電子音楽を作っている人間のライブは、過半数がラップトップでのライブである。
MIDIコンや外部エフェクターを駆使して見せ方が上手いプレイヤーも中にはいるが、
大体が画面とにらめっこ状態。未だにあれをクールだと思っている人の気が知れない。


そんな人はこれを観るといいよ。

フィジカル。とにかくフィジカル。オリビア・ニュートン・ジョン状態。


ちょっと前になるが、東京カルチャーカルチャーで催された、
大人の科学:レコーダーナイトに遊びに行ってきた。

コーナー前半の、磁気を利用した「どこでも録音機」も面白かったが、
後半のライブ、「Open Reel Ensemble 」が圧倒的だった。

公式HPが見つからないので勝手に書くが、Open Reel Emsenbleとは、
コンピュータから制御できるように改造したオープンリールデッキを利用して演奏する集団。

デッキのヘッド部分を改造する事で、リアルタイム録音やスクラッチ操作を可能にした
オープンリールデッキを並べ、4台同時にシンクさせたり、即座に録音してスクラッチをしたりと、
オープンリールを正に楽器として扱っている。

操作デバイスとして、コンピュータ用のテンキーやiPhoneを使って、
Wi-Fiでオープンリールの裏に置かれたそれぞれのコンピュータに信号を送り、Maxでデッキを制御している。
面白いのが、O.S.Cで4台のコンピュータを連結し、1台のデバイスで複数のオープンリールを制御している点。

信号の流れとしては、
iPhone→Wi-fi経由でMax→USBインターフェイス→電気信号に変換してオープンリールデッキ
みたいな流れだと思う。iPhone→MacへはVNCアプリ。
1デッキ1Macなので、計4台のMacをO.S.Cで接続している。

デッキのヘッドの制御にソレノイド素子を使って、
ヘッドを高速で振動させる事で、LFOみたいな効果を出しているのも興味深い。
↓ソレノイドとUSB信号受信デバイス。


デッキを楽器的に扱うために、ヘッドや動作部分を極めて原始的な手法で改造して、
それを最新のプロトコルで制御している点がほんとユニーク。

要は、USBで制御可能なオープンリールデッキ。

そんなシステムを、小難しい姿勢で操作するのではなく、
しっかりエンタテインメントとして披露している部分も素晴らしい。
やや大袈裟にスクラッチ操作をしたり、客に向かって「これで操作しますよー」とiPhoneを掲げたりと、
非常に分かりやすいパフォーマンスで、見ていて飽きない。

そして、同じ機種が4台並べられたオープンリールデッキの存在感。
同じ機種が4台、各デッキの下にブルーの蛍光灯の配置はオシャレ。クラフトワークを彷彿とさせる。

その場で録音してオープンリールを手動で操作したり、デバイスで操作したりと、
レトロとテクノロジーとアナログとデジタルが共存したライブだった。
ミュージックコンクレート的ではなく、しっかり曲になってた部分も好感が持てた。

ライブ後、話を聞いたら彼等は大学生だと言う。
IAMASの学生以外にも企んでいるヤツらがいるもんだと感心。

オープンリールデッキを楽器的に扱うという発想も、単純に「かっこいい」って部分から来ているんだろう。
レコーディング機器としてのオープンリールなんて、自分の歳でも触れていないし、
逆に目新しく写るのは凄い理解できる。前知識が無い状態での遊び方というか。

単なる「インスタレーション作品」に留まらないこの人達のライブ、一回見た方がいいよ。
特に音楽やってる人。表現方法ってナニ?みたいな原点に還る事ができる。


Live at 東京カルチャーカルチャー 大人の科学:レコーダーナイト