最近買ったレコード

Alvarez I Can't Make It  I Can't Stop Loving You
Alvarez / I Can't Make It
7inch


Izipho Soul レーベルから最近リリースされた Jesus Alvarez 1977年のテストプレスに止まったレア音源を2曲収録した7インチ。
Jesus Alvarez は1951年キューバ出身で子供の頃にニュージャージーに移住。バンド Brother To Brother にもしばらく在籍して、自身名義の作品としては All Platinum Record 系列の Vibration レーベルより1974年に Queen Bee / Please Stay Don't Go、Living, Loving, Laughing / Ya, Ya, Ya の2枚の7インチをリリース。そして1975年に Shirley & Company のメンバーとして Shame Shame Shame を大ヒットさせており、Sylvia Robinson の後押しでキャリアをスタートさせたイメージの人。

そして1977年には念願のファーストアルバムを制作して完成、テストプレスまで行くものの直前にリリースは取りやめになったそうだ。Discogs を見ると当時のアーティスト写真が付属されたそのテスト盤の存在が確認でき、全8曲入りで Polydor レーベルからリリースされる予定だった様子がうかがえます。ちなみにアルバム収録曲からは同年に7インチで Sooner Or Later / The Lord's Prayer の2曲がカットされておりこちらは Polydor レーベルから一般流通されました。

今回 Izipho Soul レーベルが7インチでリリースしたのはテスト盤 LP に収録された残り6曲のうちの2曲。

Side A I Can’t Make It
Side B I Can’t Stop Loving You

I Can’t Make It は John Valenti 1976年のファーストや Bobby Coldwell 1976年のデビュー7インチ The House Is Rockin' 辺りに通じる AOR ~ ソウルな曲調がグルーヴィーに展開するグレイトナンバー。I Can’t Stop Loving You はフィリータイプのダンサーでこちらもナイス。残りの4曲も聴いてみたいのでテスト盤を是非アルバム仕様で再発してほしいものです。

ちなみに Jesus Alvarez は後にゴスペルに転向、Jason Alvarez の名前で1981年に Light Records レーベルから Just Give Me Jesus、1982年に Good Music Publishing レーベルから Precious Jesus のアルバムをリリースしてるようです。

Alvarez / I Can't Make It

Alvarez / I Can’t Stop Loving You

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Leela James Feat. Pete Rock & C.L. Smooth Good Time 2004
Leela James Feat. Pete Rock & C.L. Smooth / Good Time
12inch


Leela James が2004年にリリースした R&B クラシックの12インチを購入。Good Time は Gwen McCrae のダンスクラシック Funky Sensation を下敷きにした踊れるキャッチーな R&B ナンバーということで当時そこそこ話題になったと記憶してますが、なぜか12インチ購入しなかったのはおそらくこの曲を収録したデビューアルバムを CD で買ったからなのかも。リリースから20年近く経過してようやく手にすることに。
こちらの12インチには Pete Rock がプロデュースした、アルバムヴァージョンを少し手直ししたヴァージョンが収録されています。サンプリングソースでおなじみの Jean Jacques Perrey / E.V.A. を新たに散りばめ、さらには相方の C.L. Smooth のラップが乗っかる、オリジナルよりファンキーさが増した仕様となってます。Funky Sensation は90年代以降のヒップホップや R&B のトラックでよく使い回されこの曲をサンプリングした曲というのは当時としては幾分手垢がついていた印象ですが、それでも否応なしに体が反応してしまうところにFunky Sensation のダンス曲としての生命力の高さを感じるのでありました。
裏面に収録したレゲエ調 R&B Long Time Comin もファンキー&ソウルフルでナイス。

Leela James Feat. Pete Rock & C.L. Smooth / Good Time

Leela James / Long time comin

100円レコードコーナーに寄ってみよう 202

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David Peaston We're All In This Together 1989
David Peaston / We're All In This Together (12 Inch Mix)
12inch


100円レコードの残骸を拾いに行くお仕事へ。レコード収集を始めた最初期の頃に DJ 友達に勧められて購入したニュージャック12インチの隠れナンバー。もう何十年もタンテに乗せてないですがレコードをまだ少ししか持ってない時期に手にしたので印象に残っており、その辺のジャンルのレコードを集めてる人でもいればプレゼントでもしようかなというお節介な心理が働いてレジに持って行くことに。

David Peaston はゴスペル出身の歌えるシンガーとして1989年に Geffen Records レーベルからアルバム Introducing... でデビュー、そのアルバムは Michael J. Powell による素晴らしいプロダクションもあり当時は歌よしサウンドよしと高く評価されるも、こちらも何十年もタンテに乗せておらず、機会でもあればまた聞き直さないとなと感じている。
We're All In This Together はアルバム Introducing... から1989年にセカンドシングルとしてカット。その12インチには当時の流行だったニュージャックスイング仕立てのリミックスが収録されアルバムヴァージョンとはがらりと表情を変えている。リミックスを手がけるのは Gene Griffin、Teddy Riley の名コンビで、跳ねたビートに乗って声量のあるソウルフルなボーカルが展開する素晴らしいダンス曲となっている。
ちなみに David Morales、Frankie Knuckles の黄金コンビがリミックスした Clubbed Mix を収録した12インチもリリースされているのでそちらも安く売ってたら購入したいですね。

David Peaston / We're All In this Together (12 Inch Mix)

David Peaston / We're all in this together (Club remix)

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Jorun Bombay The Biz Payback  Markie Jackson (Biz-MJ-Cool V)
Jorun Bombay / The Biz Payback / Markie Jackson (Biz-MJ-Cool V)
7inch


カナダのエディット職人 Jorun Bombay の新作7inch は Biz Markie のクラシック曲を素材とした2曲がカップリングされワクワクさせられる。

Side A The Biz Payback
Side B Markie Jackson (Biz-Mj-Cool V)

The Biz Payback は Big Daddy Kane が Prism レーベルから1987年にリリースしたデビューシングル Get Into It の裏面に収録した Just Rhymin' With Biz が元ネタ。
Big Daddy Kane Just Rhymin' With Biz

Just Rhymin' With Biz は Marley Marl による James Brown / The Payback をループしたトラック上を Biz Markie 〜 Big Daddy Kane とマイクリレーする今聞いてもしびれる名曲でありましたが、今回はラップ部分を抜いて James Brown のボーカルを乗っけて The Payback を丁寧に再構築といった雰囲気。個人的にはオリジナルで聞ける Biz や BDK の声が聞きたかったというのはあるかも。

個人的に目当てだったのは Side B 収録の Markie Jackson (Biz-Mj-Cool V)。こちらは Biz Markie が Cold Chillin' レーベルから1988年にリリースした名盤デビューアルバム Goin' Off のラストに収録した Cool V's Tribute To Scratching が元ネタで、Biz Markie のお抱えの DJ だった Cool V' にスポットを当てた Cool V' のスクラッチも調子の良い Marley Marl によるナンバーでした。
Biz Markie Goin' Off 1988

そちらを新たに再構築した Markie Jackson (Biz-Mj-Cool V) では、トラックのベースとなってる Melvin Bliss / Synthetic Substitution 使いのビートをクリアに処理。上ものでは Michael Jackson / We're Almost There のフレーズを新たに追加。そしてオリジナル Cool V's Tribute To Scratching で最後にほんのちょっとだけ顔を覗かせる Jackson 5 / Darling Dear のフレーズも目立つようにループして、Biz Markie と Michael Jackson が見事に調和したオールドスクールな楽しいヴァージョンに仕上げています。

今回の 7inch 化にあたり、ジャケやラベルは当時の Prism レーベルをサンプリングしたデザインが採用されており、10代の頃にオリジナルヴァージョンに接してた身としては外装も含め小踊りしたくなるような作品といえる。
youtube 上に音源はないようで今回は試聴リンクはありませんが、レコ屋のページで聞くことができます。

Kawachibankan Citrus Gin 河内晩柑シトラスジン

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Raveena Asha's Awakening
Raveena / Time Flies
アルバム Asha's Awakening に収録


ソウルミュージックを楽しみながら気持ちよく酔える一本を紹介のコーナー。前回の 本牧コーラジン に続き、横浜のクラフトビールメーカー、横浜ベイブルーイングが9月にリリースしたクラフトジン、河内晩柑シトラスジン をピックアップ。

横浜ベイブルーイングが運営する横浜ジン蒸留所が作るジンは個人的に好みなのもあり限定品がリリースされる度に買おうかどうか迷いますが、もたもたしてると売り切れる場合もあるので購入することに。
メーカーのインフォによると、愛媛県南宇和郡愛南町産・河内晩柑の香りにフォーカスしたシトラス系ジン。 力強い河内晩柑のノートに加え、八朔(はっさく)、オレンジ、カフィアライムが織りなす柑橘四重奏のフレーヴァーが特徴。濃厚な柑橘感と華やかで心地よいスパイス香が楽しめます、と解説されている。
ちなみに使用ボタニカルは、河内晩柑、八朔、オレンジ、カフィアライム、レモングラス、湘南ゴールド、コリアンダーシード、ジュニパーベリー、ラベンダー、青山椒の10種類。
Kawachibankan Citrus Gin

グラスに注ぐと辺り一面に柑橘の香りが立ちこめ、口に含むと柑橘が濃厚かつ長く口に広がり、ベースになってる横浜ジン蒸留所が作るジンのスパイシーそして厚みのある味わいと上手く調和して飲み応えと存在感を感じる一本となっています。柑橘が強いクラフトジンはそれほど好みではないけどこれは美味しい。
河内晩柑

河内晩柑について調べてみると、初夏から夏にかけて収穫できる黄色くて大きな柑橘で、見た目や大きさはグレープフルーツに似て和製グレープフルーツと呼ばれることがありますが、グレープフルーツのような苦味は少なく、さっぱりとした甘みのある品種。
河内晩柑は栽培される県や出荷される農協、生産者によって様々に呼び名がつけられているようで、今回使用されている愛南町産の河内晩柑は愛南ゴールドという商品名がつけられているようです。ほかにも美生柑(みしょうかん)、宇和ゴールド、ジューシーフルーツ、灘オレンジ、など いろいろな商品名で販売されており、熊本県では天草晩柑、鹿児島県ではサウスオレンジ、 高知県では夏文旦とも呼ばれ、すべて品種は同じ河内晩柑とのこと。手に取ったことはないけど旬になると近所のオオゼキの店頭で売られこれらの商品名のいくつかは毎年目にするような気がするので、来年の夏に買ってみようかなと。

Raveena / Time Flies

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Grace Jones Sorry That's The Trouble 1976
Grace Jones / Sorry (12inch Version)
12inch


モデルからシンガーに転身した Grace Jones が1976年にリリースしたセカンドシングル Sorry / That's The Trouble の12インチ盤を購入。翌1977年に Island レーベルと契約し、La Vie En Rose 収録のファーストアルバム Portfolio で成果を収める直前の作品となります。今回買った US 盤は Island 契約前に N.Y. にあったマイナーディスコレーベルの Beam Junction からリリースした盤。
ファーストアルバムの Portfolio は Tom Moulton プロデュースのもと MFSB や Salsoul Orhestra 辺りのフィラデルフィアやニューヨークのミュージシャンが集いシグマスタジオで録音されたフィリーディスコな楽曲が詰められている。そこにも収録されてる Sorry / That's The Trouble の両曲は Portfolio に収録の際はともに尺は7インチし仕様の3分台のショートヴァージョンでしたが、対して今回の12インチでは Sorry 6:42、That's The Trouble 7:02 に引き延ばされた、いわゆる A Tom Moulton Mix ディスコ仕様になっている。個人的に好きな Sorry はインストパートを追加して当時のフィリーディスコならではの摩天楼感覚が見事なヴァージョンとなっており、この曲に関しては12インチのヴァージョンでこそ本領が発揮されているといえるかも。初期作品としては名曲 La Vie En Rose に隠れ、そして後の80年代の作品がヒップなのもあり Grace Jones の中では目立たないイメージだけどナイスな12インチ。

Grace Jones / Sorry (12inch Version)

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AC Soul Symphony Metamorphosis Part One 2023
AC Soul Symphony / Windy City Theme
アルバム Metamorphosis Part One に収録


UK のベテランプロデューサー、リミキサー、DJ の Joey Negro。最近はアーティスト名を Dave Lee の本名に変更したとはいえ以前と変わらず精力的に熱いダンス作品をリリースしています。ハウスやディスコ系の方には長年なじみ深いアーティストということで自店でも彼の関わった楽曲を流す機会は多いですが、最近になって AC Soul Symphony のプロジェクトを再始動して15曲を制作。そのうちの10曲が抜粋され2LP 仕様で Part 1、Part 2 に分けて2種類リリースされることに。そのうちの Part 1 はすでに店頭に並んでおり、気になる一曲が収録されていたので購入してみた。

今回の AC Soul Symphony というプロジェクトはレコ屋の解説によると、MFSBやサルソウル・オーケストラが残してきたゴージャスで豊かなインストゥルメンタル・アルバムと同じようなアナログ・サウンドを再現すべく、キャリアで培ったスキルとプロダクションを惜しみなく投入。デイヴがアイデアをデジタルで具現化し後にアレンジメントとして再形成、20人編成のオーケストラと共にライヴレコーディングという有機的なプロセスで制作。デジタルの利便性とアナログのソウルフルなパワーを作品化!! とあります。
いうなれば MFSB やサルソウル・オーケストラに代表されるようなストリングスアレンジの効いた当時のディスコ楽曲に憧れと尊敬をもち、それら当時の作風に現代のエッセンスを注入してアップデートなディスコハウス作品として蘇らせる試みとでもいうのかな。70's 後半の摩天楼ディスコの2020年代版。

アルバム Part 1 には盤面を贅沢に使用して2LPで5曲のディスコ〜ハウス楽曲を収録。気になる一曲のために購入したと書きましたがその曲というのは冒頭に収録された Windy City Theme。70年代のソウルやファンクのレコードをコレクトしてる方ならタイトルですぐにカヴァーと分かる方もいるのでは。Carl Davis & The Chi-Sound Orchestra が1976年に7インチでリリースした、風の街シカゴをテーマにしたセミインスト曲のカヴァーとなり、Dave Lee は今時のダンスフロア向けなディスコハウス仕様に仕上げている。

Windy City Theme というとオリジナルの他には、ボーカルグループ Windy City が同じく Carl Davis プロデュースで1977年にリリースした名盤 Let Me Ride のオープニングに収録した語り入りヴァージョンがある。ほかには自店でもたまに流している、フュージョンピアニスト Rodney Franklin が1980年のセルフタイトルのサードアルバムに収録したヴァージョンも知られる。Dave Lee によると今回のカヴァーは Carl Davis & The Chi-Sound Orchestra のオリジナルと Rodney Franklin ヴァージョンのお気に入りの部分を合わせさらに自分のエッセンスを加え再構築したそうだ。Windy City Theme のオリジナルヴァージョンはロンドンでは80年代から00年代に Norman Jay がラジオ番組のテーマ曲として使用してたようで、ロンドンにいた人には耳なじみあるのではと。おそらく Dave Lee 自身も Norman Jay のラジオから影響を受け思い入れのある特別な楽曲としてインプットされているのでしょう。

今回買った作品は2LP とはいえ収録曲は5曲で、そのうちの気になる一曲のために4500円払ったのは高い買い物であったかなと思わなくもない。後々売れ残ってディスカウントされる機会があれば買えば良いのかなというスタンスもありだけど、この辺のことを言い出すと新譜は何も買えなくなるのだけど。

AC Soul Symphony / Windy City Theme

参考音源

Carl Davis & The Chi-Sound Orchestra / Windy City Theme

Rodney Franklin / Windy City

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