新LP鑑定法 その2(英DEECA編)

金子 学

 

前回の「新LP鑑定法」のDGG編には,多くの方の感想をいただいた。

多くの方から「非常に参考になった。」とか,「今までのもやもやが消えた。」などとお褒めの言葉をいただいた一方,「もっと詳細な情報を」との御意見もいただいた。

実は,レーベルの変遷においては,もう少し細かな情報もこちらにあるが,まだ確認できていないことも多かったため,確信をもってお話しできることに限りお伝えしたところである。

もちろん,今後も,新しい情報が確認でき次第,当店のホームページなどで紹介していきたい。興味のある方は,是非チェックしていただきたい。

 

2回目の今回は,「ショルティのリング」などでおなじみ,オーディオファイルの憧れの的,英DEECALPレーベルの変遷についてまとめてみたい。

 

DECCA・モノラル編

イギリスの名門レーベルDECCA社では,モノラルLP1950年から1969年まで生産された。これ以降はステレオLPのみのプレスとなっている。

DECCAのモノラル期のレーベルは,大きく分けて2つのパターンに分けられる。

それぞれは,「オレンジ&ゴールド」と「オレンジ&シルバー」と呼ばれている。

 

Aオレンジ&ゴールドレーベル

レコード番号で言うと,すべてのLXT2000番台とLXT5118までの5000番台となる。そのアルバムのセンターレーベルがオレンジ色に金文字が印刷されていれば,それがオリジナル盤である。いわゆる「オレンジ&ゴールドレーベル」だ。(写真1)

写真1

このレーベルのほとんどのLPオリジナルモノラル録音である。父クライバー,クナッパーツブッシュ,そしてフルトヴェングラーらの名演が目白押しだ。録音も素晴らしく,特に楽友協会でのウィーン・フィルの名盤は,今聴いても,決して輝きを失うことはない。

 

Bオレンジ&シルバーレーベル

LXT5119以降のレコードは,すべて銀色の文字になる。これが,「オレンジ&シルバーレーベル」である。

この時期のLPには,ステレオ録音のモノラルカッティングも多いが,これを侮ることなかれ。ステレオ録音であっても,モノラル再生用にマスタリングされた名盤は,ステレオとはまた違った魅力を放っている。(写真2)


写真2

 

なお,このモノラル時期のLPのレーベルは細かく見ると,デザイン違いのほかに,レーベルの内側や外側に溝があるものがあり,そのパターンも数種ある。これを,プレス時期によって細分した資料も見かける。しかし私には,確証がもてない部分も多く,今後も検証が必要であるので,今回は紹介を見送ることにする。

 

 

 DECCA・ステレオ編

 

DECCAのステレオLPのセンターレーベルのデザインは,年代別に4つのグループに分けることができる。それぞれをオーディオファイルはED1,ED2ED3,ED4と呼んでいる。また,それら中でも,ED1からED3までを「ラージ・レーベル」(またはワイド・バンド・写真3),ED4を「スモール・レーベル」(写真4)と大別している。


写真3



写真4

ラージ・レーベルは,読んでその字のごとく,スモール・レーベルよりもセンターレーベルの大きさが,ひとまわり大きい。また,レーベル中にデザインされている銀色の帯(黒色で「FULL FREQUENCY」と書かれている)の幅が13ミリメートルあり,ED4よりかなり広い。そのため,「ワイド・バンド」とも呼ばれている。

それで済めば,話は簡単であるが,そうは問屋が卸さないのだ。実は,「ラージ・レーベル」だけでも,3種のヴァリエーションが存在する。

もっとも古いタイプがED1と呼ばれるタイプだ。ラージ・レーベルの外周から約1センチのところに溝(GROOVE)があり,レーベル外周(時計でいうと10時の辺り)に「ORGINAL RECORDING BY DECCA」と印刷されている。(写真5)

写真5


このレーベルが,
DECCAのステレオレコードの中でも,もっともプレスの時期が早く,オーディオファイルたちの憧れの的である。(このED1より前に,ごく少数ではあるが,レーベルデザインはED1と全く同じで,レーベルの外側の溝が糸のように細いものがある,これをED0,または「パンケーキレーベル」と呼ぶ。)

続くED2はレーベルデザインについてはED1とほとんど同じであるが,10時の位置が「MADE IN ENGLAND」(写真6)となっている。

写真6


ED3ED2 におけるセンターレーベル外周部の溝のないものだ。(写真7)


写真7

 

DECCAのステレオLPでは,ED1またはED2が存在するレコードは

SXL2000番台すべて

SXL6001から6368

 

またED3は,

SXL6369から6448まで存在する。(ただし,SXL64356447ED4がオリジナル)

 

それ以降の番号はED4がオリジナルである。

 

また,デジタル録音のレーベルや1980年代後半に閉鎖されたイギリスの工場の代わりとしてDECCALPがプレスされたオランダ工場でのレーベルも参考までに掲載しておく。(写真9)


写真8

 

写真9





(ベーレンプラッテ店
主)