May 31, 2006

宝塚線系統〜阪急電鉄乗り潰しツアー(その2)5

駅数4駅、延長わずか4.0kmの阪急箕面線は、阪急電鉄の創業路線である。阪急宝塚線とともに1910年の3月10日に開業している。当時の社名は「箕面有馬電気軌道」といい、その名のとおり、宝塚線は宝塚からさらに西へ、神戸の有馬まで敷設する計画だった。
箕面線開業当初は途中に駅は無く、1ヵ月後の1910年4月12日に桜井駅が開業、11年後の1921年12月30日に牧落駅が開業している。
阪急電鉄の支線分岐駅に共通しているのが扇形のホーム配置。箕面線分岐駅の石橋駅も、やはり扇形配置となっている。日中は線内折り返し列車のみ設定されているが、朝夕は梅田方向との直通列車もある。
大阪空港からモノレールで1駅、蛍池で阪急宝塚線に乗り換え。蛍池からさらに1駅の石橋で箕面線に乗り換える。石橋駅到着時、箕面線の列車がちょうど出てしまっていたので、ここで朝食をとることにした。駅構内にある「阪急そば」でかき揚げそばをすする。つゆの色が薄い。ようやく、関西に来たことを実感する。ここのそば屋は、まるで寿司屋のカウンターのような趣がある。カウンターの前にはガラスケースがあって、中にいなり寿司やおにぎりが置いてあるのだが、どう見ても寿司屋のネタケースそのままである。
箕面線の沿線は、車窓からは特にこれといった目を引くものがなく、淡々と住宅地の中を走行する。6分ほどで終点の箕面に到着。ハイキング基地や箕面温泉へのアクセス駅となっているようで、多数の観光客を見かけた。これで箕面線は完了。

再び宝塚線に戻って川西能勢口で能勢電鉄に乗り換える。今回の乗り潰しツアー最大のヤマ場だ。そして、そのとおり妙見山へと山を登っていく山岳路線だ。阪急電鉄の子会社である能勢電鉄は自前で車両を用意することはなく、全ての営業用車両が阪急電鉄の中古車両である。2003年に阪急電鉄の支援を受けて、阪急路線の一部という位置付けで運営一体化が図られることになった。これに伴い、以前はオリジナルの塗色を身にまとっていたのだが、現在ではメンテナンスコスト削減のために全て阪急マルーン1色に統一されており、車体に貼付されたロゴのみが阪急と異なっている。このため、外見的な差異はほとんど無く、阪急電鉄の支線の趣がある。連絡駅の川西能勢口駅はラッチ内連絡(中間改札が無いこと)となっていたり、駅名表も阪急タイプの色違いを採用しており、阪急電鉄と一体化している。
妙見線に乗っていると、富士急行の路線に乗っているような感じを受ける。駅の前後は平坦な路線だが、駅間はひたすら坂を登るような線形となっている。急峻な地形を縫って線路が敷設されたため急曲線が多いのだが、これでも開業当時からはかなり改良されてきたものだという。敷設の苦労はいかばかりだったのだろうか。
山下を出ると単線となる。突如、山奥に新しい団地が目に飛び込んでくる。まったくこんな山中には不釣合いな団地なのだが、こういうところはいかにも関西的である。関東ではまずお目にかかれないだろう。これだから旅はやめられないのだ。そして、その団地を抜けると、終点の妙見口駅に到着する。駅前には数軒の土産物屋と食堂があるだけ。駅前の細い道路にはバスも走っている。しかし、そんな駅の木造駅舎に自動精算機・自動改札機・自動券売機が設置されている。さすが、阪急と一体化している路線だけのことはある。

妙見ケーブルは、能勢電鉄が運営するケーブルカーである。正式名称は鋼索線だが、国土交通省監修の『鉄道要覧』に路線名称は記載されていない。このため、乗るかどうかで迷ったのだが、せっかくここまで来たのだから、乗ることにした。
妙見口駅前から妙見ケーブル駅方面へ向かうバスが出ているのだが、時刻表を見ると平日・土曜は1日に10本程度が運行されているに過ぎない。ところが、休日ともなると20分おきにバスが出ている。この輸送差はいったい・・・。休日に来ると、この閑散とした駅前も、人の賑わいで溢れるのだろうか。ともかく、バスがない以上、歩いていくしかない。乗り物が無ければ歩く。それが旅の基本。20分ほどひたすら坂を登っていく。ケーブルカーへのアクセスは、どこもこんな感じである。高尾山口駅からすぐにケーブルカーに乗れた高尾山などは、例外なのだ。
ふもとの黒川駅に着いてレールを見ると、ケーブルカーとしては妙に広く感じる。帰宅後に調べてみたら、案の定「標準軌」ということだった。ケーブルカーで標準軌を採用しているというのは珍しい。何も特徴がないケーブルカーだと思っていたのだが、こんなところに特徴があった。ケーブルカーでケーブル山上駅へ。ケーブル山上駅で降りてさらに山を登ると、リフト乗り場とシグナス森林鉄道のベガ駅がある。事前調査では、シグナス森林鉄道は土日運行のはずだったのだが、なぜか日曜祝日のみの運行となっていた。鉄道事業法などに基づく鉄道ではなく、遊園地にあるようなトロッコ列車なのだが、ここまで来て乗れないというのはなんとも悔しい。また乗りに来るか。後ろ髪を引かれながら、下山することにした。

山下まで戻って、日生線に乗り換える。わずか1駅2.6kmのこの路線は、日生ニュータウンへのアクセスために建設された路線。その「日生ニュータウン」は、名前のとおり日本生命保険が開発したニュータウンである。路線距離を短くするために、山を迂回するというルートは取らず、トンネルをぶち抜いている。このため、路線のほとんどがトンネルの中である。ニュータウンへのアクセスルートなど、どこも似たような線路の引き方をするものだ。乗車時間わずか2分。これで、阪急電鉄グループの能勢電鉄攻略は完了した。そろそろ昼で腹もすいてきたので、食事をするところを探したのだが、駅前にはショッピングストアと銀行以外は何もない。駅構内にあるローソンで、とりあえず腹の足しになるものはないかと物色をしていた。さすが関西。普通に「ぼんち揚」や「おにぎりせんべい」などが売っている。これらを購入して駅構内で食べることにした。ニュータウンの終点駅は、昼間は閑散としているもので、心置きなく食事ができる。

阪急電鉄

lsmaster70 at 00:41│Comments(0)鉄道 | 地域

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