2009年05月18日

昨年末から今年の第一四半期にかけて世界的なローファームでRedundancy consultationが行なわれていましたが、5月に入ってから次第に収束に向かっているように感じられます。ところで、今回の経済危機の影響が強くなる以前から、イギリスではリーガル・サービスに関する規制緩和や伝統的な法律事務所形態に対する改革の議論がなされており、ビジネス・ロー分野の新しい時代の法律としてThe Legal Services Actが話題となっています。

討論会なども実施されており、リーガル・サービスのコモディティー化とアウトソーシング、新しいテクノロジーの有効活用、パラリーガルの組織的有効活用による弁護士業務の雑務的仕事からの分離・分業化、Billing systemの多様化、法律事務所に対するExternal investmentの試み、など、リーガル・サービスのモデルの変化について議論がなされています。リーガル・サービスの将来を専門的な研究対象とする大学教授の著作なども出版されています。日本でも法曹業界の改革を唱えた異端児的な弁護士が本を出版し自己の著作をアソシエート等に送りつける事件が最近あるようですが、イギリスでは立法的な動きも手伝い議論が盛んになっています。バブル期のリーガル・サービスのGolden Ageにおいては新しいテクノロジーの導入には消極的であった弁護士事務所のシニア・パートナーのなかには、昨今の経済情勢の劇的変化に直面して態度が柔軟化してきているとの指摘もあります。法律事務所の改革というものは経済が好況なときには現状維持的な共通したマインド・セットが支配するのでなかなか難しいですが、差し迫った危機に直面すると何かをしなければならない雰囲気になるのかもしれません。詳しくは確認していませんが、新法の中の面白いシステムのひとつは、法律事務所に外部から投資を許し、その第三者的な投資家の視点で結果的にクライアントへのサービスの向上とコスト低下を実現しうるようなシステムを準備しているらしいことです。

このようなリーガル・サービスの改革に対してはBilling systemを改革したくない法律事務所と改革を促すクライアントとの綱引きがあったり、Confidentialityや Legal risk managementなどの非常に難しい問題もありますのですぐに大きな変化が現実的に発生するとは思いにくいですが、少なくともおおっぴらに議論はなされている点でオープンなようです。もし少しずつでもさまざまな改革が行なわれてゆき、中長期的にコスト面でも改善があるとすると、外資系法律事務所は「高い」という固定観念は次第に変化するかもしれません。少なくとも、今までの円安バブル期に「安い」イメージをクライアントに刷り込んできた国内法律事務所は、円高が定着することによりフィーの格差が縮小してきており、今後外資系法律事務所のコスト改革がじわじわと実現してゆくと、世界的ネットワークのない国内法律事務所の中長期的な競争力は減る可能性があるかもしれません。日本の将来の経済のグランドデザインが明確でない現時点では将来何が発生するかはなんとも言えませんが、大きな経済の流れを注視しながら、その法曹業界への影響を情報収集に努めながら観察してゆこうと思います。

Asian Legal Jobs

(12:42)

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