理屈パズルのルールは以下です。
読者に次のようなストーリーが示される。
[1]日常生活で、ごくあたりまえに起きそうな軽い出来事が発生する。
[2]しかしその出来事に対して、主人公は、一般の人とは非常に異なる反応を示す。
そして読者は、主人公の奇妙な行動を説明しなければならない、というパズルです。
ただし、
主人公が奇妙な言動をした理由は、「主人公が極端に論理的で、かつまた、極端に言葉を厳密に捉えるから」
という理由だけで説明がつかなくてはなりません。
また理屈パズルでは、主人公は、他人が「わざと嘘をついている」という発想だけは、決してしません。
それを言い出すとすべてを嘘で片付けることも可能だからです。
ただし主人公は、他の人が「誤解をしている」と思うことはあります。
また文章中にない(もしくは、作者が書き漏らした)条件については、一般的なケースを想定するものとします。
たとえば主人公Xが、文章中に明記されていない非常に特殊な属性を持っている
(たとえば「B美」という名前の男であるとか、双子のうちの一人であるとか)
というのはルール違反です。
また推理に必要な条件は、すべてストーリー中に過不足なく読者に示されていなければなりません。
さらにストーリー中では、一般的な読者がそのストーリーや用語や描写から想像するものと
非常に異なるシチュエーションを、わざと隠して描写してはいけません。
たとえばストーリーに「A子とB美が教室で話していた」と書いた場合、
実は正解を読むと「2人はどちらも60代の男性で、深夜の理科実験室でタガログ語で話していた」
とわかる、というような問題をつくってはいけません。
おおざっぱな言い方をすれば、主人公の言葉に対する厳密さだけが異常で、
周りの人も状況もストーリーも、普通でなければいけません。
言い換えれば「ビデオチェック」をパスしなければなりません。
このパズルをビデオ化したときでも、パズルとして成り立つ必要があるのです。
このパズルは、推理小説といい対照をなしています。
「推理小説」はふつう、
[1]非日常的な状況において、
[2]いっけん不可解な事件が発生し、
[3]それを常識的な感性と、鋭い論理と、適度な言語感覚を兼ね備えた探偵役があらわれ、
[4]実はその事件は、犯人が念入りに仕組んだものである
ということを論理的に説明するストーリーです。つまり 読者は、基本的には探偵と思考や感性を共有できます。
しかし「理屈パズル」のストーリーは、
[1]日常的な状況で、
[2]ごくあたりまえなできごとが発生し、(もちろん誰も仕組んだ者などいない)
[3]しかし常識的な感性と、鋭い論理と、異様に言葉を厳密に捉える主人公があらわれ、
[4]実はその事件には、深い論理的必然があったと思いこみ、端から見て異常な行動を取ります。
そして、主人公がどのように思いこんでしまったかの説明を要求するパズルです。
主人公の行動自体は論理的なのですが、その論理が桁外れに厳密なので、読者は、基本的には主人公と思考や感性を共有できません。
まあ少年マガジンでいうなら、このクイズは「探偵学園Q」ではなくて「MMR」に近いと思ってください。
あたりまえな出来事に異様な解釈を行って騒ぎ立てる変人を、笑って楽しむという問題なのです。
過去にいくつか問題をつくっています。新しい順に示すと以下です。
「寿司屋のマナー」http://q.hatena.ne.jp/1227452587
「次回予告」http://q.hatena.ne.jp/1225795407
「サンタクロースっているんですか?」http://q.hatena.ne.jp/1221410130
「僕の小説はどうだった?」http://q.hatena.ne.jp/1202395231
「どうしてそう思うの?」http://q.hatena.ne.jp/1193333504
「2人とも安心して」http://q.hatena.ne.jp/1162255292
「どこが?」http://q.hatena.ne.jp/1159722386
「腐れしゃぼん玉どもが」http://q.hatena.ne.jp/1159112104
「これで満足かしら?」http://q.hatena.ne.jp/1156955676
「何度言っても聞きゃしない」 http://q.hatena.ne.jp/1156087598
「変な人よね」 http://q.hatena.ne.jp/1155355749
「あなた・・・死ぬわよ!」 http://q.hatena.ne.jp/1154875957
「犯人は姫よ!」 http://q.hatena.ne.jp/1153579919
「うらやましくも何ともないわ!」http://q.hatena.ne.jp/1153232357
「断じて嫌よ、この悪党!」http://q.hatena.ne.jp/1153134524
「お幸せに!」http://q.hatena.ne.jp/1153041947
「この人でなし!」http://q.hatena.ne.jp/1152977830
また理屈パズルを募集もしています。
新しい順に
steeliron様作の「ひどい親になりたいのね」 http://q.hatena.ne.jp/1158673707
moonan様作の「あなたにはジャイアンがふさわしいわ!」http://q.hatena.ne.jp/1156216199
crisis-christ様作の「勘弁してよ!」http://q.hatena.ne.jp/1153621635
moonan様作の「とぼけないで!」http://q.hatena.ne.jp/1153573293
nano327様作の「あるわけないでしょ!」http://q.hatena.ne.jp/1153279990
が寄せられています。みなさまもぜひご参加ください。
また、はるか昔の作品として、以下があります。これは正解付きなので読みやすいです。
ただ、キズや致命傷があるものが多いです。
「ダメな奴は何をやってもダメ」(←単純な分、入門には最適)http://www.nurs.or.jp/~lionfan//mainichi_2006_093.html
「絶対、嫌よ!」(←B美の初登場。大学時代。いちばん気に入っています)http://www.nurs.or.jp/~lionfan//mainichi_2006_091.html
「上手くいくわけがないでしょう!?」(B美の高校時代)http://www.nurs.or.jp/~lionfan//mainichi_2006_087.html
「『仔虎のぬいぐるみ』事件」(B美の幼稚園時代)http://www.nurs.or.jp/~lionfan//mainichi_2006_079.html
「『紅の豚』事件」(B美の小学校時代)http://www.nurs.or.jp/~lionfan//mainichi_2006_080.html