2008年11月18日

The Asahi Shimbun Globeで「弁護士を輸出せよ」といったタイトルで弁護士業界の特集が組まれていたのがなかなか面白かったですね。この特集は単発のもののようですが、イギリスの新聞であるTimesでは法律に関する分野の記事が継続的に掲載されています。最近のTimesの法律関連記事では、Allen & Overyが2008年の半期の実績が、前年同期比で11%ものRevenueアップという驚異的上昇にCityのLegal Marketが衝撃を受けたことに関する記事が掲載されていました。Allen & Overyの驚異的なパフォーマンスにより当該法律事務所が近時取っているグローバル発展戦略への批判に対するvindicationと書かれていました。Allen & Overyの昨年の収益の半分は英国以外からのものだそうです。昨今の金融危機で潤った法律事務所は他にも、Lovellsや最近日本に進出したNorton Roseといった事務所が挙げられていました。それに対し、英国国内にビジネスのターゲットのあったEvershedsや Addleshaw Goddard and Wragge & Coといったファームは減益の憂き目にあっているそうです。

金融危機により今までの米国に一極集中していた経済モデルは歴史的な転換を向かえ、新しい金融の設計図がこれから考案されてゆきますが、グローバル化自体は変わることなく新たな国際的な規制のもとにより多極化してゆくことになるようです。そのような経済社会でのリーガルサービスはネットワークを利用した「スピード感」のある戦略の提案が重要でしょう。この点、ちょうど2年前の2006年11月に行なわれた弁護士会の企画である外弁法成立20周年記念企画のパネル・ディスカッションで、三井物産の法務部長・執行役員から日本の法律事務所はスピード感が無いと指摘され、それに対して、司会者から「どう思いますか?」とふられた長島・大野・常松法律事務所の原先生が苦笑いしながら答えていたシーンを思い出します。

リーマン争奪戦でスキャデン(Skadden)が野村証券を代理して、ネットワークを駆使してスピーディーにディールをまとめ上げたように、多極化する国際経済のもとではいっそう世界的ネットワークの存在そのものが重要になると思われます。今後の日本のリーガル・マーケットがドイツのようになるのか、イタリアのようにローカル・ファームが残るのか、どうなるのかは誰にも分かりませんが、現在の四大法律事務所がそのままの形で残るかは疑問があります。そして世界的にリーガル・マーケットは変わってきており、シンガポールでも法律事務所の存在の仕方が変わってきています。The Asahi Shimbun Globeの中で、「日本の法律事務所はもっと国際社会に目を向けないと、欧米に牛耳られます」との記載がありましたが、多極化し無国籍化する世界では、弁護士がディールと待遇に恵まれれば国内事務所であろうと外資事務所であろうとどうでもよいように思え、「欧米に牛耳られる」という発想自体が思考の制約になっているような気がいたします。外資系法律事務所の弁護士も四大法律事務所からヘッドハントされてきた弁護士が増えておりクオリティーに違いは無くなってゆくと思われます。日本の司法修習生は現時点の情報をよりどころにインパラの群れのように四大法律事務所にとりあえず群がりますが、将来どうなるかは楽しみに見てゆこうと思っています。また、法曹人口の拡大とともに、弁護士の専門領域も多様になり、The Asahi Shimbun Globeで取り上げられていたSidley Austinのようにロビー活動を得意とする法律事務所も多くなるかもしれません。GEなどは現時点でもロビー専門の日本資格の弁護士を置いています。内容はあまり関係ありませんがジョン・グリシャムの小説でBrokerというロビー専門の弁護士事務所が描かれており、なかなか面白い小説でした。

いずれにしましても、将来のことは何も断定はできませんので責任は負えませんが、世界経済と同じように法律分野も多様になってゆきそうですね。

Asian Legal Jobs


(12:47)

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