諸国家の紛争の多い時代に、どんな軍事大国の側にも立たず、大国の軍事力に頼らずにやっていくのは難しいことのように思えます。しかし、実際は、他の軍事大国に頼ることは、長い目で見るとその国家にとって不利になります。そのことは、イスラエルの十部族王国やユダ二部族王国に起こった歴史の記録から知ることができます。


西暦前8世紀、イスラエル十部族王国が存続していた時に、イスラエルの最後の王ホシェアはアッシリアの脅威から守ってもらうためにエジプトの王に頼り、その王ソに使者を遣わしました。(列王第二17:3,4)エホバは本来エホバに頼るべきだった北のイスラエルが、救いや保護のために周囲の諸国家に頼ったことを「売春」と呼ばれました。(ホセア5:13;7:10,11;8:9)ホシェアがエジプトに頼ったことは何にもなりませんでした。結局、イスラエルの首都サマリアはアッシリアによって攻め取られ、アッシリアによって滅ぼされてしまいました。(エゼキエル23:9。列王第二17:23)



SargonII
Sargon II and dignitary. Low-relief from the L wall of the palace of Sargon II at Dur Sharrukin
in Assyria (now Khorsabad in Iraq)

北のイスラエルを滅ぼしたと言われるアッシリアのサルゴン2世の宮殿の浮き彫り




南のユダ二部族王国は、アッシリアやバビロンなどの周辺の諸国家に救いを頼りました。ユダの王アハズに対して、シリアと北のイスラエルが攻めてきてエルサレムを包囲しました。(列王第二16:5) その時、アハズは、シリアとイスラエルから救ってもらうために、アッシリアに頼ろうとしました。ユダは、アッシリアにわいろを贈りました。(列王第二16:7,8。歴代第二28:16)アハズの頼みはうまくいってアッシリアはシリアを攻め、その王を殺し、シリアの民を流刑にしました。(列王第二16:9)しかし、ユダのアハズがアッシリアに頼ったことは、究極的にユダのためにはなりませんでした。



アハズの息子ヒゼキヤが支配する時に、結局ユダは頼ったアッシリアの軍事的攻撃を受けることになりました。エホバはヒゼキヤの父親アハズの国家的な「淫行」のゆえに、ユダがアッシリアに攻められることを許されました。(エゼキエル231112) ヒゼキヤはエホバに頼って「アッシリアに背き、これに仕えなかった」と記されています。(列王第二187)ヒゼキヤは、エホバに頼ってアッシリアに頼るのをやめました。



ヒゼキヤ王の第14年に,アッシリアの王セナケリブが、ユダのすべての都市に攻め上って奪いました。(列王第二18:13)ヒゼキヤは、アッシリアの王にお金を払いましたが、アッシリアは立ち退きませんでした。(列王第二18:14-17)そして、エルサレムは、とうとうアッシリアに攻め囲まれるという絶対絶命になりました。その際、ヒゼキヤはエホバに祈って頼ったので、結局エホバはみ使いを用いてアッシリアの軍を全滅させ、エルサレムを守られました。(列王第二19:14-19,35,36)



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                    Sennacherib by Averain

           ユダを攻めたアッシリアのセナケリブを描いた浮き彫り


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British Museum London 328 ThNeo-Assyrian, 691 BCe Taylor Prism by David Holt London The

Taylor Prism from the Neo-Assyrian empire tells the story of king Sennacherib's third campaign

which are described from another point of view in the old testament of the Bible

大英博物館のテイラープリズムはアッシリアのセナケリブがユダを攻めたことを記録





また、ユダのヒゼキヤ王は、全領土にある貴重なものをバビロンの王の使者に見せました。(列王第二20:12,13)ヒゼキヤ王は、アッシリアの脅威にさらされていたので、おそらくバビロンに頼る気持ちがあったのでしょう。最終的に、ユダの二部族王国は、その頼ったバビロンによって滅ぼされ、ダビデ王の子孫によるユダの支配は終わってしまうという結果になりました。ユダは外国によって支配される国になってしまいました。



イスラエルが、エジプトに頼ったこともイスラエルのためにならず、ユダがアッシリアやバビロンに頼ったことも、結局ユダのためになりませんでした。それによってイスラエルは滅ぼされ、ヒゼキヤの時は、アッシリアによるユダの存亡の危機をもたらし、結局ユダはバビロンによって滅ぼされるという結果になりました。


なぜ他の政治強国に頼ることが、うまくいかなかったのでしょうか。ユダがエホバではなく他の軍事強国に頼ったことは、エホバの目には、「売春」だったからです。それで、エホバはユダを嫌悪され、エホバはユダの保護を差し控えられ、ユダをバビロンによって滅ぼされるままにされました。ユダが他の軍事強国に頼ったことは、自らの滅びの原因になりました。(エゼキエル23:14-19)



ですから、今日、国家が他の軍事強国に頼るならば、それは結局その国家の保護とはならず、長い目で見て、その頼った軍事強国によって攻撃を受け、滅ぼされるということが起こりえるでしょう。例えば、今日、国家が北の王や南の王の軍事力に頼ったり、それらの国家を軍事的に支援するということは、その国家が北の王や南の王に「絶ち滅ぼされる」危険があります。(箴言2:22)



さらに、聖書はダニエル7章によると、小さな角として描写されている南の王の前に三本の角が引き抜かれると述べられています。(ダニエル7:8,20)角とは国家です。(ダニエル7:20,24)ですから、アメリカは、おそらく幾つかの大国あるいは政権を攻撃して終わらせることが予期できます。



さらに、ダニエル8章の預言の中に、北の王も、「人の出の方」と「飾りとなる所」に向かうと述べられています。(ダニエル8:9)日の出の方とは、北の王と南の王以外の国家であると考えられます。ですから、北の王が攻撃するのは、南の王だけではありません。(ダニエル11:24)ですから、北の王であれ、南の王であれ、頼るならば、国家が滅ぼされてしまうということが起こりえます。



ですから、南の王の軍事力にも北の王の軍事力にも頼らないのが賢明です。頼って、一時的に良くても、後になって攻撃を受けるということが起こりえます。それは、古代の北のイスラエルと南のユダに起こったことです。



確かに、国家の「淫行」がある場合、それから逃れるのは、容易ではありません。ヒゼキヤの時のユダがアッシリアによって国家の存亡の危機に立たされたように、国家の危機を招きえます。ヒゼキヤの時には、み使いが介入しましたが、今日では、何らかのエホバの助けは考えられますが、み使いの奇跡的な助けはないと思います。ひょっとすると、ヒゼキヤの時にそうだったように、かろうじて国家が存続するという事態になる可能性もあります。でも、聖書は、北の王にも南の王にもつかない中立の立場の「地の王たち」が大患難を生き残ることを示しています。(啓示18:9,10)さらに、神の民は、剣をもって戦わないので、その大半は大患難を生き残ると考えられます。(マタイ26:52。啓示7:9,14。ダニエル11:40,45)



また、現代でも、軍事強国に頼らず、軍事力をあまり持たずに存続している国家も存在します。それらの国家は聖書の神に頼っているわけではないかもしれませんし、幾らか聖書の考え方から影響を受けているのかもしれません。いずれにせよ、それらの国家は、中立の立場を取り、今のところ、経済的繁栄と平和をある程度享受しています。



例えば、アイルランドは、第二次世界大戦にも参加せず、その後も中立政策を採用しており、NATOにも加盟していません。過激派のテロ行為が繰り返されている北アイルランドとは違って、南のアイルランド共和国は、ヨーロッパ諸国の中で最も治安のよい国とされています。アイルランドはEUの中で人口あたりのGDPがルクセンブルクに次いで大きな国です。




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北アイルランドとアイルランド共和国


アフリカのモーリシャスは、政治強国との同盟関係はないようです。常備軍は存在せずモーリシャス警察軍が国防を担っています。一人当たりの国民所得ではアフリカで最も豊かです。ですから、政治強国との同盟関係がなくても、平和を保ち、経済的な繁栄を享受している国が存在しています。



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Port Louis, Mauritius by eutrophication&hypoxia
モーリシャスの首都ポートルイス




聖書は救いは「馬」つまり軍事力ではなく、「エホバによる」と述べられています。(箴言2131。詩編3317)それで、国家の指導者にどの政治強国の軍事力にも頼らず、エホバに頼るようお勧めします。


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