えー、このタイミングでこういう記事を出すとなんか色々言われそうな気はするんですが、前々からそろそろ書かないとなあとは思っていた話ではあるんですよ。いや本当に。やっぱりマーケットが温まってくると悪さしようって人たちがどうしても活発になってきますからね。まぁでも、こんなの書いてもどうせ読むべき人には永久に届かないと思っているので、あまり気にせずポストすることにします。
 
 私がこの稼業を始める前に株式市場に持っていたイメージは、「難しそう」「なんだか凄そう」というもので、いま自分が株で生活していることを誰かに話した時に受けるお決まりの反応とそう違いはありませんでした。
 
 普段株に縁のない人が株に関することを目にする機会って、それこそ経済学者やエコノミストがたまにテレビに出てきては小難しく喋っているアレぐらいしかないと思うんです。で、そういう方々の肩書や経歴ってそれはもう綺羅びやかなものですから、当然マーケットって言うのは凄い人達によって高度に運営されている凄い世界なんだろうなって考えるのは自然なことだと思うんですね。なんだか数字とかいっぱい出てくるし。
 
 それに、上場企業という言葉の響きに対するイメージもまた、株をやっていない人ほど美しいものに聞こえていると思います。なんせそこらにあるのは上場していない企業ばっかりなわけですから、そこから選び抜かれて上場することを許された企業というのはエリート中のエリートだと勘違いしても何もおかしくはありません。
 
 そんなわけで、株を始めて実際にその間抜けさや頭の悪さを目の当たりにするまで、市場の常識が社会の非常識であることは絶対に認識できないと思います。
 
 ですから、私が優良株、成長株だと思って「投資」したつもりでいた銘柄が次々に上場廃止になったり倒産したりしていく様を目撃した時は本当に驚きました。自分の無知を恥じる気持ちももちろんありましたが、それ以上に株式市場ってこんな無法がまかり通る場所なのか!?という驚きの方が遥かに勝ったものです。だって四季報にも増収増益って書かれてたんだから。
 
 その衝撃をなんとかして世間に伝えたいと思って生み出されたのが「クソ株ランキング」シリーズです。最初の作品は2007年ですからもう10年が経過したわけですね。出入りの激しい相場の世界なので、もうこの頃のことを記憶している人もかなり減ったはずで、今となってはある種の歴史資料的な価値も出てきているのかもしれません。

クソ株ランキング2007
クソ株ランキング2008
クソ株ランキング2009
クソ株ランキング2010
 
 その後、2010年の冬に最初の同人誌「東方粉飾劇」を発表しました。これはライブドアショック後に多発した新興企業の粉飾決算の事例集で、読めば粉飾に対する最低限の予備知識を備えられる内容になっています。

東方粉飾劇/ニコニコ静画 
 
 この頃は監査も甘く、上場前から「いやこれどう見ても粉飾やってるだろ」と多くの人に突っ込まれていた企業が東証様の厳しい上場審査を無事通過し、蓋を開けてみたら売上高の98%が架空だった、という史上最悪の伝説的案件も誕生したりしていましたが、それに比べると今は問題監査法人の排除も進み、業界全体のモラルもある程度は向上して、ここに出てくるような典型的、あるいは古典的な粉飾の事例を見ることはほとんどなくなりました。
 
 ですが、今も手を変え品を変え、どうにかして株式市場から金を抜き取ってやろうとする勢力の姿が見え隠れするのも事実で、そうした動きがなくなることは今後もないでしょう。2017年にこの2作品を見ても得られるものは少ないかもしれませんが、上場企業だからといって盲目的に信頼すべきではないこと、投資家に対して不誠実な態度を取ることを目的とする上場企業も存在し得るのだということは覚えておいて損はないのではないかと思います。

 …それにしても、今さら見返してみると、昔はこんなの作ってたんだなぁとなんだかむず痒くなりますね。