2011年05月16日

東京電力の賠償支払いスキームが固まったそうですが、玄葉大臣は会社の存続は別問題で発電と送電の分離による事業再編の可能性は残っていると言ったそうです。発電と送電の分離の合理性を主張する経済学者は多いように感じます。他方、枝野官房長官は金融機関の債権放棄の必要性について言及しています。

金融機関は一般に、電力会社は電気事業法で総括原価方式に加え、発電、送電、配電にわたる電気事業の垂直統合的な構造がとられているので事業リスクが低いと信用リスク評価をしていました。特に送電分野は参入費用が障壁となり新規参入が見込みがたいにも関わらず、生活基盤に与える影響から制度的な支援を受けやすく、それが全体として垂直統合しているので事業リスクが全体として非常に低く、地域独占も認められるので、金融機関は電力会社を安定した収益力のある優良な借り手と判断し、様々な金融を行ってきました。金銭消費貸借契約での貸し付けもありますが、多くの場合、長期は社債で短期はコマーシャルペーパーを中心に調達を行って、借入は基本的に不要であるケースも多いといわれることもあります。しかしそのようなところでも、取引金融機関とのリレーションシップ維持の観点から借入を実施するケースもあるようです。

少ない金額の借入の場合には古典的な金銭消費貸借契約と銀行取引約定書による融資もあります。この場合の金銭消費貸借契約証書は驚くほど単純でシンプルな内容となっていることが多いです。金融機関によっては、かつての政府系機関への貸し出しの際には銀行取引約定書すら差し入れさせていないこともあったようです。しかし、例えば1000億円ぐらいの借入になると、シンジケート・ローンにする場合が多いかもしれません。その場合契約書はまともな体裁となり、契約当事者は、借入人、アレンジャー、エージェント、そして複数の貸付金融機関となったりします。各貸付金融機関の極度額は、電力会社が株式持合い割合を金融機関取引の基準として割り振ることがあります。

上記のような状況に加えて、電力グループ企業との取引、電力各社はエネルギーデリバティブ等の金融派生商品への需要も高かったこと等も考慮に入れて、震災の利害関係者の視点を分析すると面白いかもしれません。

Legal Londate


(13:59)

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