去る12月10日に発売された、「ステレオサウンド」誌の第217号の当店の広告ページ、「オーディオファイルのためのLPガイド」に掲載した記事です。
こちらは、以前お話した、DGGの「赤ステレオ」についてまとめたものです。
ご参考になれば、幸いです。

「赤ステレオ」についての考察

(新LP鑑定法その1

 

以前(といってもかなり前であるが)、「LP鑑定法」と題して、レーベルやジャケットなどから、そのレコードが、オリジナル盤(初版)かどうか、あるいは、いつごろにプレスされたかを推測する方法について書いたことがある。(詳しくは、当店のホームページを参照のこと)

この記事については、多くの方がご興味身をお持ちらしく、当店のホームページのコンテンツの中でも、閲覧数が最も多い。

そこで今後は、この「鑑定法」についてもうちょっと詳しくまとめてみたい。

まずは、最もよくご質問をいただく、DGGの「赤ステレオ」のお話から。

 

「赤ステレオ」ジャケットとは

クラシックの名門レーベルDGG(ドイツ・グラモフォン)レーベルのステレオレコードのジャケットで(おおよそ)1966年頃までに印刷されたものは、DGG特有のジャケット上部三分の一位の黄色い部分の下の部分の「STEREO」と書かれた部分は、赤色の地に白のゴシック体で「STEREO」となっている。(写真1の赤い円)


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写真1

これを我々オーディファイルは「赤ステレオジャケット」と呼んでいる。(海外でも、「レッド・ステレオ」と呼ばれている。)

たぶん、この頃までのレコードは、同じタイトルでもステレオとモノラルの同時発売だったので、当時のモノラル専用のカートリッジで再生すると、音溝を傷めてしまう恐れがあるから、注意喚起の意味で印刷されているのだと思う。(事実、1966年以降のDGGのジャケットのこの部分は、他の部分と同じ「黄色地に黒のゴシック体」となっている。」

 

レコードの見分け方

また、ジャケットだけではなく、おおよそ1966年頃までにプレスされたLPはレーベル面でも見分けがつく。

 

DGGの初期ステレオレコードのセンターレーベルのデザインは大別して大きく2つに分けられる。1967年頃までのチューリップ(T)レーベル(写真2) とそれ以降のブルーライン(BL)レーベル(写真3)である。

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写真2

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写真3
モノラル期からあるTレーベルは、レーベルの外周部が白と青のチューリッで囲まれたもの、BLレーベルとは、チューリップの代わりに青の二重線が印刷されたものである。

 

さて、この赤ステレオに関係するTレーベルについて詳細をちょっと。

TレーベルのステレオLPはさらに大きく分けて2つのグループに分けられる。一番古いものは、レーベル外周のチューリップの内側の「著作権に関する注意」がALLE HERSTELLERから始まるドイツ語の文章になっている。(写真4

これを今後は、「ALLE盤」と呼ぶことにする。

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写真4

もうすこし後の盤では、そこがMADE IN GERMANYから始まっている。(写真5
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写真5
この新旧の
Tレーベルのプレス時期の問題であるが、かなり状況は複雑だ。

レコード番号でいえば、SLPM138で始まる6桁のLPには、すべて「ALLE盤」が存在するが、SLPM139で始まる後の時期のリリースのものでは、写真5の後期のレーベルしか存在しないものもある。(それどころか、BLレーベルのみのものもある。)

このあたりは、DGG本体からは公式な見解があるわけではないのですべて経験則なのでそのつもりで見てほしい。

また、ジャケットについても前述の「赤ステレオ」ジャケットに入っているLPのすべてが古いプレスとは限らないので、マニアは要注意だ。(また、その逆で、非「赤ステレオ」ジャケットの中に「ALLE盤」が入っていることがあったり、初めから「赤ステレオ」ジャケットが存在しない「ALLE盤」もある。

 

ALLE盤の音質」について

さて、肝心の「ALLE盤」の音質は。

私は、DGGのレコードについて、多くの同タイトルのLPで「ALLE盤」と非「ALLE盤」を比較検討してきた。

その結果、(一般論として)いえることは、「ALLE」盤のほうが、高音の伸びが非「ALLE盤」よりも顕著で、音像もシャープで小さくビシッと決まっている感じだ。そのため、録音された空間情報が豊富で、音楽がのびのびと奏でられている感が強い。

そのため、海外でも「赤ステレオ」盤の人気は年々上がり、多くのマニアが奪い合うように中古市場を探しまわるため、どんどん入手が難しくなってきている。そのため、価格もアップしてきて、タイトルによっては、非「赤ステレオ」盤の倍以上の価格を提示してくるディーラーもでてくる始末である。

ここまで、「赤ステレオ」に関して、一般論をまとめてみた。

もちろん、例外もあるし、音質の評価については個人の好みやシステムとの相性もあるので注意されたい。

 

 

ベーレンプラッテ店主