2001年から2002年の間、私は起業の準備のため、半分以上の間、私はヨーロッパに滞在した。
そこで、多くのオペラの上演やコンサートに接することができたが、最も印象的な出来事の一つに「シノーポリの死」の目撃者になったことをあげたい。

2001年の4月20日、以前、ベルリン・ドイツ・オペラの音楽監督就任直前にここの総監督であった、ゲッツ・フリードリッヒとの確執でその座を退いたシノーポリが、彼の追悼のために久々にここで、「アイーダ」を指揮するとあって会場は沸きに沸いた。

彼が登場するや否や、猛烈なブーイングやヤジがとんだ。(たぶん、フリードリッヒ派からであろう)

さて演奏はといえば、前半(第一幕と二幕)の演奏は、彼らしい非常にテンションの高いもので、「凱旋」のシーンも華やかさよりも、登場人物たちの感情のぶつかりあいを見事に表現して、私は大きな感銘を受けたのだった。

事件は第三幕の中盤、二重唱の途中で起きた。
「ドスン」という鈍い音がしたと思ったら、ピットの中の団員たちがばらばらと演奏を止め、幕が下りた。
私は、なにか舞台装置に不具合が起きたのかなと思ったが、その直後にアイーダ役のデッシーが、緞帳の隙間から顔を出しピットの中を覗き込むやいなや、「キャー」と悲鳴をあげた。
それから、すぐに(多分、倒れたシノーポリのすぐ前にいた)チェロ奏者が立ち上がり、
「お客さんの中で、心臓のお医者さんはいませんか?」
と訴えた。

このとき、客席の人々は、何が起きたかわかり始めた。
その後すぐに、観客はすぐにホールから出て、ホワイエで待機するように言われ、しばらくしてから、
「今日の指揮者のシノーポリ氏が倒れたので、今日の上演は中止!」
と告知され、私は劇場をあとにした。

外に出たら、救急車が停まっていて、酸素マスクをつけた彼が、タンカで運ばれていた。

彼の死を知ったのは、翌日の朝のことだった。


IMG_7554


IMG_7556