January 2017

January 24, 2017

同調への強迫的傾斜

先日、異能のインド人数学者ラマヌジャンの伝記(THE MAN WHO KNEW INFINITY)を読んだ。かれの英国時代はほぼ第一次世界大戦と重なっていて、食糧事情の悪化が厳格な菜食主義者だったRの命を縮めた。わずか32年の夭折だった。ここで引くのは、Rとは直接関係のない大戦末期のあるエピソード。

数ヶ月で片がつくと勇んで始めた戦争は、どちらも決定的な戦果をあげられないままズルズルと長引き、犠牲者の数はうなぎのぼり。そんなおり教会で行われたミサの情景を、戦後になってある女性が回顧する。「幼かった自分は、大人の男性が人前で泣くのを見たのが初めてだったのでショックを受けた」と。

片やこの国ではどうだったか。子息の戦死公報を受け取った男性(土居光知 東北帝国大学教授)が「わたしは悲しい」と発言しただけで非国民と、当局だけでなく周囲からも非難され罵られたという。

この違いについて日本人は深く思いを致すべきだと思う。子を喪った親が悲しみを表白できる国と許さない国と。

王室が皇室へと漢字一字変われば国民はカルト集団に化すということか。一字の違いを優劣と勘違いして破滅へと突っ走ったニッポン。破滅がなかったかのように続いてしまった「昭和」と皇室。二度目はないとだれが言い切れるのか。

二重言語に加えてこの国を特徴づけるもうひとつの心性は、同調への強迫的傾斜(=同調しない者を異化する機制)。擬制としての満場一致の偏愛。要は思考停止なのだが、思考停止者が思考する者(異議申立て)を撃つという倒錯。その究極が天皇制である。

天皇は「日本国及び日本国統合の象徴」ではなく、満場一致の象徴、踏み絵の象徴、思考停止の象徴、そして「えもいわれぬ」ものの象徴なのである。

彼我の差は両国の報道のあり方に顕著である。ダイアナ妃問題は例外的過熱ぶりだったが、最近では宮殿の改修費は高すぎるとの議論がおきた。両王子の若いころのやんちゃ報道もあれば、ヘンリー王子はもっと働くべきだなど、広く公論に供される。一方こなたでは宮内庁のほそぼそとしたリークに全面依存のお手上げ状態。要は、皇室は賛否や議論の対象ではなくそれらを超越した存在であると。

そうして造り上げられた見えない檻の中に棲む皇族方。個々には生身の人間でありながら「えもいわれぬ」もの、「非の打ち所のなさ」をまとわされる。それゆえ外から入ったミチコが失語症を、マサコが適応障害を病んだのは当然のこと。


いましもあの男が「共謀罪が成立しなければ、東京五輪は開催できない」と吠えた。これは国民に向けた恫喝である。さて日本人は「開けなくて結構」と反発できるか。同調への強迫的傾斜、満場一致への偏愛を意思的に克服できるかが問われている。


嗚呼しかし、じつのところ日本人のことなんてどうでもいいのだ。辺見庸の容態こそが心配だ。歩行もままならず、右目も失明状態と知る。檻と化した肉体のなかから、こと政治に限っては暗黒状態のこの国に向けて、ひとり正気の異議申立てを続ける辺見にもしものことがあったらどうしよう、とそればかりが頭を離れない。
24Jan.2017

live_on1 at 15:23政治・歴史 

January 19, 2017

二重言語の国

歴史の「修正(じつは歪曲)」はこんなにもさりげなく進んでいくものか、という感慨。議論はもとより、さしたる抗議、抵抗もなく… 

韓国が慰安婦像を建てる。それがこの国の国益にどんな関わりがあるのか? 怒る理由、抗議する資格があるのか? こんな疑問は初心とばかり、報道はあくまで表面的事実をなぞるだけ。

アベやアベの忠犬スガ某がちょっと不機嫌な顔をすれば、ことばもいらないとばかり… それに乗っかって、あたかも「当たり前」であり正当であるかのような前提でTVカメラの前の男女がしゃべり散らす。

かくして、あったことはなかったことになっていく…


トランプの放言を聞き、下品で傍若無人のツイートを読んで、「自国のことでなくてよかった」と胸をなでおろす日本人は多いだろうが、早とちりである。たとえば、企業活動への政治的圧力、メディアへの恫喝など、トランプとあの男は同じ穴のムジナ。過去(=歴史)の無知、軽視もよく似ている。

違いは、トランプが本音を隠さないこと。だから反対派も本音で抵抗する。インファイトが現出する。片や、本音と建前の二重言語国家ニッポンでは、ことばさえ丁寧なら話の内容(本音)を見ない傾きがある。あげくは、とても剣呑な、分かる人には戦慄の法案が、さしたる抵抗もなく、お行儀よくしずしずと通っていく。

盗聴法、特定秘密保護法、そして共謀罪、…。いつか通った道をまたまたなぞっている。そのことに無頓着な日本人はあの男同様致命的に不勉強といわねばならない。サンタヤナの言葉は現下のニッポン人に宛てた警告ではなかったか。曰く、

Those who don't learn the past are doomed to repeat it.

あの男はなにかというと「未来志向」を唱えるが、「過去は無視」と同義。どころか、歴史の歪曲、捏造を目論む点でトランプよりも悪質、狡知である。
19Jan.2017

live_on1 at 18:56政治・歴史 

January 14, 2017

小室哲哉のとつとつ語り

J−POPやロックにうとい自分でも、小室哲哉が一時代を築いた天才クリエイターであることは知っていた。(それにしても通算売上枚数が一億七千万枚とは!!!)

そんな男がマツコDXとTVカメラの前で、あるアーティストの出現に「引退を考えた」と、とつとつと語りだした時には思わず耳をそばだてた。

あるアーティストとは、1998年、”automatic”でデビューした宇多田ヒカル。

とつとつは続く;

 「automaticって何…!?」
 「こんなに自由でいいんだ…」
 「自分のどこからも出てこない…」
 「 … 」


自分にも「そのとき」の記憶がある。車を走らせている時、ラジオからこの曲が流れ、その新しさにショックをうけ、めったにないことだが、助手席にいた次男に歌い手の名と曲名を問いただしたのだった。

にしてもである。同じショックでも、片や一億七千万枚、こっちはナッシング、という、…、…
14Jan.2017

live_on1 at 10:19TV 

January 10, 2017

帝京大8連覇

東海大の健闘が光るがっぷり四つの決勝戦だった。それにしても8連覇はすごい。岩出監督は「選手が入れ替わるので、一年一年の勝負です」と言ったというが…。

今までにない接戦で、両校優勝の可能性もあった。帝京最後の竹山のトライは際どい判定で、TMO採用の試合であればノートライと判定されたのではないか。東海野口の抱えたボウルに竹山は触れただけ。トライの定義にあるグラウンディングとは「押さえこむ」ことではないのか、という疑問。

竹山はボディコントロールに秀でた選手で、昨年もタッチライン沿いを駆け抜けた際、ラインを踏んでいたのを見過ごされた当人ではなかったか(?)。いわゆるレフェリー泣かせのプレーヤーである。出身は御所実業。


その御所実業は高校選手権準決勝で、優勝した東福岡に1点差負け(24−25)! 東福岡も東海大仰星も優勝常連校だけに今年こそ御所実業に初優勝してほしかった。

キャップをふくめ黒一色のユニフォームのこのチームを自分はひそかにミニ・オールブラックスと呼んでいるが、精悍な姿そのままの真っ直ぐなプレーぶりが好きである。竹田監督の古武士のような面構えもいい。どうせなら本家のようにシューズまで黒で揃えてはどうか。
10Jan.2017



live_on1 at 10:00スポーツ 

January 05, 2017

2017正月雑感

仕事納めから仕事始めまでの淡々とした時間の流れはいよいよ速度を増していて、うっかりすると置いていかれそう…

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初夢は熊と鹿だった。11月に富士山スカイラインを下っている時、100m先、道を横切る熊を見、さらに下ったヘアピンで道端に佇む鹿二頭を見たせいか。それとも昨年熊の出没が多かったせいか。はたまた、年末の「明石家サンタ」で36万円の当たり馬券を鹿に食われた男の話を聞いていたせいか。

ところで、熊と鹿は瑞兆だったかしらん、…???

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三が日は異例の暖かさだったというが、チャリに乗るとダウンヒルの風が冷たい! ネックウォーマのありがた味を思い知る。

チャリに乗っているとジョガーを見ることも多い。なかに、この冷気の中、半袖短パンで走るジョガーがいて目が点になる。その多くは50代以上とおぼしき年配ジョガー。他人事ながら低体温症が心配である。(知らないことは恐ろしい)

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特番続きのTVでこれでもかと繰り返される不明留学生女子のニュース。留学目的を忘れ、留学生という身分に酔ったお嬢さまの恋愛のもつれがあたかも「国際問題」であるかのように−−。相変わらずの低空飛行に苦笑を禁じえない。

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いよいよトランプが大統領ごっこを始める。ごっこが現実となるわけだから恐ろしい。悪夢である。

オバマ政権が失望のうちに幕を閉じるのはアメリカにとっても世界にとっても不幸だった。不幸の大本は、議会を共和党が牛耳り、いわゆる「ねじれ」のなかでオバマが手足を縛られながらの政権運営だったこと。それがなければオバマはどれだけのことを成し遂げたられたか、逸失利益の巨大さを思うとアメリカ人ならずとも溜息が出る。

裏を返せば、トランプはオバマより強大な権力を手にしたということ。手痛い付けを払わされるのはアメリカ国民だが…

***

かくして、世界はポピュリストと独裁者の海になる(オバマについでメルケルが去った日には…!)。そんな海なら自分も自由に泳げるぞとほくそ笑むあの男のにやけ顔に虫唾がはしる。
5Jan.2017


live_on1 at 10:21エッセイ政治・歴史 
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