9月の定例セッションは、今年度から始めた「おでかけセッション」の第2弾。
今回は、ご覧のホリディパスを使って、大船渡線のBRT乗車をメインに南三陸グルッと1周ツアーです。
岩手県立大学の学生4名を含む12名で盛岡を出発しました。
まずは、JR釜石線で釜石へ。
始発でしたので全員座れましたが、途中「新花巻」から観光のお客様がたくさん乗車し、座れない方も。「大人の休日俱楽部」のお客様のようです。
釜石駅で三陸鉄道南リアス線に乗車。車内には「2013年」の銘板が貼り付けられており、震災後にクゥエートから寄贈された車両のようです。
唐丹(とうに)駅付近。 この辺りも津波で大きな被害を受けました。スポ少野球で使われたグランドも水没しました。
今回のツアーに参加した岩手県立大学の学生のうち一人は私が監督を務めていたスポ少野球チームの卒団生。さらに、もう一人は陸前高田市のチームの卒団生で県大会で対戦したことがあることが判明。県大会でここで試合をしたんだよと語らいました。
大船渡市の越喜来(おっきらい)周辺。
津波で大きな被害を受けました。浜にあった住宅等が全て流されました。私の友人も家を失いました。
今やっと、がれきが撤去され、土地のかさ上げ工事などが行われています。
恋し浜駅で5分間の停車。
ほとんどの乗客がホームに降り立ち、貝殻の絵馬を見たり、駅名の表示板に附置された鐘を鳴らしたり、思い思いに恋し浜駅を楽しんでいました。
この駅、これまでこの急な階段を上って来るしかなかったのですが
ご覧のようなスロープが設けられました。かなり大きく迂回しなければなりませんが、一応バリアフリー化を図ったという形です。
線路、駅が高台に設置されがちな地形的な制約と、三鉄の財政状況を考えると、できる限りの対応をしたと評価しなければなりませんね。
盛駅に着きました。ここから気仙沼までの大船渡線は、津波で相当部分が流出してしまったため、仮復旧としてBRTが運行されています。
BRTはバス・ラピッド・トランジットの略で、専用道にバスを走らせ、速達性、定時性を高めたバスシステムです。LRTと類似性があり、ブラジルのクリチバが大がかりなBRTシステムを運用していることで有名です。
盛駅の駅長さんが、このBRT導入に関わっていた方ということで、待ち合わせの時間に無理を言って解説をしていただきました。
大船渡線のBRTは、鉄道時の2.5倍の本数を運行しており、通勤、通学時の利便性を特に高めているとのことで、専用のハイブリットバスを使い、陸前高田市の小友までは専用道、その先は一般道を走ります。専用道に関しては、一般道との交差点において、車内操作でBRTが優先信号となる仕組みで、GPSでバスロケも整備されています。BRT−NET(ウェブ)で運行状況をリアルタイムに把握できるようにもなっています。
そういった工夫をしていますが、輸送人員は鉄道時の半分ぐらいとのことで、経営に苦労されているようです。地元利用が伸びません。
我々が乗ったBRTもほとんどが「大人の休日俱楽部」のお客様をはじめとする観光客。しかし、水沢江刺駅から車で70分。一関駅から鉄道とBRTを乗り継いで2時間40分(待ち合わせ時間を除く)。車で動く方をこちらに誘導するのは難しそうです。
観光バスタイプの専用車両は、乗降時に車体が傾き乗降しやすくなっています。
我々は、乗合バスタイプの車両に乗車。「大人の休日俱楽部」のお客様がいらしていて、1台増発です。
解説していただいたとおり、専用道に関しては、一般道との交差点において、車内操作でBRTが優先信号となる仕組みになっていますが、専用道側に遮断機が付いており、かなり減速して近づき遮断機が開いたのを確認して通過するというのを繰り返します。
なぜ一般道側に踏切を付けれないのかなぁ?制度的な制約なんでしょうねぇ。
ストラスブールのLRTだと、交差点の一般道側の信号が次々に赤になり、LRTは減速などせずに走り抜けるというシステムになっているのですが、大きな違いですね。BRTの本来の姿とも違うと思います。
途中、大船渡プラザホテルの近くで一旦専用道から一般道に下りてバス停に止まり、また専用道に戻ります。BRT感が萎みます。
専用道内のバス停はこんな感じです。
陸前高田市の小友というところで一般道に下りて、米崎というところの山手のほうを抜けて陸前高田市役所前。
仮設の市庁舎の道路を挟んだ向かい側に、市庁舎と消防署を建設中です。このあたりは津波の心配のない高台で、復興に向けた街づくりが進んでいる感じがします。
気仙沼市に入り鹿折唐桑駅付近。第18共徳丸が打ち上げられていたあたりです。船もがれきも撤去されて、かさ上げ工事が盛んと行われています。
私は、どちらかというと震災遺構として残しておくべきだった派です。
気仙沼駅でBRT下車。
感覚的には専用道が全体の1/3ぐらい。でも、大船渡プラザホテル近くで一度一般道に下りてしまうので、「なるほど。BRTってこんな感じなんだな。」って感じるのは1/4ぐらいしかないような印象。
地元の方にもっともっと使ってもらわないと厳しいでしょうし、今の状態では鉄路復旧しても、赤字垂れ流しという結果になりそうです。地元の熱意とともに、これだけ需要がありますよというところを実績として見せなければなりません。
気仙沼港の方に向かいます。
市役所のワン・テン庁舎。もともと3セクの商業ビルだったようです。東日本大震災の津波高が表示されています。
仮設商店街。場所的にも観光客が足を延ばす雰囲気ではないように感じました。
がれきが撤去されてそのままの状態の港付近。倒れた街路灯だけが撤去されずに残っています。理由はわかりません。
復興屋台村。
気仙沼ホルモンや海鮮ものなど、ビールとともにギュっとやりたい良い感じの店が並んでいます。
残念ながら、たどり着いたのが14時過ぎ。ランチは終わり、居酒屋にはちと早い。準備中の店多く、開いてた韓国風焼肉店は満席。
あきらめて先に進みます。
お魚市場。
市場内の食堂で遅い昼食をとることにしました。市場は、さんまやかつお、秋鮭などが超お買い得。
「もうかの星」を購入。もうかざめの心臓ですな。きっちり処理してあって、臭みはありません。コリコリ、クニュクニュ美味しいです。
さらに、もうかの身のフライやマグロカツをつまみに、ついついビールをおかわりしてしまいました。
気がつけば一関行きの電車の時刻まで20分と少々。ほぼトップスピードで歩いてギリギリの時間。あわてて歩き出しますが・・・
一関経由で新幹線に乗車。盛岡駅に着いてできたばかりの焼き鳥屋で反省会。学生4人とはここでお別れ。F隊員がここから合流。
美味い焼き鳥にビールで乾杯。
今日の体験を確認、共有しつつ、盛岡のまちづくりとLRTの意義について改めてディスカッション。
実は、2人が気仙沼で乗り遅れ。2時間遅れで盛岡到着。冷やかしながらさらに1時間ちょっと。
最後は珍道中ありの楽しいセッションになりました。