2018-2-8-top




 YOUNG GUITAR誌の記事にて明らかになった、ランディ・ローズ氏のJackson白V用のストラップの話の続きです。

 お客様からの御要望もあり、さっそく、この形状のストラップの製作にとりかかることになりましたが、まずは、実際に当方で製作可能であるかどうか?を見極める必要があります。

 これまでにも書いておりますが、当方の場合は、たとえフルオーダーの1点モノであっても、他の品への応用性や、万が一の製作中の事故などの場合も考え、可能な限り、再製作可能な品とすることを前提としております。

 よって今回も、使用するパーツは全て、継続性を持って再購入可能なものを選ぶ必要がありますゆえ、実物の再現性の度合いに関しては、ある程度の限界も生ずることを、どうか御了承いただければと思います。 


 さて、初公開画像を参照しつつ、各部の所見を書いていきます。



1.フロント部

 外観の形状としては、今回最も衝撃を与えた(!?)箇所でしょうが、下2番目の画像のレプリカ品の形状に対して、先端が1ブロック分長いという感じとなっています。

2018-2-8-1


2018-2-8-2



 この部分は、使用時にはギターに隠れて見えないところであるゆえに、レプリカ品では、あのような状態となってしまったと推定されますが、本物は、美しくも、なかなかに凶悪(?)な姿をしております。

 また、全体としても、各曲線のつなぎ目が鋭角であることもあり、さらにその凶悪さを増しているでしょうか・・

 ただ、各部をよくみると、ラフな手造り感のあるもので、左右で微妙に非対称になっていたりもしまして、これについては、かえって再現するのを難しくするという、悩ましい要素かもしれません。

 もしかすると、この外周のラインは、もとからあるものではなく、後からスタッズの並びの形に沿うようにカットしたのかも!?


 そして、ある意味、最も意外なこととして、本体周囲の断面(コバ面)は、紫系の色になっています。

2018-2-8-3



 これに関しては、掲載画像では、本体の革の表面が非常に濃い紫色に見えないこともありません。
 革の素材処理段階でそのように染色された場合には、革の内部は薄めの同色になることがあるゆえ、そういった結果である可能性もあるかと思います。

 しかし、撮影や印刷の関係からかもしれないので、当方では悩んだ末、とりあえず、表面は通常の黒色で、断面は紫系の色で着色することにしました。


 また、これも印象的なこととして、ストラップピン穴は、シャーラーのロックピン用のものが3か所に設けられておりますが、いずれのものもスタッズ(スポッツ)に囲まれているので、十分なスペースがなく、ロックピンが斜めに取り付けられています。

 これについては、最初から意図されていたものかどうか?がわからないのですが、この斜めの角度であれば、実用上は問題はないのでしょう。

 ただし、このスタッズの隙間にロックピンがピッタリと入っていることから、このピラミッド型のスタッズについては、(ロックピンの寸法との比較から)市販の16mm×16mm(2/3インチ角)の大きさのものを使うのが良いことが判断できました。

・・・と言うか、ロックピンの寸法との絡みゆえに、(ロックピンが斜めになることを承知の上で、)やはり最初から、このサイズのスタッズを使うことに決めていたのかもしれませんが・・




2.本体中間部

 フロント部の下部から、スタッズ(スポッツ)が2列に並んだ部分になっていきます。

2018-2-8-4



 本体幅は、次第に広くなっていき、7段目あたりから一定値になりますが、最終的な本体幅は、スタッズの大きさとの対比で算出すると、6cm弱程度になるようです。

 これについては、実物画像が少々不鮮明なこともあり、実際に結論を出すのが難しいのですが、約2.33インチ(2+1/3インチ ⇒ 約59mm)といったあたりなのかもしれません。(その他、2+1/4インチ⇒約57mmという可能性もありますが・・)


 実は、この部分のスタッズの位置決めには、意外に気づかない、少々判断が難しくなる要素が存在します。

 下の画像のように、この種のピラミッド型のスタッズを上方から見ますと、完全な四角形ではなく、角部は、丸みを帯びた形になっています。

 従って、直線部分を合わせて、きっちりと並べていくと、隣り合った角部の間には隙間が生じてくることになります。

2018-2-8-5


 

 そして、このスタッズが2列になっている部分においても、最上部と最下部の中央位置にはスタッズが存在していますから、理屈的には、上記のような並び方が踏襲されることになります。

 従いまして、中央位置にスタッズが存在しない状態であっても、各スタッズ相互間には隙間があって然るべきということになりますし、また、そのようでないと、スタッズに囲まれた中央部分も、きれいな正方形になりません。


 ところが、以下のように、実物画像を見ますと、その手造り感からか(?)、縦方向の並びには隙間があるものの、各段の横方向の並びには隙間がなく、スタッズどうしが、ほぼ接触しています。
 その結果として、スタッズが囲む中央部分も、正方形でなく、幾分歪んでしまっているでしょうか。

2018-2-8-6


 中には、スタッズどうしの接触位置が上下にズレているような箇所もあり、なかなかにラフな様相なのですが、この扱いを「さてどうしたものか?」ということになってしまいました。


 とは言え、この領域まで再現するとなると気が遠くなってしまいますので、今回では理屈を優先し、スタッズが囲む中央部分もきれいに見えるよう、縦と横共に、スタッズ間には隙間を設けることにしました。

 あと、これに関しましては、実用性からも、スタッズ間には隙間があったほうが良いもので、スタッズどうしが接触していますと、スタッズ相互間のぶつかり合いにて、「各方向へのストラップの曲げに対する柔軟性が損なわれる」という事実もあります。

 演奏時に肩部に当たるようなストラップの中間部では、より柔軟性が求められますので、スタッズ間の隙間は、様々な意味において、やはりあったほうが良いのかと考えられるでしょうか。


 
 ⇒長くなってしまいましたので、次回に続けます。
 

2018-2-8-last
  








 ギターストラップハウス:
 http://straphouse.ocnk.net/

 ギターストラップ&レザーアイテム写真館:
 http://straphouse.ngs-central.com/strap2/strap2_top.htm


 N.G.S RockGuitar/Bass 教室
 http://guitar.ngs-central.com/guit1_pc_index.html


 JOY-RING THE WORLD:
 http://joy-ring.ngs-central.com/index.html

 JOY-RING THE SHOP:
 http://joy-ring.ocnk.net/

 Let's JOY-RING(ブログ):
 http://blog.livedoor.jp/lns_guitar1-joy_ring/