2009年07月21日

先日、東京大学法学政治学研究科ビジネスロー・センター講演会を聞いてきました。ところで、昨年のリーマンショック以来、アメリカ的資本主義の崩壊といった内容の本が多く売れ、「労働者を守れ」というステレオタイプの左翼的主張がもてはやされ、「構造改革は間違いだ」「格差是正をすれば社会は上向く」といった論陣があちこちに張り巡らされています。全国紙でも労働組合の機関紙になってしまったような新聞もあります。それとは逆に、経済学者の中には、日本の労働法に対する根本的な問題提起をし、解雇権濫用法理が日本の労働市場を硬直化し多様な雇用システムを採用することを妨げている、といった主張を強力に展開する人も多いようです。経済の視点から常識的に考えれば、産業構造の転換点では雇用を衰退産業から他の産業に移すことが必要なのは明白です。ない袖は振れない企業に労働者を無理に結び付けておいても、産業の空洞化が加速するだけとの指摘も多く提示されています。世界経済の大きな流れが変わりつつある昨今の経済情勢の下で、労働関連の問題は非常に難しい状況にあります。他方で、日本は少子高齢化が進み人口が減少した成熟した低成長経済になるので、高度成長期の発想や制度が現実的でなくなってゆきます。労働人口が減少する上に給料も上がらないので所得税収は減るのに社会保障費は増大しますので、税や社会保障のシステムの根本的な発想の転換が必要との指摘も多く見かけます。ねずみ講システムと揶揄される年金システムも解消するか根本的な変更が必要なのは明白な状況です。国の制度として外国人の労働をどうするか、といった問題や企業で有能な経営者や人材を外国から採用して定着させるための方策など、さまざまな問題に向き合って具体的な方針を決めなければ行けない最終段階に来ている気がいたします。外国や外国人に対して必要以上に身構える国民性の殻を破り、世界に出てゆくような人材を育ててゆく必要がある情勢のもとで、日本全体の制度およびマインドセットの根本的な転換が必要なようです。

このような難しい問題が山積する状況のなかで、菅野先生の講演で面白いアイディアでも先生が口走らないかと思い参加してみました。しかし、特に面白みのあるものはなく、整理解雇の四要素(四要件ではない。)の説明等をしながら経済学者の主張に反論しておられました。法学者なのでやむを得ないとは思いますが、大きな経済の流れを見据える、といった視点は特に感じられず、以前出版された本で紹介された「雇用の多様化は進むだろう」、といった非常に無難な講演でした。ちょっと残念でした・・・。いずれにしても、今後どうなるか、選挙直前には嫌な問題は真正面から取り上げられないかもしれませんので、特に選挙後にどんな意見が出るのか見守ってみます。

Asian Legal Job

(17:25)

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔