100円レコードコーナーに寄ってみよう 214

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Super Lover Cee & Casanova Rud   Romeo  Giggolo
Super Lover Cee & Casanova Rud / Romeo / Giggolo
12inch


100円レコードの残骸を拾いに行くお仕事へ。近年中古レコードの価格は全体的には底上げして、昔100円コーナーでよく見かけたタイトルの中には300円くらいに値上がりして売られるモノも見受けられる状況。とはいえなかなか浮上できないタイトルも多く、いつも書いてますが90年代から2000年代のヒップホップの12インチ不人気シングルや当時大量に流通した殺風景な再発やブート12インチは蚊帳の外のモノも多い。

Super Lover Cee & Casanova Rud が1991年にリリースした Romeo / Giggolo の下に掲載したジャケ付き12インチシングルのオリジナル盤は一昔前のヒップホップコレクターにとっては印象に残ってるアイテムではないかと。
Super Lover Cee & Casanova Rud Romeo Giggolo  1991

2000年前後には需要の高さから高額で取引され、また当時のレコード屋のヒップホップ中古盤放出セールでは目玉商品としてコレクターに注目された時期もありました。1991年のオリジナル盤は Super Lover Cee & Casanova Rud の他のタイトルの12インチと比較して流通量が少ないような気もしますが、それゆえ後に白ラベルのブート盤や Epic レーベルからプレーンスリーヴに入った正規の再発盤が流通しました。今回100円コーナーから持ち帰ったのは Epic の正規再発盤で、discogs を見てもリリース年は不明となってますが当時のレコ屋の記憶だと2000年ちょい過ぎくらいだったような気もします。ちなみにオリジナル盤は昔ほど高額ではないにせよ古典ヒップホップのファンには根強い人気があり一定の価格はキープされているようです。

A面は Wally Richardson のジャズファンクナンバー Monday Monday 使いの太いビートが印象的な Romeo。プロデュースはキャリア初期から親交の深かった Paul C ですが彼は1989年に亡くなっているので、作られたのはファーストアルバムをリリースした1988〜1989年頃なのかも。
B面は Funkadelic / You'll Like It Too のお馴染みのドラムに Billy Preston / Nothing From Nothing を乗っけた激キャッチーな大ネタ使い。こちらは90年代ヒップホップファンには Nubian Crackers 名義での作品も知られる Undercover Brother のプロデュース。両面ともにご機嫌なラップも最高な当時らしい楽曲といえる。

曲は最高とはいえやはり再発の12インチでは90年代初頭のヒップホップのわくわく感が乏しいのかなというのは当たり前だけど、この辺のジャンルをコレクトされる方はもう大人になって経済的にも余裕があると思うのでレコードで欲しければオリジナル盤を買うのかな。100円とチープな再発盤を手に取る方は、自分のような拾い食いが好きな暇人が再発盤の歴史的資料として眺めるため、もしくはこのジャンルをコレクトし始めたばかりでとりあえずレコードの枚数を増やしたい超初心者がなかば訳も分からずに買う、もしくは DJ 使用の際にオリジナル盤をこするのがもったいないと感じる方が練習用で使うために買う、そんなところかもしれませんが、先のことを考えるとこういった需要が乏しい再発の100円盤も年月の経過にともないいずれは市場から無くなっていくのでしょうね。

Super Lover Cee & Casanova Rud は1991年にメジャーの Epic と契約して今回のシングルをリリースしましたが、Epic からのリリースはこの一枚のみ、Paul C が生きていてもう一枚くらい太いビートのアルバムを作ってくれてればきっと楽しい作品になっていただろうなとも考える。そしてその次のリリースは1993年に Wild Pitch レーベルに移籍しての7曲入りミニアルバムとなっている。

今回のラベルデザインの Epic のヒップホップ12インチ再発は数タイトルかシリーズ化されリリースされてたと思いますが、他のタイトルで思い出せるのは Divine Styler / Ain't Sayin Nothing くらいであります。

Super Lover Cee & Casanova Rud / Romeo

Super Lover Cee & Casanova Rud / Giggolo

最近買ったレコード

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Mestizo Beat Jaragua 2024 F Spot
Mestizo Beat / II The Deepcyde (feat. Jamie Allensworth)
アルバム Jaragua に収録


先月末にリリースされたファンクバンド Mestizo Beat のセカンドアルバムを購入。Mestizo Beat のファーストは2020年にリリースされコロナ禍の不安ななか当時店でもそれなりに流していたのもありわりと印象に残ってますが、そんな彼らの新作というので期待。
Mestizo Beat は、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とする、70 年代初期のファンク & ソウル、ラテン・ジャズ、アフロビート、サイケデリック・ロックをブレンドしたサウンドのアフロ・ラテン・ソウル・アンサンブルということで、アルバム収録曲はざっくりいうと当時っぽいファンクやジャズファンク的なレアグルーブサウンドを今風にアップデートしたような楽曲がズラリと並ぶ。70年代の音源をコレクトして慣れ親しんでる方も当時の路地裏や緊張感、スモーキーさみたいなのを現行ファンクバンドが憧れを持ちつついかに再現しようと試みたかを考えるとにやけてしまう場面も多いに違いない。
70's ブラックスプロイテーションのサントラで聞けるチェースものをオマージュしたのかなと思えるような曲を聞いてるとワクワクしますが、欲しいところにちゃんと B-Boy ブレイクが配置されたりと雰囲気はバッチリだったりする。唯一のボーカル曲 II The Deepcyde はカーティス辺りの匂いも感じ、張り詰めた緊迫感は70’sのそれらとは比較できないが、こちらもよくできています。
アルバムを通すといろんな方向からアプローチしてるとはいえ同じようなテンションの曲が続くので退屈になりがちなジャンルですが、作曲、アレンジ、演奏、どれも水準以上だからか聞き飽きしないのは彼らの能力の高さなのかもしれません。

Mestizo Beat / II The Deepcyde (feat. Jamie Allensworth)

Mestizo Beat / She's A Rose

最近買ったレコード

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Cherrelle  When You Look In My Eyes 1984 Tabu
Cherrelle / When You Look In My Eyes (12inch Extended Version)
12inch


Tabu レーベルの歌姫といえば Cherrelle。彼女の1984年のデビューアルバム Fragile からサードシングルとしてカットした When You Look In My Eyes の12インチを購入。レーベルメイト Alexander O'Neal とのデュエットを含め印象に残る曲を多くリリースした Cherrelle の中では地味なタイプに見受けられますが、個人的にはたまにタンテに乗せるのでわりと好きな曲といえる。ロングヴァージョンの12インチは見かけても今までスルーしてましたがようやく手に取ることになりました。
制作は後にスーパープロデューサーとなる Jimmy Jam and Terry Lewis で、1984年というと時期的にはキャリア初期の仕事。 When You Look In My Eyes は Jimmy Jam and Terry Lewis が Tabu レーベルで先に手がけてヒットさせた SOS Band の作風に通ずる80年代中盤らしいアーバンコンテポラリーなミディアムナンバー。アルバムの 4:48 ヴァージョンに対して12インチではイントロや間奏を付け足し 8:10 とかなり長い尺に仕上げています。なにか大きな仕掛けみたいなのがあるわけではないのでアルバムヴァージョンに慣れてると少し退屈にも聞こえなくもありませんが、元々の美しさを崩すことなく気持ちよさをより長く持続させたヴァージョンといえるでしょう。
Jimmy Jam and Terry Lewis は今月後半に来日してライブを行うということでどんなステージになるんでしょうね。

Cherrelle / When You Look In My Eyes (12inch Extended Version)

Cherrelle / When You Look In My Eyes (Album Version)

Burdon Gin Hierbabuena

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Aaron Frazer Into The Blue 2024
Aaron Frazer / Thinking Of You
アルバム Into The Blue に収録


ソウルミュージックを楽しみながら気持ちよく酔える一本を紹介のコーナー。今回はスペイン産のクラフトジンから、ブルドン ジン イエルバブエナをピック アップ。

海外産、国内産あわせクラフトジンは引き続きリリースされる銘柄が多い状況で、正直どれを買ったら良いのか迷いますが、お酒を扱う同業の方やバーテンダーさんが遊びに来たときに色々教えてもらって試し買いすることもあります。今回の銘柄はそんな中の一本で、イエルバブエナというミントの一種をキーボタニカルに使用。ミントの香りが濃厚なのでそれなりに個性的な味わいに感じるジンということでこれからの暑い季節にはソーダやトニックで割ってモヒート感覚でカジュアルに楽しめます。
Burdon Gin Hierbabuena

価格は 700ml のフルボトル容量で3000円を切っているので自店のようなレコード酒場初心者の若者が多く出入りする空間ではコスパの良いクラフトジンとしてオススメしやすくはある。

Aaron Frazer / Thinking Of You

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Konduko Six Pack 1984
Prolifics / Boy Child
V.A. Konduko Six Pack に収録


マイアミの Konduko レーベルから1984年にリリースされた自社音源を6曲収録したコンピ盤。Konduko はジャマイカ出身のミュージシャン、プロデューサー King Sporty こと Noel Williams がマイアミで70年代前半に始動したレーベル。ソウル、ファンク、レゲエから始まり70年代後半になるとディスコ、80年代に入ってからはエレクトロやヒップホップも取り入れ1990年頃までシングルを中心にリリースしていました。1979年頃までは TK がディストリビューションを行ってましたが、それ以降1987年までは自社で行ったためか80年代の作品はあまり見かけない印象がします。

UK の Emotional Rescue レーベルは2018年頃から Konduko レーベルのマニアックな音源の再発を順次行ってますが、その中から少し前にアウトレット品で大幅ディスカウントされた Prolifics / Boy Child という曲の再発12インチを買ってみた。Boy Child は King Sporty らしいエレクトリックかつファンキーなマイアミディスコ。ぐいぐい引っ張る演奏に男前なリードのソウルフルな歌唱がたまらないし、バックのメンバーの歌やコーラス、効果的に挿入されるシンセも良い味、それに中盤のディスコブレイクも堂々とした存在感。ということでまあまあ気に入りましたが、この曲のオリジナルはシングル盤は存在しないようで、Konduko レーベルから1984年にリリースされている Konduko Six Pack というコンピに収録されている音源がオリジナルらしい。
アウトレットだった Emotional Rescue レーベルの再発はリマスターされ現代的な質感だけど音色は悪くはない。だけどオリジナルの音色はどんな肌触りなのかなあと気になるなあと思いながら過ごしているとたまたま Konduko Six Pack のコンピが安く売っていたので購入することに。

収録曲は以下の通りで、Chuck Armstrong、Prolifics、King Sporty、それぞれの曲を2曲ずつ収録。

A1. Chuck Armstrong / Something's Got A Hold On Me
A2. King Sporty / Get On Down
A3. Prolifics / Boy Child
B1. Prolifics / You Got To Me
B2. Chuck Armstrong / Special Loving
B3. King Sporty / Can't Stop, Can't Keep Still

Chuck Armstrong の2曲は Konduko から1979年にリリースしたシングル両面に収録されたソウルフルディスコで、ここでは12インチヴァージョンで収録されている。
King Sporty の Get On Down は1979年に T.K. Disco レーベルからリリースした12インチヴァージョンで収録。Get On Down はアルバムしか持ってなかったのでアレンジやミックスの異なるこのヴァージョンの収録は嬉しい。Can't Stop, Can't Keep Still は Konduko から1984年にリリースしたマイアミらしい陽気なディスコシングルでこちらも12インチヴァージョンで収録。
Prolifics の2曲は上で述べたとおりシングルでリリースされておらずこのコンピに収録した音源がオリジナルということに。目当ての Boy Child の質感ですが、 Emotional Rescue の再発12インチと比較するとボトムの鳴りや跳ねは柔らかくグルーヴして、上ものもバランス良く広がって気持ちよい。大体予想通りの質感でしたが、今時のエレクトリックなサウンドと DJ ミックスするなら Felix Dickinson による新たな Discomix も収録された Emotional Rescue の盤が使い勝手が良いと感じる方もいるでしょう。

Prolifics / Boy Child

King Sporty / Get On Down

最近買ったレコード

Michael Wycoff Looking Up To You Mike Maurro Mix 2024
Michael Wycoff / Looking Up To You (Mike Maurro Mix)
12inch


先月リリースされた Mike Maurro のエディット新作12インチ。今回の題材は Michael Wycoff 1982年の Looking Up To You ということでなんとも大ネタ。買おうかどうか迷いましたがリリースしてすぐにお客さんが買ってきて店のタンテに乗せて聞かせてもらうと質感もよく、やっぱ買っといた方が良いのかなという気に。
Looking Up To You は Webster Lewis プロデュース、Leon Ware と Grey And Hanks の片割れ Zane Grey がライティングしたメローダンサーの名曲。90年代以降ヒップホップや R&B のサンプリングソースとして使用されたのもありソウルクラシックとして幅広く認知されることに。

Looking Up To You (Mike Maurro Mix) はもともとは2022年に CD と配信で Sony 傘下 Legacy レーベルからリリースしたコンピアルバム The Mike Maurro Remix Vault に収録されており、今回はアナログ12インチでのシングルカット。もちろん権利関係をクリアにしてオリジナルマスターテープから丁寧に再構築して、現代感覚にマッチさせながら10:21 の長尺ミックスに仕立ててある。Looking Up To You は自店では普段の営業でも出番が多いお馴染みの楽曲、それに10分と長いので退屈しないかなと思ってみたりするが心配無用でちゃんと新鮮に響き渡るようデザインする Mike Maurro の腕前はさすが。ボトム、上もの、ボーカル、音の質感、位置どりや広がり、バランスどれもエディット12インチの醍醐味が楽しめる内容となっています。裏面には1982年のオリジナルヴァージョンのリマスターが収録されてますが、こちらは当時リリースされたオリジナル盤で聞ける質感 (特に James Gadson の懐の深いドラミング) が好きかなと。

アナログ盤で聞ける Looking Up To You のエディットものというと同じくオリジナルマスターテープから再構築した2018年の Joey Negro (Dave Lee) Super Sweet Mix も思い返されますが、ボトムが強いあちらがフロア仕様だとすると今回のはリスニング向きといった感じで、1982年のオリジナルを含め気分やシーンによって使い分けしたいところ。
オリジナルマスターテープ使用の Mike Maurro のエディットものに関してはまだまだデジタルオンリーの楽曲が多いので、どんどんアナログレコードでプレスしてほしいものです。

Michael Wycoff / Looking Up To You (Mike Maurro Mix)

Michael Wycoff / Looking Up To You (Original Version 1982)

100円レコードコーナーに寄ってみよう 213

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G. Simone Music For The 90's 1994
G. Simone / Music For The 90's
12 inch


100円レコードの残骸を拾いに行くお仕事へ。毎度のことながらさえない面子がそろう100円レコードコーナーでしたが、90年代中盤にスマッシュヒットしたヒップホップソウル G. Simone / Music For The 90's の12インチを持ち帰ることに。G. Simone は KRS One の奥様というのは当時の R&B ファンとしては思い出されますが、12インチシングルで2タイトルと CD でミニアルバムを一枚だけリリースというので2024年的にはなんともマイナーなシンガーではあります。

Music For The 90's は Cypress Hill 1991年の How I Could Just Kill a Man を下敷きにしたような硬質かつファットなビートに涼しげなボーカルが乗っかり、ゴリゴリな KRS One のラップが良いアクセントとなるいかにも当時らしいヒップホップソウル。リリースされた1994年頃にはクラブでよく耳にし、ヒップホップや R&B を扱う日本のレコード屋で広く扱われ新譜としてそれなりに売れた作品であったというのは、90〜2000年代のレコードブームが終焉してから後に安レコとして中古が大量に流通してた状況を思い出せばなんとなく分かります。もちろん自分も新譜でリリースされたときに買って、2000年代には手放したのだけど、久しぶりにタンテに乗せ Front Page レーベルのロゴがくるくる回りながら店内に響き渡ると当時にタイムスリップして胸がキューンとなる個人的な懐メロソング。
G. Simone Music For The 90's Remix 1994

G. Simone / Music For The 90's の12インチはオリジナルヴァージョンを収録した黄色ラベルの盤の他にも色々なヴァリエーションの盤が流通してましたが、今回は Kid Capri のリミックスを収録した白ラベル盤も100円コーナーにあったので同時に持って帰ることに。
2枚ともに元々は300円で店頭に並んでいたようですが、売れずに100円コーナーに移動してきたようです。

G. Simone / music for the 90's featuring K.R.S. One

G. Simone / music for the 90's featuring K.R.S. One (Kid Capri Remix)

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