「年金申請書」が入った緑の封筒が郵送されてきたときは、まだ遠い先の話だと思っていたが、年を取って月日の経つのが速くなったようだ。(年を取ってよくなったことの数少ない変化かもしれない)
ネットで申請の日時を指定する。
私みたいな独身老人にとって、人生に残されたイベントと言えるべきものは数少ない。
極めて大雑把に言えば、残りは「仕事からのリタイア」、「終末」の二つしかない。(笑)
この年金申請、それとおそらく2~3か月後に振り込まれ始められるであろう年金支給開始は、そうした残された数少ない(小)イベントといえばイベントである。
その日、晴れがましさと若干の不安を抱えながら年〇事務所に赴く。
若干の不安というのは、申請がスムーズにいくのか・・役所(政府関係機関を含む)的くだらない揚げ足取りで晴れがましさが不愉快さ・・更には怒りに変わるのではないか、そして血圧が上がりはしないか(笑)という不安・予感である。
私の場合、定年後再雇用とはいえ途中転職も一切せず同じ職場で40年変わらず勤めあげ、幸か不幸か家族もなく、幸いなことに障害もなく、手続に何の複雑な要素や不安も本来ないはずだ。
全く何のイレギュラー要素がない申請である。
唯一不安要素があるとすれば、振り込み希望の銀行口座がネット銀行であり、預金通帳もなければ、キャッシュカードに口座番号も記されていないことぐらいか。
ネットからダウンロードした口座情報をプリントしたものを持って行った。
お役所の病理性を感じたのは、そのプリントされた紙に「この口座は間違いなく私の口座です」と書いてくれと言われたこと。何か変?。
そもそもこの間マイナカードにこの銀行口座を紐付けしたはずなのに?
そもそも審査の上で実質的に一番大事なことは、この申請者が本当にこのマイナカードや住民票に記載された本人かどうか確認することではなかろうか?
本当はマイナカードの写真と実物の申請者が同一人物かどうかマジマジと穴が開くほど目視することが、この手続における核心部分ではなかろうか?
江戸時代の人相書でホクロの位置などを検分する関所のお役人のように。
しかし、それはチラ見するだけ。まあ日本人だから・・。
どうも役所のやることは本質と形式に、目的と方法にずれがあるということを感じることが多い。
例えば、私はほとんどあらゆる買い物、引き落としは、一つのクレジットカードかそれに紐付けしているネット銀行口座1本に統合している。
スーパー、楽天、アマゾン、水道、電気、ガス、通信費、たまにコンビニATMでの現金引き出し・・それらはクレジットカードを通すか口座引き落としでか、いずれにしても1つのネット銀行口座で賄っている。
ところが、唯一これが出来ないのが毎年の固定資産税である。
一度私のネット銀行を引き落としとするの手続を試みたことがある。
しかし役所は頑として受け付けてくれない。
政府は「DX推進」を重要政策課題として掲げているはずだ。
一等地の店舗も要らず、わずか数千円のお金の扱いにも笑顔で対応する高い給料をもらっているであろうピカピカの銀行員も要らないこうしたネット銀行というものは、この「DX推進」に大いにかなった業務形態だと私は思う。
少なくとも大手ネット銀行の口座引き落としぐらい認めてよさそうなものだが、そういうものは得体のしれない「黒船」扱いされている。
仕方がないので毎回コンビニで納付書払いしている。
「DX推進」への真剣な取り組み、納付書発行ののコストなど、制度変更に伴うトラブルリスクに比べれば取るに足りないものなのだろう。
要するに役所とはそういうものなのだ。全部の職員でもなかろうし、昔ほどではないかもしれないが。(もちろん私の個人的な感想です)
役所の手続には往々にしてこうした〇態じみたものがあるものだ・・と何とか気を取り直す。
ところが、手続後半「お役所の病理」が炸裂する。