こちらの記事であがっておりましたが、介護事業の倒産件数が過去最多にのぼったそうです。
その数は111事業所。下の図のように推移しているようです。
負債額が1億円に満たない小さなケースが目立つ。数は少ないが大型倒産もあったため、負債額の平均は一昨年(8700万円)より4800万円高い1億3500万円となっている。
とのことです。
これは推測ですが、負債額が1億円を下回る会社の運営する施設系の事業は、せいぜい定員20人規模の施設が5棟~10棟程度なのではないでしょうか。
あるいは、訪問介護事業だとすれば、それは箱物が不要になるのでさらに負債額は減っていると思います。
比較的大型の負債額になっている場合はほぼ間違いなく箱物事業に手を出しており、さらに言えば、一括借り上げタイプの事業を展開している場合が多いと思います。
箱物事業、つまり有料老人ホームやサ高住などを運営している場合、自己所有で無い限りは、オーナ―に対する賃料が発生しますので、開設する能力を徐々に失っていくと、オーナーの賃料分の負担が増えていくため、赤字が加速度的にふくらんでいくんです。
当協会の前身の会社もそうですが、だいたい倒産する場合のひとつのポイントになるのは、経営の加速にあると思っております。あるいは慣性といいますか。
会社の運営に必要な資金というのは、鉄球のようなもので、大きくなればなるほどそれに振り回される。うまく扱えれば大きな利益を出せるのですが、失敗すれば、大きな損害を出します。
経営の難しさとは、本来は国がやるべき仕事を民間が肩代わりしているというところにあるのかもしれません。
介護事業のうち介護保険事業については、9割ないし8割は行政から介護報酬という形でお金をいただいています。したがって、その事業はほぼ国家の事業なんです。
それを民間が肩代わりしている。
ここにそもそもの難しさがあります。
国がやる事業はそもそもある程度は公共性があるから営利性はその影に隠すことができる。
しかし、現在の介護事業は民間に頼っている。
それはさすがに限界があるということで、地域におけるケアというのを目指しているわけですが、いまは過渡期なので、民間企業が時代の流れに耐えきれなければ、倒産していくということなのでしょう。
今後の推移はどうなるのか?
地域でのケアを政府が推進しているのはまちがいありません。
その地域ぐるみでのケアというものの一環が、たとえば混合介護ということになるでしょう。
介護の幅が広がることで、いままでできなかったことができるようになる。
地域と接続した介護も今後でてくるかもしれません。
しかし、そういった新しい介護の形が成立するためには、かなりの時間を有すると思います。
そもそも介護とは国家的プロジェクトなわけですから、1年や2年で成果がでるとは考えられません。10年とか20年のスパンで考えなければならないわけです。
そういったスパンのなかで、やはり多くの企業が倒産していくだろうことは想像に難くありません。
将来に向けて我々民間企業がやるべきことは、数多くのシミュレーションを行い、変革に備えていくことだと思います。
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