2010年06月09日

先日の日経ヴェリタスにタカラレーベンのライツ・イシューについて記事が書いてありました。新株予約権を株主に無償割当てする方法での直接金融ですが、イギリスを中心とする欧州、アジア全般、アフリカ、南米、オセアニア等の北米以外の世界中の地域で利用されている方法だそうです。タカラレーベンが日本の第一号案件だそうですが、韓国やインドネシアでは既にこの方法で資金調達が行なわれたりしているそうです。日本では銀行からの間接金融やデッドの発行は多いですが資本政策については既存株主の持ち株比率の希薄化や経済的損失の発生などの問題点が多い手段が利用されてきており、ライツ・イシューが使い勝手が良くなれば利用度もあがるかもしれないそうです。世界経済及び日本経済が混乱しているので、企業としては資本を厚くする選択肢をとることには合理性がありますが、第三者割当増資だと既存株主の持ち株比率の希薄化や引き受け手が無いから第三者割当増資の手段をとったと見られると株価も下がりますので問題含みです。引受け先が反社会的勢力だったり、資金準備が結局できないと株価が乱高下します。濫用的事例に対処するために東証の8月改正で監督が強化されています。私もウェッブクルーの第三者割当増資の差止めの仮処分に関わったこともありました。その点、ライツ・イシューだと既存株主の公平性を確保した大規模な資本増強が可能だったりします。ただ問題点も多いので第一号が最近ようやく出てきた状況のようです。法律上の制約から現時点ではハードアンダーライティングが難しそうなので発行決議時点で調達額を確定することは難しいそうです。ただ、アンダーライターが入らなかったタカラレーベンの権利行使率は95.7%だったそうで、実際の先例では希望した資金調達が出来たそうです。新株予約権の権利行使をしたくない株主はそれを市場で売却できるので第三者もそれを取得できるのは、新株予約権は有利発行規制にひっかからないので安く取得できることから、魅力的かもしれません。この新株予約権は数ヶ月だけ上場する面白いものですが、そのようなセカンダリーマーケットは無かったわけではなく東京証券取引所もタカラレーベンの為に新しくシステムを作ったわけではないそうです。昔の会社法の教科書にちょっと出ていた新株引受権証書を上場した先例があるそうで、それも利用したそうです。公募増資より手続が複雑なので費用がかかり、会社法、金商法、証券取引所の規則、ほふりのスケジュールを考慮して長い期間が必要だったり、ハードアンダーライティングの為にはTOB規制、大量保有報告書の提出等、クリアされなければ問題があるそうです。ライツ・イシューは公平性に優れているので日本企業の既存株主の意向を重視する風土にはあっているし、大規模資金調達において有効な手段といえるので、使い勝手がよくなるといいですね。




(17:26)

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1. 日本市場のライツイシューの歴史(2014年5月時点) 2/2  [ 投資一族のブログ ]   2014年06月24日 21:11
4.ライツイシュー発行後の株価の推移 日経新聞の記者如きにライツイシューの説明は無理なので、この私が、実際に計算方法を示そう。 結果的にどうなったかを確かめるために、発表日と行使最終日を比較してみよう。行使最終日なので、ライツの価格W(行使最終日)は既に存在しな

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