2007年05月

2007年05月14日

法律事務所のインハウスの翻訳者を探していて気づくことがありました(今でも候補者を募集しているので経験者はご連絡を!)。翻訳に興味があり実際に翻訳もやっていた人が翻訳テストを受けてみると、一般の翻訳とは違うスキルが欠けているために採用されないことがあります。

翻訳のなかでも契約書の翻訳は独特の技術が必要な領域で、ある程度、日本語と英語の法律用語の知識があることが必用になるし、独特の表現が非常に多くあります。そこで、よい本を読んで知識や発想を身につけることが必要になると思います。非常に読みやすい入門書として日興企画から出版されている「契約の英語」をサッと読んでおくと法律翻訳のイメージがつくのでよいかもしれません。また、商事法務で弁護士向けにセミナーをよくやっている長谷川俊明弁護士の本も、法律翻訳を専門にするならば必読でしょう。最近レクシスネクシス・ジャパンから法律英語の用法・用語なども出版されていますので、新しいものも読んでみるとよいのではないでしょうか。実際に法律翻訳をする場合は、英米法辞典等も駆使しながら訳してゆくことになりますが、日本語に翻訳する場合にはもっと基礎的な前提となる能力が必要となります。

それは、司法修習所で修習生が習う、公用文の用字・用語の使い方のルールについての知識です。判決などを書く裁判官や行政官僚は、日本語の使い方について一定のルールに従わなければならないことになっています。「又は」・「若しくは」、「及び」「並びに」という日本語の使い方についてはルールがあるのですが、適当に翻訳をやっている人の中にはこのルールに従っていない人もいるようです。そこで、このようなルールを身につけておくためには、下記のような本を読んでおくとよいと思います。
1.公用文用字用語の要点  広瀬菊雄 著 出版社: 新日本法規出版 (1989/12)
2.新公用文用字用語例集 出版社: ぎょうせい (1986/08)

もし、法律を勉強したことはないけれども法律に興味が出てきた場合は、内田貴教授の民法を飛ばしながら読んでみるのもいいですし、良い法学概論の本を読むことも非常に有益だと思います。法学概論は翻訳に限らず、一般的に大切ですよね。

ロンデート

(14:11)

2007年05月02日

多額のキャッシュを準備せずに合併ができる便利な三角合併が解禁されたことから、M&Aは今までの予想どおり増えてゆくと考えるアナリスト等が多い。外国企業の中には買収に向けて日本法人を設立し、合併後に存続する日本法人の経営陣をはじめ財務、法務などに精通した幹部級の人材を集める必要がでてくる。

ところで、今までの日本では法曹人口が少なかった為に、司法試験に合格すると弁護士になり、そのまま一生弁護士の仕事を続ける傾向が強かった。それに比べてアメリカのように弁護士人口が非常に多いと、弁護士になったからといって全ての人が弁護士として働くわけではない。ニューヨークのスキャデン・アープスで働いていたあるアメリカ人弁護士の例では、アメリカの司法試験に合格した直後に中規模の弁護士事務所に就職し、その後スキャデン・アープスに転職してしばらくしてから、ファンドを組成しプライベート・エクイティーの運用者になったケースがあった。

ここ数年、日本のMcKinsey & Companyでも、日本人の弁護士をコンサルタントとして募集しているようだ。Mckinseyでは新聞に講演会の告知を載せて弁護士の参加者を募ることがある。ある講演会の例では、日本人のアソシエートと米国人弁護士が会社の歴史やプロジェクトの具体例について話をした。日本人は日本銀行出身者で、事務所の概要やフィーが弁護士のようにアワリー・ベースではなく月単位で設定されるので、クライアントによってはその料金システムを利用して、依頼したその月の間にコンサルタントを酷使することもあったり大変だった話をしてくれた。その他細かい点で弁護士事務所との違いを垣間見ることができて面白かった。Mckinseyが弁護士に参加を募って講演会を開く趣旨を参加した弁護士があまり理解できなかったので、質疑応答の時間では、参加した弁護士から、「Mckinseyで働いた場合には契約書のドラフトをするのか?」、と言った質問や「法律知識がコンサルタントとして必要だから弁護士を採用するのか?」、といった質問が出された。しかし、Mckinseyが求めていたものは理論的思考力と分析力をもってクライアントのビジネスに経営的な視点から的確なアドバイスができる人材を探しているのであって、弁護士として働いて欲しいわけではない、とのことであった。従って、コンサルタントとして働く場合には会計的な知識も入社後でも良いので勉強してもらう必要があるそうだ。その後、懇親会では、コンサルタントの進路としては、パートナーになる人もいれば、ファンドを自ら組成してプライベート・エクイティーの運営を始める人もいたりさまざまなケースがあることを伺った。

今後、さまざまなかたちで合併が増えてゆきさらにボーダレス化が進むと、合併後に存続する日本法人の経営陣をはじめ財務、法務などに精通した幹部級の人材が必要となり、そのような人材の候補者として弁護士資格保有者も多くあがってゆくことになる。その場合、昔ながらの法律しかあまり分からない弁護士だと困ってしまうので、法律・会計・税務という三位一体の関係にある事柄をそれぞれ別々にではなく、有機的に経営的視点から総合的に判断できる人が理想的な人材といえるでしょう。そして、そのような人材需要はすでに私のもとにもきているのです。法曹人口の増大と弁護士の就職難が取り上げられたりしますが、弁護士と会計士の資格をとったり、弁護士とMBAをとったり、または資格をわざわざとらなくても法律・会計・税務の知識と実務経験を兼ね備えれば、むしろ弁護士の進む進路は多様化して選択肢が増えるとも言えるかもしれません。

Londate

(12:10)