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 ミュージシャンの使用するストラップを調べていて、いつも大いに感じることの1つは、「静止画から、各部の正確な形状を推測するのは本当に難しい・・」ということです。

 「奇跡の1枚!」なんて言葉があるように、人にせよ、モノにせよ、立体物に関しては、撮影時の光の当たる角度などによって、見え方が大いに変化するものです。

 これについては、可能な限り多くの画像を集めて判断するようにして、少しでも精度を上げていくしかないのですが、どこまでやっても心配は残るものです。(CADなどを使用しても、これは同様です。)
 
 やはり、2次元化されているものから、3次元の立体物を正確な形状で起こすには、膨大なデータが必要ではあります。(3Dプリンターでも、必要とされるデータがない限り、求めるモノはできませんし・・)

 

 それでは、調査結果の続きをいきます。



5.ストラップ本体の色について

 ストラップ本体の革の表面色については、これはもう黒色ということで良いかと思うのですが、断面(コバ)と裏面の色については、以下の画像のように、黒色に着色されていないことがわかります。

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 これを再現しようとなると、以前に御紹介させていただいた「Jackson白V用ストラップ」の時と同じく、かえって手間がかかりまして、少々頭の痛い話となります。


 次にバックル部についてです。



6.バックル部の構成

 まずは、基本構成ですが、以下の画像を御覧ください。

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 バックル本体と、バックルを通した部分を入れるホルダー/ループ(⇒革や服飾の業界では、サルカンと呼ばれます)は、一体のタイプではなく、完全に分離しており、本体の革の端部を曲げて、これらがまとめられていることがわかるかと思います。

 また、サルカンは、そこそこの余裕を持って前後に動かせるので、色々な画像を見ますと、バックルとサルカンの間の長さが変化していることもわかるものです。 



 あと、次の画像は、バックル取り付け部の裏面の様子なのですが、折り返した革の先は直線状にカットされている形状であり、曲線を持ったものや、端部と同じ槍状の形などではないようです。

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 この部分の固定用のピン(カシメ)の形状が視認できないのですが、本体革の幅が狭いこともあり、センター位置に1本のカシメを打ちこんで固定しているのかと推測されます。


 この部分の再現に関しては、とりあえず、寸法さえ決まれば、特に問題なくできるものです。



7.バックルの形

 今回の最初に書いた話のように、バックルの正確な形状を画像から見出すのも、なかなか難しい作業です。

 曲面を持った金属製のモノは、その曲面が複雑であればあるほど、光の当たりかた1つで、いくらでも違った形に見えてしまうものです。

 ペイジ氏のストラップのバックルの場合も、その小ささも手伝い、さらには、画像の不鮮明さも加わって、画像によって様々な形状に見えてしまうのですが、次の画像のように、少々角ばったものに見える画像が多かったりします。

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 しかし、実際には、半円に近いような丸みを帯びた形状を(前端に)持つバックルのようなのです。

 下の画像などが、その真の姿に近いものが見えるものかと思います。

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 これは、「帆型」などと呼ばれるタイプのバックルになりますが、幅20mmクラスの小さめのものですと、種類が限定されるため、同様な形状のものを探すとなると、けっこうたいへんなことになります。



8.バックルの色

 当方は、何十年もの間、ペイジ氏のバックルの色はシルバー色だと思い込んでいたのですが、カラー画像の多くを見た上では、どうやらゴールド色のようです。

 例えば、次の画像を。

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 レスポールのフレットの色や、ベルトのバックルの色などに対して、ストラップのバックルの色を見てみていただければと思います。

 これは、照明のライトの色のせいではない感じです。(ペイジ氏のレスポールのペグの色はゴールドです・・念のため )


 現在市販されているバックルにおいては、「ブラス色(真鍮色)はあるけれど、ゴールド色は無い」といった品も、けっこう多いので、求めるようなモノを探すのは、ますますたいへんなことになってきます。



9.バックルピン用の穴の数とその範囲

 当方の品の解説でも書きましたが、このストラップの長さ調節部におけるバックルピン用の穴は、12個となっているようです。

 一般的な海外製のストラップでは、バックルピン穴間の長さは、1inch(25.4mm)のものが多いですが、このストラップについても、画像にてギターなどの各部長さと比較してみると、1inchなのかと思われます。 

 バックルピン穴は12個なので、全体の長さ(11間隔分)は、11inch(約280mm)ということになります。


 そして、ペイジ氏の使用状態では、下画像のように、バックルピンの位置から、下側に4個の穴、そして、上側に7個の穴が見えるのが基本状態になっています。(位置を1つずらしている状態の画像も、ホンの少しだけありましたが)


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 赤テープ部の下端ギリギリにもピン穴があるのが、ポイントです。

 当初は、赤テープに完全に隠れている穴がもう1つあるのかも?とも思ったのですが、それは無いようです。



10.赤テープ部

 その、赤テープです。

 これについても、いざ詳細を調べようと思うと、画像からは、なかなかに情報が見出しにくいものです。

 使われているテープは、3/4inch幅ほどの、布テープか、ビニールテープ、あるいはガムテープの類なのでしょうか。

 とりあえずは、以下の画像などを見ますと、タテ方向の中心より少し上の位置に、テープの端のラインが見えます。

 よって、2回に分けて上下位置にテープが巻かれているのかと想像されます。

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 また、次の画像のように、赤テープ部の半分ほどが黒色になっている時もあったりします。

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 これは、何だか黒いガムテープのように見えるのですが、当方の品においても、このテープ色のバージョンのパーツも作ってみましょうか・・
 

11.ストラップの全長

 お客様からの依頼にてプレゼント用のストラップを作る場合、いつも苦労するのが、ストラップの長さ設定範囲です。

 使われるかたの演奏時の画像があれば、使用ギターの種類と身長などを考慮し、ある程度の見当をつけられますが、長身のかたの場合は、けっこう難しいです。


 ペイジ氏の身長は、公称180cmですが、実際には178cmあたりかも?という話もあるようですね。

 下画像などを見ますと、レスポールのネック側をけっこう上げているとは言え、ヘソ下かなりの位置にギターのボディがあります。

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 日本で販売されている海外もののストラップの最大設定長は、1400mm(140cm)あたりのものが多いようですが、1400mmくらいですと、私などの身長の者でも、レスポールを何とか弾ける状態ですので、ペイジ氏の長さ設定は、1400mmよりもかなり長いのかと思われるわけです。

 ということで、上の画像などからも推測して、1600mmから1700mmの長さあたりの設定で使っているのではないでしょうか。



 レスポールのフロント側のストラップピンからバックルまでが、約200mmと推定されますので、これを基準として、ストラップピンから肩までは、600mm程度ある感じです。

 よって、まずは、これを前後合わせて1200mm。

 これに、レスポールの傾きによるフロント側とリア側のストラップピン位置の高さの差が250mm~300mm加わり、さらに、首の後ろ側の長さ200mm~300mmなどを加えると、たいへん大まかな値ですが、総計の長さの推定値は、1650mm~1800mmなどとなるわけです。


 もし同じような長さのものを製作するとなると、「幅は狭いけれど、かなりの長さの革が必要」ということで、これもまた費用がかかることになってきます。(⇒状態の良い革の部分を長くとるのは、1枚の革の中で使える部分が限定されるので、けっこう頭が痛いことになります。)



 さて次は、肩パットについてです。


 ⇒ 次回に続きます。





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