November 2009

November 29, 2009

立花隆と近藤誠

先週NHKのドキュメンタリで久しぶりに立花隆の近況を知った。

みずからの膀胱ガン手術のあと、転移が強く予想されるなか、氏の関心はガン研究の最前線へと向かった。

アメリカを中心に学会の傍聴や研究者へのインタビューを続けた、その結果報告である。分かったことは、ガンの制圧が想像を超えてむずかしそうなこと。

ガンはそれ自身長い長い進化の帰結であることが分かってきたこと、免疫システムの先兵であるマクロファージが図らずもガンの成長を助けてしまうこと、正常な幹細胞とガン幹細胞の差は、突き詰めれば突き詰めるほど紙一重(iPS細胞の山中教授の言)であること、したがって抗ガン剤は必然的に正常細胞を攻撃してしまうこと、等々を聞かされれば、研究者ならずとも、いな、無力な一般人としてはさらに深い無力感におそわれる。

そんななか、立花は医師たちを前に、患者の立場で講演する機会に恵まれる。立花は静かにいう、「今後わたしのガンは再発、転移をするかもしれないが、その場合でも、QOLを落としてまで抗ガン剤は服用しないでしょう」と。

患者立花隆はめぐりめぐって、医師近藤誠が十数年前に発したテーゼにたどり着いたわけである。曰く、

『患者よ、がんと闘うな』
29Nov.2009


live_on1 at 17:32エッセイ 

November 28, 2009

電車の中の光景

若い外人女性二人組が電車に乗ってきた。ひとりはベビーカーの赤ん坊、ひとりは4歳ぐらいの男の子を連れていた。

しばらくするとベビーカーの赤ん坊が泣きだして止まらない。母親ふたりは立ったまま話を続けている。

その泣き声はつのるばかりで尋常ではない。まさに声を嗄らして泣いている。ところがどちらの母親もまるでそれが聞こえないかのように平然と話を続けているのである。

これが日本人の母親だったらどうだろう? 

もっと早い段階で、周りを気にして赤ん坊をあやすなり、なにがしか働きかけをしていたろう。時にはこちらが気まずくなるくらいあたふたと(ほっといてもいいのに…)。

ふたつの段階ふたつの懸念があるように思う。ひとつは、周りに迷惑をかけているという主観的懸念。ふたつめは、子供の体内で異常がおきていないかという客観的懸念。

日本人の母親はひとつめでもう堪えられなくなってしまう。場合によってはふたつめを押しのけてでも! この自罰的、自責的感覚のよってきたる所以は何なんだろう?

くだんの外人の母親たちにはまったく無縁の感覚に違いない。というか、彼女らにはふたつめの感覚さえ欠けているのではと心配になってしまう。

日本人に自殺が多いことと、これは関係があるのかしらん?
28Nov.2009

live_on1 at 17:09エッセイ 

November 21, 2009

ノートライのテストマッチ

有り難いことが起きた。

ラグビー日本代表対カナダ代表のテストマッチ第2戦をCATVの実況放送で観戦した。第1戦は先週仙台で43−8だったから期待はしていたが…

カナダをノートライ(27−6)に抑えたのには驚いた。観ていてこんなに気持ちのいいテストマッチはあまり覚えがない。

気持ちがよかった理由は危なげない試合内容や結果、好天とピッチコンディションの良好さもさることながら、レフェリングにあったように思う。

調べると主審はNZのマンロー氏。試合を通じて笛の数は日本人レフェリーのざっと3分の1だったのではなかろうか。

これはよく知られた傾向性だが、きょうの試合はとくに顕著だった。試合の流れが寸断されず、ラグビーの攻防の妙がよく味わえた。

もうひとつこの機会に。

ラグビーの監督の試合中の位置取りである。ここ数年トップリーグで見られる、スタンドの最上段に座り、無線でベンチに指示を出すスタイルのことである。

ラグビーというスポーツの底流には合理主義があると以前書いたが、これもそのひとつだろう。この方がピッチを一望に見渡せ、自他の隊形につき冷静で客観的な判断ができる。観客からすれば、監督がピッチの脇で怒気も露わに抗議する醜いシーンを見なくてすむ。

サッカーもこの方式を見習ったらどうか、とかねてより思っていた。皮肉なのは、ラグビーの監督のこの位置取りが、サッカーにおいては退場処分を食らった監督の位置取りに等しいこと。

おりしも、サッカーW杯予選フランス対アイルランド戦のジャッジが取りざたされているが、思えばラグビーは選手、監督の審判に対する抗議が一番少ないスポーツではなかろうか。
21Nov.2009


live_on1 at 18:31スポーツ 

November 15, 2009

福岡・大分行

先週は福岡・大分で4泊の仕事をした。

ここ10年ほどテリトリ制が導入されてから九州に足を運ぶ機会が減って残念な思いをしていた。

とくに福岡の百道浜は10年ぶりだろうか。周囲のたたずまいがあまり変わっていないことに軽く驚いた。大都市福岡でも東京ほど変化のスピードは激しくないということか。

西新の駅を出た角にフレッシュネスバーガーの店。このチェーンを知ったのがここでだった。海岸のほうへなだらかな下りをホテルに向けて歩くと、当時もあったローソンが。ホテルのまわりも変わっていなかった。

変わっていたのはじつは自分の脳のなか。この10年の中間で、村上龍の『半島を出よ 上・下』を読んでいたこと。そこでは、この百道浜で大活劇があり、ほこり朦朦の大団円があったのだ。

あれを福岡の人々はどのような気持ちで読んだのか、訊いてみたかったが機会はなかった。

途中大分に移動し一泊した。ここでも10年以上前に訪問したことのある某社を再訪したのだが、ここで不思議な感覚を味わった。昔来た時は、その建屋が高台にあったような記憶が残っていたのに、今度行ってみると、まったくの平地にあったのだ。当時窓から市内を見下ろしたような記憶があったのだが、当てにならないものである。
15Nov.2009



live_on1 at 17:27 

November 08, 2009

二巻本注文の顛末

先日楽天ブックスで、迷いに迷った末、小熊英二の『1968(上)・(下)』を注文した。

なぜ迷ったか。各巻1000ページの大部で、値段は税込\7140。一度に1万円以上の本の買い物はたぶん生まれて初めてである。著者の本は過去に一度読んでいて(『<民主>と<愛国>』)、内容にハズレがないことは分かっていた。

すると4、5日して本が送られてきた。送られてきたのはいいが下巻のみだった。上巻は入手できなかったという。注文内容は「一括発送」と指定していたにもかかわらず、この有様である。

泣き寝入りはしたくなかったので、「上下揃わないのなら全キャンセルしたい」とメールした。回答は返ってきたが、「規約どおりの処置だったが、もしどうしてもというなら返送代自己負担で送り返せ」といってきた。

めんどくさいのと、他の通販サイトにもアカウントを持っていたので、そちらで上巻を買うことにした。

楽天ブックスはシステムに随分自信を持っているようだが、「一括」ということばの意味を解さないようではプリミティヴといわれてもしょうがないだろう。

事後にメールを送る気があるなら、上巻が入手できないと判明した時点でこちらの意思確認をすればいいだろうに。上巻のみならまだしも、下巻のみを送ってくる神経が分からない。

Anyway、ほんの屑みたいなものだろうけれど、楽天ブックスはひとり顧客を失ったわけである。
8Nov.2009


live_on1 at 16:00 

November 06, 2009

加藤紘一のポジション

先日期せずしてTVのニュースで加藤紘一が国会質問に立っているのを見た。

ほんの短いVTRだったから質問の詳しい内容までは追えなかったが、驚いたのはそのしゃべり口、歯切れのよさだった。

与党時代のあの重石を引きずるような鈍重な口ぶりはどこへやら、あんなにハキハキしゃべれる人だったのだ!

山形県が生んだ何十年にひとりの秀才と言われた人である。与党時代にあれだけ颯爽とした姿を見たかったとも思うが、もともとそういう器ではなく、野党というポジションでこそ本領を発揮できるタイプなのかもしれない。
6Nov.2009

live_on1 at 20:41政治・歴史 

November 01, 2009

野村監督引退に思う

楽天球団が野村監督を切った。

球団の真意は知らないし、楽天のファンでもないが、結論は妥当で好ましく思う。余計なお世話かもしれないが、ご本人にとっても、引き際のむずかしい判断を避けられて幸せだったのでは。さらに、惜しまれて去るというおまけつきである。

シーズン中「ボヤキ」が話題になり、メディアはおもねるように採用し続けたが、あれほど聞きづらく見るにしのびない光景はなかった。自分を棚に上げての選手こきおろし。TVカメラの前で選手を立たせたままの叱責など、あれがマネジメントに値する行為だろうか。

野球とは率の勝負である。あの人のコメントを聞いていると打者は打率10割、投手は防御率ゼロ、野手は守備率100%、チームの勝率は100%を求めているように聞こえた。こんなご仁が監督にふさわしいのだろうか、とずっと思っていた。

むかしイチローがオリックスのある負け試合のあと、バスのなかで敗戦の責任は好機にに凡退した自分にあるみたいな顔をしていると、仰木監督が言ったそうな「おまえは1本2塁打を打ったではないか。おまえは打つことに専念していればいい。勝敗の責任は監督にあるんだから」と。

まともな監督とはこういうものであり、MLBの監督(かれらはマネージャと呼ばれる)像はこれである。マネージメント力さえあれば、現役時代に名選手であったことは必須条件ではない。

今シーズンからマリナーズを率いたドン・ワカマツなど、メジャーでは18試合にしか出たことがないという。それが前年100敗以上したチームを勝ち越させるという偉業を成し遂げた。

ポストシーズンでの印象的な光景はナ・リーグの地区シリーズでフィリーズとロッキーズが対戦したときの両チームのダグアウト。そこにはヤクルト・近鉄で活躍した赤鬼マニエルと大洋でプレーしたトレーシーが謙虚なまなざしでゲームを見つめていた。ふたりとも日本でプレーしたことからも分かるように、メジャーでの実績はさほどでもなかった。しかしいまや名監督である。

かれらの試合後のコメントを聞いていると、決して選手を責めない。選手起用上の処遇は断固として厳しいが、選手個人個人をひとりのプロフェッショナルとして遇していることがひしひしと伝わってくる。
1Nov.2009


live_on1 at 20:40スポーツ 
月別アーカイブ
記事検索
QRコード
QRコード
Recent Comments
Recent TrackBacks
  • ライブドアブログ