2006年04月

2006年04月27日

最近英語を小学校から教えるかどうかが話題になっている。正直言って何がいいのかわからない。ただ英語の第一の存在意義は単なるコミュニケーションの道具なので、車の運転と同じように練習して習得する必要があるだけだ。情緒的で感情的な議論はやめたほうがいい。日本語が国際共通語になることはほぼあり得ない以上、英語を習得するほうが単純に便利で有利なだけ。車の運転もうまい下手はあってもなんとか多くの人が運転できている。しかし、もし英語教育をするのならば、最も避けなければならないのは、英語も日本語も中途半端になってしまうことで、そんな結果になってしまった人をたまにインターナショナルスクール出身者に見かける。しかし、インターナショナルスクールに行ったからといってすべての人が中途半端になるわけではなく、実際、私の所属する事務所には日本のインターナショナルスクールから米国の大学に行き、ハーバード・ロースクールのJDコースを修了したアメリカ人弁護士が働いている。中途半端になるかどうかは親次第のようだ。

先日、英語を小学校から教える準備をしている、ある小学校がテレビで紹介されたのを見た。ショックを受けたのは、今まで英語などに全く関わったこのない担任の先生がそのまま英語を教えるという驚くべき事実だ。テレビに出た担任の先生は大学を出てから英語には全く触れていなかったので、現在特訓を受けているとのこと。案の定、英語の発音はムチャクチャで小学校の生徒も何を言っているのかわからない顔をしていた。こんな先生に教えてもらえば、ムチャクチャな発音が身につくことは明らかに予見可能であり、そのような損害が子供に発生することを回避する義務は文部科学省にはあるはずだ。ネイティブの外国人の先生を受け入れる予算は出すべきだと思う。長い目で見た場合、日本の将来の経済に影響を与えることだと思うので、本当に小学校に英語教育を導入するのなら、いい加減な対応をせずに必要なものには予算を割くべきだと思う。

人気ブログランキング


(10:15)

2006年04月25日

Letter of Intent は基本合意書と訳されることが多いが、この書面の法的性質については最近UFJ関連でいろいろ世間をにぎわせたし、LOIの解説本まであったりする。具体的な内容が最終的に正確に決まる前の段階で締結されるものである以上、いろいろ不明確な箇所が本質的に出てくるものだ。しかし、そうはいってもLOIの内容はある程度詳細でタームシートなどもくっついていたりするから普通の契約書のようにも見える。実際には、“Nature of Obligations”というような条項を作りその中で、どの条項からどの条項まで法的拘束力があり、どの部分がそうではなくて合意に至る義務を当事者が負うものではないのかなどを確認したりする。また、交渉終了時には如何なる法的請求権も発生しないだとか、損害賠償義務はないだとかを注意深く記載する。排他的交渉権を設定する場合でも、いつまでそれが存続するのか、例えば提案がなされたときに1ヶ月諾否の回答をしない場合は第三者との交渉権が復活するだとか、プロセスを注意深く規定しておく。また、LOI の終了原因も羅列しておく。LOIだからといって詰めの甘いものを作ってしまうと、泥沼の紛争が発生する潜在的危険が生まれてしまう。

人気ブログランキング

(11:31)

2006年04月23日

最近、竹島問題がニュースで話題となっている。国際公法上、領土の取得は私法にならって「原始取得」と「承継取得」に分けて論ずることが出来る。前者は無主地先占であり、所有の意思と実効的支配で成立する。領有権問題が複数国の間である場合、決め手になるのは何か。私法上の所有権は、ひとつの抽象的概念であり、現実の占有から切り離して成立しうる。しかし、領土権は具体的な主権の行使を欠く場合には成立しない。これは有名な常設仲裁裁判所のパルマス島事件のマックス・フーバー判決で定立された基準で、領域主権の継続的にして平和的な表示(continuous and peaceful display)が権限の根拠に値するとした。竹島の実効的支配は韓国が行っているが、それがpeaceful displayとはいえない可能性が高い。韓国の立場は理論的には弱そうだが、別の海洋法上のissueとして日本も沖ノ鳥島に排他的経済水域を設定しているが、これは国際法上かなり弱い。どの国も国際法上の強みと弱みを抱えている。いずれにしても、領土問題は理論的にどうあれ、両国間で話し合いで決着して一方が領土を他方に与えることはおよそ政治の実際ではありえない。領土問題が2国間にある場合、一方がその国内問題から目を外にそらす手段としてよく領土問題を政治的に利用することが特に発展途上国ではある。そのような場合、領土問題が解決することは99%ありえないのだから、他方当事国は冷静で巧みな外交手段をとる技術をいつの世代でも習得しておく必要がある。

経済が国境を越えて進む昨今の世の中では、経済的な統合を国境を越えて進めるべきだとの主張をする経済学者や政治学者が多い。東アジアでもヨーロッパのように通貨統合を目指すべきだと言われて久しいが、日本と韓国及び中国で経済的統合が出来るかというと、なんか難しそうだ。ただ、ヨーロッパの戦後経済統合が進んで60年目ぐらい、通貨統合のアイデアが出てから30年間かかってようやく通貨統合が実現したわけだからあせる必要はないだろう。ただ、韓国や中国とすぐに仲良くなれないならば、シンガポール、インド、オーストラリアといった英連邦と経済的統合を先に進めるのも悪くないのでは。

人気ブログランキング





(22:13)

2006年04月21日

ライブドアも一段落してきたようだが、外資系ファンドが一定数の株式を保有してUSENに売りつけようとしていたり、クラス・アクション的な訴訟を個人投資家で損失を蒙った人たちを集めて提起しようとする弁護士がいたりするが、いずれもあわよくば金銭を取得しようとしているようで、まだまだ面白い展開があるかもしれない。

個人投資家で損失を蒙った人の中には破産者とかはいないのだろうか。信用取引だったら破産申立をする事態も考えられなくはない。投資資金を現物取引でライブドア株にしておいてそれを申込証拠金の代用証券として利用し、取引枠である建玉を目いっぱい大きく設定して「買い」の信用取引を建玉いっぱいにしていたらどうだろうか。ライブドアショックで株価が下落して評価損追証の支払請求がやってきたが将来持ち直すだろうと願って評価損追証を支払ったところ、今度は代用証券の担保掛目がゼロにされて維持率割れ追証の請求がきてドボン撃沈!といったストーリーがあったかもしれない。訴訟を提起する個人投資家の具体的ケースを見ていくと面白いかも。

大手の法律事務所ではインサイダー情報がいっぱいなので株取引には慎重にならなければならない。私の所属する事務所では買いたい銘柄がある場合は、その旨事前に申請して事務所がスクリーニング手続きを行いそれでOKとなれば初めて株の購入ができる。従って、投機的な株の売買やインターネットを使った最近はやりのデイトレードは事実上できない。中長期保有を前提に割安株を買ってあがるのを待つような株式投資なら手続きを踏めば可能だ。しかし、株価が上がって売ろうとした直前にその株式の発行会社がクライアントに新たになってしまうと内部規則上自動的に売ることが禁止されてしまうので塩漬けの危険が常にある。日本の法律事務所では株取引が結構ルーズで内部スクリーニング手続きが確立していないところもあると聞く。

人気ブログランキング


(10:14)

2006年04月19日

イギリスのロンドンに近いEssexにある Stansted空港が滑走路の拡張計画でもめているそうだ。滑走路をひとつ増やすと飛行機の離着陸の回数が増えるので周辺住民から反対の声も上がっている。また、建設工事費に充てる財源確保のため空港使用料が今の3倍になることが発覚し、ヒースローやガトウィックに比べて割安感があった飛行場の特色がなくなってしまうとの意見もあった。しかしこの拡張計画は実は敵対的買収に対抗するためのジャスチャーと見る向きもある。スペインの会社が、ヒースローとガトウィックをももつこのイギリスの会社に対して敵対的買収を計画しているといわれており、それに対して滑走路をもう一本作って企業価値を高めて買収代金を高くし諦めさせるのか、負債を多くして魅力を削ごうとしているのだろうか。ヨーロッパでは結構M&Aが盛んだが、先進国の間では国境をあまり気にせず買収をするのが当たり前になるのだろうか。

人気ブログランキング

(10:23)

2006年04月17日

昨日はキリスト教の復活祭だったので、キリスト教の強い世界各地では先週の金曜日をGood Fridayといい、今日をEaster Mondayといって休みにしているところが多い。私の所属するアメリカの法律事務所はユダヤ系なので宗教色は払拭されており、クリスマスやイースターは特に休みになっていない。ただ支店ではそれぞれのお国柄を反映し、シンガポール、香港やシドニーのオフィスは休みにしていたりする。日本では復活祭の存在すら気に留められることが少ないので当然休みにはならない。しかし、日本は世界各地の支店やニューヨークの本部事務所からは国民の休日が多いとよく指摘を受けている。日本では今まで労働者が個別に休暇を取りにくい社会的風潮があったので、政府がパターナリスティックに国民の休日を増やし全体として休みを取るような傾向があるのかもしれない。しかし今後は変わっていくのかもしれないが、そうすると外国に比べて国民の休日が多いことが槍玉にあがり外国本部や本社から、有給休暇が多すぎるのでそれを減らそうという動きにつながるかもしれない。

人気ブログランキング

(16:28)

2006年04月14日

アメリカSECでは証券の募集・売出しに関する改正の一環として、10Q(四半期報告書)に新しい"Part II Item 1A. Risk Factors" sectionによる開示が加わったそうだ。これは10K(年次報告書)に記載されたリスクファクターに重要な変更があった場合に当該変更を記載するものだそうです。このような部分のドラフトを手助けするため、またLIVEDGARからダイレクト・Emailが届いた。最近LIVEDGARからのダイレクト・Emailやダイレクト・メールの攻勢が続いている。LIVEDGARはGSI(Global Securities Information)が運営するサービスだが、GSIは昨年7月にThomson Westの傘下にはいったそうだ。Thomson WestはWestlawもやっている会社です。Thomsonの方はトムソン・ファイナンシャルというInvest bankingなどへの情報サービス提供を手がける会社で時々日経新聞でもトムソンの情報を使っている。日本の事務所は竹橋の毎日新聞のビルにはいっている。どんどんいろんな会社を吸収して一大情報サービス会社になっているようだ。

人気ブログランキング

(18:47)

2006年04月13日

プロ・ボノの件でもうひとつ、中国の人口抑制政策に関するものがありました。中国人の男性で中国の人口抑制政策に反対し中国当局の意向を無視して複数の子供をもうけていたそうです。その結果としてその男性は仕事を失い、健康保険から脱退させられ、食料配給を止められ家財道具まで失ったそうです。すごい制裁ですね。この男性はアメリカに渡り庇護を求めたが当初は許されず、それに対して私の事務所ががんばって庇護を認めさせる活動をしているそうです。

人気ブログランキング

(18:49)

2006年04月11日

アメリカの弁護士事務所では公益的な活動を無料でサービスすることをプロ・ボノ(Pro Bono)といっている。日本の当番弁護士のようなものだが、より範囲が広いもので、弁護士ひとり当たり決まった時間を当該プロ・ボノ活動にあてることにしている法律事務所が多い。アメリカの弁護士会でもこのような活動を奨励しようとプロ・ボノ活動で多大な貢献をした事務所に賞を与えたりしている。例えば、the annual National Public Service Award of the American Bar Association's Business Law Sectionは、貧しい人や貧しい人に対して公益活動をしている団体に無料の法的サービスを提供し多大な貢献をした事務所に与えられる賞だ。

私のいる事務所では、どのようなプロ・ボノ活動を同じ事務所のどこの国の事務所(支店)がやっているかをまとめてE-mailで定期的に世界各地の事務所に配信している。先日配信された報告書の中の、「Political Asylum」の箇所の事例をちょっと読んだのだが、グルジア人のゲイの話だったので面白かった。あるゲイのグルジア人がグルジアの公園でボーイフレンドと抱き合っていたところを警察に捕まり何度となく嫌がらせや暴行を受けたそうだ。その後アメリカに渡り庇護の申立をしたが手続きの不備で強制送還になりそうになったのを私の所属する事務所が助けてあげたそうだ。グルジアではソビエト連邦時代のsodomy laws(いろんな意味があるので翻訳するのはちょっとはばかられるから英辞郎などで調べて)は廃止されたそうだが警察のゲイに対する嫌悪は残存し逮捕されると暴行を受けることがあるそうだ。

人気ブログランキング

(18:38)

2006年04月07日

最近はCLOなどのリパッケージ債の私募が盛んなような気がするが、これらは証券会社がアレンジし、SPCの発行するノートを買ってもらってその資金をコラテラル・マネージャーが運用していくなど様々なストラクチャーがあるそうだ。SPCはケイマンの免除会社とデラウエアの会社の共同発行が多いかもしれない。コラテラル・マネージャーとなる資産運用会社は高い教養と経験を持った投資のプロによって構成されており、そのような構成員の資質に運用実績が依存するため(それがリスク・ファクターにもなる)、オファリング・サーキュラーやマーケティング資料には運用会社の構成員の経歴が細かく記載されているのでたまに読んでみると面白い。当然MBA保有者が多く、将来ファンドを運用しようと思うならばMBAの取得は必要条件のように見える。オファリング・サーキュラーで経歴の見劣りする人を掲載するのはどこのファンドでも避けたいだろう。コラテラル・マネージャーである資産運用会社が投資リターンの帰趨を握るのでマーケティング資料にはその会社の設立の経過やガバナンス体制、投資哲学や投資プロセスの解説を記載しておく。運用状況のモニタリングでは様々なテストを事前に設定しておいて機関投資家にいろいろアピールすることになる。

CLOによるローンの投資は外国の方がまだ盛んなようで、日本では銀行が自分の貸出債権を証券化することはあるけれども、一般的に正常債権の売買があまり行われていないのかもしれない。ローンのセカンダリー・マーケットが先進国に比べるとちょっと見劣りするようだ。

人気ブログランキング

(12:20)

2006年04月06日

今日、内部のメモランダムで、30人程度の弁護士が4月1日付けでパートナーに昇進したとの報告が内部メールで送られてきた。大体がアメリカ本土の弁護士だがアメリカ以外の事務所の弁護士も何人かいた。昨年は日本の事務所でもパートナーになった日本人弁護士がいた。彼は月に400時間を越えるビラブル・アワーを出し続けていたので誰もが納得した。日本の弁護士事務所はある程度年功序列で、何年間かアソシエートをやった後留学に行き、飾りのニューヨーク・バーをとって帰ってきて数年するとパートナーになれるところが多いように思える(もちろん収益の低すぎる人や実務能力に明らかな問題がある場合は別)。しかしアメリカの事務所はそう簡単ではないらしい。基本的に収益性に欠ける弁護士はパートナーになるのは難しい。その他様々な事情を総合してパートナーになるのであり、ずっと同じ事務所にいればパートナーになれる保証があるわけではない。むしろ弁護士事務所をいくつか動きながら実績を積んで、他の事務所からパートナーとして引き抜かれるのがいいのかもしれない。したがって、弁護士の労働力は流動性が高く同じところにずっといる人は少数派でなないだろうか。

人気ブログランキング

(12:48)

2006年04月04日

LIVEDGARのデータベースを使うと、今年の第一四半期におけるM&Aの成立した案件の金額ベースでの弁護士事務所のランキング表を作ることができる。また、募集・売出等のための登録ベースでのランキングでも表を作ることができる。ちなみに第一四半期のランキングはおおよそ、1.Simpson Thacher & Bartlett 2.Cleary Gottlieb Steen & Hamilton 3.Wachtell Lipton Rosen & Katz 4.Blake Cassels & Graydon LLP 5.Debevoise & Plimpton LLP 6.Cravath Swaine & Moore 7.Skadden Arps Slate Meagher & Flom 8.Sullivan & Cromwell 9.Davis Polk & Wardwell 10.Vinson & Elkins といった感じのようだ。当然日本の法律事務所は食い込んでいない。日本でもこんな有料情報提供サイトが将来できるかもしれない。今日の日経の記事では、レフコの調べで2005年度の日本企業によるM&Aが金額・件数ともに過去最高だったそうだ。

M&Aを行う場合、財務デューデリと法務デューデリは不可欠だが、この作業はある程度、人海戦術で進めなければ間に合わない性質のものといえる。そこで規模の拡大が法律事務所にとって不可欠になるのだろう。日経の一面で西村とあさひの合併が来春行われる可能性が高いことが書かれていたが、日本もかつてアメリカ等の事務所が拡大していったのとある程度同じ方向性がやはりあるようだ。西村が合併を選択する必要があったのか疑問の声もあるかもしれないが、日本の弁護士数が実際に飛躍的に増えるにはまだ時間がちょっとかかるが、規模の拡大の必要性は今すぐなのでちょっと待っていたら遅れをとる危険がある。そこで合併という選択肢なのかもしれない。今後日本の法律事務所がアメリカのようになるかはわからないし、以前にも以下の題でちょっと触れた。

パラリーガル

今後の日本の法律事務所の動向がどうなるかは、ますます楽しみだ。

人気ブログランキング

(12:16)

2006年04月02日

今年の三月は意外にも不動産の証券化・流動化のディールがそれほど多くなかった。昨年の三月はクロージングにつぐクロージングで、私も数件手伝う羽目になったが今年は殺人的スケジュールではなかった。昨年は信託銀行の人も「信託ラッシュだ」と言っていた。新しい物件に対して信託受益権の設定をするだけでなく、期間が満了して償還した物件を再度組成しなおして新しく流動化する案件も多く、どっかで見た信託受益権が回りまわっていることもしばしばだった。それに比べると今年は平穏でよかった。不動産の証券化・流動化は減っているわけではないが、中間法人を使ったスキームで国内法だけで完結する案件も多くなって外国法事務弁護士事務所が食い込む案件が少なかったのかもしれない。なんともわかりませんが。

人気ブログランキング

(20:08)