ポール・グレアムの「文章術・簡易版」(Writing, Briefly)を翻訳しました。原文はココです。
なお翻訳にあたり、practicalscheme様、kokezaru753様のコメントを反映させています。
http://q.hatena.ne.jp/1142919962


文章術・簡易版

2005年3月

(多くの人が、文章術に関するアドバイスを求めている。その1つに答えていたら、たまたまそのテーマに関する短いエッセイになってしまった。私はふつう、1つのエッセイに数週間をかける。このエッセイには67分かかった -- 執筆に23分、推敲に44分だ。私は実験として、このエッセイをオンラインにアップしよう。少なくとも内容はとても濃い)


私は、たいていの人が考えているよりも、上手に書くことはずっと重要だと思う。文章を書くことは考えを単に伝達するだけじゃない。考えを生み出すんだ。文章を書くのが下手で好きでもないなら、文章を書けば生み出せていたアイデアのほとんどを逃してしまう。上手に書く方法に関する簡易版を示そう:


下手なバージョン1をできるだけ速く書く。
何度も書き直す。
不要なものをすべて削除する。
会話調で書く。
下手な文章に対する嗅覚を磨く。そうすれば自分の文章のまずいところを直せる。
好きな作家をマネる。
書き始めることができないときは、何を書くつもりなのかを誰かに話し、自分が言ったことを書き留める。
アイデアの80%はエッセイを書き始めた後に生まれることと、書き始めたときのアイデアの50%は間違いであることを覚悟しておくこと。
文章を削除できるだけの自信を持て。
あなたの文章を読んで、どの部分が混乱し理解の妨げとなるか教えてくれる、信頼できる友達を持て。
(いつもというわけではないが)詳細なアウトラインを作るな。
書く前に数日間、よく考えろ。
小さなノートか、メモ用紙を携帯すること。
最初の文を思いついたら書き始めよ。
締め切り前で時間がないときは、単純にいちばん重要な文章から始めよ。
好きなテーマについて書け。
感動させようとするな。
エッセイで扱うトピックを変えることをためらうな。
余談には注釈を使え。
文を結びつけるために前方参照を使え。(訳注: 照応関係で先行語句の代用として代名詞などを用いること)
エッセイを声に出して読み、(a) つっかえる回りくどい言い回しや、(b) 退屈な部分(読むとすっごくつまらないパラグラフ)を見つけだせ。
読者に新しく役立つことを伝えるよう努めよ。
十分な時間をかけよ。
文章を再開する場合は、最初に今まで書いたものを読み返せ。
中断する場合、簡単に再開できるところでやめておけ。
触れたいと思う話題のメモをファイルしておけ。
それらをすべてカバーしようと思うな。
流行歌は安物のカーラジオで鳴らされても良いように作曲されるが、それと同じように、あなたほど注意深くエッセイを読まない読者のために書け。
なにか間違ったことを書いたら、すぐに修正しろ。
どの文章を自分がいちばん後悔することになるか、友達に尋ねろ。
文章を読み返して、乱暴な言葉を和らげよ。
原稿をネットに公開しろ。読者はあなたの執筆を強いるので、より多くの考えを生み出せるからだ。
スクリーンを眺めていないで、原稿をプリントアウトしろ。
シンプルで実用的な言葉を使え。
大事な話と雑談を区別することを学べ。
うまい締めくくり方に注意しておき、発見次第、自分のものにすること。