2011年08月21日

公開レクチャSSD「情報を共有する」

日時:8月20日(土)13:00〜17:30
場所:東北大学DOCK
講師:渡邉英徳(首都大学東京システムデザイン学部准教授)
   濱野智史(株式会社日本技芸リサーチ)
進行:本江正茂

メタとマス両方向からのアプローチでディスカッションも盛り上がった
講師の人選のセンスが光った回でした
それにしてもSSDは、最前線のプロジェクトをレクチャで学びながら、
その場で始めて触れることの多い課題のその先に首を向けながら、
その当事者に対する質問をディスカッションで作るというのがおもしろい
「問い」の大切さを今一度思い知るよい機会

■レクチャ
渡邉英徳「多次元アーカイブ」
・ヒロシマアーカイブは60年離ればなれだった人々が繋がる。昔の自分とも会う。重層。
・アーカイブはもう一つの世界地図。多次元的アーカイブ
・原爆絵画を本来あるべき場所にマッピング
・「ナガサキに落ちた原爆ではなく、地球に落ちた原爆だということが分かった」
 ナガサキアーカイブで新潟で今なお被爆に苦しんでいる人を見ての長崎市長の言葉
・アーカイブは当初遠く離れた人が繋がるマップという狙いだったが、
 311後は、原爆や震災の記憶を忘れないという目的が加わった
・被爆や被災の写真が場所と切り離されて扱われてしまう状態をなんとかしたい
 単なるショッキングな写真として扱われてしまう
・マッピング作業をすることで震災を追体験することとなった
・誰でもマッピングできるようなプラットフォームを作りたい
・通行実績→震災アーカイブ→震災ツイートマップ
・位置情報を付加したツイートは署名と等しい。責任が伴う。
・分かりにくい行政発信情報をビジュアライズ「計画停電マップ」
・計画停電マップは学生が自主的に立ち上げ。
 マッピング自動化のスキルがwebを見知らぬ人からアドバイス。
・デジタルデバイドへの対応「Life Tweet Project」(多賀城、角田の5カ所に設置)
・原爆の記憶の聞き取りは高校生のサポートを得て行った。
 多元的アーカイブという場合、記憶を継承するコミュニティを作ることも狙い
濱野智史「定義の確認とアーキテクチャ」
・情報の語源は戦時下の「敵情報告」(『戦争論』)
・クロードシャノンの「情報理論」
・戦時下の「情報」に求められることは、正確さ、早さ、機密さだった
・軍隊の組織構造であるハイアラーキー→ネット時代はボトムアップの情報流通
・ネットの普及は、コミュニケーションの加速、マッチングをピンポイントで実現する
 →一方明らかになった、デジタルデバイドという課題
・東浩紀『情報自由論』と「環境管理型権力」というキーワード
・「アーキテクチャ」ローレンスレッシング(米・法学者)『CODE』
・4つの規制手段「Law」「Norms」「Market」「Architecture」
・アークテクチャによる規制はルールの内面化(規範の形成)が不要
 無意識のうちに規制可能(自然な振る舞い⇔無意識の強制、コントロール)
・情報化以前の規制はお金も時間も権力もかかり、自然法則の制約は克服できなかった
・ニコニコ動画の持つ「擬似同期性」。擬似同期型というアーキテクチャ。リアルライムの追体験。
・20世紀は対象の複製が可能になり、21世紀は対象を体験する条件が複製可能に。
 (ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』 一回性がアウラを宿す)

■ディスカッション
Q.デマや流言を読み手が判別する方法は?
A.習うより慣れるのが大事では。デマへの免疫力をつける、ワクチンを打つ。(H)
 流れている情報に対して自分の頭や体や規範を通してみることが大事。
 デマの見分け方を教えるのではなく、デマがない情報環境を自分たちがリデザインする視点。(W)
 行政情報のリデザイン「ガバメント2.0」「カーリル(図書館情報検索システム)」
Q.無意識にアーカイブが構築されていくには?
A.マッピングの時は画像にメタ情報がなく苦労した。APIの整備が急務。
Q.デジタルディバイドの克服方法は?
A.ネットメディアにも身体性が必要。ディバイドの境界は周りにやってる人がいるかいないかという
 案外身近で、しかし公共やビジネスがカバーできない問題。
 西千葉市の地域SNSや東北大学生による被災地でのtwwiter普及等の実践。(H)
 母にもやってもらってます。ナイスガイであれ、と。(W)
Q.狙いを明かすタイミングというのはどれほど重要か?明かした方がよいのか
A.アークテクチャの正義。研究対象としておもしろい。バランスがあるのか。
 明かせばあまのじゃくにやられることもあるし、設計者の意図とは別に設計が連鎖
 するということもある。ネットコミュニケーションは大半が連鎖でおもしろくなる。(H)
 明かすべきかどうか、そのタイミングはケースバイケース。それすらデザインする。
 ヒロシマは扱うテーマや素材から、最初から狙いを明言する必要があった。
 但し、建築家という職業は意図は言えないのではないか。
 意図と実情がマッチしない、ということは規制になる。(W)
 例えば建築家が「賑わいを作る」という場合、それは「賑わいという環境管理型権力を行使する」
 と言うことにも繋がる。だから言えない、というのはある(m)


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