我がドイツが優勝したワールドカップ2014から
もう3年。
今年はコンフェデ杯があり、
来年はロシアでのワールドカップ! (←大丈夫か??)

そんなこんなでサッカー関連の本です。




「倒れた後のオシムさんの口癖が

 『オシムが日本にいた痕跡を残したい』だった」

                (千田善 みすず書房)


ワールドカップの放送では、

スカパーのオシムの解説が面白くて、

オシムの通訳を勤めていた

千田さんの公式ブログも面白くて、


つい手に取った一冊。


オシムの代表監督就任から

病に倒れたときのこと、

そのあとのこと、などなど、


いかに大変できびしい状況にあろうが、

それでも仕事を楽しんでいらしたような。

(と、僭越ながら思う)


千田さんの語り口はあくまでソフトだけれど、

実はそこに書かれたひとつひとつのできごとがすべて、

戦いの連続というか、

激動の日々だったのではないか。


オシムの出身旧ユーゴスラビアは

今は解体されて7つの国(で、いいんだよね?)になっている。


その過程の悲惨さ。


千田さんのブログにもたびたび登場する

とてもチャーミングなアシマ夫人も、

死線を乗り越えて生きてきた。


近頃少しばかり“旧東欧”と呼ばれる世界に

興味を持ち始めたのだけれど、

いまの姿になるまでに

どれほどの血が流されてきたことか。


千田さんは声高に叫ぶわけではないのに、

サラリと言ってのけたところに

「あ」と思うことがあったり、

「うーん」とうなったり、

奥ゆかしいけれど、深い知性を感じる語り口だ。


そして、サッカーへの愛と

オシムへの愛にあふれてる。


オシムが倒れたときのことは

わたしもかすかに記憶している。


そして今、

オシムがサッカーを語り、日本を語る姿を見られることに

感謝したい。

千田さんという類まれな通訳者の存在にも。


もうひとつ、印象に残ったこと。


アスリートに対し

「頑張ってください」という人がいるが、

いま頑張っている人に追い打ちをかけるようなことが

なぜ言えるのか、

わたしにはとても不思議だった。

というか、

いま頑張っている人をさらに追いつめるようで

わたしにはとても言えなかった。


日本語の「頑張る」は訳しにくい言葉だけれど、

千田さんは「戦う」と訳した。

オシムはリハビリに励む頃、

「よく頑張った(≒よく戦った)」という言葉を常に聴いたという。


「頑張る」≒「戦う」


この訳語のセンス。


翻訳や通訳が外国語に堪能なだけではできないことの

証明になっていると思った。






オシムの伝言

2人とも、いい笑顔ですね~