビシュが具体的に登場してきた辺りで
この物語が私の中で俄然輝きを放ち始めた。
それが380ページあまりあるうちの
180ページを過ぎたころだ。

ハイドリヒをはじめナチ関連の話については
作者のいうとおり(と私が感じたように)、
あくまで資料に基づく客観的事実を述べるにとどまっていたのが、

ガブチークとクビシュ、
そしてヴァルチーク、その他の人々のいた時代、
どころか、その時、その場所に自身がいて、
直接事件を目撃したかのように、
いやいや、ときにガブチークになりきったかのように
その場、そのときを描き出す。

そこからは一気読み、
ページを繰る手が止まらなくなった。
そして、私も涙した。
この話が終わらないように、と。

2010年にプラハを訪れたとき、
この本はもう刊行されていた。

そのときにこの本を読んでいれば、
もっと大切にあの町を歩いたろうに。
それが悔やまれる。
 

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