October 2012

October 31, 2012

「日銀アプリ」のコンペ

「日銀の金融緩和策に賛否」とあるから、「遂に!」と思ったら、同友会は歓迎で、日商は「規模が足りない」という評価ときた。なんのことはない金融緩和策自体はなんら否定されていない。

20年の長きにわたる不況に打たれた何十発目の金融緩和策か?

これだけ続けて効果がなかったら、普通の頭なら別の工夫をするだろうに、この国の選良たちには依然としてこれしか浮かばないらしい? 

傍目にはただの条件反射にしか見えない。その「条件」さえ分かれば、並のプログラマーが「日銀アプリ」を作ることができるだろう。いっそコンペをぶちあげたらどうか。

そしたらあの人達の高い給料をまるごと国庫に戻すことができる。
31Oct.2012

live_on1 at 10:10政治・歴史 

October 25, 2012

せいせいした

「京大は熱い」と書いて、引き続き俗塵を離れて清談をと思っていたところへ「石原都知事辞任」のニュースが飛び込んできた。

石原嫌いが高じて東京脱出まで夢見た身にはまことにラッキー。

どこに振っても会見をやっているからつい観てしまったが、それでも15分が精一杯。この人の話は決まって愚痴と、好き嫌いのオンパレード。気に食わない質問には恫喝をもってする(老いはかれから忍耐力をも奪っている)都知事会見を聞かなくてすむと思うと本当にせいせいする。

国政に転じてやることは「14年間都知事としてやってきたことの延長」とおっしゃるが、その総括は一切なし。つまりこの人は、政治家としてまったく不適格なのだが、「結果」に関心がないのである。

唯一評価できる業績は一期目のディーゼルエンジン規制で、あとはこの余韻だけで再選を重ねたのだった。

素人考えで銀行を作って400億円の穴をあけ公金を使ったことも、散財を重ねて五輪誘致に失敗したことも、その失敗に懲りていないことにも触れない。そしていま、自分が蒔いた種によって日中関係40年の積み重ねが散々なことになっていることにも触れない。一抹の悪びれた様子もないことに本当にあきれてしまう。

経団連は政府に日中関係の回復をと申し入れているが、それより先に石原に賠償を求めるのが筋ではないのか。反愛国キャンペーンが怖いのか。経済的利害や人的交流を抜きにした愛国って何なのか?

もう一度いうが、心情が純粋なら結果はどうなってもいいのか? これは100年前にマックス・ヴェーバーが政治を職業とする者たちに突きつけた問いである。

将棋でいうと、あるひとつの筋やある一手が指したいばかりに、結果を顧みない指し手に似ている。こんな自己陶酔人間が大成するわけがない。

この人の改憲論にもひとこと。かれはいまの憲法のどこがどう悪いとは言わない。ただただ「嫌い」なのである。「あの前文の文章は日本語ではない」と繰り返す。しかし、憲法は石原の審美眼のために存在するわけではあるまい。この点、既述だが凡百の政治屋と同じく憲法理念が分かっていないのである。

きけば新党結成とか。あのガマンのならない老人性短気と好き嫌いの激しさではまとまるものもまとまらず、いずれ四分五裂のジリ貧に決まっている。

ああ、せいせいした。
25Oct.2012



live_on1 at 22:18政治・歴史 

October 24, 2012

DNAの歴史は山中伸弥を待っていた

宇宙物理学の世界に「人間原理」というのがある。「宇宙はなぜこのようにあるのか?」という問いに対して「人間という知的生命体を出現させるため」と答える仮説。おそらく永遠に証明不能であろう魅惑的な仮説。

山中伸弥教授のiPS細胞について紹介するNHKの特番を観ていて、ふと大胆な仮説が浮かんだので書いておく。

仮説:40億年にわたるDNAの歴史は山中伸弥の出現を待っていた。

自然はさまざまな局面で途方もない冗長性を見せる。生物多様性もそうだが、免疫システムのなかでは大量に生成されながら大量に捨てられる細胞がある。なかでも白眉は生物の体細胞のひとつひとつにDNAの全セットがコピーされて存在することだろう。

この冗長性は何のためだったのか?

山中のiPS細胞の仕組み(専門的には「細胞の初期化」という)が発見されてみれば、それはこの仕組みを実現させるため、とはいえないか。受精卵から分割・発生を経てできあがった細胞を、経路を逆転させて万能細胞に変えうる道を留保するため、と。

それにしても京大は熱い!

山中伸弥の少し前には望月新一が、そのずっと前には森重文がいた。
24Oct.2012


live_on1 at 22:34エッセイ 

October 23, 2012

違法性の巨細

田中慶秋法相が辞任した。前にも書いたような気がするが、これが一番おいしい経歴の作り方で、来るべき告別式でかれは晴れて(?)「元法務大臣」と呼んでもらえるわけだ。

大臣指名の段階で74歳と聞き、眠ったような目を見れば、こんな筋書きは読めていた。

ところで一見して無関係に見えて大ありなのが、一票の格差裁判での最高裁違憲判決である。あの腰の重い保守的な最高裁が違憲としたのだ。

しかし、これをずっと無視し続けているのが立法府である。これでもこの国に三権分立があるといえるのか!?

参院の4増4減案など、仮に成立したとしてなお、1:4.75の格差が存在するという。これをもって定数是正と言い切る政治屋たちの堕落には底がない。みずからの正当性が腐っていることの自覚がない。司法はもちろん有権者は愚弄されている。

この種の裁判はいつも事後裁判で、先の選挙を無効とするところまでいかないのが残念。三権分立を実効化するためにはもっと強い牽制が必要で、たとえば「真の格差是正を行わないかぎり選挙を実施してはならない」という判決を出すことはできないのか(法理上の制約があるのか?)と思うのだ。

われわれ有権者も遠近法というかモノサシを間違えてはならない。レベルの低い日本のメディアが煽る年金不正受給のニュースに興じていてはだめなのだ。同じ「違法」といっても、その巨細を間違えてはいけない。一方は憲法無視である。

ここから派生する命題はひとつ。憲法を足下に見る政治屋たちの改憲論に踊らされてはいけない。憲法理念を理解していない政治屋たちのどんな改憲案も画餅に等しいということ、これである。
23Oct.2012

live_on1 at 16:05政治・歴史 

October 22, 2012

駐禁パトロールの節操

先日職場の窓から見える目前の道路で駐禁パトロールがまたまた宅配の運ちゃんをいじめていた.。

最近目に余る、と思う。

なぜというに、現場は幅広の歩道が両側にあって、車の渋滞などおよそ無縁の脇道なのだ!

まるで「合法性に名を借りたイジメ」である。

と、ひと回り年長の相棒に同調を求めたところ、「あれは道路事情とは関係がない。ノルマだよ。かれらも生活がかかってるからさ。いやな世の中だよ」と。

ムムム…

駐禁パトさんや宅配の運ちゃんがどれくらい実入りがあるか、最低賃金線上の爺さんは知らないが、そんなに恵まれた水準とも思えない。そんな者同士を敵対させるこの不況が元凶なのだが、長引く不況に手をこまねいている恵まれた選良たちをどうしたものか?

20年も効果がなかったのに、いまだに千篇一律のごとく金融緩和、景気刺激を叫ぶやつらのマヌケ顔。ゼロ金利政策は見えない税金である、ということをわれわれ有権者も知らなくてはいけない。
22Oct.2012

live_on1 at 23:09エッセイ 

October 14, 2012

丸谷才一 没

きのう丸谷才一が亡くなった。87歳というから大往生の部類か。

吉田秀和に続いて、またひとり偉大な教養人がいなくなった。

折しも村上春樹がノーベル賞を逸した余韻の残るなか…

村上が徹底的に日本史と日本文学を避けることで世界に知られた作家なら、丸谷は日本史と日本文学に深く広くコミットしながら、世界でも通用する作品を書き、そして読まれた日本人作家である。

丸谷の作品はどれも知的でありながら洒脱で、きっちりと企まれていながら、どこか余裕を感じさせる名人芸だった。

余談だが;

丸谷の作品がイギリスで出たとき、「日本のD・ロッジ」と評されたという。それ以前自分は、デヴィッド・ロッジの作品を知ったとき「これはイギリスの丸谷だ」と感じていたので、我ながらいい線をいっていたわけだ。

敬愛するロッジも確かいい歳のはずで、遠くない将来、その訃報を聞かされるのではと気がきではない。

Anyway、合掌。
14Oct.2012

live_on1 at 14:42 

October 12, 2012

皿洗いと歯磨きと…

記憶で引くので正確ではないかもしれないが、「ひとは皿を洗いながら死んでいく」とは、『きことわ』朝吹真理子の鋭い断案。

リタイア後この役割を一手に引き受けた自分には腹の底から納得できるが、もうひとつ付け加えてみようか。

「ひとは歯を磨きながら死んでいく」。

ここ何十年、虫歯に縁はないが、数年前に右下にブリッジをした。歯周病が怖くて磨きに磨いてこれである。今年6月には左上の奥歯を1本抜いた。

医師はよく磨けているとほめてはくれるが、「遺伝の可能性が強いが、歯を支える上下の顎の骨が後退している」のだという。

これが本当なら、歯周病用のペーストを使おうが、一日3回磨こうが(多い時は4回も磨いていた)、あまり関係がないのである。では、やめるかというとそうはいくまい。徒労とは分かっていても磨き続けるだろう。

こうして毎日歯を磨き、皿を洗いながら死んでいくのである。

抜歯のあと、三ヶ月後に診せてくださいと言われて、先日予約すると、その日から今度は下の前歯が痛み出した。触れてみるとぐらぐら揺れている!!! 診立ては、犬歯を含め前歯6本つないだ被せ物が必要とか。

というわけで、今日の午後はまな板の鯉になって削られてくる。
12Oct.2012


live_on1 at 10:59エッセイ 

October 08, 2012

尻軽大臣と死刑執行命令

7日の報道特集が「死刑」を取り上げていた。終身の守秘義務があるはずの元刑務官へのインタビューなど、いつもながら勇気ある踏み込んだ取材姿勢がうかがえた。

死刑の是否については、可能なら、納得できるなら、反対論者でありたいとかねてより思っている。最後のハードルは、自分の肉親が惨殺された時でも冷静に反対論者でいられるかというもので、これをクリアするための倫理的確信がほしいのである。その気があれば、文献に事欠かないことは分かっているが、なぜか先延ばしになっている。

8月に判決がおりた昨夏のノルウェイの大量殺戮者ブレイビクの刑は結局、禁錮21年だった。77人という犠牲者の数からすれば、不勉強な人間には随分寛容な刑に聞こえるが、ノルウェイで死刑復活論が起きたとは聞かない。ますます死刑廃止(反対)論の思想的倫理的根拠が知りたくなった。

とまれ、一旦日本の死刑制度を前提にした場合でも、問題点が山積していることは上の報道でもよく分かる。

ひとつ、絞首刑という方法の残酷さ。ひとつ、執行の告知から執行までの時間の短さ。ひとつ、全体としての不透明さ、秘密主義。ひとつ、同じく死刑判決を受けていながら、執行までの時間が許容しがたいくらいまちまちであること(そこに不公平がないのか)。

前稿との関連で特に気になるのが四番目である。人命にかかわるかくも神聖な問題が、「大臣の椅子は政権にある間になるべく多くの仲間で分け合おう」という、国民を愚弄するふやけた慣習と接点をもたされている問題である。死刑執行には法務大臣の執行命令書への署名がいる。

はっきりいって制度的欠陥(判決から何日以内に執行との客観規定があってしかるべきだろう)だと思う。将来「元大臣」と呼ばれたいためだけに引き受けた尻軽大臣が執行命令を避けたがるのは、小人の最後の良心かと言えなくもないが、結果としてとても残酷なことが生じている。

たとえば、ここで句集『棺一基』を紹介した大道寺将司など、37年間も独房に入れられ、なおかつ日々絞首刑の恐怖と戦わされているのである。彼が受けたのは死刑判決だったのに、加えて終身禁錮37年(以上)が科されたことになるのである。

主義として執行命令を出したくない人は法務大臣を受けるべきではない、との意見は正論だが、事実問題として大道寺のような死刑囚が増え続けている今日、焼け石に水というか、虚しい正論ではある。
8Oct.2012

live_on1 at 16:55政治・歴史 

October 07, 2012

内閣改造という茶番

あれよあれよという間に10月も1週間が過ぎてしまった。驚くのはきのうもまだ蝉声が聞こえたこと。10月に入って、昼蝉声を聞き、夜虫の音を聴く。最近とみにあやしくなった記憶に照らしても、こんなことが今までにあったろうか…?

大地震大津波があろうが原発事故が起ころうが、ゲリラ豪雨や竜巻被害がふえようが、変わらないのが永田町町内会の政治手法。

野田くんは首相になって1年を過ぎたばかりの時点で三つ目の内閣をこしらえた。動きの早いTV界でも番組改編は年2回というご時世に!

そのつどもっともらしい能書きをたれるが、それが年3回も必要か。こんな空疎な儀式をさも大ニュースであるかのように報道するメディアもメディア。閣僚名簿を読み上げるだけでスルーする勇気あるニュースはほとんどない。かりにもそれ以上やりたいなら、真紀子が入閣するかどうかではなく、前回・前々回改造時の能書きと今回のそれとを並べて、相互の違いを野田くんに説明させるくらいはやれ、と言いたい。それによって、つどの決意表明の嘘と虚しさを炙りだすのだ。

政治主導というが、こんな尻の軽い大臣たちが官僚を制御できるわけがないのであって、裏でほくそ笑んでいるのは当の官僚たちのみ。

すでに何度も書いてきたが、政権交代は結局のところ、政策(コンクリートからコンクリートへ)だけでなく、政治手法までふくめて、政党Aから政党Bではなく政党Aダッシュへの交代だったということ。

では政党Aに戻ればいいかといえばそうではあるまい。かといって日本維新の会に入れ込むには相当強い毒消しが必要で、はて、そんな毒消しが見つかるものだろうか…?
7Oct.2012



live_on1 at 11:49政治・歴史 
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