by HIGADELON 2012
034
35 少し離れた海原アラビア風のターバンを巻いた男が双眼鏡で海を見ている。
彼は、豪華な白い船に乗っている。
1人の執事が、その男(バルダット)にココナッツジュース
を持ってくる。
執事「バルダット王子様、もうあきらめましょう」
バルダットは、双眼鏡で海原を見回し続ける。
執事「王子様が、お探しになっている冒険、などというものは
どこにもありませんから。あれは、漫画のような絵空事です。」
バルダット(ジュースを手に取り)「いや、ある。わたしの
たいくつな日常を満足させてくれる、まだ見ぬ世界が
どこかにあるのだ。それを探すために、わたしは、この
最新鋭の舟を建造し、アラビアを離れ、この極東の海まで
わざわざやってきたのだ」
怪訝そうな目で、執事はバルダットを見る。
執事(心の声)「王子様も、このビョーキがなければ
ナイスガイなのだが。王子は冒険の願望に取り付かれて
いるのだ。ものごころついてから、ずっと治らぬ
ビョーキぢゃ」
双眼鏡を覗くバルダット。
バルダット「ん? あそこに何か見えるぞ。あそこの
海上で煙が上がっている」
執事「ばかばかしいことですよ。だだの蜃気楼ですよ。
もうアラビアにもどりましょ」
巨人と呼ぶ
東義真(又は、ヒガドロン)ジャーナル。10月30日。31日のハロウィン・デーを前にしまして、
『ザ・怪獣映画祭』が、開催されました!
(去年までは、モストユースフル怪獣映画祭。)
この映画の祭典では、特撮映画と怪獣映画を上映する
というルールのもと、常に時代をリードする特撮・怪獣
映画が上映されてきました。
今年は、ギリシャに端を発する不況経済のゆえに、
映画製作本数に影響があったようです。
そうした平成大不況の中、今年二千十一年は、その不況を
跳ね飛ばす!!!!! という
勢いで特撮映画を監督し続ける、日本☆特撮の、明日を、
未来をになう、福岡県出身の松岡功太郎監督作品を
大々的にフィーチャーする『ザ・怪獣映画祭2011』と
なったわけです!
ザ・怪獣映画祭の開催場所は、日本で数少ない
ベルリン映画祭受賞者の故・田中絹代女史を記念する
「田中絹代ぶんか館」でした!
(彼女が受賞したクマのトロフィーも、ここで見ること
ができます!!)
田中絹代ぶんか館・住所:
郵便番号 750-0008
山口県下関市田中町5−7
そのように、この世界に冠たる『ザ・怪獣映画祭』
(THE MONSTER FILM FESTIVAL)
は、この世界に冠たる記念館の上映ホール(シアター)
にて、開催されたのであります!!!(拍手するトコ)
さて、上映スケジュールは、・・・・・
1時(PM)から、この映画祭でもっとも観客の期待を受ける
『巨人と呼ぶ』(長編映画 directed by ジョニー松岡)
が上映されました。
各方面からオーディエンスが来訪し、盛大な映画祭となりました。
下関にて、特撮映画を批評・論証するコアなTOP MENも
参戦! そこには、あの日本TOKUSATSUを世界に知らしめた
故・円谷英二氏が設立した円谷プロダクションにいたこともある
下関映画社交界の重鎮、鴻池和彦氏もいたのです!
鴻池氏には、特別に短いレクチャーをお願いし、いつもの
すばらしいトークをきかせてもらいました!
* わたくし、yoshi higashiは、鴻池さんのトークを聞いたり、
鴻池和彦監督作品上映会にも、何度か顔を出しております。
さて、いつも楽しく盛り上がる鴻池和彦さんの特別トークのあとに、
ついに、『ザ・怪獣映画祭2011』がフィーチャーする
松岡功太郎監督が、自作『巨人と呼ぶ』についての挨拶を行い、
そしてついに、その長編SFダークヒーロー映画『巨人と呼ぶ』が
神秘のベールを脱いだのです!!!
絶命した父より3人の義父に預けられ成長したイチジョウ・ジュリは
どんな過酷な運命の中、ヒーロー・ガーディアンと旅をするのか?!
過去の地球に棲んでいたという「巨人」とは何者なのか!?
『巨人と呼ぶ』ワールドは、ジュリを守るガーディアンと、その敵CSC
の一味との超絶バトルのなか、観客をとりこむ冒険へと
つきすすんでいったのです!
この作品は、
『ザ・怪獣映画祭・審査委員長特別選定グランプリ・アワード2011』
の受賞が決定いたしました!
北米西海岸視察で見た、GOLDEN HARVEST映画社の劇院。
This is a Golden Harvest Movie Theatre in Canada.In the year 2011, I, Yoshi Higashi
(aka: HIGADELON) went to the great city
of Vancouver of Canada, to make research
about the art culture and art education
there.
And I found this historical Golden Harvest sign.
(In Chinatown)
Report by HIGADELON 2011
033
34 海原FUNEが走っている。
ミシマ、じたばたと空にむかって刀(蜘蛛切丸)を
振り回している。
空には、あの、土蜘蛛が、そのネバネバした蜘蛛糸で
なおこをガンジガラメにして、つれさろうとしている。
土蜘蛛は、巨大な蛾にかかえられて飛行している。
なおこ「ぎゃーーーーー!」
ミシマ「ゆるさんぞ! 土蜘蛛メ!」
土蜘蛛「ほざけ〜〜 ぎゃはははは」
なおこの手には、あの宝の地図の万華鏡が!
土蜘蛛「このおんなは、いただいてゆく! わはは、
ぎやぁーーーははははひひひ! この女は、我々の
つくろうとしている魔物1000年帝国のなかまにする
つもりだ、南の新大陸でな!!」
土蜘蛛、口から火の玉を舟の甲板に向かって、
どかどかと吐く。
土蜘蛛「あ・ば・よ!」
舟、もえあがる。
土蜘蛛、さってゆく。
ミシマ、甲板にくずれおちる。
ミシマ「ちょっと、目をはなしたスキに、・・無念じゃ・・・・・」
その様子を見る天狗と長毛。
032
32 FUNEの操舵室天狗(ジャンポール)、中に入ってくる。
長毛の爺さんも、中に入ってくる。(操舵室には2人のみ)
天狗、おもいっきり、舵をまわす。
長毛「我々は、香港に到着後、広州へと向かう」
天狗「えっ、なんで?」
長毛「君の修行のためだよ」
天狗「だって、そりゃおかしいよ。これって、宝探しだろ?」
長毛「私の長年のカンだがな、これは、単なる宝探しでなはい」
天狗「ええっ?」
長毛「この海のように、予想もつかぬ旅になる」
天狗、再び、おもいっきり舵をまわす。
長毛「ふふふ。 君は、ほかに何もトリエがないが、舟を進ませる技は
天才的だな」
(突然)なおこのヒメイがひびく。(後方)
なおこ「きゃああああああああああああ!!!!!」
ふりむく、長毛と天狗。
操舵室を駆け出る2人。
33 甲板
ミシマ、岩崎、ヒョットコが、いる。
ミシマ「くそおおおおっ!!!」
031
31 大海原一隻の帆船が、進んでいる。
甲板には、ミシマ、なおこ、ヒョットコ、岩崎、長毛、
天狗(ジャンポール)がいる。
なおこ「風が気持ちいいわ」
風になびく、なおこの髪。
ミシマ「うむ、そうだな。しかし、天狗さん、あんたが、
こんな船の操縦法を知っていたとは、意外だったぜ」
天狗、グッジョブのサインを親指でする。
岩崎「いや、助かったでござるよ。万華鏡の中に
示される場所は、ダイニッポンではなかったのじゃ。」
長毛「ダイニッポンの下関の港を出て、この
大海原に出たが、どこに向かえばいいのじゃ。」
岩崎「それは、香港じゃ!」
長毛「えーっ、まじで? では、いまは、香港に
向かっておるのじゃナ」
岩崎「そうじゃ、さきほど、天狗船長に、行き先
を支持した。 香港のワンチャイの港から入る」
天狗、うなずく。そして、甲板を離れる。
天狗についてゆく長毛。
岩崎(にたりとして・・・心の声)「くっくっ
くっく。 ばかどもメー。私しかあの地図を
解読できんのだ。じつは、まったく逆を教えた
のさ。ぎゃはは。地図は、私の頭に焼きついた。
こいつらを香港におろして、わたしは、とんズラサー。
別の舟をやとって本当の宝のありかへGO!だよ」
第2幕への考察につづく、第3幕への考察 & 東亜大学のヒーロー紹介photo
3部はvs土蜘蛛〜Finになるだろうけどここどうするつもりなのかな。
最終的に全員生き残るのか、誰か死んじゃうのか。
一番手っ取り早く、土蜘蛛の強さを表現するのは誰かが倒されることだと思う。
イメージ的に、外殻は銃の弾はじくほど硬く、
6本の足駆使した機動力と跳躍力、このへんが土蜘蛛の強さになるんじゃないかな。
あと尻から出る糸か。
現実的に蜘蛛考えると、糸で絡めとった後接近して噛み、神経性の麻痺毒注入
って感じだけど、麻痺させちゃうと全滅しそうだしな・・・
こう考えると、ひょっとこさんの火であっという間に勝ちそうだから
ひょっとこさん早期退場願わないと、リアリティに欠けそうだ。
甲殻の隙間縫うように切り裂く、やわい腹狙う、このどっちかがで決着つきそうだな。
とある偉大な作家から今後のスクリーンプレイへの提言
各キャラクターにもう少し個性が欲しい。例えばミシマはもっと「剣術の達人」感を出したい。
なのでマフィア(博徒、ヤクザの方がいいと思う)との一騎打ちの際、
銃vs剣の構造にしてしまうとか。マフィアの方はルール破って規定の歩数(10歩がいいと思う)
未満で振り向いて撃つんだが、それを察したミシマは(撃鉄の音で察するとか)
逆に一刀の元に銃弾を剣で弾き返す。それがマフィアの眉間に直撃してEND。
ミシマが銃より強い、ということを印象つけてみる。
ミシマは最初、道具屋の主人として登場、ニコニコしていて
ジャンの軽口にも愛想よく応対する形で何気なく出しておき、
マフィアとの決闘で実は凄腕だと判明するとかどうだろう。
というのも、1920年だともう大正、第一次大戦の特需で日本が成長していくような時代で
サムライ崩れなんて存在できるのか疑問。
もっとも、映画におけるIF世界ということにもできるけど
時代設定をするなら、その時代に沿った人物設定にしたほうが
矛盾が出にくいからやりやすくないかな。
これに対し、ミシマの相棒・ひょっとこは「常に仮面をつけている寡黙なマッチョ」でどうだろう。
あと、ひょっとこはいろいろ起源には諸説あるんだけど、火の神様的扱いをされることもあるから
(火男なんて書いたりする)火を自在に操る、みたいな設定にしてもいいかもしれないね。
ずっと一言も喋らない、謎の人の素顔は好奇心をかきたてるものだし、
そんな人が最後の最後、意外な事を喋る、というのもありきたりだけど面白い。
あと仮面をつけている、というのは当然素顔がわからない、ということだから
中身が入れ替わって違う人になってても、見てる人にバレないって利点もあるね。
いろいろ伏線貼りやすいし、活用したいキャラクターじゃないかな。
普段はミシマの店の店員ってことにして。
実際どういう関係なのかは、映画の中で明言するのもいいだろうし、
あちこちで匂わせといて結局明言しないのもいいかもしれない。
長毛さんは何かキーになる人なんだろうけど、いきなり土蜘蛛の頭吹っ飛ばす強さだと
こいつだけでいいじゃん的シラケ具合になりかねない気がする。
知識と経験は豊富だが、本人は足腰も立たないような老人、とか
直接攻撃はしない(できない)方がミフネの剣も引き立つんじゃないかなあ。
オリエンタルのイメージ的に、剣が強いほうがウケがいいと思うんだけどどうだろう。
なおこは一番厄介だなぁ、この時代の女性(大正時代と思われる)ってどうなんだろう?
こんな危険そうな旅についてこい、って言われてホイホイ行くもんなんだろうか。
というかミシマも危険ってわかってて好きな女性についてこい、って言うかなぁ?
待ってろ、って言う方が普通に思える。
なので、どうせ絡ませるなら普通に土蜘蛛にグルグル巻きにされて攫われた、って方が
いいんじゃないかな。万華鏡もったまま。
これならミシマはなおこ助けるために、
ジャンポールは万華鏡のために、と一応土蜘蛛探しに行く理由が立つ。
そのジャンポールだけど、基本的に腑抜けキャラだと考えてるけどいいのかな。
どうしようもない腑抜けで女好き、お金大好きってキャラ。
なるべく労せず儲けようとズルばっかり考えてるような。
キャラを立たせることを考えると、もうはっきりくっきり、役立たず路線がいいと思う。
だから長毛さんがジャンに教えることもなし。
世界のエネルギーバランスも必要なし。
で岩崎くんも削除。その役は学者的部分は長毛さんに、
忍者的部分はひょっとこに兼任してもらおう。
こうすると
ヒロイン1名(なおこ)、腕の立つ戦闘要員2名(ミシマ+火男)、非戦闘要員2名(長毛+ジャン)
の5名。このくらいでいいんじゃないかなあ。
ストーリー的に、土蜘蛛退治と、徳川埋蔵金伝説を絡めて
ヒロインを救うために旅立つ戦闘要員組、埋蔵金のために旅立つ非戦闘要員組、
という対比があると見てる方もわかりやすいかと思うがどうだろう。
で第二幕。
とりあえず、第一幕ラストでなおこさん誘拐されたと仮定して、
それを追って4人が進むとしておこう。
要所要所で、誘拐されて幽閉されてるなおこさんの今!が挿入される感じで。
4人それぞれの武装を考える。
ミシマは剣。膝丸(蜘蛛切丸)ってことにしておこう。実は頼光さんの子孫。
ひょっとこは拳と火。拳主体の方がチャンバラ的に面白いかな。
長毛さんは杖+陰陽道。符とか幻術の類だね。
ジャンは短銃かなぁ。今で言うクラシックな中折れ銃とかいいかもね。
知識豊富で先導する道案内役として長毛さん。
町を離れ、野宿をし、そこで今後の道筋について解説。
一同、眠りにつくがそこで山賊に奇襲される。
ここは一同の戦闘力を表現するためにある部分で、ジャンと長毛は逃げまくり、隠れまくり。
ミシマと火男の見せ場ってことで。
山賊の生き残りを締め上げる(こういう所ではジャンが調子に乗る)と
旅の僧らしき坊主が、今から通る4人組に荷物を奪われたので取り返してくれないか、
と山賊を焚きつけたと白状する。
その坊主こそ土蜘蛛だ、ということで坊主の行き先を聞き出し、
それが当初の予定と同じ鍾乳洞の中だとわかる。
翌朝、一行は鍾乳洞へ。
中でトラップ発動、戦闘組と非戦闘組に分断される。
戦闘組はひょっとこの能力で、非戦闘組は陰陽道の符で、それぞれ明かりを得る。
戦闘組はそのまま順調に探索を続け(ひょっとこの火能力が生かされる)
床が抜けるトラップや吊り天井など、トラップをくぐりぬけて地底湖のそばに出る。
非戦闘組はビクビクしながら進み、当然のようにトラップにひっかかり、
巨大コウモリの巣に踏み込んでしまう。
苦戦しながら(というより逃げまわりながら)二人は隅に追い詰められ、
目をつぶって乱射したジャンの銃が天井の鍾乳石を破壊、
尖った鍾乳石が襲おうとしていた巨大コウモリの脳天を直撃。九死に一生を得る。
この時の衝撃で壁にあった仕掛け扉が開き、二人はそこから奥に。
地底湖のそばでは、しばし休息を取っていた戦闘組が天邪鬼の群れに襲われる。
これを捌いている時、徐々に二人は地底湖の浅瀬に入ってしまう。
突如として天邪鬼たちに動揺が走り、急に逃げさってしまう。
怪訝そうな二人だが、その背後から巨大な影が忍び寄っている。
振り返った二人の目に、地底湖の主・巨大ナマズが姿を見せる。
仕掛け扉から奥に進んだ非戦闘組は前方から戦う音を聞き、そちらへ急ぐと
巨大ナマズと死闘を繰り広げる戦闘組がいた。
(構図的に非戦闘組は、戦闘組より上の層から見下ろすような感じ)
拳ではナマズの分厚い肉には歯が立たず、火も水の中なので通用せず、
尻尾の一撃を食らってひょっとこは吹き飛ばされてしまう。
ひょっとこをかばうように戦うミシマ。跳躍し、ナマズの頭の上にある疑似餌(ちょうちん)を掴むと
深々と脳天に刃を突き立てる。
暴れて潜ったり出たりを繰り返すナマズ。必死に柄とちょうちんを握り、落とされないように
しがみつくミシマ。
先の勝利で調子に乗ったジャンはここでも銃を撃つが当然外れ、ミシマに
「お前俺を殺す気か!」と叫ばれる。(ミシマの服の袖を貫通したりするといいかもしれない)
ジャンがしょんぼりしてるうちに、ついにミシマとナマズは潜ったまま、湖面は静かになる。
おそるおそる、湖面に近づく3人。そこに次第に赤い色が広がっていく。
突如、水面から出てくる。それはミシマだった。ナマズは退治されたのだ。安堵する一行。
再会を喜び、先へ進むと出口らしき光が見えてくる。
そこで後ろからでんでん太鼓の音と共に、天邪鬼の大群が迫ってくる。
連戦で疲れきっていた一行は、必死で逃げ続け、ようやく脱出。
そこにあったのは、樹海。ここに土蜘蛛の巣があるのだった。
慎重に樹海を進む一行。
中で、古代の戦陣の跡を発見する。
これこそが、かの昔、源の頼光が土蜘蛛を追い詰めた時に張った戦陣の跡だった。
敵が近いこと、ここなら土蜘蛛も襲ってこれないという長毛。
一行はここで夜を明かすことにする。
ここで金目の物はないか、密かに物色していたジャンが
古い巻物を見つける。日本語の読めないジャンが困っていると
いつの間にか傍にいた長毛が、それは頼光公の日記だ、と告げる。
実はこれには、土蜘蛛のある弱点が記されているのだが
この時点ではボロボロに虫に喰われている部分があり、判読できない。
ジャンは自分が見つけたのだから自分のものだと主張、
その日記は日本語の読めないジャンが持ち歩くことになる。
以後、ジャンはこれを読みながら歩くことが増える。
樹海の中、手がかりを探して歩く一行。
ミシマ・ひょっとこ・長毛・ジャンの順で歩いていたが、
ジャンから順番に、上から降りてきた謎の人物たちに攫われてしまう。
返事がないことを不信に思ったミシマが振り返ると、誰もいない。
剣を抜き、構えるミシマの上から気配が。上を見上げると網が降ってくるところだった。
剣も落としてしまい、結局ミシマも捕まり、樹上に上げられる。
さらっていたのは天狗だった。ぐるぐる巻きの仲間と再会するミシマ。
天狗の長は何をしに来たのか問う。土蜘蛛を倒すため、というミシマ。
(ジャンは埋蔵金が・・・と言いかけるがまい・・・のところでひょっとこに睨まれて口を閉じる)
天狗の長は強大な妖怪である土蜘蛛を、人間が倒すのは無理だ、命あるうちに帰れと
諭すがミシマはなおこを助けだすまでは戻らないと言い張り、にらみ合う。
そこに、天狗の一人がミシマの剣を下から拾い上げて持ってくる。
それを見た長の眼の色が変わる。これこそ蜘蛛切丸、かつて頼光公が
土蜘蛛を退けた剣であると。
驚く一行、冷静に沈黙したまま、長を見るミシマ。ここでミシマの素性が明らかになる。
なおこをさらった土蜘蛛は、頼光が倒した土蜘蛛の子孫、ミシマも頼光の子孫。
この因縁に興味を覚えた天狗の長は、ミシマたちを土蜘蛛の元へ案内すると約束する。
ジャンは頼光の日記を長に見せるが、彼も判読はできなかった。
が、土蜘蛛について知る限りのことを教えてくれる。
土蜘蛛は非常に長く生きている蜘蛛で、その名の通り普段は土中で暮らす。
だが100年に一度、地表に出てきて巣を構築し、天邪鬼などの手下を使って
各地から生贄を集めてくる。集めた生贄は順番に麻痺毒を注入した後、卵を植えつけられ、
地中に埋められるのだという。期限は今日の夜24時まで。
それを過ぎると、誰も手の届かない地中奥深くに戻ってしまう。生贄と共に。
卵は、植えつけた土蜘蛛が死なない限り、どこに逃げても必ず1年後に孵化する。
そして生贄を乗っ取り、その生贄の姿に変身できる能力を持った土蜘蛛になるのだという。
土蜘蛛は切れ味鋭い前足の鎌、6本の足を駆使した高い機動力、
そして銃弾でも弾き返す強固な外殻を持っており、しかもふたつの目で別々の場所を
見ることができるため死角もない。尻から出る糸は強力でどんなものも絡めとり、
油が塗ってあるので引くことも切ることも難しい。
日記を見るジャン。確かに、蜘蛛の絵と共に「鎌」「6本」「速」「鉄の外殻」「死角なし」などの字が
読める。暗くなる一行だったが、ジャンが指さす文字。
読めない彼がこれ何て読むの?と聞いた字は、足元に書かれていた「転」という字だった。
一行は、蜘蛛をひっくり返し、腹を攻撃するしかない、と考えた。
・・・・・・・・・・・・・・
今思ったけど埋蔵金伝説がまったく生かされてないな・・・
埋蔵金は土蜘蛛の住居、地中の穴にある、とかそんな感じか。
027
長毛、うしろのジャンポールに向かってウインク。ジャンポール(心の声)「そうだ、長毛さんは、僕に
新しい世界の見方を教えてくれると言った。まさに、
長毛さんは、土蜘蛛を手のひらから圧倒的パワーを
出して撃退した。だけど、多分、土蜘蛛はまた
やってくる・・・、とはいえ、長毛さんの言う新世界
の扉の向こうが知りたい。あのウインクは、ついてこい
という意味だ。私は、長毛さんについていくぞ。
それは、きっと、圧倒的な何か、世界を支配しようとする
非人間的なるものとの戦いなのだ・・・・・・・・・・」
ジャンポール、町の外れで、天狗の面の男に会う。
ジャンポール「その面を売ってくれ」
ジャンポール、天狗面を被り、ミシマ一行に近づく。
ミシマ、うしろからきた天狗面のジャンポールに
気づく。
ミシマ「あんたもついてきたいのか、天狗さんよ」
ジャンポール、首を縦に振る。
ミシマ「よかろう」
6人は、町外れの不動の滝をよこぎり、旅立つ。
026
人間だった皮の部分はしゅうしゅう、と蒸発。真っ黒な土蜘蛛がぎえええええ! と叫ぶ。
その背後には炎上する置屋。
土蜘蛛は口から火の玉をいくつも発射し、
町に火の玉が落下する。
あちらこちらで、火事がおきる。
長毛が土蜘蛛の前に出て行く。
長毛「ふんむ!」
長毛、手のひらから緑色のビームを出す。
ビームは土蜘蛛の頭部を破壊する。
土蜘蛛「うごわあああ」
土蜘蛛は、ダメージをうけたまま、羽を出し、
空へ舞い上がる。
土蜘蛛「わたしを敵にまわしたな! また会おう」
土蜘蛛、空の彼方へ飛び去る。
おばあ「地獄絵図じゃああ」
置屋の女将「そうよ、これこそ地獄絵図よ。私が
建てた置屋は灰になる寸前よ!」
ミシマ「すまねえ」
女将「そうよ、あんたが悪いのよ。あんたが決闘の
きっかけを作ったからよっ」
ミシマ「今から、なおこと宝探しに出る。その宝で
あんたの置屋も再建してやるから、拙者らが帰還
するまでまっててくれ、いくぞ! なおこ」
女将「きっとよ、約束よ!!!」
ミシマ(岩崎ハヤオに)「あんたも、ついてこい!
分け前は考えるから。あんたの知識で、宝の地図の
謎をといてくれよ」
長毛「わしも、つれていけ」
ミシマ「そうだな、あんたも必要かもな」
29 茂み
ジャンポール「えーー、そういう展開?」
30 置屋の外
燃える置屋をあとに、
ミシマ、なおこ、ヒョットコ、岩崎、長毛が、
町を出発する。
そのあとに、かくれながら、ジャンポールがついていく。
025
置屋の裏の砂地、残っているのは、ミシマ、なおこ、そして、ひょっとこ(ミシマの相棒)、・・・あとは
岩崎ハヤオだ。
なおこ「あ、あなた、お客さんの、・・・」
ミシマ「このものは、そなたの客だったのか」
なおこ「そう、この人が考古学者さんよ」
岩崎「いまは、そんな挨拶どころではないぞ!」
マフィアの体、突如おきあがり、口がバガアッと
開く。異常な開き。
そのまま、さらに開き、口がさける!
口の中から、巨大な虫が顔を出す。
ジャンポールと長毛は、茂みの陰から、その様子を
見ている。
27 茂み
ジャンポール「うえええ! ありゃなんだぁ」
長毛「人の欲を餌に成長する怪物、・・・土蜘蛛さ」
ジャンポール「はじめてみたよぉー」
28 砂地
マフィアの体が口から裂けて、体と同じくらいの
大きさの怪物『土蜘蛛』(つちぐも)が出てくる。
土蜘蛛「うごごごごごぉぉぉぉぉぉぉぉ」(雄たけび)
024
マフィア、地面をのた打ち回る。その背景には、炎上する置屋。
おばあ、そのようすを指差し、ぷるぷる震える。
おばあ「土蜘蛛じゃ、子どもの頃から、よう、
聞かされておった・・・。人の体に巣くい、人の
欲を餌にして成長するのじゃ!!!!!
それが、土蜘蛛なんじゃあああ!!!」
祭りに来ていた人々(外野)、のた打ち回る
マフィアに驚く。
人々「土蜘蛛・・・・! 本当に土蜘蛛なのか!」
人々「ぎゃああ」
人々「キャー」
いっせいに、その場から逃げる人々。
のた打ち回っていたマフィア、さけぶ。
マフィア「うぎゃあああああ」
マフィア、ぱたっ、と動かなくなり、地面に
崩れ落ちる。
ますます燃え盛る炎上置屋。
人々「こいつは、やばすぎるそ! 当局がやって
来る前に、ここから去ろうぜ」
人々「そうだ、ここから去ろう」
屈強そうな男たちも、去る。
023
マフィア「きさまらあああ!!! はじめからグルだったのか」ミシマ「もう、極悪な事はやめな!」
ミシマに天狗がちかづく。
天狗の面の男がミシマに言う。
天狗「今回は、礼を言う。しかし、あんたも、お尋ね者の
身の上だな、・・・はやく立ち去ったほうがいい」
ミシマ「わかってるさ・・拙者はくずれザムライ。
いいはなしがあって、これから宝さがしに出るところさ。
まだ、どこにあるのかも分からない宝さがしだけどな」
その話を聞いていた岩崎ハヤオが、ぴくっ、と
ミシマを見る。
マフィア「くだらねーロマンにひたりやがって!」
マフィア、銃をかまえる。
マフィア「これでおわりさ」
マフィア、置屋のガス管を撃つ。どぎゅっ!
ガス管破裂。
置屋爆発。
置屋、めらめら炎上。
置屋は火だるまになる。
それを見ている町の人々。
おばあ「やはり、そうじゃった・・ やはり、そうじゃった
のだぁ。 その男には土蜘蛛がとりついているのじゃぁ!!!」
022
マフィア「ぶゎかめ! 素直に20まで待つわきゃないだろ」(心の声)マフィア、銃を腰に構える。
マフィアの驚いた顔。
すでに、ミシマは、こちら(マフィア)を向き、銃をしっかり
構えている。(しかも、足の位置は18↓)
***地面には、『20〜1・1〜20』の線と数字がひかれている。
ミシマの銃が火を吹く。ドキューーン!!!
マフィアの腿を貫通。
マフィアたおれる。
ミシマ「命はとらないよ。反省しな。この町には、もうくるなよ」
ミシマの銃口からケムリが立っている。
ミシマの足は、18のラインの上にある。
18のラインの上のミシマの足アップ。
マフィア「ミシマ、きさま、ルール違反だろ・・」
ミシマ「あんたもな、・・・19で振り向いた」
マフィア「おい!! 審判、何見てやがった!・・・・・・・
え、・・・まさか、審判、そして、ミシマ、最初からグルかよ」
審判、ひょっとこの面を被りなおす。
道の奥から、お尋ね者のビラが、ばさばさと風にのって
飛んできて、マフィアの顔にはりつく。
ぺたっ。
ビラには・・・イケ面のサムライとヒョットコ・・・。
それは、ミシマとひょっとこの面の男・・・。
021
カラスが、頭上を飛び、かあかあ鳴く。マフィア「死肉を喰らいにきてるな」
ミシマ「ふふっ」
B「カウント!」
マフィアとミシマの顔。汗がぎらぎら。
B「1」(一歩踏み出す、2人)
B「2」(決闘の様子を見ている天狗)
B「3」(互いに6歩分離れたミシマとマフィア、遠景)
B「4」(ごくりと唾を呑み込む、女主人)
B「5」(一歩すすむミシマ)
B「6」(一歩すすむマフィア)
B「7」(カラスが頭上を舞っている)
B「8」(互いに16歩分離れたミシマとマフィアの遠景)
B「9」天狗の面のあごのところから滴り落ちる汗。たらっ。
B「10」(一歩すすむマフィア)
B「11」(一歩すすむミシマ)
B「12」(緊張感みなぎるマフィアのアップ)
B「13」(緊張感みなぎるミシマのアップ)
B「14」(互いに28歩分離れた2人の遠景)
B「15」(ジャンポールと長毛、真剣に見ている)
B「16」(ひょっとこの面を後頭部にかけて、カウントするBの姿)
B「17」(一歩すすむミシマ)
B「18」(ミシマのアップ)
B「19」(とつぜん振り返るマフィア、銃を出す!)
020
背中あわせに立つ、ミシマとマフィア様子を見ている、おばあがいる。
おばあ「おそろしいことじゃ、おそろしいことじゃ。
決闘などと・・・。この文明社会に、決闘などと・・・
すべては、そうじゃ、すべては、土蜘蛛のせいなのじゃ」
おばあ、おそろしい形相。
おばあ「あの男」(と言って、マフィアを指さす)
おばあ「あの男にも、土蜘蛛がとりついているのじゃ!!」
マフィア、ちらり、とおばあを見る。
ミシマ「何を言っているんだ・・・?」
おばあを見るミシマ。
マフィア「たわごとよ!!! さあ、決闘だ」
B「はじめるぞ。ルールは、シンプル。今の背中合せの方向、
つまり互いに、反対方向を向いたまま、前方に20歩、あるく。
私が20、カウントする。20のカウントで、振り向いていい。
そこで、互いを撃ち合うことになる!! 早撃ちだ。
ピストルの速さで勝負がつく。シンプルなやり方だ」
019
マフィア「このー! 善人ぶりやがって」ミシマ「いや、拙者も、くずれザムライ。どっちかと言えば
ワルでありんす。が、アンタはワルすぎる」
マフィア「決闘だ!」
ミシマ「うけよう。お互い、武士くずれのようだ。刀より
ピストルが似合う、我々の決闘にはな!」
マフィア「よかろう」
レストランの入り口付近で、この2人を見ている、
ジャンポール、長毛、天狗、ひょっとこのお面の人が3人。
マフィア「みせものじゃねーんだぜ! 祭りの日だからって、
くだらねーお面をかぶってんじゃねーーー!!」
1人がひょっとこのお面を脱ぐ。中肉中背の男(B)だ。
B「決闘だ、と聞いた。それには、審判がいる。私がなろう」
マフィア「おー、すぐにはじめよう。」
ミシマ「では、この置屋の裏に砂地がある。そこで、早撃ちで
勝負だ。へたすりゃ、どっちかが死ぬぜ」
マフィア「それは、きさまだ」
26 置屋の裏の砂地
Bが、2つのピストルを、1つずつ、ミシマとマフィアに渡す。
B「ピストルは私が用意した。ゆえに、公平だ。あとは、
あんたら2人の腕だけで、勝負がつく。」
マフィア「この世から、おさらばさせてやるぜ、ミシマの
善人ぶりのアンちゃんyo」
ピストルを手にした2人。位置につく。
018
鉄砲の音「バキューン!」25 置屋一階(屋内)レストラン
銃口から煙・・・。
いくつかのテーブルの客、じっと、マフィアを
見ている。
中に、さくらなおこと、ミシマもいる。
マフィアの銃口からのぼる煙。
マフィア「よお、女主人。ここを俺にあけ渡せ。
ここに、賭博場をつくるんだ。こんなしけた置屋
なんか潰してやる!」
マフィア、もう一発、鉄砲で天井を撃つ。
女主人「キャー」
女主人、レストランの奧の方の壁へと逃げる。
マフィア「すなおにあけ渡せ。」
マフィア、女主人のほうへ、ミシマのいるテーブル
を横切り、迫ろうとする。
突然、そのマフィアの足の前に、自分の足を
出すミシマ。
ミシマの足が、マフィアの足に引っかかる。
マフィアの驚く目玉。
ばたーん、と地面にたおれるマフィア。
汚れた顔で起き上がるマフィア。かんかんに怒っている!
マフィア「ててててめー! どういう気だ!!!」
ミシマ「ちょっとヒーローになりたくてさー」
017
まるめられていたでっかい和紙に、班田光市郎の名を書道した長毛。
コーヒー屋内には、ひょっとこや天狗、鬼などの奇面
を被った連中が多い。
ひょっとこのお面の男が、じっと長毛の書を見ている
ようだ。
群集「けんかだ。けんかだ!」
珈琲屋のそとの通りで天狗が叫んでいる。
長毛「けんかじゃと!?」
ジャンポールが窓から外を見る。
ジャンポール「ざわついてるのは、置屋の方だ!」
ジャンポール、珈琲屋を出る。
23 通り(珈琲屋の外)
ジャンポールがドアから出てくる。
つづいて、長毛が出てくる。
その後、ひょっとこのお面の客が2人を追いかける。
24 置屋(外観)
女主人「だから、もう来んなって、いっただろ!!」
となりまちのマフィア「おまえがこの店を明け渡すまで
しょっちゅうくるよ。ぐふふ」
016
長毛「わたしのコーヒーカップを見ていなさい」長毛、目を閉じ、手のひらを、ひらひらと
動かす。
カップの中のコーヒーの液体が静かに動き出す。
それはやがて、手が何本もあるアシュラの
かたちになる。
おどろくジャンポール
長毛「ふふふ・・。人間には限界がある。その差は
人それぞれだが、多かれ少なかれ限界がある点では
同じだ。そこに形になったのは、アシュラと呼ばれる
古代神話におけるパワーのシンボルだ。ミフネ、
きみは人間であってアシュラにはなれぬが、
そのパワーの一部を習得するのだ。パワーは、
制御するのが難しい。パワーによって我を失う人間も
いる。パワーは正しく使う者にとどまる。」
ジャンポール「長毛のおっさん、すげー」
長毛「しばらく私のもとで修練しなさい。その後、
究極の教えを、広州のある先生から聴け」
ジャンポール「広州・・・」
長毛「すべての修行者たちが向かう場所・・。ここ
ジャパンから、朝鮮半島にまず行き、そこから列車で
香港へ。そして、チャイナ・コンティネント、広州へ至る」
ジャンポール「チャイナ・コンティネント・・・」
長毛「そう、そこに、この仙人が住んでいる」
長毛は、ふところから筆を取り出し、和紙にその名を書く。
『班田光市郎』と。(ジャンポールに見せる)
015
長毛「例えば、一例を挙げよう。かつて、日本に病気で伏せていたミナモトのライコウという武者がいた。
かれは、薬をもらえど、病は治らなかった。
ある日、怪しい法師が彼を訪ねてくるが、それは、
土蜘蛛といわれるモンスターだった。法師は、
何ぼんもの糸をくりだして、ライコウをがんじがらめ
にしようとしたが、ライコウは、名刀クモキリで
モンスターに一撃をくらわせた。化け物は逃げ、
自分の棲家であった古塚にもどるが、ライコウの
手下と一戦をまじえ、滅びた。ライコウは再び
元気を回復した。・・・・・つまり、この世界
にマイナスエフェクトを与えんとするエネルギー
が存在するということだ・・・・・。」
ジャンポール、神妙に話を聴いている。
長毛「ライコウが持っていたマイナスエネルギーの
塊を粉砕し、地上のエネルギー・バランスを
正常化するウォリアーとしての力を君に伝授しようか」
ジャンポール、目を丸くする。
ジャンポール「あなたは、それができる??? そう
なのですか・・・?」
長毛、ウインクする。
014
21 珈琲屋大正デモクラシーの雰囲気薫る珈琲屋の建物
22 珈琲屋(屋内)
長毛とジャンポール・ミフネがテーブルで
珈琲を飲んでいる。
ジャンポール「で、長毛のおやっさん。あんたの
言う、新しい世界の扉ってなんだい?」
長毛、しばし沈黙。珈琲をひとくち。
長毛「この世界の真のエネルギーを見る方法だ」
ジャンポール「真のエネルギー?」
長毛「そうだ、わたしは、この世界を何十年か
ほうぼう旅した。広州での修行もした。」
長毛は背中にしょっていたリュックから、
たくさんの紙のタブレットを出す。
多くの文献のうつしが書かれている。
ジャンポール、それらを手にとってパラパラ
と見る。写真や絵もある。
長毛「この世界は、・・・未熟な者は、人間が、
そのなかの王侯貴族が動かしていると思っている。
そうではないのだ、・・・この世界を動かす真の
エネルギーは人間が知覚できるものではない」
013
天狗「ほら、あれだ」人相の悪い男が、バイクに乗ってやってくる。
19 なおこの部屋
ミシマ「そうかい。いろんな客がいるんだな。だが、
この仕事をあがったら、拙者だけの女になってくれ」
なおこ「ほんとうに愛しているのは、ミシマさま
だけですゎ」
しっかりと抱き合う2人。
20 置屋の屋根の上
長毛「ああ、みちゃいられねえ。チャーハン食おう。
うまい。うまい。コーラがあうな、チャーハンは」
ポロポロ涙しているジャンポール。
ジャンポール「なおこ・・。愛していた・・」
長毛「そうか。あんたも本気だったのだな」
ジャンポール「とりこみ中だ。僕はいったん去る」
長毛「そこらへんで、珈琲でも飲まんか。おごるぞ」
ジャンポール「ほにゃす」
長毛「ミフネ、君に新しい世界の扉を開く鍵を授けよう」
012
16 通り白壁の町通りを歩いてくる、変わったカッコウの男がひとり。
天狗の面の男に呼び止められる。
天狗「あんた、なんか変わってるな。怪しい者か?」
岩崎ハヤオ「最初が大事だ! 自己紹介をしよう。
私の名は、岩崎ハヤオ。怪しい者かと聞かれ、
怪しいものだと答える奴はいないが、しかし、
私は特に犯罪者ではない! 大学で考古学を
教えている。だが、ほんとうは学者の家系ではない。
私の祖先は伊賀の忍者なのだ。その意味では、
あやしい者かもしれん。だがそれは曽祖父の時代だ。
文明開化が成し遂げられたいまの世の中、忍者家業では
食っていけん・・・。それで学者となった。
じつは、この通りの奥にある置屋の、ナオコという
女に入れ込んでおる。今、そこへ向かうところだ」
天狗、はた、と何かを思い出したようなしぐさ。
天狗「あの、通りの先にある置屋か! あれは、
ちかぢか店じまいかもしれんな〜」
岩崎「え、どうして?!!」
天狗「となりまちのマフィアが、あの土地を奪おうと
してるのさ。よく、あの店の女主人を脅しにきてるぞ」
岩崎「そうなのか?」
011
15 なおこの部屋小窓から見える桜を、ぽーーっと見ているミシマ。
ミシマ「ちゅぽんっ!」(ラーメンを飲む)
うぐいすの泣き声。
ミシマ「二番煎じ・・。二番煎じ・・。二番煎じの
ラーメン。二番煎じのストーリー。B級小説みたいな
はなし・・。そういう話こそ、うまみがあるかもな」
なおこ「でしょ」
ミシマ「うん、いこーか、宝探し。それで、拙者の
新事業が始められるかも。バテレンの持っている
ようなデッカイ舟を買うのじゃ! 拙者は、あの
わーるどわいどなバテレンたちが大好きなんじゃ。
...SHIKASHIな、そんな江戸時代の地図を見ても、
解読不可能だぞ。もはや、文明開化も終わり、
『でもくらしー』な世の中。ちまたでは、色のついた
映画も上映されておる。考古学者でも連れてこなけりゃ
昔の地図などチンプンカンプンじゃ」
なおこ、しばし、だまってミシマを見る。
なおこ「実はね、いるのよ。わたし知ってる考古学者
がいるの。わたしのお客なのよ。」
010
フスマがスーと開く。メイドがラーメンをもってくる。
メイド「ご注文のラーメンです」
ミシマ、ラーメンを受け取る。
ミシマ「ありがとよ。またな」
すごいいきおいでラーメンを食べるミシマ。
それをみている、なおこ。
なおこをちら見するミシマ。
笑い飛ばすミシマ。
ミシマ(ラーメン食べながら)「B級のペーパーバックの
読み過ぎってやつさ。そんな話、信じちゃうなんてさ。
二番煎じのストーリーさ」
14 屋根(屋内を隙間から覗いているジャンポール)
ジャンポール「たしかに!」
15 なおこの部屋
フスマがスーと開く。
メイド「替え玉おもちしました」
ラーメンの替え玉を受け取るミシマ。
ミシマ「せっしゃは、ラーメンの替え玉ってやつが好きさ。
味が変わるから、替え玉は出さないって店もあるけど、
二番煎じの替え玉の味も、ぐっとくるほどうまいのさ。
今年は、なんか桜がはやくねーか」
16 窓の外
さくら。
009
なおこ「あたし、あんたの事業の元手になりそうな宝のアリカがのってる地図をもってるわ」
ミシマ「なんのことだ?」
なおこ(万華鏡を棚の引き出しから出し)「これよ」
12 屋根(外)
ジャンポール(屋内をすきまから覗きながら)「あれだ」
長毛(チャーハン弁当を食べながら)「ほほお」
ジャンポール「あれは、僕が彼女にあげたものだ。
ぱちもんだと思っていたが、ほんものかもしれん」
長毛「とりかえしたいのか?」
ジャンポール「いや、それは間違っている。ただ、
おこぼれを拾いたいだけだ」
13 なおこの部屋
ミシマが、万華鏡を覗いている。
万華鏡の中に、地図が見える。
ミシマ「これが、宝の地図か?」
なおこ「お客さんが、徳川の埋蔵金のありかだって、
くれたの!」
ミシマ「けらけらけら。信じてるのか?」
008
ジャンポール「ふかくは聞かないでくれ」ジャンポール、さくらなおこの部屋に聞き耳をたてる。
2階の窓からは、カーテン越しにさくらなおこと
お客(イケ面のサムライ風)が抱擁しているのが見える。
お客「なおこ、拙者、サムライの家に生まれ、文明開化で
職を失ってからは、代々用心棒として生活してきたが、
ここらで、なにか、まっとうで、バテレン的に言うなら、
わーるどわいどな貿易商になろうかと思っておる。その
あかつきには、そなたを嫁にもらいとうござる」
なおこ「あれまあ。涙のあふれるばかりのしあわせ!
わたしは、あと3月ほどで、この仕事をあがります。
ここの女主人には世話になりましたが、わたしも
そろそろ、人生のしあわせを深く考えたいのです。
三島さまと結婚いたします。」
お客(三島さま)「おお、うけてくれるか、なおこよ」
2人、しっかり抱擁する。
ジャンポール、涙を2、3滴流し、2人を
すきまから見ている
ジャンポール「あれが、ミシマ・・。なおこが言っていた
彼女の愛人か・・。僕もなおこを愛していたが、僕など
ピエロにすぎぬ男・・。2人の幸せを願おう」
11 なおこの部屋
ミシマとなおこは、きらきらした目で、お互いを
しばし、見つめあう。
007
ジャンポール「あんただれ? 僕は急いでるんだ」長毛「うむ、最初が大事だ。わしの名は、長毛帯一郎。
広州で修業をした。チャーハンが好きだ」
ジャンポール「チャーハン・・。」
長毛、ジャンポール並んで小走り。
ジャンポール「今、僕が向かっている、通りの奥に置屋が
ある。そこは、舶来風の食堂が一階についてる。
そこのチャーハンはうまいっす」
長毛「ではいっしょにまいろう」
ジャンポール「じゃ、あんたは、食堂のほうに行きな」
長毛「おぬしは?」
ジャンポール「いや、ちょっと、うらの方から、2階の屋根に
のぼるので」
長毛「あっそ。ところで、君の名は?」
ジャンポール「MIFUNE」
10 置屋(屋根)
ジャンポールが屋根の上にいる。
2階の壁にくっつき、中の声を聞いている。
さくらなおこの声が聞こえる。
さくらなおこ「あんた、まってたわ」
長毛(突然)「ミフネよ。おぬし、趣味が覗きか」
長毛がチャーハンのテイクアウトを持って、屋根の上にいる。
006
ジャンポール、天狗男を後にする。ジャンポール(独白)「そんなお尋ね者のことなどどうでもいいのだ。
僕は、どうも、あの万華鏡が本物の宝のアリカを指している
って感じがし始めている。そんな気が強迫観念のように
強くし始めたんだ。さくらなおこが何も疑わず受け取ったって
いうのも、その原因だ。女の感ってやつかもしれん。
だからって、僕は一回あげるといってあげたモノを取り返そう
なんて、そんな道義に反したことをしようってんじゃない。」
通りでは、ヒョットコの面の連中がたくさんいる。
彼らはマツリバヤシを鳴らしている。
ジャンポール(独白)「こんな祭りの日だ。ヒョットコの面を
つけた奴なんか、わんさかいるじゃないか。とにかく、僕が
何をしようと思っているかっていうと、ちょっと、さくら
なおこの様子を覗きにいくのさ。すぐに宝探しにでも行く
あてがあるのかもしれないしね。そしたら、こっそり、なおこ
の後をつけようと思ってる。別に、宝を横取りしようって
わけじゃない。あれが徳川の埋蔵金なら、そりゃ金銀財宝、
大判小判があるはずなんだ。だから、見つけた後、持って運んだって、
すこしくらい、ポロポロ落ちちゃうものさ。それを少しだけ
拾い集めたって、世界一周が出来て、エーゲ海に別荘を
建てるくらいは十分にあるはずだって思うんだ。それが狙いなんだ。
そう悪いことじゃないだろ?」
ジャンポールが急ぎ足で通りの奥へ向かっていると、
元気そうな老人(長毛帯一郎・77歳)が声をかける。
長毛「おい兄さん、なんかうまそうな料理屋を教えてくれ」
005
ジャンポール、にやりと笑う。ジャンポール「アホかもしれんな・・・。」
8 不動明王の滝
滝の前で、ジャンポール、ふと立ち止まる。
ジャンポール「しかし、この世の中、人のことをアホ
だと思う奴こそ、アホだって場合が多い。僕こそアホ
かもしれん。あの万華鏡、はったりだと思って
あげてしまったが、本物かもしれぬぞ」
ジャンポール、来た道を引き返す。
9 町
太鼓の音がしている。天狗の面をつけた男が
ビラを配っている。
町にもどったジャンポール。
天狗「今日は祭りだ。夜は花火もあがる」
ジャンポール、ビラを1枚もらう。
天狗「これも、もってってくれ」
ジャンポールがもらったもう一枚のビラは
お尋ね者2人のビラ。(2人の絵)
絵の2人は、一人がイケ面のサムライ、もう一人は
ヒョットコのお面をつけている男。
天狗「2人は仲間だ」
004
ジャンポール「これだ」ジャンポールの手のひらに載っている万華鏡。
まじまじとみる、さくらなおこ
さくらなおこ「・・・・・」
ジャンポール「おどろくな。これは徳川の埋蔵金を
示す万華鏡ぞよ!」
さくらなおこ、きょとんとする。
さくらなおこ「えー、こんなの、あたしにくれるの!
すごい! うれしい!」
ジャンポール「え・・・」
ジャンポール、一瞬あっけにとられるが、
ジャンポール「うむ、やるぞよ。きっと何億両の宝石、
金銀財宝がある」
ジャンポール、さくらなおこに万華鏡を渡す。
7 建物の外
ジャンポールがチェックのネクタイを閉めながら
出てくる。
ジャンポールは、町を抜け、山道を帰る。
脇には、不動明王の滝が見える。
ジャンポール(独白)「うむ、さくらなおこ、すなおな
女だ。」
003
5 ふとんのある部屋天井には扇風機が廻っている。
ジャンポールと娼婦が重なっている。
ジャンポール(独白)「もう一週間になる。
そうだ。僕は一週間も、この女性、さくらなおこの
客として、ここに入りびたっているのだ。この
一週間、つけで客になり支払いは済ませていない。
しかし、じつのところ、僕には金などないのだ」
6 建物の中の風呂
ジャンポールが体を洗っている。
風呂を出て服を着ていると、さくらなおこが
着替え場に入ってくる。
さくらなおこ「ジャンポール、いえミフネのお兄さん、
そろそろ支払って頂かないとわたくしも困ります」
さくらなおこ、まじまじとジャンポールを見る。
ジャンポール、そわそわする。
ジャンポール「今日は、金を忘れてしまったが、
そうだ、これを代金のかわりに授けるが・・・」
ジャンポールは、服の懐にしまっていたあの徳川の
埋蔵金の場所を示す万華鏡を見せる。
002
ジャンポール(独白)「ところが、その難破船には江戸の名門、徳川の子孫が乗っていたんだ。彼はね、僕にお礼ってことで
万華鏡みたいな覗き窓のついた筒をくれたんだ。覗き窓から中を
見ると地図みたいなものが見えるんだ。彼はそれが、いにしえの
徳川の埋蔵金のアリカだって言うのさ〜。ニッポンはおもしろい
国だなって思ったよ。彼は僕にミフネって名前をくれた。」
ジャンポール、通りを進む。
3 通りの奥
そこには、朱色の飾りが美しい3階建ての建物がある。
ジャンポール、その建物の前で一度立ち止まり、中へ入る。
4 建物の中・玄関
そこには20体くらいの招き猫が置いてある。
ジャンポール「ボンジュール〜」
置くから40代くらいの女性がスタスタと現れる。
女性「あ〜ら、またジャンポールさんじゃな〜い」
ジャンポール「ミフネって呼んでくれ」
女性「そうでしたわね。ジャンポール・ミフネさん〜」
ジャンポール「メルシーボークー。ミフネって呼ばれる
のが気に入ってるんだ」
001
タイトル「1920」作「ヒガドロン」
1 「1920年・日本西部」
2 白壁の町
東洋と西洋がミックスされた町なみ。
洒落た映画の看板などが見える。
フランス人男性(ジャンポール・F・ミフネ35歳)
が、通りを歩いている。
彼は気分がよさそうに笑みを浮かべている。
ジャンポール(独白)「最初が大事だ。まず、自己紹介
をしよう。僕はジャンポール・フランツ・ミフネ。
ちょっとドイツ系の血が入ってるフランス人だ。でも、
父親が誰かってことは知らない。ママはパリに住んでるよ。
パリはいい町さ。世界から人が集まる。僕は17のとき
船乗りになろうって決めた。で、船乗りになった。
南太平洋にも行った。それでさ、タヒチあたりで座礁
してた日本のの船を見つけたんだ。なんとか丸って
いったけど、忘れちまった。とにかくさ、その
なんとか丸を救助したんだ。だってフランスの精神は
博愛だろ。パリジャンの僕としては見過ごせなかったのさ」
彼は通りをどんどん進んでいく。
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