October 20, 2007

「牛乳を注ぐ女」

昨日19日休みをとってフェルメールを観てきた。場所は国立新美術館。千代田線乃木坂駅の6番出口から直結しているのはなによりだった。

展覧会は『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』と銘打っていたが、中身はほぼ「女」に尽きていた。料金の1500円は「女」一点のために払ったようなもの。一応真ん前で観たあと、対面する壁の前にしつらえてあったベンチに座って30分ほどぼーっとしていた。午前だというのに人の流れが尽きないのが玉に瑕だったが、ああいうのを至福の時というのだろう。

30年前にフェルメールを知って以来、本物を観たのは初めてである。1980年、ルーブルに「刺繍」を訪ねたときは修復中だか出張中だかで実見することができなかった。

私の狭い知見のなかで別格の画家だったが、この展覧会においても他を圧倒して別格だった。

最初に買った画集にホイジンガの賛がある。アムステルダム国立美術館の「牛乳を注ぐ女」の展示室でのこと。フランス人と思われる男性が近づいてきて「この画は、日常生活を非物質化し、霊化し、永遠化していると思わないか」と言ったという。ホイジンガは「まさしく」と応える。この男性の言葉を私はなぜか「結晶化 cristalliser 」と覚えていたが、大きな間違いではないだろう。

ところでその後読んだ何冊かの本でも教えてくれないのはこの女の服の色使いである。上着の黄色は有名だが、スカートの赤とその上に巻かれた布の青の意図についての言及は寡聞にして知らない。衣服における赤と青は聖母マリアを象徴する色のはずなのである。フェルメールには意図があったのだろうか、それとも…??
20Oct.2007



live_on1 at 23:11エッセイ  
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