2007年05月10日

砂の器⇔松本清張4

苗坊の読書日記:砂の器 松本清張

東京の蒲田、終電車が出たあとの車庫の中に、ボロきれのように捨てられた一個の死体…。
一つの証拠も足あとさえ残さず、煙のように大都会の群集の中に溶け込んでしまった犯人。
そうして迷宮入りした一つの事件が、ひとりのベテラン刑事の執念の前に、しだいに真実の姿をあらわしてゆく。
第一、第二、第三と、完全犯罪の成功に酔う犯人と、ひたすら粘り強く犯人に迫る捜査陣との戦い。


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松本清張らしい傑作と名高い一作です。

冒頭で起きる殺人事件。
犯人と被害者が直前に会っていたことまではすぐにわかりますが、身元がなかなか判明しません。
手掛かりはわずかに残された「かめだ」という言葉。

考えぬかれた構成と、松本清張の持ち味である社会性とが作品を深いものにしていると思いました。

何年か前、当時の厚生大臣だった小泉さんが(ハンセン病)患者にたいして政府としての対応を謝罪しているのを見た記憶があります。
完全なる隔離政策のために、患者本人だけでなく家族までが差別を受けたと聞いています。
俗に(業病)とも呼ばれたとか、当時の人たちにとっては死の宣告にも等しかったのでしょう。

代表作と言ってもいい作品だと思います。



lovehon at 20:31│Comments(4)TrackBack(1)clip!松本清張 

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1. 砂の器 松本清張  [ 苗坊の読書日記 ]   2008年02月21日 22:34
4 砂の器 (上巻) 砂の器 (下巻) 国電蒲田駅で、一人の男の死体が発見された。 あまりにもひどい姿で発見されたため、被害者特定もままならない。 迷宮入りしそうになったこの事件。 警視庁の今西栄太郎が立ち上がった。 若手刑事の吉村刑事と共に、事件解明に挑む。 ...

この記事へのコメント

1. Posted by 愛敬   2007年05月10日 23:24
私も読みましたよ。本当に傑作ですよね。
松本清張をはじめて読んだのは「点と線」でした・・・私が印象に残っているのは「疑惑」です。
映画でも桃井かおりさんの演技が光っていました。

最近嫌な事件の報道が続いていてブルーな気分です。
初心に返って「稲淳怪談」で憂さを晴らそうかなっと・・・何故稲川??(笑)
2. Posted by らぶほん   2007年05月11日 10:55
⇒愛敬さん
とても有名な作家さんなのに読んだ作品は数えるほどです。
この本もドラマ化されたときに購入した作品でした。

夏がそこまで来ているような青空です。
季節の風を受けて歩いて行きましょう。
3. Posted by 苗坊   2008年02月21日 22:35
こんばんわ。
過去記事に失礼いたします。
傑作ですよね。
私は昔の作家さんの小説って、文章が難しいのであまり読んだ事がなかったんです。
でも、この作品はドラマ化されましたし、気になってたんですよね。
そしたらすら〜っと読めたのでビックリしたんです。
切ないですよね。
「点と線」も読んでみたいと思います。
4. Posted by らぶほん   2008年02月22日 18:44
⇒苗坊さん
コメントありがとうございました。
松本さんの作品はさすがに重厚で読みごたえがありました。
ドラマでは描ききれていなかった部分が、かなりありましたよね。

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【ごあいさつ】
こんにちは、らぶほんです。
いつも来てくださって、ありがとうございます。

個人的な感想なのでたまに辛口のときもありますが、大きな心で流してやってください。
ジャンルはばらばらですが、犯罪にかかわる小説(推理小説、警察小説、ノンフィクションなど)多いかもしれません。

今年は古典や海外小説も読んでみたいと思っていますが、部屋を占拠している積読本の山が終わらないとどうにもならないような・・・。
減らすつもりで読んでいるのですが、購入するスピードの方が勝っているようです。

どんなに古い記事にでもコメントをいただければ、とても励みになります。
これからもマイペースで読書を楽しんでいくつもりなので、よろしくお願いします。

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