介護徒然草

身寄りが無い人と身元引受人の関係、介護と申請について、よくある問題点とその対応について書いてます。

2017年07月

いわゆるご当地アニメというのがあるんですが、みなさんご存知でしょうか。
わたしが認識する限りでは、おそらくご当地アニメとして一般的に認知された、
最初のアニメは「らき☆すた」です。
登場キャラクターのひとりが、鷲宮神社の巫女さんという設定だったかどうだったか、
はっきり言ってそのあたりの設定はアニメ的にはどうでもいい部分なので、
うろ覚えですがともかく、アニメ終了後一年か二年くらいは、
その鷲宮神社に数十万くらいの人が参拝するようにになりまして、
こりゃすごい地域活性化だともてはやされるようになったわけです。

他にはガルパンとかが有名かな。

ただまあこれはそのアニメの主題としては地域活性化、いわゆる町おこしはまったく意図しているものではなかったですが。ただ単純にアニメの中の登場エリアとして現実的な地名を設定していて、特権性を与えている(あるいは偶然与えられた)だけです。
聖地なんて言われちゃったりしてね。

で、介護の問題を
エリア的な問題として捉えた場合
言い方悪いですが、田舎に行けば行くほど
介護がままならなくなるというのはイメージしやすいかと思います。

例えば、たぶんそんなに売れないだろうけれども、
ご当地アニメ的な要素を含んでいるのが「サクラクエスト」というアニメです。
いわゆる町おこしというジャンルだと思うのですが、
これがまあ失敗続きなわけです。
ぜんぜん町おこしは成功しない。
人はいないし、みんなそれでいいと思っている。

この停滞感。
この閉塞感。

ぜんぜん、だんないよ(問題ない)じゃないよ。
だんなくあるよ
と言いたいぐらい、何も起こらない。
たまに有名バンドの誘致に成功したと思ったら、一過性のもので、何も残らない。

ついには、市営バスも辞めちゃうみたいな話ができたりして、
これは日本の未来をそのまま表してるように思います。
地域性のあるバスって、売上と費用のバランスがもう崩れていて、続けるのが厳しいというのは、かなり現実的な設定なんですよね。
例えば、現実世界では、茨城とか、東側のエリアにバス自体が走ってなかった覚えがあります。
何が原因かまでは調べてないのですが、たぶん収支がとれなかったのかなと勝手に想像してます。
こんなバスがなくなったエリアは調べればいくらでも存在するでしょう。
ほかにも、たとえば長崎なんか、山が多いせいか、山の上に住んでいる高齢者はほとんど陸の孤島状態。
このまま、どんどん高齢化が進めば、ますます高齢者は取り残され、いずれは餓死者も続出しかねない。
そんな状況です。

で、介護の問題として捉えても、やはり悲観的にならざるをえない面はありますよね。
人がいないというのは、その業界に人がいないという意味もありますが、
そのエリアに人がいないという意味も含んでいると思います。

例えば、東京と茨城では時給換算で200円くらい違う。
この200円の重みが、エリアからの離脱を招いてしまう

人が少なくなるというのは、人のいない空間が広がるということなんだと思います。

取り残されるのは当然、移動がままならない高齢者のほう。
若者は一縷の望みをかけて都会に向かう。
ゆえに、介護はどんどんエリア的な乖離として、人材不足を招いてしまう。

この問題って、要は田舎と都会の所得格差なのかもしれないです。


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「人類は衰退しました」という原作が小説のアニメがありましたけれども、
小説は、その時代の欲動とされる世界観を代理表象化したものですから、
つまり、日本は衰退しているということなのかもしれません。
あるいは、衰退していってほしいということなのかも。

次になんで、衰退を望んでるの?
っていうのが疑問になると思うんですけど。

たぶん、衰退ってそれなりに響きの良い言葉に置換すると、
スローライフなんですよね。

べつに衰退したっていいじゃないという素朴な思想。

人類は衰退しましたというアニメが流行る、ほんの直前は、バトルロワイアルやらライアーゲームやら、カイジやら、
まあこれらはもう大分古いかもしれませんが、要するに
戦わなければ生き残れない
というようなサバイブ系が流行ったわけですよ。

こういったサバイブ系も世相を代理表象化したものなわけで、たぶん他人を押しのけないと生き残れないんだという哲学が流行った時代があったんだと思います。

けれど、そういった流行りの揺り戻しとして、
今度は【他人と争うのは疲れる】という思想がでてくる。
おおざっぱにアニメ的な思想を時代ごとに分類すると、
【逃げちゃダメだといいながら逃げまくったエヴァンゲリオン】→【戦わなければ生き残れないデスゲームやらサバイバル系】→揺り戻しにスローライフ系→混在。

というような感じになっているんだと思います。

なんかこれに、なろう小説系のチート異世界転生やらなにやらが横っ面から切り込んできているというような感じですね。なろう小説系は欲望丸出しな感じがして、それはそれで面白いですが、基本がエンタメなんで、ソシャゲでいうところのエンジョイ勢なわけで、たぶん、世相を代理表象化するということをあまり企図していないような気がします。
べつに文学しろって言ってるわけじゃないですけど。

で、それが何かっていう話なんですが、
介護業界の話のなかで、その根本に【日本は衰退しちゃいけない】という思想が当然のように鎮座していると思うわけです。
それって、どうなんでしょうか。
べつに、滅びちゃってもいいじゃない。
そんな時代がきたら、そんな時代にあった生き方をすればいいだけであって、
水道管が破裂しようが、コンビニがなくなろうが、
年金がなくなろうが、仕事がなくなろうが、
要は死ぬまで生きればいい。
そこまで透徹した決意があれば、たぶん、どこでも生きていける気がします。
まあ、未練があるし、不安があるから、割り切れないんでしょうけれども。

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今の世の中は、死がパッケージ化された世界といえます。
綺麗に包装されて、できるだけにおいがしないようにしている。
戒名にもいい名前にはいいお値段がしますし、葬式だってピンキリです。
ネットをちょっと見てみれば、お墓に葬式にと、オプションがわんさとついてます。

本人にとって絶対的な価値を持つ命すら、
他人から見れば、交換が可能な代物ということでしょうか。

資本主義においては、金は命よりも重いということの、
ひとつの現れなのかもしれません。

ただ、単純に資本主義だから交換価値で捉えられているかというと、
それだけではなく、
特攻隊とか、革命者のことを考えれば、
命が絶対の価値を持つという価値観もまた相対化されているといえます。
彼らはお国のために命を散らしていったわけです。
つまり自分の命よりも重い価値観があるから、言葉にすれば、軽くなってしまうけれども、例えば【護国】とかそういう価値観を重いものとしてみているから、彼らはやったわけですから。
いずれにしろ、価値観が多様化しているのは事実であり、
多様化すれば相対化は免れませんから、
死すらも、絶対にこうしなければならないという絶対尺度はないのです。
こういえば怒られるかもしれませんが、弔わなくても究極的にはいい。
法律的には怒られてしまいますし、倫理的にもどうなんだと思いますが、
弔わなくても弔われなくてもいいという価値観だってあるはずなんです。

でも弔ってる。
なぜか。
事実として、日本で亡くなった日本人に対して、弔われなかった者はほぼ百パーセントに近い形でいない。誰にも知られない神隠し状態の人も中にはいると思うので、百パーセントとは言い切れないのですが、現代の日本においては、おそらく99%は、孤独死した人も施設で亡くなった方も、あるいは貧困にあえいでいる方も、誰だってなくなったら弔われている。

なぜなのか。
そうしないと困る人がいるからです。
これは、交換価値的な要素として、困る人がいる。
つまり、資本主義的に見て、困る人がいるんです。

本人ではありません。

誤解を恐れずに言えば、
死んだあとのことなんてどうでもいい、
なんて考え方もごく普通にあります。

日々の暮らしの中で、例えば、身元引受人として嗜好品を買う人間がいないのは困るが、
死んだあとの処理なんて別にどうでもいいよという人も一定以上の割合でいるのが
本音の部分だと思います。

誰が困るのか。
始めに困るのは施設だと思います。

身元引受人を当協会のような法人が請け負う場合、親族との関係が疎遠になっているか、いない場合が想定されます。そうすると、もし仮に身元引受人がいない場合、死後の事務を負うのが、事実上施設しかいないという状況もまた想定されるのです。

例えば、施設内でお亡くなりなった場合、少なくともご遺体をずっと置いておくわけにはいかないし、すみやかに葬式をおこなって、埋葬まで手続きを進めてほしい。
そう思うのが当然です。
ゆえに、死後委任事務をいの一番に理解し、そして認識を共有しなければならないのは

施設です。

施設は当協会のような身元引受サービスが、どこまで具体的に行為をおこなっていくのか。
特に死後事務委任については、ご本人の意思がもはや逐次確認できる状況ではないため、
はじめによくよく話し合っておく必要があるのです。

身元引受サービスは、ご利用者とわれわれの契約関係なのですが、
当協会と施設が提携すべきだと考えるのも、そういった関係性があるためです。

なんとなれば、
我々はひとりひとりの存在が、ノードのように存在し、ひとつの巨大なコミュニティを形成している。これは【組合】や【相互扶助組織】と捉えるとわかりやすいかもしれません。
提携施設だけがノードではなく、ひとりひとりのご利用者もまたノードであり、
そこに適切な分量のパケット=サービスを流している。

なぜなら、クライアント―サーバー方式には限界があるから。
施設や当協会のような存在がひとりで、サーバーとしてクライアントを支えるのは限界があるからです。

これからの時代は、P2Pのような相互扶助方式にして、負担を分散させるのが望ましい。

上に述べたような死後委任事務についても、そうです。
例えば、人がひとり亡くなることで、どうしても、葬儀代や埋葬代など、必要な経費が生じます。この金額は数万円程度はかかり、生活保護の方については、現在の制度ではすべてまかなうことはできず、必ず手出しの部分が発生します。
であれば、生活保護の方をご利用者として捉えたとき、当協会が単独でその負担を負うというイメージだと、生活保護の方にサービスを提供する瞬間に損するということになりかねないわけです。

そうではなく、組合のように、少しずつ負担してもらうようなコンセプトであるならば、死後委任事務にかかる費用もペイされ、事業を存続できます。

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当協会の代表理事も記事にしてましたが、
人材の問題にどう対応していくかが、今後の事業開設の際には非常に大きなウェイトを占めているといっても過言ではありません。

問題のあらわれ方と解決方法については一概に同じ道をたどるとは言えませんが、
だいたい下記のような図式となるのではないかと思います。

問題点→過渡期対応のための施策→技術的なブレイクスルー→新たな問題点

ここで、介護業界の宿題として捉えると、

問題点(人材不足)→過渡期対応のための施策(ICT技術の導入などによるシフト管理強化・ジョブシェアリングによる働き方の変化等)→技術的なブレイクスルー(ロボット工学の発展による介護の機械化)→新たな未発見の問題点あるいはブレイクスルーを果たしたことにより生ずる問題点

といった感じになるのではないでしょうか。

いま、今日の時点でできることは、過渡期対応のための施策ということになり、技術的には既に可能です。概念的にもジョブ(ワーク)シェアリングはずいぶん前から言われていることであり、導入自体には問題ないところでしょう。切り口は異なるかもしれませんが、有料老人ホームに入所している比較的元気な方が見守りなどを低料金でおこなうということも考えられます。

しかし、そういった施策が必ずしもうまくいっているわけではない。
そういう現状があります。

なぜうまくいかないのか。
いまはまさに過渡期であり、成果がでるのは今後のことだ。
そういう考えもあるでしょう。
しかし、それが問題の根治になっているか、が本当に考えるべきところなのかもしれません。

では、いま、介護業界において人材不足といわれているのは、
果たして何が原因なのでしょうか。

例えば、短時間パートがおらず、そのため、人員が過剰にしか入れられない。そのため、生産性の観点から、事業者側は「あとひとり」を入れることを躊躇する。
このようなことが原因であるならば、ジョブシェアリングの考え方は、問題の根治を目指していると言えるでしょう。

しかし、そうでなかったら?
業界自体から人手が減っているのだったら、単純に考えて、短時間パートのなりても減っていくということになり、問題の根治とはなりえません。

やはり、問題の問題点、すなわち問題がなぜ生じたのかの原因を追究しなければ、その解決策もその場限りのものになってしまうと思うのです。

介護業界の人材不足については、国も調査をしており、
例えば、ここに資料があります。
要は量が減るので、質も低下するというようなことが書いてあり、
その理由は
①魅力を訴求できていない
②離職者が多い(他のジャンルに比べて介護業界が特に)
③将来の展望がない
④専門性が不明確で、評価が不十分
⑤意欲・能力にかかわらず、現場では様々な人材が混在している


といったところにまとめられております。

①の介護の魅力といっても、それは資本主義の世界ではやはり「お金」が物を言うと思いますし、
そうなると、現状、介護スタッフのパート給料はだいたい850~1000円程度を推移しているわけであって、ちょっとツライかなと思います。もともと介護業界自体に「お金」的な魅力はないのです。
医療や障害との相対的な見方をしてもわかるとおり、介護はそもそも高齢者の方限定ですし、またその金額もきわめて限定されています。例えば、最も重い要介護度5の方であっても、介護報酬額としては36万とちょっとであるのに対して、医療費は天井知らず、障害も80万円程度までは可能です。
つまり、それだけ売上の差がでるのです。
売上が乏しいから、スタッフにはそんなに給料をあげられない。
これは当然の理。

したがって、介護はもはやその性質上【貧困ビジネス】の様相を呈するほかない。
望むと望まざるとに関わらず、
スタッフやあるいは利用者を、事業者が食い物にしていると、
2chでよく書かれたりもしますが、
なんのことはないんです。
介護事業自体が儲かる事業でないのが原因なんです。

スタッフが個人的に介護が好きだとか、そういった付加価値を感じられたとしても
そう感じられるのは、おそらく希少性が高いでしょうから、一般的平均的な感受性を持つ人たちを寄せ集めて考えれば、介護には資本主義的な意味での魅力はない。だから、もし介護じゃなくて割のいい仕事があれば、そちらをしたい、そう考えるのが自然です。だから離職率も高い。定着しないということになります。
これは経営者側でどうにかできる問題でもないです。
金持ちの道楽かあるいは超巨大企業でもない限り、スタッフの給料をいきなり二倍にするとか、
そういうことはできませんので。
②の離職者が多いのは、将来の展望がないからであり、スタッフのままだと食べていくのもやっとだからだと思います。つまりこれも「お金」の問題。

対して、過渡期の対応策としてあがっている、ジョブシェアリングやICT技術によるシフトの効率化は④や⑤に対する対応策であり、少ないリソースをやりくりしようという一手です。

つまり、抜本的な策ではないといえます。
もちろん、対策が無意味なわけでもないのですが、もしも、介護業界全体の人材不足を是正したいのなら、介護業界全体に「お金」を回していくほかありません。

それは国の施策として、介護にもっと「お金」をということであり、
具体的には、介護報酬額をひきあげろという話になっていくはずですが、
国のとっている施策は現在のところ真逆。

業界自体が潰れる前に、国が手を打てるかが勝負どころです。
なお、企業としてはやはりそれまで耐え忍ばなければならないので、そのためのやり方としては、そういうリソースのやりくりというようなことを考えなければならないのかもしれないですね。

もっと言えば、
あなたが何か事業を始めたいというときに、いくつかの事業を選べるとしたら、
介護事業は今は始めるべきではない、という結論になってしまいかねないのですが……。

それと、「お金」を業界に回すためには、その「お金」自体を集中化させるという方法もあるにはあります。結局、「お金」の出所は、利用者の方々なわけですから、
利用者の方々が特定のエリアに集中して住むようになれば「お金」も集中するので、
問題は解決する方向に向かうのではないかと思います。
これって、要するには、高齢者の方々は田舎に住まないでください。都会で集まって暮らしてくださいということなんですが、住み慣れた故郷を捨てろというのは酷な話なので、実際には難しいのかもしれません。ただせめて山から下りてきて平地に住んでもらえれば、少しはリソース配分がうまくいくかもしれません。

エリアとしての人材不足を考えるべきなのかもしれず?




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火葬場に決まっているだろ常識的に考えて
というのが現代社会の選択のありようでして・・・。

散骨やら宇宙葬やらは望むべくもありません。

死後の選択についても、かなりの部分はお金がかかわってくるのが
資本主義的な世界観でして、人とは違う葬られ方を望んだとしても、
そうはいかないのが実情です。

当協会について、身元引受を行うご利用者様につきましても、
実のところ7割程度の方は
「生活保護」
を受けている方が多く、
身もふたもない云い方をすれば、お金がありません。

もしかしたらお金が足りないということもあるのでは?

これはご本人にとっても恐怖でしょうし、
仮に身元引受人がいない場合、
自分たちで賄わなければならないかもしれない施設にとっても恐怖です。

では、人が死ぬとき、どれくらいのお金がかかるのでしょうか?
これは、人が死んだとき
「どんな行為が必要か」
を考えればよいと思います。

それらの行為はお亡くなりになった方が本来すべき行為を肩代わりする行為です。
この行為を法律的な言い方をすれば
【死後事務委任行為】
といい、生前にご希望を聞いて、
その内容にできるだけ沿う形で、達成していきます。
具体的には下記のような行為です。次回はもう少し詳しく書いていきたいと思います。

ご遺体の引き取り

身元引受人として、ご遺体を病院等より引き取る。

死亡届

身元引受人として手続きを行う。

死体火(埋)葬許可申請

身元引受人として手続きを行う。

埋葬・納骨

生前のご希望に沿って行う(墓地等埋葬地が準備されている場合に限る)。

施設等退去手続き

身元引受人として手続きを行う。

施設退去時の居室の家財等遺産処分

希望の処分方法をあらかじめ確認し、行う。

年金受給停止の手続き

身元引受人として手続きを行う。

各種保険資格喪失届

介護保険等の資格喪失の手続きを行う。

住民票抹消届

身元引受人として手続きを行う。

遺言書の検認

自筆証書遺言書がある場合、検認手続きを行う。

各種保険の葬祭費・埋葬料請求

国民年金保険等から支給される金額を申請・受取り、それぞれの費用に充る。

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身元引受とはあまり関係のない話かもしれませんが、
確か、舞城王太郎のデビュー作は、「煙か土か食い物」だということを思い出します。

つまり、生きているものの終わりは、
煙になるか
土にかえるか
食い物になるか

ということだったと記憶しておりますが、
なにぶんだいぶん前に読んだきりなので、うろ覚えです。

この意見は考えるまでもなく正しい。
反論の余地がない。
ゆえに、遊びがないように感じて、そこが唯一の反論すべきところでしょうが、
しかし、おそらく現代の日本で逝去した場合、
ほとんどの場合、煙になってしまうのは、事実です。

当協会は高齢者の方の身元引受をしている以上、
死後の事務を委託される立場にあることも事実。

身元引受とは、誰かが煙になることを見届けることなのかもしれません。

では、お亡くなりになられたあと、我々は何を託されているのか。
我々としては何をすべきなのか。
次回書いてみようと思います。


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たまには雑談でも。

みなさんの夏の思い出といえばなんでしょうか。
ごくごく定番として、

夏休みの宿題

というものがありますね。

翻って、
介護業界の宿題
はなんでしょうか。
おそらく、それは人の問題だと思います。

どこの業界でも言われていることですが、人材不足。人不足と言われています。
たぶん、これは自分たちにとって「利」がある人がいないという意味であって、
普通に「人間」という意味での人はいると思うんですが、
組織が人を育てるにもお金がいるので、それだけのお金がなければ、
即戦力を雇うほかない。しかし、それにはお金が・・・以下ループ。

ところで、夏休みの宿題には、大きくわけて、二つのタイプがいたように思えます。
すなわち、夏休みが始まったら、少なくとも7月中にはすべて終わらせて、
あとは悠々自適としたもの、
もうひとつのタイプは、終わりの間際まで終わらせないもの。

経営者としては、当然早めに宿題を終わらせるべきであって、
人の問題についても早めに手を打たなければならない。

しかし、構造的に人が足りないという状況でいったいどういう手を打てばよいのか。
答えのない宿題は、難易度が高そうです。




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事業モデルとしての通所介護について、
収益としては、イニシャルコストとして、
箱物を単独で建てる場合の1.1倍かかってしまうという話をしました。

しかし、それでも、通所介護をした方がよいのは、
まず、需要があるということです。

毎月、厚生労働省からでている
介護保険事業状況報告(暫定)
によれば、介護保険利用者のうち、通所介護を使っている方は
約37パーセントという数値が見てとれます。

特に、比較的要介護度の低い方については、通所介護の利用率が高まります。

次に、通所介護は、誤解を恐れずに言えば、
事業者側にとって、使いやすいサービスであるということです。
仮に、訪問介護サービスを、事業者側が望むようにいれるというと、
その方にとって、そのサービスが必要かどうかを見極めなければなりません。
訪問介護はひとつひとつのサービスが集合したものですから、
その人の生活パターンや、要介護度、スタッフの数等を総合的に判断する必要があるのです。
他方で、通所介護は帯です。ある時間からある時間までその場所に通うということが
根本にあるわけです。
これをケアマネ視点で考えてみれば、ある方が何曜日に通所を利用するということを考えれば、
それで完了するわけですから、通所サービスを使うか使わないかを判断しやすい。

これが通所介護サービスを行っていく利点の二つ目です。

三番めに、通所介護の意義自体に関わることですが、
通所介護は機能訓練等を行うことによって、ADLを高めるあるいは維持する効果があると言われておりますから、利用者が入院などの確率で退去するという可能性を低くする効果があります。
箱物のサービスは、情緒の無い云い方をすれば
「いかに空きベッドを減らすか」
が売り上げに直結することは想像に難くないと思います。
空きベッドはなぜ生じるかというと、退院やお亡くなりになったときに、
次の方がすぐに入所するわけではないからです。
このタイムラグを少なくするには、できるだけ退去という事象自体を減らせばいい。
つまり、できるだけ元気でいつづけていただきたい。
というのは、収支上の理由からも切実であるところです。











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人は善性か悪性かと同じくらい、
難しいテーマですが、果たして『通所介護事業』は我々の事業にとって必要なのでしょうか。
我々の事業にとってと前置きしたとおり、もちろん利用者にとって必要なサービス類型であることは間違いございません。
しかし、営利的な行為として、通所介護は有利なのか。
これから先も続けていけるのだろうか。
そういったシンプルな疑問があります。

結論から言えば、『必要』であるというのが答えだと思います。

この問題は多方面からアプローチが可能です。
例えば、収益の問題。例えば、土地の広さの問題。例えば、利用者の心証の問題。
いろいろと考えるべき点は多いと思われます。

まず、収益から考えてみましょう。
一般的に、介護保険事業は、要介護者の要介護度(介護が必要なレベル)に応じて、
その限度額が設定されています。
これは一ヶ月に使える介護サービスの総量が決まっているということですから、
例えば、同じ事業者が訪問介護サービスと通所介護サービスの両方をおこなっている
という場合についても、ひとりの利用者に対するサービスの限界量というのはおのずと
決まっているということになります。

つまり、訪問介護だけで、100%介護保険を使っているのであれば、
いくら通所介護サービスを提供できる状態であっても、利用できず、
こちらには一円も入ってこないのです。
現実的には、ケアマネージャーが利用者のサービスの使い方をマネージメントするので、
訪問と通所の使い方もバランスを考えて、サービスを受けられるように調整していくでしょう。

では、通所介護事業を最初から行わないという選択であれば?
まず、通所介護事業を行う際に必要なスペースは定員一名につき3㎡は、デイスペース=機能訓練指導室として必要とされています。
では、有料老人ホームが定員20名のときに、何人を通所の定員とすればよいのでしょうか?
通所の定員とは、一日あたりに何人までサービスを受けられるかを言いますので、
有料老人ホーム全員が一日ずっとデイに通うということは考えられません。
平均的には、一週間のうち隔日に行くという方が多く、
およそ、0.6倍で考えておけばよいと思います。
例えば、有料老人ホームの定員が20名であれば、通所は12名定員程度で考えておけばよいでしょう。
したがって、12×3=36㎡はデイルームとして必要です。そこに入浴するための浴室や静養室、相談室、事務室を考えると、構造次第でしょうが、おそらく倍の㎡数程度はかかります。
おそらく、この場合72㎡は必要でしょう。
対して、有料老人ホームは前にも述べましたとおり、18㎡×人数は最低限度必要であり、その他共有部分もあることから、同じく倍は必要と考えて、720㎡は必要でしょう。

つまり、デイをするなら、有料の10分の一程度のスペースは必要。
という仮説が成り立ちます。

仮説をひとつ裏打ちする事実として、
当協会が一番多く手掛けたモデルでは、建物全体の中のデイルームの割合が
有料延床面積600㎡デイ延床面積60㎡の構成であり、仮説と同じ数値でした。
もちろん、有料老人ホームとデイサービスで共用できるところは共用し、
出来る限り削ったスペースになります。

さて、収益についての話に戻ります。
先の仮説を真であるとして話を進めますと、
まず、イニシャルコストとしては、1.1倍になるという点は非常に大きいと思います。

例えば、20定員の施設をつくる場合、有料部分は720㎡程度は必要であり、
235坪必要ということになります。
坪単価50万円で考えても、1億7千万円程度は必要であり、
これに、デイサービスを付けると、さらに1700万円かかるという計算になります。

では、この1700万円イニシャルコストがかかってもいいから、デイサービスをつける価値があるのか。

まず収益的には、通所がたとえなくても、同じ売上をあげることが理論上は可能です。
介護保険の適用について配分は決まっていないからです。
例えば、訪問は何パーセントまで、通所は何パーセントまでといった配分は決まっていないので、
訪問介護を100%使っても理論上は問題ないということになります。
では、それでもあえて、通所介護をつける理由はというと、
お客さんに逃げられたくないから
の一言に尽きるかと思います。

つまり、他の事業者さんのサービスを使いたい場合、それを止める権利は事業者側、つまり我々にはないのですが、我々が通所介護サービスをおこなっていれば、自身のサービスを使っていただくよう、ご提案はできます。

このご提案が非常に大きい。

というのも、介護事業の売り上げにおいて、介護保険報酬が占める割合は非常に大きいからです。

続く








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土地の見極めについて、最も重要なのは、事業モデルと適合するかどうか
といっても過言ではありません。

事業モデルとは、いわば武器であり、自分自身のことです。
孫子曰く、敵を知り己を知れば百戦百勝する。
敵とは、この場合は、市場であり、ライバル企業であり、行政の見解だったりと
多岐に渡るでしょう。
行政対応は自然と行っていくでしょうし、市場調査をするのであれば、
「敵」については完璧にとは言わないまでも、まったくの無知で行うということはありえません。

しかし、自分自身についてはどうでしょうか?

同じく孫子曰く、敵を知らずに自分のことを知っていたり、
逆に敵のことは知っているが自分のことは知らないという場合、
どうなるかというと、
一勝一負するといわれています。
つまり、勝つか負けるかわからないということです。
事業をする際に、そういう不確定要素はできるだけ除去するべきです。

事業モデルを考えるにはどうするか?

介護サービスなんてどこだって同じだろう。単に資金力の問題なんじゃないか……。
そう思われる方も多いかもしれません。

しかし、そうではありません。
事業モデルとは、自社の強みであり、個性です。

当協会であれば、いくつかのモデルをご用意しておりますが、
ご自身で考える場合には、やはり商品開発の時間が必要になってきます。

そのとき、考えの一助になればと思うのですが、

こう考えてはどうでしょうか?

箱物(スマートフォン)+外部サービス(アプリ)

箱物はやはり、ハード的なスペックの問題がありますので、
アプリが乗るかどうかという意味では、考えなければならないところです。
特に、広さがハード的なスペックの最たるものですが、
最低限必要とされる広さというスペックが無ければ、外部サービス(アプリ)も乗らず、
事業として、最初から成り立たないといえます。

箱物の事業は、アプリをいろいろとつけかえることで、高度の柔軟性を持たせることが
可能ですが、どんなアプリを入れるかが、無限の可能性があるのと同じく、
箱物でどのような外部サービスをつけていくか、
そこに事業モデルとしての個性が生まれます。
特に混合介護と呼ばれるものが始まれば、柔軟性はさらに増すと考えられます。

とはいっても……定番はあるでしょ?

あります。
遊園地でコーヒーカップや観覧車が永遠の定番とされるように、
基本的にほとんどの箱物についている外部サービスといえば、
訪問介護事業通所介護事業です。

土地の問題として捉えるなら、影響が大きいのは通所介護事業の方でしょう。
こちらは、通いで機能訓練等のサービスを提供するものを言いますが、
通いということは、併設にしろ単独にしろ、そのサービスを提供するためのスペースが必要になってきます。つまり、通所を行うと決まった瞬間に、その提供スペース=土地を確保しなければならないのです。

では、訪問介護事業だけおこない、通所介護事業をしなければ?
その分スペースは削れます。

さて、どちらが良いのか。これは次回書いてみようと思います。



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推奨スペックとして、もう一つ大きな要素は、【市場調査】です。
有料老人ホームも営利的な事業であることは間違いないので、
ご利用者が近くに住んでいるということは大きなアドバンテージになり、
事業継続に関わってくる重要な要素といえます。

有料老人ホームにおける市場調査はどのようなことを調べればよいのか?

①周辺の高齢者数
②要介護度別の高齢者数
③当該市町村の高齢化率
④当該エリアにおける介護施設の数
⑤当該エリアにおける介護施設の料金設定
⑥当該エリアにおける施設長(管理者)・サービス提供責任者・介護スタッフ等の給与
⑦周辺エリアに協力医となってくれそうなところはあるのか?
⑧交通の流れ・人の流れなど


このような数値は必須といえるでしょう。

具体的にどのくらいならいいのか?

一言ではなかなかいいあらわあせないというのが正直なところです。
なぜなら、事業収益モデルがそのまま、市場との適合性に関わってくるからです。
例えば、低所得者層を狙うのであれば、周りの料金設定は自社よりも安いところがあれば
致命的ですが、そうでなければGOサインが出せます。

ともかく、事業を開始する前に、市場調査を行い、
営業面と採用面の両方において、問題がないと思われるスペックかどうか。
推奨スペックに足るかどうかを調べておきましょう。

これは自社のモデルの強みを、より深く理解する機会にもなるはずです。
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介護事業の申請時に、箱物としては「土地」が重要であり、
その土地に対する制限については3つに大別することを述べました。
法的制限、推奨スペックとしての制限、収益モデルとしての制限です。

まず、法的制限については、事業開始に大きく関わってくるものの、
行政との折衝の問題なので、必ず問題は顕在化するため、問題として
知らぬ間に大きくなっているということはありません。

次に述べたいのは、推奨スペックとしての制限です。

有料老人ホームとして箱物を建築する場合、土地として推奨されるのは、どんなところでしょうか?

まず、有料老人ホームは一部屋あたりの面積が18㎡であることが求められます。
届出制なので、必ず18㎡でなければ、有料老人ホームとして運営できないというわけではないのですが、少なくとも指導指針に適合した有料老人ホームになるためには、この面積を確保することは必須です。

また、少々古いデータになりますが、
「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業」報告書
によれば、下記のとおり

平均定員数


平均定員数は41名程度といえます。

単純計算でも18㎡×41=738㎡は必須ということです。
これに共用部分も付け足すと、
おそらく1000㎡程度は必要になってくると思われます。
坪に直せば、300坪といったところでしょうか。

また、建築面積と敷地面積の関係についてですが、

建ぺい率が60パーセント以下、
容積率が200パーセント以下、
高さは原則として15メートル以下であること

が、有料老人ホームの建築として推奨されているので、

建築面積=敷地面積×建蔽率(60%)の式から

敷地面積=建築面積/建蔽率
敷地面積=500坪
となります。

推奨スペックとしては500坪が求められるということになりそうです。

ただし、これはあくまで平均的な定員を考えた場合であって、
仮に小規模の定員も別に問題があるところではございません。
仮に20名程度の規模を想定すると、これの半分でも問題ないわけですから、
坪数にすれば、200坪~300坪でも可能です。

上記の考え方は【定員数】を計算式の中に盛り込んでいますので、
事業者としては、まず現状の土地を見て、①法律的な制限はないかを考え、
次に、推奨されるスペックを満たすか考えますが、推奨スペックについては、
定員の問題と直結するのでありますから、定員をある程度自由に設定できるモデルを構築しているのであれば、土地のほうもフレキシブルに対応できます。
通常はモデルは一つというところが多いので、事業モデルに適合した土地のほうを選ぶということが、現実的には多いと思われます。
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介護事業の申請ポイントとして、
平面図が決まって、だいたいの箱自体の想定はできてまいりました。
さて、事業を始めるぞということになりそうですが、
その前にもう少し考えておくべきことがあります。
それは、『土地』についてです。

有料老人ホームの場合、『土地』に対する制限を三つに分けるとすると、
法的な制限推奨スペックからの制限収益モデルとしての制限に分けることが
できると思います。

まずは法的な制限例について

①工業専用地域はダメ
②市街化調整区域はダメな場合がある(特に介護保険事業を併設するとき注意)
③電波法の観点から、高さの制限がある(一定の高さを越えると別途申請が必要。ただしこれは建築会社の領分)
④景観法の観点から、広告の一部が制限されることがある。(例えば有料老人ホームから垂れ幕をたらす等の行為が制限されたりします)
⑤開発行為の開発許可が必要な場合(土地が広大になると開発許可が必要になり、その許可がなければ有料老人ホームの建築ができなくなる場合がある)
⑥介護付き有料老人ホームの場合、総量規制にかかる場合がある。

これらのうち、最初に図面を引いた段階で、建築会社等と十分な協議がなされていれば、
ほとんど問題はクリアされていると思います。
行政上の交渉が必要になってくる可能性があるのは、おそらくは⑤開発許可と⑥総量規制が多いでしょう。
開発許可については、期間が長くなりすぎる場合があり、
事業計画に適合するかがポイントになってきます。
総量規制については、介護付き有料老人ホームにのみ起こりうる問題であり、それは行政側が指定権限を持っているからこそ生じます。であれば、そもそも介護付きではなく、住宅型有料老人ホームを選択すれば生じない問題です。
ただし、ここで新たな問題が生じたことがありました。
確か兵庫県だったかと思いますが、介護付きは総量規制により、建てられませんということだったので、では住宅型を選択しますという話になったのですが、
そのときに、住宅型については、介護付きとの対比から、
少なくとも一名以上は自立の方を入居してほしい
という依頼がきました。
つまり、行政の思いこみの一種だと思うのですが、住宅型はあくまで元気な方用の施設であるという先入観があったようです。
このとき、当時の当協会の事業モデルは『要介護以上』の方を対象にした施設になっておりましたので、事業モデルと乖離した考えが提示されたといえます。
ただ、これは、あくまでも『行政指導』として依頼されたものだと思っております。
法的にはどこにもそのような制限はございませんし、そうであるならば、行政は強制力をもって従わせることはできないのです。
ただ、行政指導は、『指導』という性質上、ないがしろにできるものではなく、事業者側は少なくとも真摯に考え、できるところについては履践していかなければなりません。
この依頼については努力目標として捉えて、手続を先に進めることにしました。
こういった交渉については、通り一遍の交渉では済まないところがあるのです。

次回に続く



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前回からの続き

前回は、生活保護の方はどうやって身元引受サービスについて
支払いに対する不安を払拭できるか
というお話でした。
まず、生活保護の方については、生活扶助費といって、その金額が
年齢や扶養家族の有無、住んでいる場所(級地)によって決定されています。
ちまたでは、給料より高い金額をもらっている場合もあったりして、
不公平だということが話題になったこともありましたが、
介護施設の入居ということになると、
特養でもない限り、相場的には月額10万円程度はかかるものであり、生活保護費で賄えないか、
賄えてもギリギリの額だと思います。

では、生活保護者の方は、狭まった選択肢の中で、
どのように施設を見つけていけばよいのか。

ここがポイントと言えますが、
当協会は最初から、「施設と提携している」ため、
探す手間が必要ないというところが利点だと言えます。

また、生活保護の方の扶助費というのが、
主に年齢と級地ごとに設定されているということから、

年齢と級地に連動する身元引受料

を設定しております。
ここに、もう一つ、施設に対してその行為の一部代行を行うことにより、
生活保護の方が払えるだけの金額設定をしていただいております。

言ってみれば、施設との交渉は既に当協会が済ませているため、
エンドユーザーはスムーズにサービス利用が可能になる、というシステムになっております。



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続。
身元引受人が介護施設で必要とされる話についてですが、
実際、どらくらいの施設が身元引受人を必要としているのでしょうか。
まず、言うまでもないことですが、身元引受人は身元を引き受けるということを
さしますので、その身元を預ける形になる「箱物」の施設に求められます。

逆に言えば、訪問介護事業所や通所介護事業所などにおいては、
身元引受人は不要ということになります。
仮に身元引受人と契約書に書いてあっても、その意味は
『身元引受人』=『連帯保証人』の観点から書かれてあるのであり、
連帯保証してほしいというところが大きいでしょう。

さて、本題に入りますと、
どの程度、身元引受人が求められているかですが、

結論を言うと、8割程度です。
全国津々浦々ある介護施設の実に8割が身元引受人を求めています。

データソースとして、公益社団法人全国有料老人ホーム協会
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究
ここの30Pに記載してあります。(クリックでPDFファイルを開きます)

代替措置についても形態別平均でいって、約半分は無しと答えていることから、
8割の施設のうち、およそ半分くらいはそのまま入居ができないということになります。

では、身元引受人を求めない施設を探してはどうか?
となりそうですが、事はそう簡単にはいきません。

身元引受人を求めないということは、それだけの『リスク』を和らげるために、
高い料金設定をしているということがあり得ます。

また、身元引受人を要求しない施設が全国で2割しかないのであれば、
近場にそういった施設が無いということが考えれます。

さらに、お金があり、近くにそういった施設があったとしても、
そもそも、身元引受人は本来的に誰かは必要なのであり、必要性の観点からはお勧めできません。

やはり、身元引受人は必要……
しかし、身元引受人がいない方は、生活保護を受けている場合も多く、
身元引受を頼めるだけのお金がないのではないか、
という不安が次に生じます。

この点については、他の事業者のサービス形態にもよるのでしょうが、
当協会の場合は、事業モデルとして、まず、施設と当協会が契約を締結しているため、
生活保護の方でも暮らせる仕組みを作っております。

次回へ続く





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そもそもの話。
なぜ身元引受が必要かというと、おおよそ入居時に身元引受人が必要とされるからです。
どうして必要とされるかというと、
これにはいろいろと理由があるのですが、一番の理由は、
『介護事業はリスクが高い』からです。

中小企業庁の2017年版「中小企業白書」によれば、
日本における企業全体の倒産件数は8446件
無題

徐々に減少傾向にあるのがわかるかと思います。


他方で、東京商工リサーチの2016年度における
介護業界の倒産件数はこのページにあるとおり、
逆に上昇傾向にあります。

これには様々な要因があると思いますが、よく言われるのが人員不足です。
また、2000年頃から、起業数が爆発的に増えた結果、
淘汰されて数を減らしたといった考え方もできるかと思います。

いずれにしろ、介護業界は今、未曽有の転換期にあり、
これから先の
生存戦略
は、熾烈を極めるものと予想されます。

さて、ともかくそういったリスクを抱えた業界でありますから、
少しでも、リスクを回避するために、まずは未収金の問題を減らそうという試みが必要とされます。

そのために、多くの介護施設においては、身元引受人が必要とされるのです。


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身元引受は委任かあるいは委託か、いずれにしろ契約関係によって生ずるものであることは、
先に述べました。
では、この身元引受と成年後見人との違いはどこにあるのでしょうか。
成年後見人とは、その名のとおり『成年』の後見人です。
つまり、成年がなんらかの理由によって、判断能力を失うかあるいは弱まるなどしたときに、
本人に代わってその判断をするものが成年後見人といえます。
この成年後見人には二種あり、
『法定成年後見人』と『任意成年後見人』です。

では、それらの違いはどこにあるのでしょうか?

結論から先に述べますと、下記のような表になると思います。

無題


身元引受は、契約を締結するものですから、一般的には高くなりがちですが、
しかし、前回述べたように、昨今の介護施設は、身元引受人に対して連帯保証人としての
役割も求めていることが多く、その場合は後見制度は使えないということが多いといえます。
もちろん、そういった連帯保証人としての役割を求めていないところや、
交渉によって成年後見人がいればいいですよと言ってくれるところもあるかと思いますが、
いざ、必要になったときにすぐに施設が見つかるわけではないという問題があります。
身元引受の場合は、選任に時間がかかるわけではないので、
そういった時間的に差し迫った状況に対応しやすいという意義があるのです。
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今回から身元引受についても書いていきます。

さて、身元引受と言えば、何をするのだろう。
まずはそういった疑問が湧くかと思いますが、
法律の概念の中で身元引受人の行為を捉えると、
特に法律上の制度の中で登場するわけではありません。
なので、これは契約の類型の中で論じるべきものであり、
おそらくは
『委託契約』か『委任契約』
と捉えるのが妥当でしょう。

つまり、
当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方(受任者)がこれを承諾することを内容とする契約(委任契約)

かあるいは、

法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が、
自分の責任・管理のもとでその事務処理を行う契約(委託契約)

と言えます。

法律行為とは、意思表示に基づいて特定の法律効果を発生させる行為のことを言いますが、
ここではあまり厳密に捉える必要はありません。
ここでポイントとなるのは、委託にしろ委任にしろ、まず本人がいて、その人から委託なり委任なりを受けて、受任者としての立場にたって、いろいろな事務を行うということです。
事務という言葉はここでは『行為』程度に考えてもらってかまいません。
ともかく本人の意思がはっきりしていないと、委任も委託も成立しませんので、
意思表示ができない場合、認知症の場合には、身元引受契約は成立しないというのが原則です。

その場合はどうしたらよいのでしょうか?

代理で身元引受契約を締結するしかないでしょう。

例えば、家族が法定代理人として身元引受契約を締結するとかです。

では家族がおらず、成年後見人がいる場合は身元引受人は必要なのでしょうか。

一見すれば、成年後見人が身元引受人になってしまえばいいように思います。
この場合、身元引受人は施設利用料の連帯保証をする場合が多いので、
成年後見人は連帯保証してしまうと、本人の利益にはなるけれども自分の利益に反する、
つまりは、利益相反となってしまい、できないと考えらえます。
したがって、成年後見人がいたとしても、家族がいない場合にはやはり身元引受人が必要になってきます。

身元引受人とは、法の陥穽を埋めるために、自然発生的に生じた概念なのかもしれません。



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箱物のサービスは、平面図から始まることは先に述べました。
では、平面図を具体的にどのように詰めていけばよいのでしょうか。

我々は介護事業としてはプロですが、
餅は餅屋ということで、
建築のことは建築のプロに任せたほうがよいのは当然です。
平面図の作成も多くの場合、建築会社に依頼する形になります。

しかし、難しいのは介護事業を運営できるように
いくつかのポイント
をお伝えしなければならないということです。

そのポイントとは?

①事業モデル・・・同一建物内で有料老人ホームを単独で行うのか、それとも通所介護事業所も併設するのか。あるいは、建物の階層ごとに異なる事業を展開するということも考えられるかもしれません。

②各事業ごとに必要とされる面積基準・・・例えば、有料老人ホームとしては入居者の住居について一部屋あたり18㎡が標準とされております。そして各事業ごとに必要とされる部屋も異なります。
当然、同一建物内で展開する事業が増えれば増えるほど、必要とされる部屋が増えますので、建物の大きさも膨らんでいくということになります。

③各指針あるい設備基準に適合しているかどうか。
大きくわけて、住宅型有料老人ホームは各行政の指導指針に基準が書かれてあり、
介護保険事業は設備及び運営の基準という形で書かれてあります。
例えば、住宅型有料老人ホームは準耐火以上の建築物でなければならないという基準がありますが、
この基準がどのように達成されるかは建築会社次第であるものの、
その基準で建築するように依頼しなければならないというわけです。
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事業者は、箱物を最初に申請することを考えることが多いと思われます。
では、実際に、そのスケジュール感はどうするべきなのか。
半月で終わると考えるのはリスクが高すぎるし、かといって10カ月もかかると事業計画上困る。
そう考える人も多いでしょう。
現実的には、まず最初に
「いつに始めたいか」
を決めて、そのゴールにあわせたスケジュールを決定していくことが多いと思われます。

具体的に見ていきましょう。

①土地や建物が箱物の基準に合致しているか。
実際には、設置届を出す前に、開発許可申請や建築基準法上の条件をクリアしていく
ことが求められますから、設置届の提出期間だけで考えると、問題があると言えるでしょう。
多くの場合は、土地や建物に問題がなければ、3カ月程度で設置届自体は完了しますが、
そうでなければ、一年以上かかる場合もございます。

【特殊な例】
・土地の下に遺跡があり、その調査が終わるまでは建てられないといった例も。

・箱物と同一敷地内で訪問介護事業所等を行っていく場合に、市街化調整区域だと、
その設置が制限されている場合もあり、収支上、箱物を作れないことも。

・まちづくり条例などで、点字ブロック等の敷設が求められる場合も。

【対策】
ともかく、関係行政庁に対して
確認
をおこなっていくしかない。
しかも、なるべく早くということになります。

事業者が建築会社に依頼する場合、土地建物については、建築会社に
事業計画を理解していただき、内容をすりあわせ、そして行政に伝えるということが必要になります。

②設置届の提出について
行政庁は自分の担当課の管轄外のことについては、とやかく言うものではなく、
例えば先に述べた開発許可の問題や建築基準法の問題などについては、
名前にブレはあるものの、およそ「都市計画課」という名前のところが管轄であり、
箱物の管轄ではないので、既に解決している問題として捉えております。
したがって、ある程度スケジュールを詰めることが可能です。



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介護事業は多くの場合、
「箱物としての事業をいつ開始するか」
を基準とすることが多いと言えます。

訪問介護事業所や通所介護事業所は外側のサービスであり、
場合によっては通常の賃貸アパートでも開始可能ですが、
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅はそういうわけにはいかず、
指針に適合した形での『建物=箱』が必要になるため、後戻りがきかないといえます。
期限については、介護保険事業のほうが厳格で、箱物の方が易しいとされるのは、
行政もそのあたりの事情を知っているためです。

では、実際にどのあたりから申請業務を開始すべきなのでしょうか?

有料老人ホームの申請の開始時期は?

図解すれば下記のようになります。
chart_field_130_01

まず、第一ステップとして事前協議がほとんど、どこの行政でも求められます。
この事前協議は、『図面協議』から始まることが多く、
最初に提出する資料としては、図面の中でも『平面図』ということになります。

事業者は、まずご自身で作成されるかあるいは建築会社に依頼して
『平面図』の作成を急ぎ、すぐに行政に確認してもらう。
そういった手続が必要になります。

問題となるのは、事前協議は原則として
建物を建てる前に
行わなければならないことです。

行政によっては、この平面図への修正がかなり多く求められることもあり、
例えば、トイレの位置や動線までチェックされます。

ただ、この点については行政も厳密に求めているかというと、
一概にそうは言えない部分もあり、
例えば、『同じタイプの箱物』であれば、指針に適合しているということは明らかなわけですから、
すんなりと図面協議は終わるということもありえます。

つまり
『同じモデルで』
『同じ行政庁に対して』
『数多く事業展開していく』
ことで、行政申請のスピード自体は早まります。


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本日から介護事業の申請ポイントについて、このブログを通じて書いていきたいと思います。
介護事業の申請については大きく分けると、箱物と介護保険サービスに分けることができます。
箱物とは住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの「入所のできる」施設を指します。
介護保険サービスとは、訪問介護事業や通所介護事業をいいます。

これは多くの行政申請で得た雑感ですが
行政は、「箱物に優しく、介護保険サービスに厳しい」
と言えると思います。

なぜなら、箱物は介護保険報酬が発生しない=行政の財源を圧迫しないからです。

一例をあげると、住宅型有料老人ホームの申請期限については特段決まっているものはございません。
各行政の指導指針に書かれている標準処理期間はまちまちで、
いろいろな事情から、その期間を短縮してくれるということもあり得ます。
S県では、申請を始めてから半月で設置届(有料老人ホームの申請ほぼ完了とイコール)ということもありました。
ただし、おそらく本来的な標準処理期間は3ヶ月程度と見ていたほうがよいでしょう。
多くの行政庁においては、事前協議を求めておりますし、その期間が一ヶ月半程度はかかると思います。その後、設置届、そして補正と考えると、約3ヶ月程度という感覚です。
一方で、訪問介護や通所介護については、ほとんど9割方の行政庁においては、
先々月の末日
までとなっています。
例えば、9月1日にその事業を始めたいと考えた場合、
7月の末日までには、だいたいの資料を揃えて提出していなければならないということになります。
この期限を越えて許されるかと言えば、
許される場合もないではないが、ほとんどの場合は厳格というところです。
曖昧な言い方になってしまうのですが、
行政には裁量権があり、各行政庁の解釈は柔軟性があります。
つまり、もやっとしている部分があるということです。
申請は機械的に誰がやってもできると思われがちですが、
そうではない理由がここにあります。

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