実物画像から各部の状態がつかめましたので、製作工程に入りますが、まだ色々と、クリアすべき課題も存在しています。
まずは、金属パーツなどからの寸法比で算出した数値に加え、実物画像を原寸大(と思われる)大きさまで拡大したものなども参照しつつ、作図を行った後、それをもとに、革を切り出すための型紙を作ります。
今回は、イメージの確認のため、この型紙にスタッズ等の金属パーツを取り付けることを実施してみました。
とりあえず問題はなさそうでしたが、気になったのが、前回にも言及した、「ビラカン」の「ビラ」の大きさです。
Dカンに「ビラ」と呼ばれる取り付け用の金属板を取り付けたものが「ビラカン」ですが、この「ビラ」については、一般に販売されているものは、種類が少なく、また大きなサイズのものは、より限られてきます。
そして、実物画像を見ると、ビラについては、レプリカ品とも形状が少々異なるようです。
そこで、市販品の中にて、なるべく大きく、似た形状のものを選んでみましたが、実際の型紙に装着して、周囲とのバランスを見ますと、大きさについては、どうしても小さ過ぎて、実物とのギャップを感じてしまいます。(上記の画像の型紙に付いているものは、この市販のものです。)
ということで、結局、0.3mm厚のステンレス板から切り出して、ビラを作ってみました。
上記の市販品と比べると、これだけ大きさが違います。
さて、これにて、各パーツも揃い、型紙も準備完了ということで、あとは、革を切り出し、着色しつつ、ひたすら作っていけば良い状況になったわけですが、まだまだ解決すべきことはありそうです。
しかし、ここからは、各工程を説明しつつ、書いていきましょう。
今回のストラップは、スタッズ付きのものとして、一般的な製作方法に従い、本体は2枚の革の貼り合せ構造とし、スタッズを表側の革に取り付けた後に、裏側の革を貼るという流れをとります。
最初に、表用の革については、型紙に合わせて切断する前に、表面をスプレー式の顔料系着色剤で黒色に塗ってしまいます。
切断前に革素材の段階で黒色に着色してしまうのは、コバ(革の断面)を紫系の色で着色する必要があるからです。
表面のみを黒色にしてから切断すれば、以下の画像のように、任意の場所にて、コバは無着色の状態で確保されますので、その後、いかような色にも着色することができます。
また、このような流れで行うとしても、オイルダイなどの染料系の着色剤を使うと、革の内部に浸透して、内部も黒色になってしまう恐れがあるので、あえて顔料系の着色剤を使用しています。(顔料系ならではの、いくつかの注意点はあるのですが)
ちなみに、上記のことは、黒色に着色された状態で販売されている革を使う場合でも同様です。(着色方法によっては、内部まで着色が及んでいるものもあります。)
そして、型紙を使って革を切断した後、スタッズを所定の位置に取り付け、コバを着色した状態が以下の画像となります。
実物画像でのコバの紫系の色に最も近いものは、クラフト染料(クラフト社)の「青味赤」という色でしたので、これを使っています。(実物の画像を見ると、染料系の着色剤での質感に近く見えましたので)
また、裏革を貼る前に、表革だけの状態でコバを着色しているのは、裏革を接着する際に、コバ部分に接着剤が付いてしまうと、着色剤が革に浸透しなくなり、不均一な色になってしまうためです。
上記の状態で、次に裏面用の革を貼ることになりますが、その前に、スタッズの足(ツメ)部分を隠すように、表革の裏面に、薄めの豚革などを貼り、接着面(裏面)がなるべく平面になるようにしておきます。(これは、ストラップ裏面をきれいな平面に近づけるためにも、必ず実施したほうが良いものです。)
この上で、裏革を接着しますが、外形を表革と一致させるため、少々大きめの状態にした裏革に表革を貼り付け、接着剤が乾燥後、表革の外形に沿って裏革を切断するようにします。(接着するため、裏革は未着色のままです。)
この工程に関しては、接着後に裏革を切断しているので、裏革のコバに接着剤が付着することも、ほぼないことになり、裏革のコバを青味赤色で着色する際に、色ムラなどは発生しません。
これで、表革と裏革共に、コバは青味赤色で着色されたことになりますが、この上から、トコフィニッシュなどの透明な仕上げ剤を何度か塗布し、磨いておけば、コバは均一に仕上げられることになります。
そして、裏面も黒色に着色後、裏面にもトコフィニッシュを塗布し、出来上がった本体各部が以下の画像となります。
尚、裏面の黒色への着色は、革面(ストラップ裏面)の滑りの問題もあるので、オイルダイを使用しています。
もちろん、この際にも、革の内部に浸透させないように注意が必要ですが、コバ近くの部分では、少々細工をして、この危険性を回避するようにしています。
今回も長くなってしまいましたので、次回にて「組み立て、完成」となります。⇒
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