こちらの記事です。
2020年(1-12月)の「老人福祉・介護事業」倒産は118件に達し、過去最多を更新。介護保険法が施行された2000年以降、過去最多だった2017年と2019年の111件を上回った。新型コロナ感染拡大で利用控えなどが進み、経営が悪化した新型コロナ関連倒産も7件発生。人手不足などで経営不振が続く小規模事業者に加え、新型コロナの影響が件数を押し上げた。
最終的な倒産数値が出たようですね。
やはり最多件数更新ということで、理由はおそらく新型コロナのせいだと思います。
新型コロナによる利用控えとスタッフの人員移動があまり起こらなかったことで人員不足状態が起こったとみるのが妥当かなと思います。
特に通所系がやはり増えているのは新型コロナのせいでしょうね。
おそらく、有料老人ホームに併設しているタイプだと、べつに通所介護はいままでどおり行ったところで大してダメージにはなっていないと思います。そこに住んでいる人が同じ建物内のデイルームに行くだけですからね。あるいは同じ敷地内かちょっとだけ離れたところかもしれませんが、いずれにしろそこにある施設で完結するならたいして危険性はないのかと思います。
それで、デイを単独を行っているところからすれば、お客さんが減ったでしょうね。
施設や家からデイに向かうのはやはり危険が大きいと考えられますし、デイはリハビリ的な意味合いもありますが、ある種の遊興的な意味合いもあるんです。病院とかの待合室と同じで、世間話をするために向かうとかそういうパターンもあるわけですね。子供だましでヤダって人もいるかもしれませんけど、家の中にこもっていても一言もしゃべらない生活のことも多く、これはこれで嫌って人も多いでしょうし。
しかし、命の危険があるとすれば、少しは我慢しようという人も多かったのではないでしょうか。
訪問の倒産についてはおそらくスタッフ不足のほうが響いたんでしょう。
ハッキリ言うと、訪問介護は単体で行うには少々……というか制度的にかなり厳しくなっているんですよね。介護報酬とそれに見合った苦労が釣り合っていません。
その証拠に、指定取消の数が圧倒的に多いのは訪問介護なんです。
厚生労働省の出しているデータで、こちらをご覧ください。
下に該当箇所だけ張り付けてみました。
このことからもわかるとおり、訪問介護は難易度が高い事業なのだと思います。
理由としては、訪問介護はひとつひとつのサービスを積み上げていく方式だということです。
例えばお風呂の入浴を介助するとか、お掃除を手伝うとか、そういうひとつの行為に点数がつきます。
したがって、不正請求の温床になりやすいのだといえますし、くみ上げていくことでしか報酬を得られないので、スカスカなサービスだと、干上がってしまうということです。
当然売上が低いとなると訪問介護員の給料は安くなる。安いところには人は集まらない。人が集まらないからサービスを提供できない。というふうに負のループができあがってしまっている。
これをどうにかするために、民間としては『訪問介護』と『施設系』を組み合わせて安定を図っているわけですが、これも囲い込みじゃないかと批判を受けたりする。
つまるところ、介護保険制度自体が疲弊している。
あるいは破綻寸前に追い込まれつつあるということなのだと思います。
これから先、2050年まで後期高齢者の数は増え続けます。人口が減るのに高齢者の数は増えるんです。したがって、介護を求める人も当然に増えると予想されます。
民間のほうは知恵をしぼってなんとか対応しようとするとは思いますが、国のほうも制度を十分に整え、バックアップ体制をとらなければならないと思います。
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