2005年10月28日

買収防衛策としての新株予約権の行使要件として多くの会社で発行済株式総数の20%を超える株式を取得する特定株式保有者の出現することを挙げている。しかし、その場合に直ちに権利行使が可能となるのではなく、特別委員会を設置して新株予約権の発動をするか又は逆に消却するかを審議させてその判断を尊重するようにしている。更に、その判断課程に現経営陣の恣意的な影響が及ぼされないようにあらかじめ新株予約権細則等を定め、特定保有者が出現した場合の判断課程を明記し、株主の予見可能性を高める工夫をしているところが多い。このような手段を採用する会社では当然、新株予約権導入時に株主総会の決議を経ているし、新株予約権の行使期間も1年から3年程度としてその期間経過後は改めて株主の承認をとるように設計していることが多い。基本的に、買収防衛策を準備する場合でも株主の事前の承諾をとっておく姿勢がうかがわれる。

最近IT業界が既存のメディアを狙うケースがでているが、既存メディアの姿勢として共通点があるのではないかと思う。春の陣でも既存メディア側は数ある法的手段の中でも最も毛色の悪い選択肢を採用して玉砕した。秋の陣でも、株主総会の決議を経ておけばいいものをあえて総会決議を回避している。両者とも株主の意見をなるべく聞かないでそっとできることはやっちまおう、という姿勢に写る。

果して既存メディアとITとの融合が企業価値の最大化につながるかは失敗例もあるので何ともわからない部分が多い。毎日新聞もTBSもいまいち面白くないぱっとしない印象があるので、資本提携が転換材料になるかもしれないが、問題点も山積しているようなので難しい。ただ、何が何でもとりあえず株を買い占めるやつは排斥するという単純な態度は将来性がないように思われる。


(16:41)

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