May 2014

May 31, 2014

足下の闇

火野正平の「こころ旅」は今週お休みで、過去の蔵出し映像が放送された。いつもながら無防備に観ていたら、あるエピソードにドキュンと胸を射抜かれた。

それは2012.5に読み上げられた手紙。差出人は徳島県在住の50代の女性Aさん。Aさんは相馬市に住む女性Bさんと長い間文通を交わしてきたが、2011.3.9に福島で地震相次ぐの報に接し、心配して翌10日Bさんに電話する。するとBさんは快活に「うん、6回あったけど、被害もなく大丈夫」の返事。

そして3.11を迎える。Bさんは津波にのまれて帰らぬ人に。


まさに、

「死は前よりしも来たらず、かねて後ろに迫れり」(兼好)

何気ない日常の足下には奈落が口を開けている。
31May2014

live_on1 at 19:33エッセイTV 

May 29, 2014

パンとサーカス

ローマ帝国で体制維持と民心つなぎとめのために採られた愚民政策を象徴することば。パンは無償の食糧支給、サーカスは馬に曳かせた戦車レースや剣闘士のファイトに相当する。

2000年も前に人類は政治を猜疑の眼で見る成熟した批評眼を持っていた。2000年後のわれわれはどうか…?

今の日本でいえば、さしずめパンはアベノミクス、サーカスは東京五輪か。(サッカーW杯、世界陸上、ラグビーW杯、…、枚挙にいとまがない。微妙な問題だが拉致問題交渉もワンノブゼム)

自分も筋書きのないドラマとしてスポーツには見入ってしまうが、スポーツが政治という盤上のひとつの駒にすぎないことを忘れたことはない。

安倍くんは久しぶりのベースアップをアピールするが、しない企業は名前を公表すると脅しをかけた上でのこと。

TPPも一知半解の勇み足としか思えない。満額回答はありえず、せいぜいが中途半端な妥協点で落とすしかなく、あとは例によって救済策・補助金のオンパレードが待っている。法人税率軽減とあいまって消費税上げ分は減殺され、借金は一向に減らないだろう。

21世紀の日本版パンとサーカスを煙幕にして安倍くんは何を狙っているか? 改憲である。

ところが、東アジアの緊張を高める改憲にアメリカはいい顔をしないだろう。それをなだめるために、TPPや集団的自衛権行使容認で精一杯アメリカにすり寄っている。


なぜこうもアメリカにすり寄るのか? 

首相の座につくこと2回。パパ晋太郎の悲願を達成した晋三くんは、こんどこそグランパ岸信介の遺志を遂げたくてしょうがないのだ。日本を、バーチャルにではあるが、アメリカ第51番目の州にすること、これである。

アメリカから独立してでは自信がないが、アメリカの傘の下でなら、思い切り右寄りの憲法をつくって、思い切り武張っていられる。
29May2014



live_on1 at 11:48政治・歴史 

May 25, 2014

究極のコンプライアンス問題

権力に対する猜疑の必要を説いたジェファーソンは続ける。

「連邦憲法はわれわれの信頼の限界を確定したものにすぎない。それゆえ、権力に関する場合は、人に対する信頼に耳を貸さず、憲法の鎖によって非行を行わぬように拘束する必要がある。」


こうした憲法の理念を知ってか知らずか、安倍くんはじめこの国の「選良」たちは、憲法を鎖どころか意のままにできる作文程度にしかみなしていない。こんなやつらが、「解釈」を超えてどんな憲法改正をしようが、できたものは画餅にすぎない。

安倍自民党が大勝した先の総選挙、その特番で、池上彰が安倍くんに問いただす。

「(積極的平和主義(わけの分からない空虚な文飾!)について)総理として兵士を死地に赴かせる命令もしなくてはなりませんが、そのお覚悟は?」

これに対して安倍くんは「自衛隊員はすべて宣誓書に署名しております(から大丈夫です)」といった木で鼻をくくったような官僚答弁。

こんな答弁は期待していなかったと思うが、池上のさらなる突っ込みはなく、通りすぎてしまった。

安倍くんの回答は「命令」を根拠づける形式的手続き的正当性に触れただけ。池上の真意はともかく、「命令」の実質的正当性に自信はあるかと訊くべきであった。

アメリカのイラクやアフガンへの先制攻撃では、のちにCIAによるミスリードがあったことが公表された。集団的自衛権発動に際しては、ミスリードされた米政権にミスリードされて出動命令を出してしまう可能性もあるのだ。その恐ろしさ危うさを安倍くん、あなたは自覚してますか、と。


「宣誓書」に戻る。

「私は、…(中略)…、専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」と、至って妥当な内容である。

ところで、略した部分には、「日本国憲法 及び法令を遵守し、」との限定が明記されている。


つまり、安倍くんの命令に対して、良心的隊員は正当にも日本国憲法を盾に不服従・履行拒否を宣言できるのである。あとは裁判官に小学生高学年程度の読解力があるかどうかにかかっている。

これが究極的なコンプライアンス問題である。
25May2014


live_on1 at 15:35政治・歴史 

May 23, 2014

猜疑心を欠いてはいけない

  <年金はいらない人が制度決め>

なぜか大賞に選ばれなかったこの川柳の断案はいくつにも変奏が可能である。


税金は税率がどんな水準でも構わない人が決め、

戦争は前線に出ることのない人が仕組み(そして若者が死ぬ)、

原発維持は放射能の影響をほぼ無視できる老人が決め(アトハノトナレ)、

借金は返す気のない人が積み上げる。


後先短い老人として言わせてもらうが、日本人は、とくに若者はいま試されている。

集団的自衛権がらみで安倍くんが「日本は戦争をする国には絶対になりません」と叫んだとて、それがなんの保証になるか。本人もマスコミも国民も、安倍くんが未来永劫生き続けるとでもいうのか。

「いまは戦時」と挑発する炭鉱のカナリア辺見庸は言う。

日本を破滅の淵に追いやった15年戦争だって、最初から東京大空襲や沖縄戦や原爆投下があったわけではない。張作霖爆殺や柳条湖事件など関東軍の突出・暴走が起きた前後も、日本人の日常生活がさほど変わったわけではなかった。なんとなくそんな生活がいつまでも続くと思っていたのだ。

ところが客観的情勢は徐々に徐々に、真綿で首を締めるように、後戻りできない地点へと下っていったのだ。気づいた時には遅かった。あろうことか、「みんなで懺悔しよう」とまで言われたのだ。

後々振り返れば、尖閣買い上げがはじめの一歩(柳条湖もこの時も糸を引いたのは石原)。特定秘密保護法案は次の一歩。そして今憲法解釈変更による集団的自衛権容認である。次に何が来るのか…

安倍くんはアメリカが大好きらしいから、きっとご存知と思うが、アメリカ第三代大統領ジェファーソンの言葉を引いておく。

「我々の選良を信頼して、我々の権利の安全に対する懸念を忘れるようなことがあれば、それは危険な考え違いである。信頼はいつも専制の親である。自由な政府は信頼ではなく猜疑にもとづいて建設せられる。」

これを書き写している途中、きのう見た悪夢のようなニュース映像が蘇る。ふたりの国会議員がアメリカの元高官と会い、「集団的自衛権容認決議を急ぐよう言われた」と、あたかも先生から花丸をもらった小学生のように得々と報告していたのである!!

われわれはこんな、国籍不明の「選良」を戴いているのである。
23May2014

live_on1 at 14:54政治・歴史 

May 21, 2014

ハマラメの先

先日、ついに花粉症がきたか、とみずからの鼻づまりに関して憶測を書いた。

市販の点鼻薬が効かないうえに、青洟が出始めて止まらなくなり、迷った末に耳鼻科へ。

ちょうど1年前、孫のアデノイド肥大を見つけてくれた若い医師は今度も一発で「蓄膿症またの名を副鼻腔炎」との診断。飲み薬3種と粉末の点鼻薬を処方してくれた。

調べると、風邪が引き金になることがあるらしく、2月3月に風邪をひいて以来ずっとスッキリしなかったことを思い出し、腑に落ちる。

とはいえ、ふたつの意味でショックだった。

ひとつは、「蓄膿症」の響き。小さいころまわりによくいた洟垂れ小僧の姿と結びついていて、父親によく「あんなのを放っておくといずれチクノーになって鼻を切開しなくちゃならない」と脅かされたものだった。

もうひとつは、何稿か前で「マー君の鼻が心配」と書いて、蓄膿症に言及していたからである。まさにアイロニー以外の何物でもない。他人の心配をする前に自分の足元を見よ、と言われたような…


男の衰えといえば、ハマラメ。順序はともかく、妙に納得させられてはいたが、それに加えてハナまでかよ、と愚痴りたくもなる。


(負け惜しみではないが、マー君の鼻が心配なのはもちろん今でも変わらない)
21May2014

live_on1 at 20:26エッセイ 

May 20, 2014

表札のしりとり / 浜田の天然

先週の「ナニコレ珍百景」でのこと。

4戸並んだ家の名字が漢字のしりとりになっているとの投稿。小松→松木→木田→田中。(ナルホド!)

おもしろかったのは住人らは何十年も住んでいてこのことを自覚せず、訪れた客人に指摘されて初めて気づいたらしいこと。

ボタンを押さなかった原田泰造は「6戸ほどあったら押すけど、4戸じゃさ」と言って笑ったが、自分はかなり珍しいと直感した。3戸ならかなりありそうだが、4戸はちょっと、と思う。


*******


ダウンタウン浜田の天然ボケ。

ゴルフコースで浜田が「よし、次のホールから英語禁止や」とぶちあげた。

パーティのひとりが「えぇ、じゃドライバーは何て言えば?」

浜田「一番飛ぶやつや」

「じゃ、アイアンは?」

「次に飛ぶやつや」

「 … 」

「わかったな。ほな、いくでぇ」とすごんだ浜田は大声で、

「英語禁止、スタート!」
20May2014

live_on1 at 14:55TV 

May 14, 2014

永井永光『父 荷風』

いわゆるひとつの偶像破壊だった。さりながら…

荷風の創作にはさほど感銘を受けなかったが、『断腸亭日乗』はしばしば横線を引きながら読んだ。狂気荒れ狂うなかで鋭く醒めた批評眼を維持し、貴重な観察を書きとどめた勁さに惹かれていた。ドナルド・キーンの「美しい東京弁を話す最後の人だった」という評言も頭にこびりついている。

著者は11歳のとき、65歳の荷風とその26歳下の従兄弟で実父大島一雄(杵屋五叟)双方の思惑で荷風の養子となった人。荷風没後、その原稿と旧宅を守りぬき、2012年に荷風と同じく79歳で他界した。

くぐり抜けた災禍、窮迫、感情的葛藤にもかかわらず、それらを叙述する筆致は驚くほど客観的(地図や転居を余儀なくされた家々の間取りの詳細さには目を瞠る)かつ平明で、おのずと信頼感が湧く。

孤高の荷風、しかし孤高は薄皮一枚で狷介と接していた。淡々と描かれる荷風晩年の奇行、身勝手、忘恩、吝嗇、冷酷、等々は、驚きを通り越して痛々しい。

著者は結局「文豪荷風と人間荷風は別」と思いなして吹っ切れたと書いているが、さもありなん。


若くしてアメリカとフランスを「体験」した荷風にとって狂気の日本こそ異国の地だったろう。ダメ押しは1945年3月の東京大空襲。荷風の城、偏奇館は蔵書もろとも灰燼に帰す。荷風はこの前後で人格が変わったと、著者は書いている。

研ぎ澄ました美意識と価値観に殉じた男の、キリキリと掘り進めた孤独の穴の深さを思う。
14May2014

live_on1 at 22:00 

May 12, 2014

W杯日本代表決定 雑感

「継続」を重んじたというのなら、それはそれで無難な顔ぶれである。ザッケローニの割りと保守的な用兵からすれば、サプライズ大久保も実際ピッチに立てるかどうかは分かるまい。


以下は素人爺さんのお気楽コメントである;

前にも、ガンバ大阪がJ2に降格した時の遠藤、今野の代表選出について、(個人的資質についてではなく)疑問を呈したことがある。今回は伊野波。J1で戦うディフェンダーがいないわけではないのに、あえてJ2の選手を採るのか? 選抜の客観性を損なわないか。

究極の少数意見だが、香川の選抜である。1シーズンにわたって所属クラブでコンスタントな起用もされず、ゴールも皆無だった選手をFWで選ぶのか?

誰の代わりにとは言わない。遠藤に勝るとも劣らないパサーである中村憲剛やエネルギッシュに走り回る細貝が観たかった。槙野や塩谷もいいスパイスになり得たと思う。


とまれ、チームは決まった。あとは持てる力を出しきること。間違っても、「目標は優勝」などと血迷わないこと。過去のベストが16なら、目標はベスト8でいい。

個人的には、コンフェデ杯のイタリア戦、欧州遠征時のオランダ戦後半、ベルギー戦のようなファイトをしてくれれば充分満足である。それでも結果が出なかったら、それは相手が強かったのである。
12May2014

香川の潜在能力に疑問は持っていない。性格も良さそうだし、ファンと言ってもいい。(性格の良さがFWに必要な自己主張の強さを損なっていなければいいけれど…)

返す返すも残念なのはドルトムントを離れるのが1年早かったこと。行き先がMUか否かは別にして、ブンデスリーガでの評価にダメ押しをしてからでも遅くはなかった。彼はサッカービジネスという超現実主義とジャパンマネーの犠牲者と言えなくもない。
15May2014

もうひとつ。山口蛍。ロンドン五輪の時目にとまり、是非日本代表にと思っていた。活躍を祈る。
17May2014

live_on1 at 22:22スポーツ 

May 09, 2014

オシムのユーモア

今月6日はオシムの73歳の誕生日だったらしい。それに合わせて、BS1がボスニア・ヘルツェゴビナ代表がW杯出場を決めた試合をタテ糸にオシムの近況を知らせてくれた。人に支えてもらわないと歩けない姿には胸を衝かれたが、脳みその方は相変わらずで、眼光の鋭さとともにほっとさせた。

気がつくのが遅く、残念ながら途中からの視聴だったが、相変わらずの民族対立など政治的状況のせいで予選出場さえ危ぶまれた代表チームをオシムがひと肌脱いでまとめあげたらしい。かの地でのオシムの人望と人々のリスペクトがひしひしと伝わる。

インタビュアが「体調がよくないのに、どうしてこんな大役を引き受けたんですか?」と訊く。

オシムは例のごとくたとえ話で答える。「こんな話がある。…」と言って語りだす;

ある観光地の橋に人が集まっていた。男の子が橋から転落して川に。するとひとりの男性が飛び降りて男児を救助。この快挙で男性は一躍ヒーローに祭り上げられる。

この時点で、なんだ「溺れそうな子供がいたら誰だって同じことをするだろう」的な教訓話かと、内心オシムの衰えを嘆いていた。どっこい、ただではすまないオシム独特のオチがあったのだ。

リポーターがマイクを差し出し「ヒーローとしてあなたがこれからしたいことは?」と尋ねる。

男性:「おれを背後から突き落としたやつを探すのさ」!!!


ここでやめておけばいいのだが、どうしても蛇足を書いておきたい。終始笑わないオシムの眼光の背後にあるものについて。われわれ日本人には一国内の民族対立がどんなものか、想像の埒外だが、…

例えば1995年、この国東部の谷間の村スレブレニツァで起きた大量虐殺がある。ムスリム系の人たちがセルビア系の軍隊(ムラジッチだったかカラジッチだったかに率いられた)によって、男性を中心に約8000人が一挙に殺害されたのである。

これが日本人にあまり知られていないのは、この年阪神淡路大震災やオウム事件があったせいかもしれない。

首都サラエヴォが爆撃されたとき、オシムは代表監督でチームとともに国外にいた。これに抗議して代表監督を降りるが、結局サラエヴォに残っていた夫人とは2年半再会できなかったのである。
9May2014



live_on1 at 10:17エッセイTV 

May 03, 2014

シンプルな疑問

今般の消費税上げは財政再建へのささやかな第一歩と思っていた。

ところがここへきて法人税を下げるのだという。

!!!???


ニュースを見ても識者のコメントを聞いても、このアベノミクスの不整合をシンプルに説明する解説は皆無。せいぜいが財源をどうするといった方法論に終始。

構図は至ってシンプル。なんのことはない、国民・生活者からまきあげたものを企業に移転するというだけの話。巨大な債務が減るのかどうかは闇の中。

だれかシンプルに説明してくれ。
3May2014

live_on1 at 15:41政治・歴史 
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