お早目のご注文をお勧めいたします。
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最近聴いたLP
金子 学
内田光子とラトルのベートーヴェン
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の自主レーベル、「ベルリン・フィルレコーディングス」から、一年半ぶりにLPがリリースされた。2010年に録音された、内田光子とサイモン・ラトルによる、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲である。(CDとSACDはすでに発売されていて、高い評価を得ている。)
ベルリン・フィルとしては、カラヤン時代にはワイセンベルク、アバド時代にはポリーニと同曲の全曲録音を残しているので3回目のレコーディングである。
内田光子は、ラトル&ベルリン・フィルとの共演も数多く(ベートーヴェンをはじめ、モーツァルト・メシアンなど実に30回)、2008/9年のシーズンには、「アーティスト・イン・レジデンツ」としても招かれ、ベルリン・フィル自体とも親密な関係がある。
内田光子はインタビューで「イギリス人は、ベートーヴェンを“所有”したことがない。だから寛容なのです。それが、私がロンドンに住んでいる理由なのです。」と述べている。
そして、イギリス人のラトルとの共演とあって、いままでなかなか聴くことができなかったユニークなベートーヴェン像を描くことに成功している。
具体的に言うと、「力強さよりも、優美さそして繊細さ」を非常に感じることができるベートーヴェンであるということ、であろうか。
特に私が感動したのが、各協奏曲の第二楽章(ゆっくりとしたテンポの楽章)である。
彼女の紡ぎだす、表情豊かでなおかつ繊細さを極めた見事な音楽の美しさには、息をのむばかりだ。もちろん、奇数楽章の生命感に溢れる音楽も何度聴いても新しい発見がある。ラトルの指揮も実に充実していて、ある時は内田のソロにぴったり寄りそり、またある時はベルリン・フィルを雄弁に語らせ実にフレッシュなベートーヴェンである。
この演奏、実は私はすでにCD(SACD)で聴いたことがあったが、今回のLPで聴き直してみると、ベルリン・フィルハーモニー・ホールの空間の中でピアノを聴いているという臨場感がLPでのほうがより感じられ、好ましく思い一気に全曲を聴き通してしまった。
なおこのセット、従来通りボックスの装丁や解説書なども非常に豪華で、付録(!)として、このときのライヴ映像(全5曲)のブルーレイ、そしてデジタル音源のダウンロードなどなど充実した内容なっており、所有する喜びも感じることができることもうれしい。
このベルリン・フィルからのまさに贈り物といって良いLPセット、すでにいままでリリースされたものは、ほとんど売り切れとなっている。お求めは、お早めに!(当店での在庫は、これとペトレンコの「悲愴」、そしてラトルのシベリウスのみ。)
バーンスタインの「アムネスティ・コンサート」
レナード・バーンスタインの数多くの名盤のなかで、マーラーの交響曲全集とならび多くの人々に聴き継がれているLPとして、DGGから1980年にリリースされたベートーヴェンの交響曲全集がある。(ウィーンフィルとの共演)
この全集は、カラヤンやベームのそれと同じようにベートーヴェン演奏のひとつの模範としてこれからも光を放ち続けるだろう。
しかしながら、その直前(1976年・ミュンヘン)に録音されたこの「アムネスティ・コンサート」のベートーヴェンは、さらに熱い演奏で、バーンスタインの人間性や芸術家としての個性が色濃く感じられる名盤であることがあまり知られてないことは、誠に残念だ。
その原因としては、この演奏会がアムネスティのためのチャリティコンサートとして開催されたために、著作権の関係からLPは限定発売、CDとしてもなかなか入手ができなかったことである。
プログラムは、オールベートーヴェン。(ピアノ協奏曲第4番はアラウとの共演、交響曲第5番「運命」ほか。)
アラウとの協奏曲も素晴らしいが、「運命」が実にバーンスタインの体臭(良い意味で)を感じることができるような熱気あふれる名演となっている。
第二楽章の実に深みのある表情や、第3楽章からフィナーレへのブリッジの緊張感は文字通り「手に汗握る」という表現がぴったりである。
LPはもちろんこと、もしどこかでCDを見かけたら、だまされたと思って一度聴いてみてほしい。
ギーゼキングのバッハ
20世紀を代表するピアニストのひとり、ワルター・ギーゼキングのちょっと珍しいバッハの録音を。
まずは、彼のプロフィールから。
1895年11月5日フランスのリヨン生まれ。1956年10月26日、ロンドンにて没。両親はドイツ人で、1911年からハノーファー音楽院の名教師カール・ライマーの元で、新しいピアノ演奏のシステムの指導を受ける。1916年に卒業したが、本格的な演奏活動は第1次大戦後となった。親即物主義の作曲家、ヒンデミットやプフィツナーの現代音楽を積極的に紹介したため、親即物主義の信奉者とみなされがちだが、メカニックな意味で「楽譜に忠実」なのではなく、作曲家の精神に忠実な演奏であった。「モーツァルト弾き」と、「ラヴェル・ドビュッシーの大家」という2つの顔を持ち、その両方で他の追随を許さなかった。透明で美しい音色と完璧な技巧で20世紀を代表する名ピアニストであった。(参考:CDジャーナル)
このプロフィール通り、彼の名盤といえばまずは、モーツァルト・ラヴェル・ドビュッシーが挙げられる。(ベートーヴェンのソナタ全集は彼の早すぎる死により未完に終わった。)私も彼のモーツァルトは子供のから聴いていた。
さて、今回紹介するバッハは、レコード用の録音ではなく、彼の死の6年前の1950年に集中的にザール放送協会によって行われた放送録音のLPで、彼の死後ずっと後になってからDGG(ヘリオドール)でLP化されたがその後ずっと廃盤、CD化されたのはごく最近なので「知る人ぞ知る」名盤となっているのは、実に残念!
録音は1950年の放送録音なので、最近のハイレゾを聴きなれたオーディオファイルにとっては、始めはちょっと物足りないかもしれないが、聴き進めていくにつれ、そのクリスタルみたいな透明な音色と即物的でありながら温かみのある音楽の表情に魅了されていくに違いない。
LPで聴くラトルのべートーヴェン
数年前から,ドイツの,いや世界一の名門のオーケストラのひとつ,ベルリンフィルハーモニー管弦楽団(BPO)は,自らのレーベル(ベルリンフィルレコーディング)を立ち上げ,インターネットを使ったコンサートの配信(デジタルコンサートホール)やCD・LP・DVDのリリースなど,積極的にマーケットに進出してきた。オーディオファイルには,昨年リリースされた,「ダイレクトカット! ブラームス/交響曲全集」が記憶に新しいが,先日,また魅力的な「新譜LP」がリリースされた。(6月21日リリース)
現在のBPOの音楽監督である,サイモン・ラトル指揮のベートーヴェンの交響曲全集がそれである。(10LPのセット)
これは,昨年発売されたCDと同じ演奏(2015年秋のベートーヴェン/交響曲全曲演奏会のベルリンライヴ)を素材としながらも,聴こえてくる音楽のイメージや音場感は全く違うという,非常にユニークなものである。
ここからは,それらの試聴記である。
まずはCD。これは,最近の多くのオーケストラ録音と同様に多くのマイクロフォンを使用した「マルチマイク」形式。(もちろん,ハイレゾ録音)
聴いてみると,各楽器の分離が非常に良く,なおかつオーケストラ全体のバランスも非常に良く整えられて,最近のオーケストラ録音の中でも出色である。それは,CDセットに付いているハイレゾ音源(ブルーレイディスクやダウンロードされたソース)を聴けば,さらに明白となる。現代のオーケストラのHIFI録音の見本のように感じる。すでに、このCDや音源をお持ちの方は,かなり多いのではないか?
次にLPを聴いてみる。
聴きはじめると,CD(ハイレゾ録音)とは全く違う音場にハッとさせられる。
CDとは対照的に,各楽器の分離があまり良くないのだ。
ちょっと失望しながらも聴き続ける。すると,「こちらの方が生演奏のイメージに近い」ことに気付かされる。
LPの方が,聴く者の目の前で,ベルリンフィルがフィルハーモニーホールの中でふわっと展開する感じが濃厚である。そして,各楽器のソロも,実に自然にオーケストラの音の洪水の中から,ぽっと浮かびあがってくる。
それもそのはず,こちらは,基本的にはマイクを二本しか使わない「ワンポイント方式」を採用しているのである。なるほど,と思いながら,いつしか,ベルリンフィルホールにいるような感覚に包まれ,大変楽しく聴くことができた。(この感じは,昨年のダイレクトカットの「ブラームス」と同じ。)
もちろん,最新技術を惜しげもなく投入したCD(ハイレゾ録音)の鮮烈な音も非常に魅力的である。是非とも,両方を聴き比べていただきたいものである。
今回,LPを購入すると,ワンポイント録音の方のハイレゾ音源をダウンロードできるパスワードもついてくるという特典がある。(CDセットには,マルチマイク方式のハイレゾ録音のパスワードが付属。)つまり,「ワンポイント録音」も「マルチマイク録音」もハイレゾで両方楽しめるということだ。
ただし,LPは全世界2000セット限定(日本への割り当ては500セットで再プレスの予定はなし。)であるから,できるだけお早目のご購入をおすすめする。
実は,当店では日本での割り当て数の約1割を確保したが,本日(8月初旬)の在庫数は,一桁となってしまった。もちろん,これらがなくなれば,追加オーダーを出すが,その時点で,メーカーに在庫があるかどうかは保証できない。
商品の詳細はこちらから、
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14日は、日曜日、11:00からのベルリンフィルの定期演奏家に出かけてきました。
2月は、ベルリンフィルはラトルの指揮で、シベリウスの交響曲とベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲(内田光子さんのピアノ)のチクルスです。
この日は、シベリウスが4番&ベートーヴェンが「皇帝」でした。
最近のベルリンフィルの演奏を聴いた日本の友人たちは、「ベルリンフィルが以前のベルリンフィルではなくなってしまって残念!」と、くちをそろえて言います。
確かに、「重厚」という言葉は、現在の彼らの演奏には似合いません。
しかしながら、「もっと、新しいものを!」という、彼らの姿勢には頭が下がります。それが、ひしひしと感じられた演奏でした。
常に、ベルリンという街は、新しいものを探しています。
もしかして、「伝統」にこだわりすぎるのは、私たち、日本人かもしれません。
そんなことを、「皇帝」を聴きながら感じました。
だって、カラヤンだって、就任当時は、「WFは、こうではなかった!」と言われ続けたのですから!
今年のベルリン芸術週間のテーマは、「ショスタコーヴィッチ」です。
この期間中、各地から名門オーケストラがやってきて、この作曲家の交響曲を日替わりで演奏します。
私が聴いたのは、11日(ハイティンク&シカゴ響の「15番」)と12&13日(ラトル&ベルリンフィルで「4番」)でした。
どちらも、会場は、フィルハーモニーです。
11&12日は、どちらもほとんど同じステージの右側真上です。写真のように舞台が見える席です。
この席は、いわゆる、「平土間」前方席と同じくチケットの価格が、最も高い席です。(といっても、日本円で一万円強ですが・・・)
もしかしたら、ベルリンのひとと音の好みが私と会ってるのかも、なんて考えます。
さて、演奏ですが、ハイティンクの15番は「美しい!」、という言葉がぴったりな演奏で、ショスタコーヴィッチの交響曲にたいする、私の考え方まで変えそうな名演となりました。「洗練」とは、このような演奏を言うのでしょう。
12日のラトルは、ショスタコーヴィッチの交響曲中でも、もっとも大きな編成(4管編成)を必要とする曲です。
さすがに、ベルリンフィルでも、演奏する機会が少ないらしく、1997年以来だそうです。(そのときの指揮は、ハイティンクだったそうです。)
これも、前日のシカゴにひけをとらぬ熱演となりました。
隣のロシア人夫婦が、終演後、熱心に熱い「ブラヴォー」を何度も叫んでいました。
古典派の曲では、賛否分かれるラトルですが、今日の演奏には、批判的な評論はありませんでした。
今度の席は、ステージ内のオーケストラの後ろの「ポディウム」でした。(この席からは、こんな風に視界が開けます。)
価格は、なんと16ユーロ(約2000円)です。残念ながら、この席と立見席は、インターネットでは購入ができません。
しかし、この席で聴く(見る)ベルリンフィルは格別で、ラトルから発せられる「気」をベルリンフィルの面々が感じ、それを音にするさまが手に取るように解り、感動的です!
なんとか、サントリーホールあたりでも、このような席のチケットを売ってほしいものです。
昨日(18日・15:30)と今日(19日・11:00)は、ウィーンフィルの定期演奏会(会場は楽友協会)に出かけてきました。
指揮は、サイモン・ラトルでプログラムはハイドンの交響曲第91番と92番で間に、リゲティのヴァイオリン協奏曲(独奏はフランク・ペーター・ツインマーマン)という、いかにも彼らしいものです。
私は、一昨年、ベルリンフィルの定期でハイドンをとりあげた時の演奏を聴いており、そのときの模様はEMIのCDでも楽しめます。
今回は、その解釈がウィーンフィルでは、どうなるかという楽しみがありました。
結果は予想通りになり、以前ベルリンで抱いたちょっとそっけないハイドンから、もっと色彩的な、魅力的な演奏に様変わりしていました。
ちょっとした、リタルダンドや間のとり方が絶妙で、あっという間の二時間でした。
私が聴いた席は、個人的に好きなBALKON-LOGEの右の2番というところ。舞台は写真のように見え、ちょと舞台で見切れるところがありますが、力強い直接音と、柔らかな残響のバランスが見事によくとれたところと思います。
さて、20日には、荷物をまとめ、帰国いたします。
この私の不在期間にもかかわらず、多くのご注文、誠にありがとうございました。
帰りましたら、できるだけ早めに発作業を完了したいと思います。また、通販リスト第34号の印刷も終了すると思いますので、こちらもよろしくお願いいたします。