コールセンター little soul cafe     リトル ソウル カフェ 下北沢のSOUL BAR    (ソウル バー)        :最近買ったレコード

2020/10/13

Luther Ingram Let's Steal Away To The Hideaway 1976 KoKo
Luther Ingram / It's Too Much
アルバム Let's Steal Away To The Hideaway に収録


4日前の記事の続き、倉庫のようなバカでかいレコファン BEAM 店もとうとう閉店するというので最後に遊びに行くことに。
古い時代のはなしなので店に来てくれてるような若い世代の人にはなじみないと思われますが、レコファンという音楽ソフトを扱う会社は90年代〜ゼロ年代中盤はものすごい勢いのあったチェーンストアで東京や神奈川の色んな地域に数多くの店舗を出店していました。タワレコ、HMV、新星堂、山野楽器みたいな全国チェーンではないけど、中古盤も扱っているというので都内在住でレコ堀が大好きな方にとっては重要スポット。キャラも方向性も全く違うので比較の対象としては適切ではないかもしれないけれど、ディスクユニオンと並んで東京では存在感のある2大チェーンストアだった。専門性の高いディスクユニオンに対してくるもの拒まず何でもありのごちゃまぜ感覚のレコファンみたいなイメージでしょうか。
90年代〜ゼロ年代にかけ宇田川町エリアは世界で一番レコードが集まる街といわれ、個人店やらなんやらも混じって新規出店ラッシュで、まさにレコード屋のバブル状態、今でも伝説として語られる名店も多かったけど、現在も営業を続ける店はほぼないといえる。レコファン BEAM 店は厳しい時代を乗り越え存続した店だけど、レコファンという大衆感覚の強いキャラゆえか、例えば渋谷カルチャーを語る際だとか、渋谷のレコード屋の歴史を語る際には名前があがるようなことはそんなにないようなきもしますが、やっぱつかみどころがないレコ屋だからなのでしょう。

1981年にオープンした下北沢店が最初の店舗で渋谷進出は1983年。以降店舗網を広げ大きくなっていくのだけど、ゼロ年代中盤以降から徐々に閉店縮小傾向となり、2014年には BEAM 店と横浜西口ダイエー店の2店舗体制になり、その横浜店も2019年に閉店。最後に残ったのが今回書いてるバカでかい規模の BEAM 店でしたが10月11日に閉店、だけど少し前に期間限定としてスタートした秋葉原店は今後も継続して営業することが最近決まったとのこと。さらにお客さんから聞いたはなしでは10月中に武蔵小金井店がオープンするらしいとのことですが、なんでそんな場所に出店するのだろう。いずれにせよレコファンの店舗は全滅はしないというので、もしかすると今後再浮上してくる可能性もないわけではありません。

下北沢店が一店舗目だったというのは最近知ったことだけど、下北沢のレコファンに初めて行ったのは1990年頃と記憶している。年上の DJ から教えてもらったのか、レコードマップかなんかを見て下北沢という街にも面白いレコ屋がありそうと思ったのか、とりあえずは初めて下北沢の土地に降り立ちレコ屋巡りをすることに。第一の目的地は今も営業を続ける名店フラッシュディスクランチに行くことで、恒例の放出があるというので開店前に入り口の外で並んだのを覚えていて、その際 SOS Band のファーストを買ったのを覚えている。その流れでレコファン下北沢店に初めて行くことになったんじゃないかなと。当時下北沢の土地に不慣れだったので記憶があいまいだけど、場所は現在も営業しているラーメン屋一龍の2階もしくはその周辺だったような気もする。だとしたらちょうど今住んでるマンションの裏手辺りとなります。それから下北沢店は移転して小田急線の昔の線路沿い、今でいうと駅の改札からオオゼキに向かう道路沿いに店を構えていたこともあった、それからまた移転し規模が大きくなって南口商店街、現在ABCマートが入ってる1,2階で2012年まで営業して創業の地から撤退します。下北沢のレコファンもつい最近まであったような気がするけど、閉店はもう8年も前のこと。100円盤や安レコを中心に、ごくたまにレア盤やらお宝盤に出会えたりしましたが、最後の方はほとんど行かなくなったのは、やっぱ品ぞろえがビミョーで効率の悪さを感じたからかな。そのビミョーさとごちゃごちゃ感がレコファンの魅力なはずなのだけど。比べるのも変だけど、専門性だとかジャンルごとの細かい店舗分けにこだわり、そして都心に店舗を集中させ時代に合わせながら営業を続けるディスクユニオンとの差を考えさせられたりもします。

はなしが下北沢にそれてしまいましたが、90年代後半からゼロ年代前半はレコファンは渋谷に4.5店舗展開してた時期もあり、印象に残ってるのはセンター街にあった店舗。今でいうと MEGAドンキ渋谷本店の裏玄関の真向かいにあった2フロアの店舗で現在は飲食店になっている。ディスクユニオンのすぐ裏手でロケーションもよくささっと覗くには効率が良く、掘り出し物も多かったような記憶がある。ちなみに HMV は一番初めは MEGAドンキ渋谷本店の場所にあったなんてのも思い出されます。BEAM という商業ビルはそこからすぐの場所にあってレコファンは4階に位置している。BEAM の目の前にはクアトロがあり今 GU が入ってる場所に昔は伝説の名店 WAVE が店を構え、当時周辺の雑居ビルには個人経営のレコ屋がいろいろあってあちこちを行き来したのは先日のことのように思い出される。

レコファン BEAM 店は1994年開店で、記憶をたどると出店した一番初めは現在は吉本ホールとなってる B1 フロアーで催事みたいな形式でドバっとレコードや CD を大量放出していたのが思い出される。 B1 吉本ホール全体に中古盤が狂ったような膨大な枚数展示され、当時こんな枚数のレコード見るのは初めてだったので常に興奮状態で何時間もディグってました。ほぼすべて海外から買い付けてきたと思われるような商品で、毎日新着品がこれでもかというレベルで投入され続けていたのだけど、レア盤のデッドストックが安価で値付けされてたりで、もしかするとこのレコファンの催事中が人生で一番大量にレコードを買ったのではないかとさえ思えてくる。当時渋谷に住んでいて宇田川町エリアは家から5分くらいだったので一日2回くらいは毎日足を運んだんじゃないのかなと。B1 での一定期間の催事みたいな営業を経て4階フロアの移転になったと記憶してるけど、3日前にも書いた通り BEAM 店は90年代中半からゼロ年代にかけては個人的なレコ屋の巡回コースに入ってた場所で、お気に入りの色んなレコ屋を回ってへとへとになりながら最後の最後に力を振り絞ってたどり着くのが BEAM 店で、レコ堀の終着駅。

今振り返れば BEAM 店はレア盤やお宝盤をゲットするために行くような店でもなく、狙いを絞った特定のタイトルをピンポイントで探しに行くような店でもなかったと思う。へんな欲や期待をもって足を運んでも肩透かしを食らうことが多いというか、膨大な在庫量に対して期待値はそんない高くなかった印象。それは年月を経るごとに顕著となっていったような気もするけど、自分のレコ堀の目も次第に肥えてきたせいもあるのでしょう。なんか買い忘れてたタイトルだったり、そんな欲しいわけでもないけど持っておいてもいいかなと思えるタイトル、なんだかよくわからないけどちょっと聞いてみようかなと思うようなタイトル、あとは100円盤だったり安レコだったり、というように個人的に2軍、3軍のレコードを安価で埋めていくという使い方をしていたレコ屋でありました。それでもさっき書いたように昔は日々のレコ屋の巡回コースにしっかり入れていたというのは、なんだかよくわからないレコードであったにせよ、ここに行けばきっとなにかが買えるに違いないみたいな確信があったからなのでしょう。ほかにもタイトルによっては新譜がどこの店より安い値段で売られてるなんてこともあり、いろんな店を回って値段を比べて最終的にレコファンで購入することも多かった時期もありました。もちろんたまにではありますが、無欲状態で行ったときに限ってレア盤を安価でゲットしたなんてこともありました。
倉庫のような規模の BEAM 店が自分に与えた影響って何なのかなと思い返すと、それはレコードそのものの知識でもなければ、音楽の知識でもなく、自分のスタイルをもって好きなようにしてもいいんだよということだったかも。あのバカでかい空間と膨大な在庫量を目の前にして、どんだけロマンティックになれるか、なんとなく自分の中に存在するのかもしれない芯の部分を試されていたんじゃないのかなとさえ思えてくる。なんでも整理整頓され、簡単に知れて手に入る時代だからこそよけいにごちゃごちゃの BEAM 店の自由さが今になって思えば好きだったかなと。

実をいうと最終日の10月11日も気になって BEAM 店に足を運んだのだけど、何かをゲットしに行くためというよりかは思い出の精算みたいなものか。さすがに賑わってましたが、あいかわらず半端ないくらいの在庫量で一定期間の閉店セールをしたところでストックが山のようにあるのか商品が減っているような印象はそんなになく、BEAM 店が閉店した後のこれら何十万枚ある音楽ソフトがどうなっていくのか気になります。その足でいつものユニオンに行くと、やっぱ品ぞろえのフレッシュさや濃度が全然違うというのは実感させられるわけで、同じ時間を使って効率よく商品をゲットするならこっちのほうが全然パフォーマンスは上となるのだけど、実店舗でのレコ堀って人によりけりだけど商品をゲットするだけが目的ではないと思いつつ、ユニオンやほかの専門店、ネットの利便性に慣れてると BEAM 店の優位性とは何なのかなと考えさせられます。もちろん各店舗で扱う商品群は違うので BEAM 店が強いジャンルというのもあるのでしょう。自分が普段接するソウル、ファンク、ジャズ、ディスコ、ヒップホップ、ハウスといったジャンルに関しては昔に比べて BEAM 店のお得感は見出されなくなったから足が遠のいてしまったのかもしれません。時代の波に合わせてうまく乗りこなしながら営業を続ける店や新興勢力が力をつける中、ある意味時代から取り残されてしまったのが BEAM 店という言い方もできるのだけど、そこが妙に落ち着く場所であったりする、なんか故郷に帰ってきたみたいにね。

Luther Ingram / It's Too Much


(19:00)