いい回文作りの探求、やっていきましょう。
本日紹介するのは「SATOR陣」です。
さとーじん、とか、さとぅるじん、とか読むのでしょうけれど。
今回はちょっと、技巧的な話。技巧もいい回文の要件です。



突然ですが、こんな回文をご存知でしょうか。

SATOR
AREPO
TENET
OPERA
ROTAS

まあ、このブログを見に来られる方は回文について詳しい方も多いと思われますので、何をいまさらと感じられるかもしれませんね。
Wikipedia様にも解説があるので意味なんかの詳しい説明は不要かも。要は、

n×n字の回文で、n字を一辺とする正方形に組むと、縦から読んでも横から読んでも同じになる回文。

ということになります。この場合、nの最小は3になりますかね。
このネットの世界でも、SATOR陣の作品はいくつか見られます。

SATOR陣の特徴について、わたしはふたつ考えています。
①幾何的に美しい
②意味を通すのが大変

どちらも、そりゃそうだ! というものですね。そもそも逆さから読んでも同じにするように制約かけて文章を作っているのに、まだ制約をくわえてくるかこのやろう。

まあ、そういうのをわたしは「技巧」と呼んでいるわけです。
対称性という基本ルールのほかに、別制約を加えて文章を作ることは、難易度が上がります。
そして極端な話、やってみたい技巧、別制約というものは、多少回文の意味が通じなくなろうともやってみたくなるものなのですよね……
実際、巷にあふれる(あふれてはないか)SATOR陣、めちゃめちゃわかりやすいものって少ないです。
わたしも過去に10×10で無理矢理つくって……ええい、黒歴史だよ! リンクも貼りません!

と、いうことで。今回のテーマは「いかにわかりやすいSATOR陣をつくるか
すみません。できもしないノイズが混じりました。
今回のテーマは「SATOR陣を、下手でもとりあえず5×5で作ってみるお手伝い」
です!
なにごとも、まずひとつ作ってみてからの第一歩。
わたしもいずれ、7×7の作り方とかわかりやすいSATOR陣とか記事にしてみたいけど、まずは第一歩です。
回文つくって早10年ですが、なかなか道のりは遠いですね……

さて。5×5のSATOR陣ですが、次の2通りが考えられます。

①単なる25文字の回文を正方形に組んだらSATOR陣になっているもの
②しっかり「5文字文×5行」にて構成されているもの


冒頭の有名なラテン語のやつは、②ですね。
そしてそれぞれにおいて、「外側からつくる」か「内側からつくる」かがあります。
今回は①を内側から、②を外側から組んでみましょう。


①文の切れ目が不定形のSATOR陣

ところでSATOR陣ですが、使う文字数はマックスで9種類です。

BCD

CGGC

DCB

こんな感じです。赤字のBCDGの4種が「かぶる文字」、青字の「AEFHI」の5種が「かぶらない文字」ですね。
ということは、「かぶる文字」によく使う文字を使うと作りやすいのではないでしょうか
特に3行目の「CGIGC」。ここ、超かぶってますねえ。Gを何にするか決めるのがよさそう。
そしてわたしのなかでよく使うのは「い」です。
すると、「CいIいC」の真ん中が。とりあえず「大概」が浮かんだのでそうしましょう。

ABDE
BFHD
たいがいた
DHFB
EDBA


さてさて、そうすると「大概たDHい」という文を作る必要がありますね。どうしようかな。
そうだ、前の回文のかけらで取り上げた「なら」を使おう。

AB
BFなら
たいがいた
らなFB
BA

「BFいなら、大概足らないFB」の構図です。ここまでくれば、あとは根性。
意味が通りそうな組み合わせをひたすら考えます。
どん。

食べたら? 食べないなら、大概足らない鍋・鱈食べた。

たべたらた
べないなら
たいがいた
らないなべ
たらたべた


いかがでしょうか。まったく意味が分からないこともないでしょう。
普段はみんな食べちゃうから鍋も鱈も足りないんだけど、食べないんならもらうぜ的な。
SATOR陣を内側から作るときは、Gの部分によく使う字をあてこんでみてからスタートするのがやりやすいみたいですね。


②5文字×5文のSATOR陣

こっちの場合は5文字どうしの対応を考えてやるのが大変です。
とりあえず、適当に思いついた「待機です」「素で聞いた」からスタート。

たいきです
FGH
GIG
HGF
すできいた


そう、とりあえず最初と最後を決めちゃう。これが作りやすいと思います。
なんせ、これであと4種9文字を決めるだけでいいんですもの。
1行目の「待機」について、4行目に「で」から始まる単語が必要。
「出番」を思いつきます。

たいきです
かんば

ばんか
すできいた


おお、ほとんどできた。じゃあ、真ん中に何を入れたら一番しっくり来るかなあ。
どん。

待機です/いかん場で/謹慎 来/出番かい/素で聞いた

たいきです
いかんばで
きんしんき
でばんかい
すできいた


うーむ。いかん場で謹慎もらっちゃって待機、出番待ってる感じですかね。
まあ、こちらも意味が分からないことはないですね。
SATOR陣を外側からつくるときは、外周を埋めてしまうのがいいようです。

いかがでしたでしょうか?
回文技巧というものは、ニッチな回文のさらにニッチなところなので、マニアック度がすさまじく手の付けられにくい分野です。
それでもわたしは技巧が好きですし、意味がわからなくてもやってみるのが大好きです。
もちろん、技巧もやって意味の通りがいい、というのが理想なんですけどね。

ともあれ、「難しいわ」と思われるものを、まず一歩踏み出してみよう。
回文のかけらの目的はそこにありますので、これを機に作ってくださるとうれしいな。
Twitterで教えてくれたりすると、ネットの向こう側でニヤニヤします。

ではでは、今回はこの辺で。