February 2011

February 28, 2011

駅伝は麻薬:川内選手が証明したこと

日本人は本当にマラソンが好きなのか?

36,000人が参加した東京マラソンは盛況だったようで、それはそれでめでたいが、傍観者としては日本陸連幹部の青ざめた顔を想像するのが愉しい。

市民ランナー川内優輝はいろんなことを教えてくれたが、なんといっても第一は、マラソンを志す人間が一貫してマラソンのための練習をできれば立派な結果を残せるということ。

実態はどうか。日本の才能ある実業団ランナーたちは、所属する企業の売名のための駅伝に駆り出され、ということはマラソンのための持続した練習を妨げられ、疲弊し、ついには選手生命を閉じていく。かれらの30キロを過ぎたあたりからの、判で捺したようなひ弱さはもう見飽きてしまった。

振り返れば北京五輪金メダリスト、ワンジルは「(日本企業に)残れば駅伝を走らなければならない」といって退社・帰国し、マラソンに専念して栄冠をえた。きのうの覇者メコネンも日本企業に属したが帰国してからマラソンの好成績を挙げている。かれらはインタビュアのおしつけに答えて「日本で育ててもらった」などというかもしれないが、リップサービスである。間違っても真にうけてはならない。

冒頭の疑問に戻れば、日本人はジョギングは好きかもしれないが、競技としてのマラソンには実はあまり興味がないのだ。一方駅伝は、レースの展開が意外性に富み、観ているファンにとっては娯楽性が高く、メディアの利用価値が高い。そこに競技を単なる広報手段としか考えない企業が目をつける。

駅伝はしたがって日本人にとっても日本陸連にとっても麻薬みたいなもの。酒井法子や小向美奈子を笑えない。

当然ながら駅伝自体を否定しているのではない。ほどほどに。そして駅伝にマラソンを志す選手を無理やり引っ張り込まない、ただそれだけのことである。
28FEB.2011

live_on1 at 15:01スポーツ 

February 27, 2011

孫のことづて

昨日は午後いっぱい孫を預かった。

あと1週間で(3/6)2歳になるが、じぃじ、ばぁばほかいくつかの単語を除いて、まだ話せない。

帰り際、靴下を探すが見当たらない。じぃじばぁば母親3人があたふたするまわりを本人ははしゃいでいる。やっと見つかったのはおもちゃの車のシート裏のポケット。

バイバイといって玄関に向かった孫が戻ってきてリビングのドアのすき間から顔を出し、「じぃじ、じぃじ」と呼びかけてから「…@*※△+○%!…」「…???」

(RFIのフランス語よりむずかしい。)

笑ってごまかすしかなかったが、孫は言いたいことは言い終わったのか、さっさと玄関の方へ戻っていった。

本人はことづてが相手に伝わっているかどうかはあまり気にならないらしい。(それが唯一の慰め)
27FEB.2011

live_on1 at 10:45エッセイ 

February 22, 2011

日本の政治のさびしさ

中東・北アフリカ諸国の反体制デモのニュースを見るにつけ、極東の国ののんびりさかげんがさびしくなる。

ああした独裁、密告制度、拷問、蓄財、ネポティズムはもちろんまっぴらだが、それと無縁でいられる代償がこなたの政局騒ぎかと。30年40年の居座りの対極が1年も続かない首相の軽い首なのか。ベンアリ、ムバラクの蓄財に比べたら小沢の蓄財などかわいく見えるさびしさよ。

けさの朝日新聞に井上達夫という東大教授の「一票の格差を考える」という特集記事がある。これは本当に大きな問題で、日本の戦後政治を規定してきた負の遺産なのだが、それにしてもいまだに選挙のない国、あっても不正がまかり通る国があると知っては、「格差なしは贅沢か(もちろんこれは間違っている!)」などと諦めかねないさびしさ。

昨日、蓮實重彦の『随想』を読み終えた。確固とした立ち位置、ぶれない軸、それを支える教養、その余光は、極東日本のさびしい現実をしばし忘れさせてくれた。

むかし読んだ氏の別の本はやたらむずかしくて途中で投げ出したが、さすがにエッセイは違っていた。読点を多用する文体は仏文学者ならでは。不思議なトリビアは、各章冒頭の日付の表記。数十年前の、しかもきわめて私的なイベントの、日付にまで曜日が付されていたこと。どうして分かるのだろう???

もうひとつ、中村光夫を述べた章で「黙読独習者」という言葉を知ったこと。中村はフランス語に関してその頂に位置するわけだが、大学を出て以来ほそぼそと英語仏語の読書を続けてきた自分は、長い長い裾野のその先、いまどきの術語でいえば、ロングテールの端っこにいるのだなと自覚できた。

とはいえ最近、中東の情勢にひっぱられて、ひまがあればRFI(Radio France Internationale)を垂れ流している。もちろん「聴いて」いるとはとてもいえない。単語レベルでなら相当聞き取れるようになってきたのだが、はてさてものになるのやら…?
22FEB.2011

live_on1 at 11:03政治・歴史 

February 17, 2011

確定申告

今年は時間が有り余っていることもあり、確定申告書は1月末日に提出した。いつもの医療費控除に加えて今回はエコリフォームにかかわる還付申告だった。

後者については事前の質問時から税務署員の歯切れが悪く、後日なにかあるかも、と心の準備をしていたら、案の定、きょうハガキが届いた。家屋の「登記事項証明書」を追加提出せよという。

一応念のため電話をし確認をとったが、よせばいいのにひとつ嫌味を言いたくなるのが自分の宿痾。

「主管は市役所と別かもしれないが、固定資産税をとるそちらから情報はとれるだろう」と。もちろん、弛緩したような「へへー」という本音のあとに「お手数をおかけしますが…」との想定問答話法でチョン。

この国の行政手続の「システム」不在がここにも現れている。

それにしても確定申告にかかる書類(申告書類はいうに及ばず、説明書類)の多さ、ボリュームはどうにかならないか。あれだけ用意してなお対面のQ&Aなしでは済まないし、納税者ひとりひとりはそのうちのごく一部分しか必要としないのである。よくもまあここまで複雑な税制度を作ったもの、と変に感心する。しかも同じく税といいながら、所管が違ったり… 

こういう場合、昨年他界した免疫学者多田富雄が『免疫の意味論』で説いた、いくつもある個別システム・機能・機序をひとつ上のレベルで統制する「超システム」が必須ではないかと思うが、そんな発想をもつデザイナーが日本に現れるのはいつのことだろう???

気になって多田の著書を読み返すと、超システムとは「自己に言及しながら自己組織化をしていくシステムのこと」で、マスタープランに基づく固定したそれではない、とある。脳神経系のシステムが代表例である。訂正には及ばないかもしれないが、「上のレベルで統制」と書いたのはお手つきか。いずれにしても難度が高いことに変わりがない。
17FEB.2011


live_on1 at 17:32エッセイ 

February 12, 2011

蟄居

気がつくと無職の生活は蟄居生活である。辞書で調べると家や一室に閉じこもることとある。別に江戸時代は刑罰のひとつだったとある。

といってもチャリンコのランがあるので完全な蟄居は免れているが、昨日からの降雪で、この連休は文字どおり蟄居を余儀なくされている。秩父宮へもこれでは出かける気がしない。

ここしばらくはPamukの"The Black Book"を読んでいる。濃密な散文と筆力に眩暈を覚えるが、これはマルケスの『百年の孤独』以来の稀有な経験である。見れば、裏表紙の書評が匹敵する作家としてエーコ、ボルヘスと並べてマルケスを挙げている。

そうこうするうちに、今朝エジプトのムバラクが失脚したとの報が飛び込んできた。

先日ランから帰宅すると、電気の検針票が玄関に落ちていた。見るのは前年同月の数字。増えている。最近あんなに節電しているのに、と不審に思い家内に訊くと「あなたが在宅だからでしょ」と言われてはっとした。

昨年のリフォームで家中のガラスを全部ペアガラスに替え、随分と暖房はなしで済ませられるが、それでも電力消費は男がひとり蟄居するだけで上がるのである。嗚呼。
12Feb.2011


live_on1 at 13:57エッセイ 

February 03, 2011

無職 2ヶ月

異常乾燥の1月があっという間に去っていった。

無職になって2ヶ月。最初は日中うろうろしていることに慣れなくてフワフワした気持ちだったが、ようやくリズムができてきた。その中心はチャリンコ。ときおりハローワーク。

週5、6日のランで内蔵脂肪の燃焼が実感できる。ここ四半世紀、頑固に70kg台前半だった体重がようやく減り始め、ついに60kg台に落ちてきた。

乗り始めて2ヶ月。12月は253km、1月は589km走ったので通算842km。ちょうど、去年車で行った青森まで到達できる距離である。

確定申告も済ませ、一段落と思っていたら爆弾が届いた。市からの住民税取立てである。噂には聞いていたが、その額に思わず心が折れた。

キッチンの洗い物は全部引き受けることにしたが、今後の課題は少し料理を覚えることか。
3FEB.2011


live_on1 at 09:42ロードバイク 

無職 2ヶ月

異常乾燥の1月があっという間に去っていった。

無職になって2ヶ月。最初は日中うろうろしていることに慣れなくてフワフワした気持ちだったが、ようやくリズムができてきた。その中心はチャリンコ。ときおりハローワーク。

週5、6日のランで内蔵脂肪の燃焼が実感できる。ここ四半世紀、頑固に70kg台前半だった体重がようやく減り始め、ついに60kg台に落ちてきた。

乗り始めて2ヶ月。12月は253km、1月は589km走ったので通算842km。ちょうど、去年車で行った青森まで到達できる距離である。

確定申告も済ませ、一段落と思っていたら爆弾が届いた。市からの住民税取立てである。噂には聞いていたが、その額に思わず心が折れた。

キッチンの洗い物は全部引き受けることにしたが、今後の課題は少し料理を覚えることか。
3FEB.2011

live_on1 at 09:42 
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