2011年12月15日

日曜日の午後8時からやっていた大河ドラマ「江」が終わりましたが、関ヶ原から大阪夏の陣までの流れをみていて、日本の置かれている経済情勢とオーバラップするイメージがふと思いつきました。

1)淀君の大阪城が日本、2)江戸の徳川がインドや中国などのアジアの新興国、3)その二つの狭間で、流れを見極めようと右往左往する大名が日本企業、といった感じです。淀君の大阪城は豊臣秀吉が貯め込んだ金銀財宝などの資産を城内に蓄積し、ろう城を続けても安泰なので徳川家康が死ぬのを待って現状を維持しようと目論む。しかし時代の流れは変わってゆく中で、関ヶ原で敗退したものの、時代の流れを認識せずに、そのまま大阪城に蓄えた金銀財宝の上にあぐらをかいて漫然と現状を維持しようとする。しかし、大名は次々と徳川方に与して、浪人以外はどの大名も大阪方にはつかず、結局、大阪夏の陣で淀君の大阪城は滅亡してゆく。

関ヶ原から大阪夏の陣での滅亡まで15年。現在の日本は、個人金融資産が膨大であることや構造上の理由等から国債の暴落はすぐには起きないといわれています(詳しくは、東洋経済新報社から出版されている「日本のソブリンリスク−国債デフォルトリスクと投資戦略」参照。)。しかし、今の日本が関ヶ原だとすると、15年後の日本の国債はどうなっているでしょう。

現在の民主党政権は高度成長時代に作られた社会システムを「維持」することを大前提として年金や税制の変更を考えていますが、例えば、国家が運営するねずみ講システムと揶揄される年金は、蓄えのない若い世代から貯蓄のある裕福な老人世代に所得を移転する機能を果たしており、人口減少経済では維持が不可能であることは自明です。更に、65歳まで企業に雇用を義務付ける案など、若い世代の雇用を減らす効果のある雇用規制強化を提案しており、中長期的視点にかけています。そこでは、「現状を維持する為にはどうしたら良いか」という発想のみしか見受けられません。イギリスではリーマンショック後には、若い世代の雇用の創出のために解雇規制を緩めることも議論にあがっていたり、かつてのドイツも組合側の政権のときに雇用の流動化を進める政策を実施しましたが、日本では既得権維持と現状維持の発想が前提となっているので、そのような雇用規制を緩和する提案は出てきません。

規制が強化され、少子高齢化が急速に進む日本には投資の魅力はどんどん欠けているようであり、対内直接投資が減ったことから準拠法が日本法となるディールは減って、円高と規制強化を嫌う国内企業が外国に出てゆくディールが増えるようですが、残念ながらそのようなディールの準拠法は日本法にならず、日本法弁護士の需要は減少するようです。

そろそろ日本に見切りをつけて海外進出する企業や個人が増えていますが、シンガポールは高いレベルの人材を引きつける為に、そのような子弟が学ぶ学校環境の整備にも力をいれているそうです。英国の名門学校であるダルウィッチが2012年8月よりシンガポールで学校を開校するそうです。世界のトップ人材の子弟だけでなく、シンガポールの中産階級で「英語」の重要性を正当に認識している国民の子弟もターゲットだそうです。日本の学校も渋谷教育学園がシンガポールに学校を出しています。

日本国内でも、世界の大学にアプライする資格となる「国際バカロレア」のディプロマのカリキュラム認定校が少しずつ増え始めているようです。元々はインターナショナルスクールが認定校になることが多かったのですが、日本の通常の高校(1条校)も認定校になるケースがあり、そこでは、日本の高校の卒業資格と外国の大学のアプライの前提となる国際バカロレアのディプロマの両方が取得できます。加藤学園暁秀はそのような高校のひとつで、東大合格実績も高めながら国際バカロレアコースもあります。今年の4月からは、玉川学園の高校が国際バカロレアのディプロマの認定校になりました。まだ、日本の大学の受け入れ態勢が不十分といえますが、東大も9月入学の導入を予定する等、教育界も海外に目を向けた改革をスタートさせており、高校でも国際バカロレアの認定校が増えるなど、どんどん先を見る目を持った集団は活発に動きだしているようです。

世界経済は先進国と新興国の両者の収斂の大きなうねりの中に突入しているようであり(Michael Spenceの「The Next Convergence」参照)、そこで何もできない日本を見限らざるを得ない時期が刻々と迫って来ているように感じられます。究極的には、人間のマインドセットを変える必要もあるかもしれず、根本的な根っこの部分で教育の仕方を変える「国際バカロレア」の高校への導入は、次世代の為の長期的な処方箋の一種かもしれません。

国際バカロレア International Baccalaureate



(18:00)

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